17 / 26
税制改革は波乱だらけ
そうだ、中継地になろう
しおりを挟む
今、この世界では、西大陸の国々が貿易でボロ儲けをしている。彼らは、新たに発見した新大陸に、軍を派遣し制圧し、植民地とする事で多大な財を獲ているのだ。新大陸から入ってくる金銀財宝に香辛料、新大陸へ送る日用品などの貿易は何をやっても儲ける、という状況で、商業の中心は西大陸へと確実に移行している。
そんな中で、港を持っていないレシツィア王国は、この流れに完全に乗り遅れていた。というか、大陸中東部各国は、西部の商業化と共に不足した食糧を輸出する農業国になっていた。これでさは、他国と差を着ける事は至難の技だ。それこそ、村に行ったら村にじゃがいもがあった!?だとかトマトがあった!?ぐらいの奇跡が起こるしかない。だが、生憎この世界の神はクソロリの如く信用出来ない。そんな奇跡など起こしやしないだろう。
だからといって、植民地を獲得する力も余裕も今のレシツィアには存在しない。
そこで考えたのが、西から東への通商、その中継地としてお零れを貰おう、という事だ。
幸いレシツィア王国には、大陸の背骨、アベリア山脈を挟み東西を結ぶ二つの大陸主要道、北大街道、南大街道の内の北大街道が通っているのだ。
だがこの道も、主要道だからといって安全な訳では無い。常に盗賊や野生動物に襲われる危険もあるし、関所で足止めを食らうこともある。
その為現状、東西の通商は、様々なルートに分裂してしまっている。これをレシツィア王国内を通るルート、つまり北大街道に集約したいのだ。
そこで早速、昨日使者として来て、そのまま泊まっているタシューベルトを爺に呼ばせた。
二回目の外交の始まりである。
「どうしたんですか一体、急に私を呼びつけて。昨日の会談の内容になんか不満でも?」
突然呼ばれた事を、タシューベルトは訝しげに思っているようで、不信感を滲ませた声で俺に疑問を投げかけた。
「いやいや、昨日の内容に不満なんかありませんよ」
誤解されては困るので、慌てて否定する。
「では一体何があって私を呼びつけたんですか?」
そう言うタシューベルトに、東西通商の現状について話した。
そうすると、流石昨日俺を完璧に丸め込んだだけあるのか、瞬時に俺の言いたい事を理解したようだ。
「成程、それで我々の協力関係の中に、通商の保護を入れる、という事ですか?」
「ああ、その通りだ。通商の商人が増えれば途中で鐘を落とすし、人も集まる。そうすれば税収も増えるし、決してどの国にとっても悪い話しじゃ無いんじゃないか?」
そう言うとタシューベルトは、口角を上げ、ニヤッと一瞬だけ笑った。その笑みを見て、俺は若干緊張する。首筋に一滴の汗が滴った。
「いいでしょう、詳細はまた国に帰ってから此方が煮詰めましょう。」
そうタシューベルトは了承した。
その後最終的にまとまった内容は、思惑通り、とまではいかないが、十分納得出来るないようだ。
アルシャープス通商条約と名付けられたこの条約では、当初伝えられていた国々に、イレジア伯国を加えた国々の間で結ばれた物となり、内容は相互国間を通る通商人の手厚い保護に、関税の優遇、百年間の相互不可侵を定めた物となった。
今まで周辺国との結ばれた条約が無かったレシツィアにとっては大きな進歩になった。
後、中継地としてより発展する為、北大街道の整備と宿場町の建設を行った。費用は浮いた分の軍費だけでは賄えず、アイヒシア商会に「投資」してもらった。
また金がねぇ、と部屋で悶絶してたら救世主の様にルーグスが現れたのである。マジでルーグス様様だ。
良い弟を持ったもんだ。これで十年もしたら、レシツィアは通商中継地として栄え、そうすれば税収がガッポリ貰えるのだ。
ちょっとだけ、国の滅亡からは遠ざかったのかもしれない。
そんな中で、港を持っていないレシツィア王国は、この流れに完全に乗り遅れていた。というか、大陸中東部各国は、西部の商業化と共に不足した食糧を輸出する農業国になっていた。これでさは、他国と差を着ける事は至難の技だ。それこそ、村に行ったら村にじゃがいもがあった!?だとかトマトがあった!?ぐらいの奇跡が起こるしかない。だが、生憎この世界の神はクソロリの如く信用出来ない。そんな奇跡など起こしやしないだろう。
だからといって、植民地を獲得する力も余裕も今のレシツィアには存在しない。
そこで考えたのが、西から東への通商、その中継地としてお零れを貰おう、という事だ。
幸いレシツィア王国には、大陸の背骨、アベリア山脈を挟み東西を結ぶ二つの大陸主要道、北大街道、南大街道の内の北大街道が通っているのだ。
だがこの道も、主要道だからといって安全な訳では無い。常に盗賊や野生動物に襲われる危険もあるし、関所で足止めを食らうこともある。
その為現状、東西の通商は、様々なルートに分裂してしまっている。これをレシツィア王国内を通るルート、つまり北大街道に集約したいのだ。
そこで早速、昨日使者として来て、そのまま泊まっているタシューベルトを爺に呼ばせた。
二回目の外交の始まりである。
「どうしたんですか一体、急に私を呼びつけて。昨日の会談の内容になんか不満でも?」
突然呼ばれた事を、タシューベルトは訝しげに思っているようで、不信感を滲ませた声で俺に疑問を投げかけた。
「いやいや、昨日の内容に不満なんかありませんよ」
誤解されては困るので、慌てて否定する。
「では一体何があって私を呼びつけたんですか?」
そう言うタシューベルトに、東西通商の現状について話した。
そうすると、流石昨日俺を完璧に丸め込んだだけあるのか、瞬時に俺の言いたい事を理解したようだ。
「成程、それで我々の協力関係の中に、通商の保護を入れる、という事ですか?」
「ああ、その通りだ。通商の商人が増えれば途中で鐘を落とすし、人も集まる。そうすれば税収も増えるし、決してどの国にとっても悪い話しじゃ無いんじゃないか?」
そう言うとタシューベルトは、口角を上げ、ニヤッと一瞬だけ笑った。その笑みを見て、俺は若干緊張する。首筋に一滴の汗が滴った。
「いいでしょう、詳細はまた国に帰ってから此方が煮詰めましょう。」
そうタシューベルトは了承した。
その後最終的にまとまった内容は、思惑通り、とまではいかないが、十分納得出来るないようだ。
アルシャープス通商条約と名付けられたこの条約では、当初伝えられていた国々に、イレジア伯国を加えた国々の間で結ばれた物となり、内容は相互国間を通る通商人の手厚い保護に、関税の優遇、百年間の相互不可侵を定めた物となった。
今まで周辺国との結ばれた条約が無かったレシツィアにとっては大きな進歩になった。
後、中継地としてより発展する為、北大街道の整備と宿場町の建設を行った。費用は浮いた分の軍費だけでは賄えず、アイヒシア商会に「投資」してもらった。
また金がねぇ、と部屋で悶絶してたら救世主の様にルーグスが現れたのである。マジでルーグス様様だ。
良い弟を持ったもんだ。これで十年もしたら、レシツィアは通商中継地として栄え、そうすれば税収がガッポリ貰えるのだ。
ちょっとだけ、国の滅亡からは遠ざかったのかもしれない。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
破滅する悪役五人兄弟の末っ子に転生した俺、無能と見下されるがゲームの知識で最強となり、悪役一家と幸せエンディングを目指します。
大田明
ファンタジー
『サークラルファンタズム』というゲームの、ダンカン・エルグレイヴというキャラクターに転生した主人公。
ダンカンは悪役で性格が悪く、さらに無能という人気が無いキャラクター。
主人公はそんなダンカンに転生するも、家族愛に溢れる兄弟たちのことが大好きであった。
マグヌス、アングス、ニール、イナ。破滅する運命にある兄弟たち。
しかし主人公はゲームの知識があるため、そんな彼らを救うことができると確信していた。
主人公は兄弟たちにゲーム中に辿り着けなかった最高の幸せを与えるため、奮闘することを決意する。
これは無能と呼ばれた悪役が最強となり、兄弟を幸せに導く物語だ。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる