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《No24》

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【ジェイソンとシャトンが入った部屋の中】

私は、シャトンをエスコートして、部屋に
入ると、彼女は笑顔で声を上げた。

「まぁ、前の部屋と、景色が全然違うわ。窓が凄く大きいから、外にいるようですね。ライトの照明が、木の幹に当って綺麗だわ。ジェイソン様、素敵ですね」

シャトンは、無邪気に笑い、窓へと近づいた。私も隣に立ち、ルドルフに聞いた話をする。

「時間が経つにつれ、また景色が変わるそうですよ?

ですから、ソファーがあり、外を見ながら、食事が出来る用になっているそうです。シャトンを待つ間に、従業員が、教えてくれましたよ。
さぁ、どうぞこちらに、座って下さい」

そう言って、シャトンをエスコートして、ソファーに座らせた。私も隣に座り、先に頼んでいた料理を勧めた。

「シャトンが気に入ってた、ローストビーフと、フォアグラのカナッペと、海鮮のジュレは頼んでおきましたよ。食べながら、他のメニューを追加注文しましょう」

シャトンは目を輝かせて言った。

「まぁ、また食べたいと、思ってたものばかりですわ。ふふっ…着いて直ぐに食べれるなんて、夢のようですわ」

そんなシャトンと、二人で追加料理を決めて、デザートも頼んでおく。  
シャトンは、アルコールは、苦手だと言うので、度数の低い果実酒を勧めた。リンゴから作った甘い微炭酸の酒だ。

私は、軽めのワインを頼み、二人で乾杯して食事を始めた。シャトンはそれを飲むと(香りも良くて、美味しい)と喜び飲んでいた。

料理を食べ進めながら、学園での噂話や、アンソニーの話を聞いた。シャトンは、やはりアンソニーには、関心が全くないようだ。

そして、あのサニー嬢については、かなり警戒しているようだった。

話している内容は、楽しい物ではないが、シャトンの、くるくる変わる表情を、見ているのは、楽しかった。

一見して傍から見ると、ニアの方が、しっかりしているように見えるが、逆だと言うことが、最近二人を見ていて気が付いた。シャトンの方が、落ち着きがあり、しっかりしている。

見た目は、可愛く、儚げで、庇護欲を誘うが、御令嬢特有の、すぐ人に甘えて、頼るような事はない。

その、見た目と中身の大きな違いが、尚更、人を引き付けて(モテるのだろう)と言うことにも、最近気が付いた。

シャトンは、アンソニーもそうだが、異性にまだ興味が無いようだ。御令嬢にしては、大変珍しい。それ故なのか、私の事も、特に意識はしていない。

私が、侯爵家の嫡男だとか、宰相の息子で、次期宰相候補だと言う事は、知っている程度だろう。もし、父親の取引先相手の、息子でなければ、近寄らないし、夜会会場の時のように、距離を取られて、避けられていたはずだ。

結果的には、あの隣国行きの、崖崩れのお陰で、シャトンと親しくなれたのだ。私は、すっかりシャトンに夢中だ。

今迄、特別な女性などいなかった。婚姻は、どうせ政略結婚だろうと、諦めていたし、寄って来るのは、ろくな令嬢はいなかったからだ。

茶会や、夜会は適当にやり過ごした。父親も自分が昔、同じ苦労をしたからか、相手によるが、私の希望を聞いてくれると、前から言ってくれていた。

そんな父親も、知られてはいないが、恋愛結婚だ。偶然、仕事で隣国へ行った先の、第三王女だった。だからまだ、急いで婚約者は決める必要はないと言って、ある程度の時間をくれていたのだ。

私は、そんな相手は、見つからないだろうと、思っていた。そんな私が、結婚したい御令嬢がいると、父親に言った。
相手は、シャトレーゼ・ガドット嬢だと言ったら、大変喜んでいた。

特に母親は(あの、可愛いシャトレーゼ壌なの?)と、大はしゃぎだった。
両親は二人共、直接会った事はないが、シャトンの事は、社交界でも有名らしく、賛成だと言ってくれた。

我が家の場合、家格が高位貴族だと、他の貴族からの反発があるが、シャトンの家は、伯爵家で歴史は古く、領地も安定しているし、派閥にも属さない、中立派なので、これ以上ない縁組だと、言ってくれた。

だが、今は王家より、通達が来てるので、表立って、婚約は結べないと言われた。

私は今、シャトンとニアとも、親しくしていると父親に言ったら、驚いていた。
ニアについては、ルドルフが狙っていると伝えたら(ニヤリ)と笑って(二人共、逃がすなよ?王家に奪われる前に、外堀を埋めろ)と言われた。
(私の力が必要な時は、遠慮なく使え)とも言ってくれた。
言質は取った!!

後は、シャトンを手に入れるだけだ。

................

シャトンと料理を、食べ進めていると、急にシャトンが、ポツリと言った。(ニア、大丈夫かしら?)と。

私は、そんなシャトンの、つぶやきを聞き返した。

「シャトン? ニアが大丈夫とは? 何か気になる事が、あるのですか?」

シャトンは(え?)っと言って、驚いた顔をして言った。

「え? 私、声に出してましたか?」

私が(はい。言ってましたよ?)と答えると、苦笑していた。

(ルドルフ様はニアに、好意を持っているのが解るのに、ニアは違うと言って聞かないと。ニアも好意がるのに、素直じゃない)と言う話を聞かせてくれた。
最後に(二人には秘密ですよ)と言った。

私は、その話を聞き終わると、シャトンに言った。

「シャトンは、私が貴女に好意を持っている事は、気付いてくれてますよね?」

シャトンは、驚いた顔をした。
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