感情汚染

川嶋

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恋愛感情病原体の発見

夢現

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ここはどこだろう。

砂場で男の子と遊んでいる。私も男の子も見た目は、同じぐらいの歳。きっと幼稚園から小学校4年生ぐらい。ずっと話しながら、山を作っている。

どこかで見たことがある顔。

そんな気がするけど、何故か思い出せない。小さい自分よ、その子の名前を教えて。なんて思いながら、山の下に穴を開けていっている。

5時の鐘が鳴った。

すぐさま、立ち上がる。おしりに着いた砂を払って。
不意に公園の外を見た。

道路に黒猫がいる。

道の真ん中で寝ている猫。車が来ようとしている。

「轢かれる!」

そう叫んだ私は一目散に黒猫へ走っていった。男の子は私に何かを叫んでいる。でも何を言っているのか分からない。

駆け寄る私の目の前に黒猫。近くで見るとまだ子猫だった。抱き寄せて、持ち上げて、反対の歩道へ走る。

その瞬間。

大きな音と共に、空が見えた。

黒猫を咄嗟に私の体で守り、身体が宙に浮く。
自由落下の後、ドン、パキン、、、何か不思議な音が聞こえる。目の前は真っ白だった。

にゃー。

鳴き声が聞こえた。良かった。生きてる。
少しの安堵と、不思議な体験。

何かが私を抱きしめている。きっとあの男の子だろう。なにか叫んでいる。聞き取れない。私は生きてるよって言いたいけど、体も声も動かない。

男の子の声がだんだん大きくなる。

「なあ、、、!死なないで、、、!」
「ずっと一緒って言ったじゃん!さっき!」

「ねぇ!返事をしてよ。かおり!」

あ、この声聞いたことある。
けど、誰だったっけ。
頭の中がふわふわしていく。ゆっくり目の前が黒くなる。


「起きて。みーちゃん。」

「ふぇ?!?!」

「あ。やっと起きた。おはよ。」

「あれ?!なんで河西先輩いるんですか?!?!へ??あ、私寝てたの?!?!」

「うなされてたけど、なんか変な夢でも見てたの?」

「少し不思議な夢見ました。ちょっと怖いような痛いような。」

「そうかあ。」

河西先輩がそっと私の頭を撫でる。なんか懐かしいような気がする。なんで懐かしいんだろう。
というより、私の好きな人に頭を撫でられている。この状況が、謎すぎる!え、どうして、私の部屋にいるの?!?!

「着替えるよね。出てるから。早くしないとバス間に合わないよ。」

「え、、、、ほんとだ!もうこんな時間!?」

「まだ間に合うから大丈夫。忘れ物とかないようにね。」

河西先輩が部屋の外に行く。布団からミサイル発射されたぐらいの勢いで地面に立つ。何ふり構わず、制服を着て、昨日準備したもの全部持って、部屋を出る。顔を洗って髪をとかして、ものの五分で支度が終わった。

「重たいでしょ?スーツケース持つよ。」

階段の前に河西先輩が待ってた。私の家は、2階が私の部屋と、何故か分からないけど河西先輩の部屋。下がリビングやキッチンや母親の部屋。父はいない。なんで河西先輩の部屋があるのか、全然分からないが、たまに使っている。ほんとにたまに。

私が返事する前に、河西先輩が私のキャリーバッグを持って階段をおりていく。
あんなに沢山入って重たいはずのものを片手で持ち上げて降りていく。

「落ちないでくださいね。」

「みーちゃんほどアホじゃないから平気だよ。」

アホ、先輩にアホ、と、言われた。なんか、なんだか嬉しい。

「やっと起きたのー?ほんと、幸樹くんごめんねぇ。」

「大丈夫です!可愛い寝顔も見れたので、大満足。」

「それなら、良かったけど。」

母親がリビングのソファーに座って、ココアを飲んでいる。

「ありがとうって言ったの?起こしてもらって。」

「あ、有難うございます!じゃなくて!なんで部屋に河西先輩いたの?!」

「幸樹くん呼びじゃないんだ。だってあんた、約束してたんでしょ?その時間に起きないからよ。」

「起きてようと思って、いつの間にか、寝ちゃってたんです。ごめんなさい。」

「あんたには無理よ。起きてようって考えない方がいい。だって眠り姫じゃない。」

「はい、、、。」

「朝ごはん、お弁当箱に入れて置いたから、電車待ってる時とかに食べな。幸樹くんの分もあるから、持ってって。」

「ありがとうございます!」

「幸樹くん、いいのよお。お土産もらったし!使い捨ての容器だから、どっかで捨てておいで。」

なんのお土産貰ったんだろう。化粧品な気がするけれど。お弁当を受け取って、バッグに入れる。すこしだけお茶を飲んで、玄関へ向かった。

「気をつけてね。」

「うん!ママ、いってきまーす!」

「幸樹くんも気をつけてね。」

「ありがとうございます。行ってきます。」

「よしいい子達だ。行ってらっしゃい!」

河西先輩が迎えに来てくれて、私のミサイル式朝支度の結果、予定よりすごく早く出発することが出来た。
ガラガラ、、、っとキャリーバッグの音とともに、駅へ向かう。
今日はとてつもなく綺麗な青空。寒くもなく暑くもない気温。近くの小学校で鶏が鳴いている。
もう、紛れもなく朝って感じが全身で分かる。

「なあ、みーちゃん。」

「はい?なんでしょう?」

「お母さんも言ってたけど、『幸樹』って呼ばないの?」

「え、だって、先輩にそんな。申し訳ないというか!」

「昔からの知り合い、、、だから。いいよ。幸樹で。」

「わかりました!幸樹先輩!」

「先輩要らないし、あと、タメ口でいいよ。そっちの方が話しやすいし。」

「え?!わ、わかり、、わかった!善処するね!」

「慣れなさそう。」

私を見て笑う幸樹。そういえば、昔から私の近くにいるけれど、いつから一緒にいるようになったのだろう。

「、、ゆう、き。ねえ。私といつ出会ったの?」

「ん?みーちゃんと?
、、、いつだっけなあ。覚えてないや!」

答えながら、何か不思議な笑顔で空を見上げている。
まあ、こんなこと今考えなくてもいいか。なんて、思いながら。

「、、、あ!みーちゃん。部活とか皆の前では河西先輩で!」

「はーい!」

今日から始まる合宿。
どんなことが起きるのか少しだけ、楽しみ。
あと、幸樹と、どんな話ができるのか、楽しみ。

風が少しばかり私の背中を押してくれていた。
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