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《No22》
しおりを挟む私とニアは、約束の時間より、少し遅れてしまった。馬車が止まり、御者が手を貸して、私達は降りた。ルドルフ様とジェイソンさまが近寄って来る。
先に、ニアが言った。
「ルドルフ様、ジェイソン様、遅れてごめんなさい。教室を出ようとしたら、ロビンス様の、お呼び出しがあったので、遅れてしまったの」
「あぁ…ニア、そうだったんだね。遅れてるようだから、何かあったのではないかと、心配してたんだよ」
私もニアに続けて言った。
「ルドルフ様、ジェイソン様、心配をおかけしましたわ」
ジェイソン様に、手を差し出されて、カフェの横にある脇道へ、促される。
「シャトン、取り敢えずこちらに…。無事で安心しましたよ。さあ、部屋に行って、ゆっくり話を聞きましょう」
ルドルフ様も、ニアをエスコートして、歩き出し、カフェの裏手にある、扉の前で止まり、私とニアに言った。
「実はね、前に使用した部屋は、使われてたんだよ。それで、1階の空いている個室を2個、抑えたんだ。
ニアと、シャトンに、どうせなら、前と違う景色を見せてあげたくてね。部屋が別々になってしまうが、いいだろうか?」
((?!))
私は、ニアがルドルフ様と、お近付きになれる、いい機会だと思い、先に言った。
「あら、個室が空いてたのですね。部屋が別になっても、違う景色を見てみたいですわ。ねぇニア?」
ニアは、躊躇いながら言った。
「そうね。私も見たいわ。私とシャトンが、一緒の部屋なのね」
その言葉に、ジェイソン様が言った。
「ニア、すまないね。私は丁度シャトンの、お父上の商会の事で、シャトンに話があるんだ。
だから、私とシャトンが同じ部屋が、いいんだが…。シャトン、私と一緒の部屋でもいいかな?」
私はジェイソン様に言った。
「私は、構いませんわ。お父様の商会の話があるなら、その方がいいですわね」
ジェイソン様は微笑んで言った。
「では、ニアとルドルフで、もう一部屋だね。では中に入ろうか。もう、何種類かの料理は、頼んであるんだよ。二人共、お腹が空いて、いるんじゃないかと思ってね?」
私達は裏手にある扉から、カフェに入り、隣り合う個室に(また後でね)と言って、別れて入った。
【ルドルフとニアが入った部屋の中】
ルドルフは、ニアをエスコートして、中に入る。ニアは、部屋に入ると、笑顔で声を上げた。
「うわぁぁ~、前の部屋と、景色が全然違うわ。前の部屋より、窓の位置が引くくて、大きいから、外にいるようですね。
ライトの照明が、木の幹に当って綺麗だわ。ルドルフ様、素敵ですね」
ニアは、無邪気に笑い、窓へと近づいた。
私も隣に立ち言う。
「今の夕暮から、夜に変わると、また景色が違うようだよ?ほら?だからソファーがあって、外を見ながら、食事が出来る用になってるんだって、従業員が、教えてくれたよ。さぁ…腰掛けながら、楽しもうか」
そう言って、ニアをエスコートして、ソファーに座らせた。私も隣に座り、先に頼んでいた料理をすすめた。
「ニア、サーモンのマリネと、貝類のワイン蒸しと、冷製パスタは、先に頼んでたんだ。
温かい物は、ニアと一緒に、選ぼうと思ってね。何がいいかな?」
ニアは、楽しそうに、メニュー表を眺めてる。
先程迄の、警戒心は薄れたようだ。
私は、体をニアに寄せて密着させ、一緒にメニュー表を横から覗き見る。
一瞬、ニアが顔上げて、私を見た気配はしたが、気付かない振りをして、メニューを指差す。
「ニア、これなんて、美味しそうだよ?頼もうか…」
顔をニアに戻し、至近距離でニアと目を合わせる。ニアは、頬を染めている。
(あぁ…、可愛い過ぎる)今すぐ唇を奪いたいのを我慢した。私は、惚けてニアに言った。
「ニア?これは、好きじゃないのかな?何がいいか、決まったかな?」
ニアが、動揺しながら、メニュー表を指さして言った。
「あ、あの、料理は、ルドルフ様が、選んで下さい。デザートは、チョコレートケーキと、イチゴミルクのババロアが、食べたいです」
私は、メニュー表を、指さしながら選んで行く。
「じゃあ、これと、これと、これにしようか。口に合わなかったら、残して良いからね?飲み物は、折角だから、軽めのシャンパンにしようか?どう? ニアそれでいいかな?」
ニアは、頬を染めたまま(はい)と小さく返事をして、頷いた。
メニューを決めて注文し、先に頼んでいた物を食べながら、学園での噂話や、アンソニーの話を聞いた。
次々に運ばれる料理を、二人で感想を述べながら、食べ進める。身体を密着させている事にも、ニアは馴れて来たようだ。
時折、フォークをニアの口元に寄せて、食べさせると、真っ赤になりながらも、パクリと食べる。
その姿が可愛くて、何度も口元に運ぶと、ニアは(一人で食べれます)と、怒り出すが、その姿も可愛いので、やめられなかった。
いつの間にか、外はすつかり暗くなり、窓の外の景色も、先程とはまた違った。中々、いい雰囲気だった。
ニアも、デザートを食べ進めている時に、景色が違うく見える事に、気が付き立ち上がり、窓辺に立った。
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