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第1章 奇妙な電話編
模禁忌(モシキ)
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リアと別れたあとカヤトは家に戻り、呪刀を持ってリアの家に向かう。西城は、リアの家の周りに結界を貼りに行った。
「リアの家なかなか見つからないな」
しっかりとリアに家の場所を聞いておくべきだったな。
そんなことを考えながらカヤト2時間ほど街灯があまりない夜道を歩いていた。
「本当にどこだ……」
腕時計で時間を確認すると、23時50分だった。
「どうしようか……あ、そういえばリアから紙切れを貰っていたな」
そう思い、カヤトは胸ポケットを確認する。
「お、あったあった」
胸ポケットから紙切れを取り出し、書かれている内容を確認すると綺麗な字体でこう書かれていた。
【カヤトさん私の電話番号です。***ー***ー***】
「……よし、電話しよう」
プル…プル…
「はい、もしもし」
「あ、リアさんカヤトだけど君の家ってどこ?」
「カヤトさんですか、やっぱり私の家を見つけられなかったんですね~」
呆れたような声色でリアが。
「えぇ、恥ずかしながら。すみません」
「私の家はね、………だよ」
「あそこですか、ありがとう御座います」
「いいえ、それよりよろしくね」
「わかりました、それでは」
プー、プー
電話が切れたあとカヤトはすぐにリアの家に向かった。今度は迷わずに。
「疲れた精神的に。にしてもリアの家って都内の一等地に建っているあのビルだったんだな」
カヤトは目の前にそびえ立つ巨大なビルを見てそんなことを思っていた。
カヤトはリアに電話をかける。
「リアさん、つきました」
「わかりました、今開けますね」
目の前の自動ドアが開く。
「カヤトさん入って下さい」
「……凄いですね、リアさんってお金持ちだったのですね」
「そうかしら?そんなことより、早くしてください」
怒られた。
「どうぞ」
「おじゃまします~」
リアさんの家のなかはとても広く、俺みたいな庶民には一生縁がないような部屋だと思いながら部屋を見渡していたら、リビングルームを抜けて奥にあるリアさんの部屋に案内された。
「時間になるまでゆっくりしていてください、カヤトさん」
「わかりました」
リビングと変わらす、リアさんの部屋もそれなりの広さがあった。
2時間後……
「うわ~、なんか眠いな」
あくびをしながら、刀を右手に持ち眺めていたら突然リアが入って来た。
「カヤトさん!そろそろ時間です……?なにしているんですかカヤトさん」
「刀を眺めているんです」
「それは見ればわかります、何故そんな物を持っているんですか?」
「必要だからです」
「何にですか?」
「今から行うことに……です」
「……わかりました」
怪しむような目をされたが、どうやら納得したようだ。
♪~♪~♪
リアの持っているスマホが突然鳴り出す。
「カヤトさん、時間も丁度ですし、まず間違いないかと」
リアはカヤトにスマホを渡す。
「もしもし……」
受け取ったスマホに耳を近づけると、ジリジリというノイズ音に混じり小さな声が聞こえる。
「……違……う……あな……た……じゃ……ない……だれ?……だして、だして…だしてだして……」
ノイズ音が大きくなり通話が切れた。
「カヤトさん?」
これは……もしかすると
「リアさん、これはおそらく模禁忌(モシキ)だと思います」
死んだ人の霊を取り込み、その霊の生前の記憶を手に入れて繋がりのある生きている人を追い詰めて殺す。そして、殺した人の霊力を食い力を高める妖怪。
「モシキ、なんですかそれは?」
不思議そうな顔をしながらリアは小首を傾げる。
カクカクシカジカ
「そんな妖怪がいるですね。でも、それはつまり……」
「えぇ……最近リアさんの知り合いで死んだ人はいませんか?」
「そんな人はいない筈ですが……あ、でもそういえば友達のサリアちゃんと最近連絡が取れなくなっていたんですが」
「もしかするとその人死んでいる可能性がありますね」
「そんな、そんな訳ありません!?」
今までの冷静な態度とは打って変わってリアは声を張り上げる。
「落ち着いてくださいリア、まだ可能性の話ですから」
カヤトは急なリアの態度の変わりように驚いたようだが、あくまで可能性の話だとなだめる。
「すいません、取り乱しました」
さてと行くか、さっきの電話でおおかた何処に居るかはわかった。
カヤトはスマホを取りだし西城(さいじょう)に電話をかける。
「……なんだよカヤト」
「今どこにいる西城?」
「え?そこから2km離れた民家の屋根の上だ」
「何故にそんな所にいるし、頼んでいたことが終わったのならリアの家に来いよ。そんなことより西城仕事だぞ」
「仕事?あぁ~、ダルい」
「黙れ西城!早く仕事をするぞ、詳細はいま送る」
「……あの、カヤトさん。これ怪異だよね?俺まだ怪異と戦えるほど呪術が使えないんだが」
「いや、別に戦えとは言ってない。ただ調査と怪異の監視を頼む」
「わかった、じゃ」
西城が電話を切ったのを確認すると、カヤトも電話を切る。
カヤトは黒刀(コクトウ)を取りだし、巻き付けてある包帯を取る。
「あの、カヤトさんなにをしているんですか?」
「封印を解いているんですよ。まあ、たいしたことじゃありませんよ。リアさん、すみませんがあなたの電話を貸していただけますか?」
「何に使うかわかりませんが、どうぞ」
リアはカヤトに可愛らしい兎ちゃんのカバーケースが付いたスマホを渡す。
可愛らしいスマホケースを使っているんだなリアさんは。そんなことを思いながら右手に持っている黒刀(コクトウ)に意識を向ける。
黒刀、世界に15本存在すると言われているの樹影霊具(ジュエイレイグ)のうちの一つであり、暗闇(クラヤミ)の名を冠する霊具である。見た目はその名の通り、光をも吸収してしまいそうなほど黒く禍々しい。
「封…解、うぐ!やっぱりこの刀は使い手である俺まで取り込もうとしてくるな」
並の術者ならば、刀に魂を喰われ操り人形になってしまうだろう。
「それじゃ、リアさん行ってきます」
「えぇ、お願いします」
「それでは」
★★★
リアの家からカヤトは早足気味に出て行く。
「しかし、こいつを使うのも久しぶりだな」
黒刀(コクトウ)を強めに握ったり緩めたりしながら身体に馴染ませる。
(久しぶりじゃの?)
黒刀の中の人格が直接思念を伝えてくる。
(なんじゃ、無視かの~?)
(黙れ)
(なんじゃ、ひどい言葉じゃのう~)
俺は、こいつが何をしたか忘れていない。
「よう、遅かったなカヤト」
夜の街を駆け抜け、目的のT公園につくと、西城さいじょうが暖かそうなココアを飲みながら話しかけてきた。
「すまないな、思ったよりも時間を食ってしまった」
「可愛い女の子でも声をかけられたのか?」
「馬鹿か、お前じゃあるまいし、俺が女の子に声をかけられるなんてこと、あるわけあるわけがないだろ」
「そうか」
カヤトと西城の間に微妙な空気が漂う。
「そんなことより、模禁忌(もしき)は発見できたのか?」
「ああ、模禁忌に追跡術式を打ち込んでおいたから大丈夫だ」
「そうか、いつの間にお前、追跡術式を覚えていたんだよ。先週まで「無理だ~!」とかぬかしてなかったか?」
「ん、何のことだ?」
「......はぁ、まあ、いいや」
「お、おお?なあ、カヤト」
「なんだ、西城」
「なんか、模禁忌が凄い速さでここに近づいて来るんだが……」
「は!どっちの方向からだよ」
「南入口方面から……」
西城が言い終える前に、南入口からけたたましい叫び声をあげながら黒い影が飛び出してきた。
「GoooooooooO!!」
公園の街灯にうつし出された模禁忌は、全身が白い人の形をしていた。顔の部分にある口のような黒い線が赤黒く脈うっている。
「なあ、カヤト、気持ち悪いんだがあいつ」
「同感だが、気おつけろよ。あんなタイプの模禁忌(もしき)は見たことがない!」
カヤトはそう言いながら刀を構え、臨戦態勢をとる。
カヤトに引き続き西城も自分の武器を懐から取り出す。
「じゃ、支援頼むぜ西城!」
カヤトは言うが早いが、モシキに向かって斬りかかる。
その速さは、常人であれはなんの反応も出来ずに斬り伏せられるであろう速さだった。
「Go?GoooooooooO!!」
カヤトの攻撃は、モシキの腕に少しの切り傷を付けただけだった。
「硬いな」
そこそこ力は込めたんだがな。あれでかすり傷程度のダメージしかないなんてな。
「カヤト大丈夫か?」
西城がカヤトの後ろから声をかける。
「大丈夫だ!お前は早く罠をはれ!!」
モシキがカヤトに対して右拳を放つ。
「あぶな!」
ガン!とまるで硬い金属同士がぶつかるような音が響き渡る。
「どんだけ、馬鹿力だよ!」
「GooO!!」
「グォグォ!五月蝿(うるさ)いわボケ!
」
「GoooooooooO!」
「だからうるせっ!ての!」
カヤトは文句を言いながらモシキと斬り合う。
「カヤト準備できたぞ!」
10 分ほど斬り合い続け、西城がカヤトに向かって術式の構築が完了したこと告げる。
「GoooooooooO!」
「はぁ!」
カヤトは黑刀を逆刃に持ち、力を込めて叩きつける。
「GA!」
「よし、いいぞ西城!」
「北方の玄武(げんぶ)、南方の朱雀(すざく)、東方の青龍(せいりゅう)、西方の白虎(びゃっけ)、われ望む、その強大なる神罰ちからにより我が敵を滅せよ!激震雷光」
西城が術式を解放した瞬間、四方に埋め込んだ術式媒体、木杭からモシキにむかって赤、白、蒼、翠の光を放つ鎖が絡み付いていく。
「Ga!?ぎザマ、いっだい何をした!」
喋りやがったか、少しは普通のモシキと似てるのか?
「悪いがお前を封印させてもらう」
「がぁ、させるが!?」
「カヤト!ヘルプ!」
モシキが封印の鎖を引きずりながら西城に向かって行く。
「雷光刀」
黑刀に雷の精霊を宿らせ、モシキの口を目掛けて突く。
「Goooo~、ぎざまぁ~許、さん!」
血のような液体を口から滴らせながら怒りの声をあげている。
「流石に口の中は硬くないだろと思ったが、当たったか」
「足元がお留守だぜ!」
カヤトはモシキに足蹴をかます。
足蹴によってバランスを崩したモシキが地面に倒れ込む。
「せい!」
すかさずカヤトはモシキの口に向かって黑刀を差し込む。
喉を黑刀が貫通し、脊髄を切断する。
「あが、がが、ぎざ……まぁ……」
「やっと死んだか、ダルいなまったく」
『なかなかの強敵じゃったの~?まあ、わしの敵ではないがの』
「調子の良いやつだな」
黑刀をモシキの口から抜き、遺体を食べさせる。
『久しぶりじゃの~こんなに美味い霊骸(レイガイ)を食べるのは』
「そうか」
モシキの遺体が無くなった( 美味しく食べられた )。
「おい~カヤト~!大丈夫だったか?」
西城が駆け寄ってくる。
「あぁ、大丈夫だよ西城。お前こそ大丈夫だったのか?」
「あ?あぁ、このとうりピンピンしてるぞ」
「そうか、じゃ帰るか」
「そうだな!」
その後、リアの家により、モシキを倒したことを報告し、俺と西城もそれぞれ帰宅した。
ーーーーーーー
カヤトたちが立ち去った後の公園……
黒い人影がモシキがトドメを刺されたであろう場所に立っている。
「ふむ、失敗か……」
「……、………………」
「ふむ、そうは言うが君はどうだったのかね?」
「…………、……………………………………」
「ほう、君は成功したのかい」
「……」
「それでは、帰るか」
「…………」
公園に虫たちの鳴き声が戻る。
この2人が何者なのかをまだカヤトたちは知らない。だがいずれ会うことになるだろう。
「リアの家なかなか見つからないな」
しっかりとリアに家の場所を聞いておくべきだったな。
そんなことを考えながらカヤト2時間ほど街灯があまりない夜道を歩いていた。
「本当にどこだ……」
腕時計で時間を確認すると、23時50分だった。
「どうしようか……あ、そういえばリアから紙切れを貰っていたな」
そう思い、カヤトは胸ポケットを確認する。
「お、あったあった」
胸ポケットから紙切れを取り出し、書かれている内容を確認すると綺麗な字体でこう書かれていた。
【カヤトさん私の電話番号です。***ー***ー***】
「……よし、電話しよう」
プル…プル…
「はい、もしもし」
「あ、リアさんカヤトだけど君の家ってどこ?」
「カヤトさんですか、やっぱり私の家を見つけられなかったんですね~」
呆れたような声色でリアが。
「えぇ、恥ずかしながら。すみません」
「私の家はね、………だよ」
「あそこですか、ありがとう御座います」
「いいえ、それよりよろしくね」
「わかりました、それでは」
プー、プー
電話が切れたあとカヤトはすぐにリアの家に向かった。今度は迷わずに。
「疲れた精神的に。にしてもリアの家って都内の一等地に建っているあのビルだったんだな」
カヤトは目の前にそびえ立つ巨大なビルを見てそんなことを思っていた。
カヤトはリアに電話をかける。
「リアさん、つきました」
「わかりました、今開けますね」
目の前の自動ドアが開く。
「カヤトさん入って下さい」
「……凄いですね、リアさんってお金持ちだったのですね」
「そうかしら?そんなことより、早くしてください」
怒られた。
「どうぞ」
「おじゃまします~」
リアさんの家のなかはとても広く、俺みたいな庶民には一生縁がないような部屋だと思いながら部屋を見渡していたら、リビングルームを抜けて奥にあるリアさんの部屋に案内された。
「時間になるまでゆっくりしていてください、カヤトさん」
「わかりました」
リビングと変わらす、リアさんの部屋もそれなりの広さがあった。
2時間後……
「うわ~、なんか眠いな」
あくびをしながら、刀を右手に持ち眺めていたら突然リアが入って来た。
「カヤトさん!そろそろ時間です……?なにしているんですかカヤトさん」
「刀を眺めているんです」
「それは見ればわかります、何故そんな物を持っているんですか?」
「必要だからです」
「何にですか?」
「今から行うことに……です」
「……わかりました」
怪しむような目をされたが、どうやら納得したようだ。
♪~♪~♪
リアの持っているスマホが突然鳴り出す。
「カヤトさん、時間も丁度ですし、まず間違いないかと」
リアはカヤトにスマホを渡す。
「もしもし……」
受け取ったスマホに耳を近づけると、ジリジリというノイズ音に混じり小さな声が聞こえる。
「……違……う……あな……た……じゃ……ない……だれ?……だして、だして…だしてだして……」
ノイズ音が大きくなり通話が切れた。
「カヤトさん?」
これは……もしかすると
「リアさん、これはおそらく模禁忌(モシキ)だと思います」
死んだ人の霊を取り込み、その霊の生前の記憶を手に入れて繋がりのある生きている人を追い詰めて殺す。そして、殺した人の霊力を食い力を高める妖怪。
「モシキ、なんですかそれは?」
不思議そうな顔をしながらリアは小首を傾げる。
カクカクシカジカ
「そんな妖怪がいるですね。でも、それはつまり……」
「えぇ……最近リアさんの知り合いで死んだ人はいませんか?」
「そんな人はいない筈ですが……あ、でもそういえば友達のサリアちゃんと最近連絡が取れなくなっていたんですが」
「もしかするとその人死んでいる可能性がありますね」
「そんな、そんな訳ありません!?」
今までの冷静な態度とは打って変わってリアは声を張り上げる。
「落ち着いてくださいリア、まだ可能性の話ですから」
カヤトは急なリアの態度の変わりように驚いたようだが、あくまで可能性の話だとなだめる。
「すいません、取り乱しました」
さてと行くか、さっきの電話でおおかた何処に居るかはわかった。
カヤトはスマホを取りだし西城(さいじょう)に電話をかける。
「……なんだよカヤト」
「今どこにいる西城?」
「え?そこから2km離れた民家の屋根の上だ」
「何故にそんな所にいるし、頼んでいたことが終わったのならリアの家に来いよ。そんなことより西城仕事だぞ」
「仕事?あぁ~、ダルい」
「黙れ西城!早く仕事をするぞ、詳細はいま送る」
「……あの、カヤトさん。これ怪異だよね?俺まだ怪異と戦えるほど呪術が使えないんだが」
「いや、別に戦えとは言ってない。ただ調査と怪異の監視を頼む」
「わかった、じゃ」
西城が電話を切ったのを確認すると、カヤトも電話を切る。
カヤトは黒刀(コクトウ)を取りだし、巻き付けてある包帯を取る。
「あの、カヤトさんなにをしているんですか?」
「封印を解いているんですよ。まあ、たいしたことじゃありませんよ。リアさん、すみませんがあなたの電話を貸していただけますか?」
「何に使うかわかりませんが、どうぞ」
リアはカヤトに可愛らしい兎ちゃんのカバーケースが付いたスマホを渡す。
可愛らしいスマホケースを使っているんだなリアさんは。そんなことを思いながら右手に持っている黒刀(コクトウ)に意識を向ける。
黒刀、世界に15本存在すると言われているの樹影霊具(ジュエイレイグ)のうちの一つであり、暗闇(クラヤミ)の名を冠する霊具である。見た目はその名の通り、光をも吸収してしまいそうなほど黒く禍々しい。
「封…解、うぐ!やっぱりこの刀は使い手である俺まで取り込もうとしてくるな」
並の術者ならば、刀に魂を喰われ操り人形になってしまうだろう。
「それじゃ、リアさん行ってきます」
「えぇ、お願いします」
「それでは」
★★★
リアの家からカヤトは早足気味に出て行く。
「しかし、こいつを使うのも久しぶりだな」
黒刀(コクトウ)を強めに握ったり緩めたりしながら身体に馴染ませる。
(久しぶりじゃの?)
黒刀の中の人格が直接思念を伝えてくる。
(なんじゃ、無視かの~?)
(黙れ)
(なんじゃ、ひどい言葉じゃのう~)
俺は、こいつが何をしたか忘れていない。
「よう、遅かったなカヤト」
夜の街を駆け抜け、目的のT公園につくと、西城さいじょうが暖かそうなココアを飲みながら話しかけてきた。
「すまないな、思ったよりも時間を食ってしまった」
「可愛い女の子でも声をかけられたのか?」
「馬鹿か、お前じゃあるまいし、俺が女の子に声をかけられるなんてこと、あるわけあるわけがないだろ」
「そうか」
カヤトと西城の間に微妙な空気が漂う。
「そんなことより、模禁忌(もしき)は発見できたのか?」
「ああ、模禁忌に追跡術式を打ち込んでおいたから大丈夫だ」
「そうか、いつの間にお前、追跡術式を覚えていたんだよ。先週まで「無理だ~!」とかぬかしてなかったか?」
「ん、何のことだ?」
「......はぁ、まあ、いいや」
「お、おお?なあ、カヤト」
「なんだ、西城」
「なんか、模禁忌が凄い速さでここに近づいて来るんだが……」
「は!どっちの方向からだよ」
「南入口方面から……」
西城が言い終える前に、南入口からけたたましい叫び声をあげながら黒い影が飛び出してきた。
「GoooooooooO!!」
公園の街灯にうつし出された模禁忌は、全身が白い人の形をしていた。顔の部分にある口のような黒い線が赤黒く脈うっている。
「なあ、カヤト、気持ち悪いんだがあいつ」
「同感だが、気おつけろよ。あんなタイプの模禁忌(もしき)は見たことがない!」
カヤトはそう言いながら刀を構え、臨戦態勢をとる。
カヤトに引き続き西城も自分の武器を懐から取り出す。
「じゃ、支援頼むぜ西城!」
カヤトは言うが早いが、モシキに向かって斬りかかる。
その速さは、常人であれはなんの反応も出来ずに斬り伏せられるであろう速さだった。
「Go?GoooooooooO!!」
カヤトの攻撃は、モシキの腕に少しの切り傷を付けただけだった。
「硬いな」
そこそこ力は込めたんだがな。あれでかすり傷程度のダメージしかないなんてな。
「カヤト大丈夫か?」
西城がカヤトの後ろから声をかける。
「大丈夫だ!お前は早く罠をはれ!!」
モシキがカヤトに対して右拳を放つ。
「あぶな!」
ガン!とまるで硬い金属同士がぶつかるような音が響き渡る。
「どんだけ、馬鹿力だよ!」
「GooO!!」
「グォグォ!五月蝿(うるさ)いわボケ!
」
「GoooooooooO!」
「だからうるせっ!ての!」
カヤトは文句を言いながらモシキと斬り合う。
「カヤト準備できたぞ!」
10 分ほど斬り合い続け、西城がカヤトに向かって術式の構築が完了したこと告げる。
「GoooooooooO!」
「はぁ!」
カヤトは黑刀を逆刃に持ち、力を込めて叩きつける。
「GA!」
「よし、いいぞ西城!」
「北方の玄武(げんぶ)、南方の朱雀(すざく)、東方の青龍(せいりゅう)、西方の白虎(びゃっけ)、われ望む、その強大なる神罰ちからにより我が敵を滅せよ!激震雷光」
西城が術式を解放した瞬間、四方に埋め込んだ術式媒体、木杭からモシキにむかって赤、白、蒼、翠の光を放つ鎖が絡み付いていく。
「Ga!?ぎザマ、いっだい何をした!」
喋りやがったか、少しは普通のモシキと似てるのか?
「悪いがお前を封印させてもらう」
「がぁ、させるが!?」
「カヤト!ヘルプ!」
モシキが封印の鎖を引きずりながら西城に向かって行く。
「雷光刀」
黑刀に雷の精霊を宿らせ、モシキの口を目掛けて突く。
「Goooo~、ぎざまぁ~許、さん!」
血のような液体を口から滴らせながら怒りの声をあげている。
「流石に口の中は硬くないだろと思ったが、当たったか」
「足元がお留守だぜ!」
カヤトはモシキに足蹴をかます。
足蹴によってバランスを崩したモシキが地面に倒れ込む。
「せい!」
すかさずカヤトはモシキの口に向かって黑刀を差し込む。
喉を黑刀が貫通し、脊髄を切断する。
「あが、がが、ぎざ……まぁ……」
「やっと死んだか、ダルいなまったく」
『なかなかの強敵じゃったの~?まあ、わしの敵ではないがの』
「調子の良いやつだな」
黑刀をモシキの口から抜き、遺体を食べさせる。
『久しぶりじゃの~こんなに美味い霊骸(レイガイ)を食べるのは』
「そうか」
モシキの遺体が無くなった( 美味しく食べられた )。
「おい~カヤト~!大丈夫だったか?」
西城が駆け寄ってくる。
「あぁ、大丈夫だよ西城。お前こそ大丈夫だったのか?」
「あ?あぁ、このとうりピンピンしてるぞ」
「そうか、じゃ帰るか」
「そうだな!」
その後、リアの家により、モシキを倒したことを報告し、俺と西城もそれぞれ帰宅した。
ーーーーーーー
カヤトたちが立ち去った後の公園……
黒い人影がモシキがトドメを刺されたであろう場所に立っている。
「ふむ、失敗か……」
「……、………………」
「ふむ、そうは言うが君はどうだったのかね?」
「…………、……………………………………」
「ほう、君は成功したのかい」
「……」
「それでは、帰るか」
「…………」
公園に虫たちの鳴き声が戻る。
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