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1章

3話 潜入調査①

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 俺達、30の勇者がうろついても良い場所は庭の4分の1、1F、2F、3F、4F、5F食堂のみとなっている。そこ以外に居ることがバレるとこの城から追放される
 (招待されている場合は例外で許される)
 時間制限は無しで、何時でも動いてもいいらしい
 ちなみに俺も一度目の転移時は5F食堂までのみとしつこく言われていた
 よっぽど見られたくない物があるのだろうか?

 そう思いつつ俺は5Fに到着する

 クラスメイト達はさすがに居なかった。おそらく寝ているのだろう

「ハッハッハ。なるほど!」

 5Fの廊下の角に身を潜め、話し声を聞く

「ジャラン氏も大変ですなぁ」

 そこに居たのはジャランと見知らぬ声の男だった

(早速ターゲット発見……今のうちに潜入できるのでは?)

 俺のスキルの一つに一時的に透明化するのがある。およそ5秒でクールタイムが30分に1回のみ
 しかし、勇者として養ったスピードなら5秒はでかい

「…透明化」

 ボソッと小さな声でスキルを発動する。透明化スキルはレベルが高いため、無詠唱では発動できない

「めんどくさいよ、あい、つ、ら………………」

 駆け抜けるとどんどん声が遠くなり、ジャランには見えない所まで走り抜けれた
 夜ってのもあるのか、いつもならたくさん居る人があまり居ない

(ジャランは愚痴をこぼしていたな…やっぱり歓迎したフリだったんだ。みんな5F以上で愚痴をこぼしていたんだな)

 6F、7Fと上がっていくと、誰かの声がする

「それにしてもジャランの奴、やべぇことするよな」

「何をしたの?」

 若そうな男と女が階段付近の廊下で話している

(ジャランのことで何か話している……重要なことを聞けそうだ)

「それがよぉ……ちょっと待て。誰か居るな?」

(!?)

 俺は慌てて階段を上がろうとするが、もう遅かった

「よぉ、30の勇者の奴だよなぁ?なにしてやがんだ?あぁ?」

 男はポケットに手を突っ込みながら、舐めた態度で俺に近付いてくる
 女はそれを遠くから見ている

 見たところ“レベル“は30…雑魚だな。ただの使用人か
 俺もこんな奴に舐められるなんて落ちたものだ

 この世界にはゲームなどでよく見る、レベルがある
 これは魔族や魔獣、人を倒すと経験値が貰え、レベルが上がる。強さによって貰える経験値が違う
 目をつぶり、レベルを表示と思うと、レベルが表示される
 ちなみに、俺のレベルは3000だ

「俺は30レベルだぞ!?やんのか!」

「あっ、やっぱり?」

「やっぱり分かるかい?俺ほどの実力者なら分かっちゃうもんなんだな」

 男は機嫌良さそうに話すが、俺からすると何がそこまで胸を張って言えるのか分からなかった

「30レベルって…そんな凄いの?雑魚じゃない?」

「はぁ…これだから部外者は嫌いだぜ。俺の凄さが分かっちゃいねぇ!とりあえず、お前死刑な」

 男は舐め腐った態度で俺に殴り掛かってくるが、ほとんどスローに見える

 俺は華麗に男の突撃にカウンターを決め、女の方に吹っ飛ばす

「痛てぇ……」

 そうだ、こいつらを協力者にしよう。そうなると、かなり楽になるぞ

 俺は追撃をしに、男と女の方に突撃する

「こっちくん、ぐへっ!」

 かなり手加減して殴ったが、俺にとってはかなりのダメージだったようだ
 女はその様子を見て怯える

「さぁて、君達にお願いがあるんだけど……いいかな?」

「なんだ、ぐへっ!」

「…いいかな?」

 俺は反抗するとまた殺すぞと目で送り、それを察した男は震え出す
 こいつに俺のことを報告されると面倒だから、殺すと脅す方が効果的だ

「ひぃ!分かりました!すいません!大丈夫です!!!!」

 男は必死に謝り、素直に俺の協力お願いを承諾してくれる
 女も男の様子を見て、俺の協力お願いを承諾してくれる

 そして、この事は他言無用。俺の目的を説明した
 自分は2度目の転移者と裏切られたことは伏せた

「分かりました…俺達は人が居るか、確認するのと、ジャランさんのことを足止めすればいいんですね?」

「あぁ、それでいい。助かるよ」

 新たな協力者のおかけで、楽々と8Fジャラン個室前に到着した
 男と女には廊下でジャランが来たら足止めしてもらうよう指示を出す

午後11時半、潜入成功ーー
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