1 / 7
創られた思いと想い
しおりを挟む
暗い暗い部屋の中、一人の髭を生やした初老の男性が人形のようなものを作っていた。
「どうかよろしく頼む、???。この世界に危機が起きたとき、お前を含む姉妹たちが協力して救ってくれることを願う」
初老の男性は人形に対して願いを込める。
「お前たちのマスターに相応しきものと共に、ゲッホ、ゲッホゲッホ!」
苦しそうに咳き込む初老の男性。
「どうやら、ワシの寿命も、もう少しで尽きそうだな」
初老の男性は人形を作る手をいったん止め、上を見つめる。
そこには黒いシミがぽつぽつとついた、天井があるだけだった。しかし、初老の男性は天井ではなくどこか違う場所を見つめているようでもあった。
「持ってあと数年か......それまでに彼女たちを作りきれるか?作りきるしかないか」
そういって、初老の男性はまた人形を作る作業に取り掛かる。
彼の作業部屋には、現在、9体の人形が特殊なケースに入れられて並んでいる。どの人形も、その身一つで国にとっては脅威になるであろう戦闘力と美貌を兼ね備えている。
現在、各国は絶賛戦争中である。
なぜならば、彼の作った人形を手に入れようと各国が彼を取り合ったため、いや、彼の作った人形を権力を盾に無理やり奪おうとしたためである。それにより、彼を良き友であると思っている国と彼を手ごまだと思っている国が衝突、それが現在の惨状である。
彼自身はそんな人たちを見て絶望した。がしかし、同時に自分をよく思ってくれる人たちがいたことに感動した。そして彼は決めた、私がいるから争いが起こるのだ。ならば、私は姿を消そうと。
だが、一度火のついた導火線の火が消えないように、世の中はどんどん悪くなっていった。そして最終的には、どこの国はわからないが核ミサイルを発射、それに対してほかの国も応戦のために核ミサイルを発射。この戦争により地球上の生物の約8割が絶滅、1割が変異、残りの人類、1割は彼が消息を絶つ前に作っていたクロック・ハウスにより助かった。
彼、自身もまさかここまでのことになるとは思っていなかった。
「うわぁ~マジで撃っちゃたよあの国」
当の本人は、以外と余裕だったのかもしれないが。
「放射線やばくない?あ、でも大丈夫か、クロック・ハウスもあるし、20年もあれば落ち着くだろう」
クロック・ハウス、それは彼が作った対核兵器用というか、庶民を守るために乗りで作った半径100キロメートルに及ぶドームである。そこには、人口太陽があり、しっかりと夜にもなる。しかも、放射線を害のないレベルまで下げるという機能も付いている。ついでに、マイナスイオンモデルというオマケつき。
「ノリで作ったものが役に立つなんてな......わからないもんだな~」
と、彼は一人で笑っていた。
ちなみに彼は自分を改造しているため放射線などによる身体への影響はない。
唯一の弱点は、美少女が好きなところとオタク気質のゲーム好きだという点だ。
世界荒廃もののライトノベルを読んでいた彼はこの惨状を見てふと思い立った。
「あ、そうだ。美少女の人形でも作ろうかな?おもしろそうだな、よし、作ろう!」
そしてノリで、美少女人形を作り始めて60年の月日が過ぎ。冒頭へと戻る。
「まさかあの時ノリで作ろうをしたものがこんなに時間がかかるとはな」
誰に対してでもない、独り言を一人自問自答する初老の男性。見た目は初老だが、中身は年を食っている。しかし、年を食っている割に子供のようなとんでもないことをやらかすためヤバイ。
「そうだ、この娘、毒舌にしよう。ふふふ......未来この娘のマスターになるやつの苦労する顔が目に浮かぶぜ」
悪い顔をしながら、初老の男性は10番目の人形の人格構成に細工をする。
「このぐらいの毒舌を許せるようなマスターでもない限り世界を救えないだろうしな」
「そもそも、世界を壊すほどの脅威が未来にあるのかは分からないが」
彼の行動源は主に好奇心であるためこう作るを決めたものはやり通す。いい意味でも、悪い意味でも。
「鎌っ娘にしたいな、鎌を持つ少女とかヤバイな~でもいいな~」
ニヤリとしながら彼は妄想をしていく。
~5年後~
「ハ、ハ、ハ、やっとできたぞ!ハァ~ハァ~」
息を荒げながら彼は人形を見る。
「これでやることはやった......後は頼んだぞルシエ」
ベットに寝そべり、彼は4年前に拾った少女に声をかける。
「はい、わかりました」
「もうすこし、感情を顔に出してくれないもんかね」
色白、そして灰色の瞳が綺麗なルシエは無表情で答える。
「申し訳ありません」
「謝るなよ、お前と過ごして4年にもなるんだしっかりと分かっているさ。ルシエ、この娘たちを頼むぞ」
「はい」
「ルシエ、すまないがこの手を握ってもらえないか?」
ルシエは彼の寝ているベットの横に腰掛け彼の手を握る。
「はい」
「すまないなルシエ、お前にはあまりかまってやれなくて」
「いいえ」
「ルシエ、私はお前と過ごしたこの4年間が楽しかったよ。まるで、家族のようだった。この通り私は変わり者だ、だから家族なんてもの一生縁がないと思っていたよ。だが、ルシエ、お前のおかげで家族とはこういうものなんだろうなということが感じられたよ。ありがとう」
「そんなことありません」
ルシエの瞳から涙が流れ落ちる。
「泣くな、ルシエ。わかっていたことだろう。私が死ぬのは」
「ですが、ですが、お義父さん!もっと、もっと一緒にいたかったです!」
ルシエは泣きながら彼に向かって言い放つ。
「ハハ......まったく、こんな状況にならないと素直に感情を出さないのだから困ったものだ。ルシエ、お前はもう一人でも生きていける。だから、安心しなさい」
「でも、でも、お義父さん」
ルシエは大粒の涙を流しながら彼の手を握る力を強める。
「ルシエ、泣くな。お前が泣いていると安心していけないじゃないか......」
「でも......お義父さん、お義父さん」
少しルシエは黙り込み、何かを決心したのか。
「わかったよ、お義父さん、いままでありがとう」
必死に涙を抑えながらルシエは笑顔を作る。
「......あぁ、こちらこそありがとう......後は頼んだ」
初老の男性はルシエの頭を撫でた、だがその撫では長くは続かなかった。
「ありがとうお義父さん......」
涙を瞳いっぱいにためながらルシエはお礼を言う。
「どうかよろしく頼む、???。この世界に危機が起きたとき、お前を含む姉妹たちが協力して救ってくれることを願う」
初老の男性は人形に対して願いを込める。
「お前たちのマスターに相応しきものと共に、ゲッホ、ゲッホゲッホ!」
苦しそうに咳き込む初老の男性。
「どうやら、ワシの寿命も、もう少しで尽きそうだな」
初老の男性は人形を作る手をいったん止め、上を見つめる。
そこには黒いシミがぽつぽつとついた、天井があるだけだった。しかし、初老の男性は天井ではなくどこか違う場所を見つめているようでもあった。
「持ってあと数年か......それまでに彼女たちを作りきれるか?作りきるしかないか」
そういって、初老の男性はまた人形を作る作業に取り掛かる。
彼の作業部屋には、現在、9体の人形が特殊なケースに入れられて並んでいる。どの人形も、その身一つで国にとっては脅威になるであろう戦闘力と美貌を兼ね備えている。
現在、各国は絶賛戦争中である。
なぜならば、彼の作った人形を手に入れようと各国が彼を取り合ったため、いや、彼の作った人形を権力を盾に無理やり奪おうとしたためである。それにより、彼を良き友であると思っている国と彼を手ごまだと思っている国が衝突、それが現在の惨状である。
彼自身はそんな人たちを見て絶望した。がしかし、同時に自分をよく思ってくれる人たちがいたことに感動した。そして彼は決めた、私がいるから争いが起こるのだ。ならば、私は姿を消そうと。
だが、一度火のついた導火線の火が消えないように、世の中はどんどん悪くなっていった。そして最終的には、どこの国はわからないが核ミサイルを発射、それに対してほかの国も応戦のために核ミサイルを発射。この戦争により地球上の生物の約8割が絶滅、1割が変異、残りの人類、1割は彼が消息を絶つ前に作っていたクロック・ハウスにより助かった。
彼、自身もまさかここまでのことになるとは思っていなかった。
「うわぁ~マジで撃っちゃたよあの国」
当の本人は、以外と余裕だったのかもしれないが。
「放射線やばくない?あ、でも大丈夫か、クロック・ハウスもあるし、20年もあれば落ち着くだろう」
クロック・ハウス、それは彼が作った対核兵器用というか、庶民を守るために乗りで作った半径100キロメートルに及ぶドームである。そこには、人口太陽があり、しっかりと夜にもなる。しかも、放射線を害のないレベルまで下げるという機能も付いている。ついでに、マイナスイオンモデルというオマケつき。
「ノリで作ったものが役に立つなんてな......わからないもんだな~」
と、彼は一人で笑っていた。
ちなみに彼は自分を改造しているため放射線などによる身体への影響はない。
唯一の弱点は、美少女が好きなところとオタク気質のゲーム好きだという点だ。
世界荒廃もののライトノベルを読んでいた彼はこの惨状を見てふと思い立った。
「あ、そうだ。美少女の人形でも作ろうかな?おもしろそうだな、よし、作ろう!」
そしてノリで、美少女人形を作り始めて60年の月日が過ぎ。冒頭へと戻る。
「まさかあの時ノリで作ろうをしたものがこんなに時間がかかるとはな」
誰に対してでもない、独り言を一人自問自答する初老の男性。見た目は初老だが、中身は年を食っている。しかし、年を食っている割に子供のようなとんでもないことをやらかすためヤバイ。
「そうだ、この娘、毒舌にしよう。ふふふ......未来この娘のマスターになるやつの苦労する顔が目に浮かぶぜ」
悪い顔をしながら、初老の男性は10番目の人形の人格構成に細工をする。
「このぐらいの毒舌を許せるようなマスターでもない限り世界を救えないだろうしな」
「そもそも、世界を壊すほどの脅威が未来にあるのかは分からないが」
彼の行動源は主に好奇心であるためこう作るを決めたものはやり通す。いい意味でも、悪い意味でも。
「鎌っ娘にしたいな、鎌を持つ少女とかヤバイな~でもいいな~」
ニヤリとしながら彼は妄想をしていく。
~5年後~
「ハ、ハ、ハ、やっとできたぞ!ハァ~ハァ~」
息を荒げながら彼は人形を見る。
「これでやることはやった......後は頼んだぞルシエ」
ベットに寝そべり、彼は4年前に拾った少女に声をかける。
「はい、わかりました」
「もうすこし、感情を顔に出してくれないもんかね」
色白、そして灰色の瞳が綺麗なルシエは無表情で答える。
「申し訳ありません」
「謝るなよ、お前と過ごして4年にもなるんだしっかりと分かっているさ。ルシエ、この娘たちを頼むぞ」
「はい」
「ルシエ、すまないがこの手を握ってもらえないか?」
ルシエは彼の寝ているベットの横に腰掛け彼の手を握る。
「はい」
「すまないなルシエ、お前にはあまりかまってやれなくて」
「いいえ」
「ルシエ、私はお前と過ごしたこの4年間が楽しかったよ。まるで、家族のようだった。この通り私は変わり者だ、だから家族なんてもの一生縁がないと思っていたよ。だが、ルシエ、お前のおかげで家族とはこういうものなんだろうなということが感じられたよ。ありがとう」
「そんなことありません」
ルシエの瞳から涙が流れ落ちる。
「泣くな、ルシエ。わかっていたことだろう。私が死ぬのは」
「ですが、ですが、お義父さん!もっと、もっと一緒にいたかったです!」
ルシエは泣きながら彼に向かって言い放つ。
「ハハ......まったく、こんな状況にならないと素直に感情を出さないのだから困ったものだ。ルシエ、お前はもう一人でも生きていける。だから、安心しなさい」
「でも、でも、お義父さん」
ルシエは大粒の涙を流しながら彼の手を握る力を強める。
「ルシエ、泣くな。お前が泣いていると安心していけないじゃないか......」
「でも......お義父さん、お義父さん」
少しルシエは黙り込み、何かを決心したのか。
「わかったよ、お義父さん、いままでありがとう」
必死に涙を抑えながらルシエは笑顔を作る。
「......あぁ、こちらこそありがとう......後は頼んだ」
初老の男性はルシエの頭を撫でた、だがその撫では長くは続かなかった。
「ありがとうお義父さん......」
涙を瞳いっぱいにためながらルシエはお礼を言う。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
御者のお仕事。
月芝
ファンタジー
大陸中を巻き込んだ戦争がようやく終わった。
十三あった国のうち四つが地図より消えた。
大地のいたるところに戦争の傷跡が深く刻まれ、人心は荒廃し、文明もずいぶんと退化する。
狂った環境に乱れた生態系。戦時中にバラ撒かれた生体兵器「慮骸」の脅威がそこいらに充ち、
問題山積につき夢にまでみた平和とはほど遠いのが実情。
それでも人々はたくましく、復興へと向けて歩き出す。
これはそんな歪んだ世界で人流と物流の担い手として奮闘する御者の男の物語である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ボッチ英雄譚
3匹の子猫
ファンタジー
辺境の村で生まれ育ったロンは15才の成人の儀で「ボッチ」という聞いたこともないジョブを神様から授けられました。
ボッチのジョブはメリットも大きいですが、デメリットも大きかったのです。
彼には3人の幼馴染みと共に冒険者になるという約束がありましたが、ボッチの特性上、共にパーティーを組むことが難しそうです。彼は選択しました。
王都でソロ冒険者になることを!!
この物語はトラブルに巻き込まれやすい体質の少年ロンが、それらを乗り越え、いつの日か英雄と呼ばれるようになるまでを描いた物語です。
ロンの活躍を応援していきましょう!!
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。
紺
ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」
実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて……
「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」
信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。
微ざまぁあり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる