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【No101】
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その日の夜、影からの連絡で、モニカが猫のラナンを懐に隠して、城に戻って来た。
そして、そのままラナンの部屋に向かい、部屋の中に入ると声を掛けた。
「ラナンちゃん、変装を解いても、大丈夫よ?先に湯に入りましょう。それから支度をして、ロザリオ殿下と夕食よ」
そう言われて、ラナンは変装を解き、浴室に行き湯に入っていると、駆け付けたナタリーが、ラナンの入浴を手伝うと言って聞かなかった。
ラナンは、ロザリオとの一夜を知らないナタリーには、肌を見せたくなく、モニカに声を掛けて中に入れなかった。
「ナタリー、入浴の補助はモニカがいるから、二人も要らないわ。後で、髪を整えて頂戴。それまでは、ぬるめの紅茶の準備をお願いね」
そう言って、ラナンは入浴を済ませて、モニカが持っていたドレスに着替えた。
最近のラナンのドレスは、首元まで隠れる物ばかりだったが、その時だけは少し首周りが見える物だった。
ラナンは髪を整える為に、ドレッサーの前に座ると、ナタリーが紅茶の準備を終えて、近づいて来た。
「ナタリー、ありがとう。早速ミルクティーを頂くわ」
そう言って、ラナンがミルクティーを飲んでいると、ナタリーは思い出したように、モニカに声を掛けた。
「大変!!私ったら、新しい香油を忘れて来たようだわ!ラナン様が、好きそうな香りの物だったのに…。モニカさん、代りに取って来て下さいますか?備品管理室にありますから…」
「あら?新しい香油なの?どんな香りかしら?」
「鈴蘭の香りですよ?」
「まぁ…鈴蘭?珍しいわね。モニカお願いしてもいいかしら?」
そうラナンが、言うとモニカは頷き、ナタリーに確認をした。
「畏まりました。ナタリー、その香油は、どんな色の容器に入っているの?」
「水色の硝子の小瓶です。蓋が銀色で、直ぐに解りますよ?モニカさん、済みません。私はラナン様の髪を、整えて待ってますね」
ナタリーはそう言って、ラナンの髪を櫛で梳かし始めた。そしてモニカが、部屋を出るとナタリーは、ラナンの髪を上に持ち上げながら梳いていた。
そしてラナンの首の後を見て、一瞬動きを止めたが、そのまま髪を梳きながら、ラナンに話し掛けてきた。
「ラナン様、今日は今まで、何処にいたんですか?私、また何かあるかと思って、心配だったんですよ?」
「あら、心配掛けてご免なさい…。ナタリーも怖い思いをしたでしょう?でも、無事で良かったわ」
「あっ…ええ…そうなんです。驚いて、直ぐ気絶したので、何も覚えてなくて、済みません」
「いいのよ?そんな事気にしないで…」
「所で、今日はこちらで、休まれるんですよね?それとも…ロザリオ様の元ですか?」
「えっ?リオ様の元かしら?
それともリオ様が、この部屋に来るのかしら?どちらか解らないけど、リオ様がまた襲われてはいけないから、一緒の部屋で寝ると言ってたわ。それなら安心だと、言ってたもの…」
「そ、そうですか…。婚約しているのですから、そうですよね…」
と、小さな声でナタリーは言ったが、ラナンには聞き取れなかった。
「ラナン様、明日のご予定を、聞かせて貰えますか?私もご一緒しますので…」
「あら?大丈夫よ?モニカが付いてるから、ナタリーは、自分の仕事をして頂戴」
「いえ!!お供します。私はモニカさんか、デイジーが内通者ではないかと、疑ってます。ですから、私がラナン様を守らないと!」
「まぁ…そんな事はないわ。それに私の予定は、明日にならないと解らないのよ…。事前に伝えて、秘密が漏れるといけないから、朝食の時に、リオ様が教えてくれるんですって」
そうラナンがナタリーに話していると、モニカが、香油を手にして戻って来た。ラナンは香油を受け取ると、瓶の蓋を開け香りを嗅いで(ナタリーの言った通り、この香りは気に入ったわ)と言って、モニカにも匂いを嗅がせた。
するとモニカは、瓶の蓋を閉めて(この香油は、香りがキツ過ぎて目が冴えて、寝れなくなりますよ?夜より、昼間につけましょう)と言って、別な香油を出し、ナタリーに手渡した。
それを見たラナンは頷き、ナタリーに言った。
「そうね…。今日は早く寝たいから、鈴蘭の香油は明日にするわ」
そう言って、何時もの香油を、髪に馴染ませ整えると、ラナンはロザリオの元へ向かう為に、モニカと部屋を出た。
そしてラナンは歩き出すと、小さな声でモニカに確認をした。
「モニカお姉様、あれは何が、混ざっていたのですか?ただの香油では、ありませんよね?」
「あら?ラナンちゃん、気がついたの?」
「これでも、御父様の仕事を手伝ってたんです。香油も何種類か作っていたので、解りますよ。鈴蘭以外の別な匂いがしましたもの」
「流石リンブル領育ちよね。あれは、媚薬の一種を混ぜてたわ。即効性はないけど、匂いを嗅いでいるうちに、段々とその気にさせるものよ?」
「ええっ?!また媚薬…。だから、何処で寝るのか、聞いて来たのかしら…?まさか、リオ様が命じたの…?」
そう言って、ラナンが困惑してると、モニカはクスクス笑って言った。
「ふふっ…ラナンちゃん違うわよ。ロザリオ殿下は、そんな回りくどい方法は、しないわよ。ラナンちゃんに媚薬を飲ませるなら、魔法院特製の、チョコタイプの物を食べさせるわよ。避妊薬入りがホワイトチョコよ?普通のチョコは、媚薬効果が高くて、初夜の時によく使われる物なの。痛みも和らげるし、子宮の収縮を助けるのよ♪」
「そ、そんな物まで、魔法院は作ってるんですね。知りませんでした…」
「でも、これで内通者が解って良かったわ♪後が楽しみね~♪」
そう言って、モニカはニヤニヤしながら、誰もいない外に手を振っていた。
そして、そのままラナンの部屋に向かい、部屋の中に入ると声を掛けた。
「ラナンちゃん、変装を解いても、大丈夫よ?先に湯に入りましょう。それから支度をして、ロザリオ殿下と夕食よ」
そう言われて、ラナンは変装を解き、浴室に行き湯に入っていると、駆け付けたナタリーが、ラナンの入浴を手伝うと言って聞かなかった。
ラナンは、ロザリオとの一夜を知らないナタリーには、肌を見せたくなく、モニカに声を掛けて中に入れなかった。
「ナタリー、入浴の補助はモニカがいるから、二人も要らないわ。後で、髪を整えて頂戴。それまでは、ぬるめの紅茶の準備をお願いね」
そう言って、ラナンは入浴を済ませて、モニカが持っていたドレスに着替えた。
最近のラナンのドレスは、首元まで隠れる物ばかりだったが、その時だけは少し首周りが見える物だった。
ラナンは髪を整える為に、ドレッサーの前に座ると、ナタリーが紅茶の準備を終えて、近づいて来た。
「ナタリー、ありがとう。早速ミルクティーを頂くわ」
そう言って、ラナンがミルクティーを飲んでいると、ナタリーは思い出したように、モニカに声を掛けた。
「大変!!私ったら、新しい香油を忘れて来たようだわ!ラナン様が、好きそうな香りの物だったのに…。モニカさん、代りに取って来て下さいますか?備品管理室にありますから…」
「あら?新しい香油なの?どんな香りかしら?」
「鈴蘭の香りですよ?」
「まぁ…鈴蘭?珍しいわね。モニカお願いしてもいいかしら?」
そうラナンが、言うとモニカは頷き、ナタリーに確認をした。
「畏まりました。ナタリー、その香油は、どんな色の容器に入っているの?」
「水色の硝子の小瓶です。蓋が銀色で、直ぐに解りますよ?モニカさん、済みません。私はラナン様の髪を、整えて待ってますね」
ナタリーはそう言って、ラナンの髪を櫛で梳かし始めた。そしてモニカが、部屋を出るとナタリーは、ラナンの髪を上に持ち上げながら梳いていた。
そしてラナンの首の後を見て、一瞬動きを止めたが、そのまま髪を梳きながら、ラナンに話し掛けてきた。
「ラナン様、今日は今まで、何処にいたんですか?私、また何かあるかと思って、心配だったんですよ?」
「あら、心配掛けてご免なさい…。ナタリーも怖い思いをしたでしょう?でも、無事で良かったわ」
「あっ…ええ…そうなんです。驚いて、直ぐ気絶したので、何も覚えてなくて、済みません」
「いいのよ?そんな事気にしないで…」
「所で、今日はこちらで、休まれるんですよね?それとも…ロザリオ様の元ですか?」
「えっ?リオ様の元かしら?
それともリオ様が、この部屋に来るのかしら?どちらか解らないけど、リオ様がまた襲われてはいけないから、一緒の部屋で寝ると言ってたわ。それなら安心だと、言ってたもの…」
「そ、そうですか…。婚約しているのですから、そうですよね…」
と、小さな声でナタリーは言ったが、ラナンには聞き取れなかった。
「ラナン様、明日のご予定を、聞かせて貰えますか?私もご一緒しますので…」
「あら?大丈夫よ?モニカが付いてるから、ナタリーは、自分の仕事をして頂戴」
「いえ!!お供します。私はモニカさんか、デイジーが内通者ではないかと、疑ってます。ですから、私がラナン様を守らないと!」
「まぁ…そんな事はないわ。それに私の予定は、明日にならないと解らないのよ…。事前に伝えて、秘密が漏れるといけないから、朝食の時に、リオ様が教えてくれるんですって」
そうラナンがナタリーに話していると、モニカが、香油を手にして戻って来た。ラナンは香油を受け取ると、瓶の蓋を開け香りを嗅いで(ナタリーの言った通り、この香りは気に入ったわ)と言って、モニカにも匂いを嗅がせた。
するとモニカは、瓶の蓋を閉めて(この香油は、香りがキツ過ぎて目が冴えて、寝れなくなりますよ?夜より、昼間につけましょう)と言って、別な香油を出し、ナタリーに手渡した。
それを見たラナンは頷き、ナタリーに言った。
「そうね…。今日は早く寝たいから、鈴蘭の香油は明日にするわ」
そう言って、何時もの香油を、髪に馴染ませ整えると、ラナンはロザリオの元へ向かう為に、モニカと部屋を出た。
そしてラナンは歩き出すと、小さな声でモニカに確認をした。
「モニカお姉様、あれは何が、混ざっていたのですか?ただの香油では、ありませんよね?」
「あら?ラナンちゃん、気がついたの?」
「これでも、御父様の仕事を手伝ってたんです。香油も何種類か作っていたので、解りますよ。鈴蘭以外の別な匂いがしましたもの」
「流石リンブル領育ちよね。あれは、媚薬の一種を混ぜてたわ。即効性はないけど、匂いを嗅いでいるうちに、段々とその気にさせるものよ?」
「ええっ?!また媚薬…。だから、何処で寝るのか、聞いて来たのかしら…?まさか、リオ様が命じたの…?」
そう言って、ラナンが困惑してると、モニカはクスクス笑って言った。
「ふふっ…ラナンちゃん違うわよ。ロザリオ殿下は、そんな回りくどい方法は、しないわよ。ラナンちゃんに媚薬を飲ませるなら、魔法院特製の、チョコタイプの物を食べさせるわよ。避妊薬入りがホワイトチョコよ?普通のチョコは、媚薬効果が高くて、初夜の時によく使われる物なの。痛みも和らげるし、子宮の収縮を助けるのよ♪」
「そ、そんな物まで、魔法院は作ってるんですね。知りませんでした…」
「でも、これで内通者が解って良かったわ♪後が楽しみね~♪」
そう言って、モニカはニヤニヤしながら、誰もいない外に手を振っていた。
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