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【No21】
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「あぁ…ロザリオ殿下、長々と余計な話をして、申し訳ありませんな…。モーガンは今日、こちらに戻りませんので、急ぎの要件でなければ、明日王宮に向かわせますが…」
「嫌、構わない…。バロンの様子を見るついでに、明日学園に顔を出すよ。
あぁ…心配しなくても、ちゃんと変装して、授業中に行くから、騒ぎにはならないよ」
私は、そう言って部長室を後にした。一階の受付の側には、待ちくたびれたトランスが、職員と一緒に菓子を食べていた。
「トランス、帰るぞ」
トランスは受付の職員に、お礼を言って私に近づいて来て言った。
「いやぁ~美味しい菓子でしたよ。何でも時々来る、可愛い子の為に用意してる物を、ご馳走になってたんですよ!羨ましいですね。何時もあんなに美味しい菓子を、食べれるなんて」
私はトランスの発言を聞いて、呆れて言った。
「お前は相変わらず、甘い物が好きだな?」
「好きですよ?菓子は、美味しいじゃないですか!それよりロザリオ殿下、これから学園に行くんですか?もう遅い時間ですよ?」
「嫌、今日はもう帰る…。部長から、今日学園で起きた騒動の話が聞けたからな…。明日、学園に様子を見に行く事にした」
そうトランスに告げて、私は城へ戻った。
(明日になれば、彼女の事がわかるな…)
暫く女性職員に、肉球をぷにぷにされて、フレディ叔父様を待っていると、眉間にシワを寄せて、フレディ叔父様は戻って来た。
フレディ叔父様は女性職員から、私を受け取り頭を撫でながら言った。
「ラナン、お待たせ。先程の逃げて来た件だけどね、まぁ…あれだ、取り敢えず仕返しはないだろうから、心配しなくていいよ…」
「本当ニャン?」
「あれはバロン殿下が、追いかけて来た訳じゃなく、第一王子様のロザリオ殿下だったよ。陛下もそうだけど、王族は皆髪の色がルビー色だからね。ラナンは追いかけて来た、相手の顔は見てないだろう?たまたま、モーガンを追って来たんだよ…」
私は不思議に思って、フレディ叔父様に聞いた。
「モーガン先生ニャン?先生が帰った後ニャン」
私がそう説明すると、フレディ叔父様は、また眉間にシワを寄せて言った。
「そうなんだよね…まぁ…ロザリオ殿下が、ちょっと勘違いしてるのかな…はは…。ラナンその事は、もう忘れていいからね。うん。忘れるのが一番だよ」
「??」
「さぁ…そろそろ、少しだけ顔を出して帰ろうか。これ以上遅くなると、夕食の時間が遅くなるからね」
「顔を出すニャン?」
その後私は、フレディ叔父様と部長様の所へ行き、また菓子をご馳走になりました。
怖い思いをさせたお詫びだと言って、手土産まで頂いてしまいました。
フレディ叔父様は、菓子より特別手当を上乗せしろと、部長様に迫ってましたが、勿論私もその意見には賛成です。心の中で(フレディ叔父様頑張れ!)とつい応援してしまいました。
それから、フレディ叔父様に寮まで送って貰い、長い一日が終わりました。私は菓子を食べ過ぎて、お腹が一杯だったので、夕食も食べずに、湯に入り独り言を呟いていました。
「今日は本当に疲れたわ…色んな事があり過ぎるわよ…もう…明日から大丈夫かしら?こんな毎日で、一年間続けられるか不安だわ。
あっ!いけない…部長様に大切な事を、聞くのを忘れてたわ。この部屋のこと…。私がこのまま、この部屋を使ってていいのかしら?後で高額請求が来たら困るから、早めに確認しなくちゃいけないのに!それにしても……眠いわ…久しぶりに変装時間が、長かったからね…早くあがって寝なくちゃ…」
私は、ふらふらになりながら、髪を乾かさずに、ベッドにたどり着いて寝てしまった。
翌朝目が覚めて、鏡を見て私は絶句した。
どうしましょう…髪が大変な事になってるわ!時間もないし…私は仕方がないので、癖がついて、変なうねりがついた髪を、頭の上から編み込んで一本に纏めた。サイドだけそのままたらして誤魔化した。
(あぁ…これが家なら侍女のパティがリボンも交えて、可愛くアレンジしてくれるのにな…。私一人じゃそんな事出来無いもの…)
私はそう思いながら、食堂に向いトレイを受け取って、食べ始めました。すると、後ろから来たお姉様が、私の髪を触り言いました。
「あら?編み込みの軸がずれてるわよ?」
私は振り向いて、恥ずかしかったけれど、その方に話しました。
「あの…寝癖が酷くて、自分で纏めたんです…やっぱり変ですよね…」
するとお姉様は、微笑んで言いました。
「ふふっ…。それは大変だったわね?髪を乾かさないで寝たのかしら?だったら、私に任せて。これでも城で侍女をしてるのよ?直してあげるわね。部屋には櫛とリボンと、髪飾りがあるかしら?今、持って来て貰える?」
「えっ?お姉様、直してくれるんですか?お願いしても宜しいのですか?」
私は頷くお姉様を見て、トレイをそのままにして、部屋に戻って櫛と何種類かのリボンと飾りと、部長から貰った菓子を持って食堂へ向った。
お姉様は、食堂の隅に私を連れて行き、髪を解いて櫛を入れて、髪を編み込んでくれました。
「綺麗な色の髪ね…纏めてしまうのは、勿体無いけど、今日は時間がないから、仕方がないわね。ふふっ…。
今度からは、ちゃんと乾かしてから、寝なきゃ駄目よ?髪が痛むからね。はい、可愛くなったわ」
私はお姉様にお礼を言って、貰い物ですけど…と言って菓子を受け取って貰った。お姉様は喜んでくれて、私も嬉しくなった。
それから、お姉様と一緒に食事を食べて、部屋に戻った。鏡を見ると後ろ姿はリボンと一緒に編み込んで、とても可愛かった。
「お姉様には、感謝するわ。とっても可愛い髪型ね♪流石お城の侍女さんよね」
私は残りの菓子を、入れ物に詰めて学園に向った。
「嫌、構わない…。バロンの様子を見るついでに、明日学園に顔を出すよ。
あぁ…心配しなくても、ちゃんと変装して、授業中に行くから、騒ぎにはならないよ」
私は、そう言って部長室を後にした。一階の受付の側には、待ちくたびれたトランスが、職員と一緒に菓子を食べていた。
「トランス、帰るぞ」
トランスは受付の職員に、お礼を言って私に近づいて来て言った。
「いやぁ~美味しい菓子でしたよ。何でも時々来る、可愛い子の為に用意してる物を、ご馳走になってたんですよ!羨ましいですね。何時もあんなに美味しい菓子を、食べれるなんて」
私はトランスの発言を聞いて、呆れて言った。
「お前は相変わらず、甘い物が好きだな?」
「好きですよ?菓子は、美味しいじゃないですか!それよりロザリオ殿下、これから学園に行くんですか?もう遅い時間ですよ?」
「嫌、今日はもう帰る…。部長から、今日学園で起きた騒動の話が聞けたからな…。明日、学園に様子を見に行く事にした」
そうトランスに告げて、私は城へ戻った。
(明日になれば、彼女の事がわかるな…)
暫く女性職員に、肉球をぷにぷにされて、フレディ叔父様を待っていると、眉間にシワを寄せて、フレディ叔父様は戻って来た。
フレディ叔父様は女性職員から、私を受け取り頭を撫でながら言った。
「ラナン、お待たせ。先程の逃げて来た件だけどね、まぁ…あれだ、取り敢えず仕返しはないだろうから、心配しなくていいよ…」
「本当ニャン?」
「あれはバロン殿下が、追いかけて来た訳じゃなく、第一王子様のロザリオ殿下だったよ。陛下もそうだけど、王族は皆髪の色がルビー色だからね。ラナンは追いかけて来た、相手の顔は見てないだろう?たまたま、モーガンを追って来たんだよ…」
私は不思議に思って、フレディ叔父様に聞いた。
「モーガン先生ニャン?先生が帰った後ニャン」
私がそう説明すると、フレディ叔父様は、また眉間にシワを寄せて言った。
「そうなんだよね…まぁ…ロザリオ殿下が、ちょっと勘違いしてるのかな…はは…。ラナンその事は、もう忘れていいからね。うん。忘れるのが一番だよ」
「??」
「さぁ…そろそろ、少しだけ顔を出して帰ろうか。これ以上遅くなると、夕食の時間が遅くなるからね」
「顔を出すニャン?」
その後私は、フレディ叔父様と部長様の所へ行き、また菓子をご馳走になりました。
怖い思いをさせたお詫びだと言って、手土産まで頂いてしまいました。
フレディ叔父様は、菓子より特別手当を上乗せしろと、部長様に迫ってましたが、勿論私もその意見には賛成です。心の中で(フレディ叔父様頑張れ!)とつい応援してしまいました。
それから、フレディ叔父様に寮まで送って貰い、長い一日が終わりました。私は菓子を食べ過ぎて、お腹が一杯だったので、夕食も食べずに、湯に入り独り言を呟いていました。
「今日は本当に疲れたわ…色んな事があり過ぎるわよ…もう…明日から大丈夫かしら?こんな毎日で、一年間続けられるか不安だわ。
あっ!いけない…部長様に大切な事を、聞くのを忘れてたわ。この部屋のこと…。私がこのまま、この部屋を使ってていいのかしら?後で高額請求が来たら困るから、早めに確認しなくちゃいけないのに!それにしても……眠いわ…久しぶりに変装時間が、長かったからね…早くあがって寝なくちゃ…」
私は、ふらふらになりながら、髪を乾かさずに、ベッドにたどり着いて寝てしまった。
翌朝目が覚めて、鏡を見て私は絶句した。
どうしましょう…髪が大変な事になってるわ!時間もないし…私は仕方がないので、癖がついて、変なうねりがついた髪を、頭の上から編み込んで一本に纏めた。サイドだけそのままたらして誤魔化した。
(あぁ…これが家なら侍女のパティがリボンも交えて、可愛くアレンジしてくれるのにな…。私一人じゃそんな事出来無いもの…)
私はそう思いながら、食堂に向いトレイを受け取って、食べ始めました。すると、後ろから来たお姉様が、私の髪を触り言いました。
「あら?編み込みの軸がずれてるわよ?」
私は振り向いて、恥ずかしかったけれど、その方に話しました。
「あの…寝癖が酷くて、自分で纏めたんです…やっぱり変ですよね…」
するとお姉様は、微笑んで言いました。
「ふふっ…。それは大変だったわね?髪を乾かさないで寝たのかしら?だったら、私に任せて。これでも城で侍女をしてるのよ?直してあげるわね。部屋には櫛とリボンと、髪飾りがあるかしら?今、持って来て貰える?」
「えっ?お姉様、直してくれるんですか?お願いしても宜しいのですか?」
私は頷くお姉様を見て、トレイをそのままにして、部屋に戻って櫛と何種類かのリボンと飾りと、部長から貰った菓子を持って食堂へ向った。
お姉様は、食堂の隅に私を連れて行き、髪を解いて櫛を入れて、髪を編み込んでくれました。
「綺麗な色の髪ね…纏めてしまうのは、勿体無いけど、今日は時間がないから、仕方がないわね。ふふっ…。
今度からは、ちゃんと乾かしてから、寝なきゃ駄目よ?髪が痛むからね。はい、可愛くなったわ」
私はお姉様にお礼を言って、貰い物ですけど…と言って菓子を受け取って貰った。お姉様は喜んでくれて、私も嬉しくなった。
それから、お姉様と一緒に食事を食べて、部屋に戻った。鏡を見ると後ろ姿はリボンと一緒に編み込んで、とても可愛かった。
「お姉様には、感謝するわ。とっても可愛い髪型ね♪流石お城の侍女さんよね」
私は残りの菓子を、入れ物に詰めて学園に向った。
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