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《No92》

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ホセは、馬車から降りると、眠らせていたニアとシャトンを、お越して言った。

「やあ、お嬢さん達、この場所を知ってるんだってね。サニーと言う女からきいたよ。一緒にドラゴンを召喚しようじゃないか」

その言葉に、ニアは驚いて言った。

「貴方は、誰?何故ドラゴンを召喚するの?私達を連れて来たのは、ドラゴンの為なの?」

ホセは、ニヤニヤして言った。

「へぇ~ドラゴンを召喚って、言っても驚かないんだね。満更あの女の言う事は、嘘ではないようだ。俺の名は教えないよ。まぁ…ご主人様と呼べよ。ふふっ
お嬢さん達は、悪役令嬢なんだろ?あの女が言ってたよ」

私は、その言葉に怒りを感じて言った。

「私達は、悪役令嬢じゃないわよ?普通の伯爵令嬢よ?それに何故貴方を、ご主人様と呼ばなければ、いけないのかしら?可笑しな事を、言わないで欲しいわ」

ホセはずっと、ニヤニヤしながら言った。

「やっぱり、貴族令嬢はいいね。怒っていても、品があって可愛いね。あの女とは大違いだよ。ここでは、なんだから移動しようか。逃げようとしても、無駄だからね」

そう言って、私達を小屋に連れて来た。

「あぁ…汚くてすまないね。あの女が直に散らかすんだよ。全く下品な女さ…」

ニアは、周りを見ながら男に言った。

「サニー嬢は、何処にいるの?ドラゴンを召喚するなら、彼女が側にいないと、出来ないわよ?彼女と私達三人が揃わないと、ドラゴンは出て来ないんだから」

ホセは驚いて、言った。

「おい、それは本当か?だから、この前も違う魔獣が出たのか?何故だ?お嬢さん達は特別な力があるのか?」

ニアは、ニヤリと笑って言った。

「そうよ、私達には特別な力があるのよ。サニー嬢は、闇魔法が使えるんでしょう?そして、ドラゴンを操れるって、言ったんでしょう?違うかしら?」

「何故それを知っている?あの女は、俺以外には、話してないと言ってたぞ?」

ホセは明らかに動揺していた。ニアは自身満々にホセに言った。

「だから言ったでしょう?特別な力があるって…。ドラゴンを召喚するには、私達とサニー嬢が一緒に、この小屋の外の場所で、召喚術を行わなければ、何度やってもドラゴンは召喚されないわよ?

だから私達は、この場所を知ってたわ。前は、小屋は無かったはずよ?嘘だと思うなら、サニー嬢を連れて来て、まず貴方が試せばいいじゃない」

ホセは黙って考え込んだ。

「おい、俺を騙して逃げる為の嘘か?」

私は、ニアの真似をして、自身満々で男に言った。

「何を言ってるのかしら?私達なら、貴方を騙さなくても、何時でも逃げたい時に、逃げる事が出来るわよ?サニー嬢がいなくて、ドラゴンが召喚出来ないなら、帰りますよ?視察の途中ですし…」

ホセは慌てて言った。

「わかった。直ぐにあの女を、連れて来るから、待っててくれ。まだ、信用しきれない事もあるから、外から鍵を閉めさせてくれ」

ニアは(いいけど、早くしてね?ここは汚くて、長居はしたくないわ)と言った。男は頷きながら、足早に駆けて行った。

私は、ホッとしてニアに言った。

「もお…ニアったら…あんな嘘をつくんだもの…ドキドキしたわよ。特別な力を、やって見せろと言われたら、どうするつもりだったの…」

ニアは、笑いながら言った。

「ふふっ…そう言うシャトンこそ、頑張ってたじゃない。私達、中々の演技だったわよね?
ねぇ…?映像画の見え方だと、あの天井辺りに魔道具がある筈よね?手を振りましょうよ」

「もう…ニアったら…」

私達は、笑顔で天井に向かって、手を振った。

「でもニア…ピンクさんが来たら、どうするの?ドラゴンの召喚なんて、私達には出来ないわよ?」

「そうよね…だけど、さっき言った様に、先にあの男に、やって見せろと、言えばいいのよ。貴方の実力を見たいとか言って…。出来なかったら、代わりにやると言えば、いいじゃない」

私は、呆れてニアに言った。

「ニア…よくそんな事が、直ぐに思いつくわね?関心しちゃうわ!でも、男が先に召喚して、失敗して別な魔獣が出て来たら、どうするの?私達が先に襲われてしまうわよ?」

(大丈夫ですよ。私達が助けますから)

と、突然声がした。現れたのは、南辺境領の魔術師様だった。私達が、小屋に入ってからの会話を聞いていたそうだ。そして、先程ニアが言った様に、男を誘導して欲しいと言われた。
それともう一つ、召喚場所は、外の開けた場所の中程に、誘い出して欲しいと言われた。目印は、シロツメ草が一輪咲いているからと…。

この場所には、もう騎士や、魔術師達が潜んで待機しているので、必ず助けると言ってくれた。ジェイやルドルフ様、アンソニー様も、もう直ぐ到着する、と言って魔術師様は(もう少しの間、頑張って下さい)と言って姿を消した。

暫く小屋の中で男を待っていると、外が騒がしくなった。男がピンクさんを、連れ帰った為だ。何やらピンクさんは、男に怒っているようで、言い争う声がした。

扉が開いても、二人は言い争っていた。(予定が変わったんだから、仕方がないだろう!!)(楽しめと言った癖に、邪魔をするなんて酷い!!)と叫んでいた。私とニアは、呆けて二人を見ていた。

やっと私達に、気が付いたピンクさんは、言った。

「また、あんた達が私の邪魔をしたのね!!悪役令嬢の癖に、私の邪魔ばかりしないでよ!!」

ニアは、その言葉を聞いて、ピンクさんに言った。

「私達が、何を邪魔したと言うの?貴方が、私達をここへ、呼んだのでしょう?その男に命じて…邪魔だと言うなら、帰るわよ?」

男は、慌てて言った。

「この女の言う事は気にしないでくれ…。ほら、三人揃ったから、召喚を早く始めよう」

何時までも、喚き散らすピンクさんを無視して男はそう言った。
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