グランの嘆き

kalm

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試験前夜

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「学園……ね」
グランは自室のベットに寝ころびながら師匠から受け取った手紙を読んでいた。
内容は簡単で、王都にある学園に入学できる、入学試験は無いがクラス分け試験がある、試験日は今日から一週間後。
この三点だ。
「制服もご丁寧にぴったりだし……」
大きな箱には制服が上下二セット分が用意されていた。
この準備の良さを見るに師匠は…………
「逃げるなって?」
本当に師匠には感謝しかない、尊敬もしてる、憧れてもいる、でも
「気が乗らねぇー」
もういいや、今日は寝よう、明日になったら世界が消えてなくなってるかもしれないし………ならご飯ぐらい最後に行っとくか?
いや、どうせ明日は来る、明日考えよ。



なんて事を考えていたら試験日前日になった。
「ねぇグラン、あなたって私の弟子でしょ? もう既にプロとして活動してるあなたが学校卒業しただけのアマチュアに負けるなんて事があったら、私はとてもとても恥ずかしいわ」
「師匠ってそんな他人からの視線を感じ取れるほど繊細な感性してましたっけ?」
「目立たず学園生活を乗り切ろうとか思ってそうだから……ついおせっかいを」
「アハハ………まさか」
「ならいいのよ、まぁ試験の結果がどうであっても? 私の弟子が優秀であることは今更疑いようがないけど、私の期待を積極的に裏切ろうなんて事はしないでほしいわね」
「勿論ですよ」



「勿論、もちろん……ねぇ」
あー怠い、だって試験でいい成績納めたらいいクラスになるんだよ?
もう周り絶対貴族だらけじゃん、あいつら継承魔法使えるんだもん。
俺嫌いなんだよ貴族って、礼儀作法? なにそれ。
にしてもこの肉うめぇな、さすが王都。
師匠もさ、あんなことわざわざあんな事釘刺さなくたって……多分まじめにやったよ。
ホント、ウソツカナイ。
せっかく朝食が台無しだったよ、昼は丸々馬車でまともなご飯は食べれなかったし。
明日は頑張んないといけないし、もうちょっと何か食べようかな?
昼あんま食べてない分も取り返さなきゃ!
「すいませーん、このハンバーグも追加でお願いしまーす!」
てか明日の試験って何するんだろ、モンスターを倒すことは出来ても俺勉強はそんな出来んよ? まぁ師匠もペーパーテストで俺が優秀な成績納められる訳ないってことぐらいはわかるかw
「はい、注文のハンバーグ」
「ありがとうございます!」
いや上手すぎ、帰りも寄ろう、そうしよう。
「おい、お前って明日入学の学園生だろ? ダンジョンなんていけんのか?」
え? 
いや、俺のことじゃないか。あれは……酔っ払いと、イケメン?
「ほう、俺が学園生だと見抜くなんてやるでは無いか、見所があるぞおっさん?」
「あ? 俺はまだ32だ、俺もなぁ昔は冒険者目指してたんだ、俺が若かったころわなぁ…………」
「年より臭いぞ、それに忠告などいらん。俺は最強だ」
「最強? お前がぁ?」
「そう、俺の真なる才能が開花するとき、俺の魔眼『ヴラッティーナイトメア』と封印されし右腕『ホーリブラックナイト』が使えるようになるのだからな!」
「マジか! そりゃあ最強だ! アハハハハハ」
何だ、ただの変人二人組か。
あんなイケメンなのに中身アレとか……神様ってのはいるもんだな。
でもめんどくさそう出しあいつとは関わらない方針で行こうか……。
「料理おいしかったです! 会計お願いしまーす」
さっさと帰って寝るか。
「見てろよおっさん、明日のモンスター討伐は俺が最速タイムを出してやる!」
「だから32だって言ってんだろ!」
あ、試験ってモンスター討伐なんだ、いいこと聞いたわ。
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