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第三話 魔王城の美容師
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「ラフィス。その見た目、どうした?」
今日朝起きると、ラフィスが私を起こしに来てくれたところだった。
別にそこまでは、いつも通りなのだが、ラフィスはいつもとは違う見た目になっていた。いったいどうしたのだろうか。長い緑色の髪は今までばさりとおろしていて、前髪も目に入るくらい長かったというのに、前髪はきれいさっぱり切りそろえていて、長い髪は後ろで一つに束ねている。
なんというか――すごく、イケメン、という分類にされそうな見た目になっている。
そんな中で、この間私が殴った後の所だけが出っ張っている。
「ああ、この見た目ですね。魔王様のおそばに立つのに少しでもふさわしい格好になるようにしようと思いまして、魔王城の美容師にいめちぇんとやらをしてもらいました。」
いめちぇん?
イメチェンのことか?
この間まで私のことをナメていそうな感じだったけど、今はすっかり改心したみたいで良かった。っていうか、その美容師って何だろう?そういえばそんなのがいるって、日記帳の中の元、魔王が言っていたっけ?私も行ってみようかな。イメチェン。
楽しそうだよね。復讐するときに攻略対象や主人公の首を切りやすいように動きやすくしてもらいたいし。
「私も行ってみようかな。」
「魔王様は今のままでも十分お美しいですが?」
すごい、ほめてくれた。
何こいつ。
この間とは別人みたいだなあ。
「私もイメチェンとやらをやってみようと思ってね。」
「そうですか!では私と同じ髪形などどうでしょうか!?あ、でも、私ごときが魔王様と同じ髪形になろうなどおこがましいとはわかっているのですが___。」
なにやらもじもじしだした。
確かにラフィスの髪形、動きやすそうではあるよね。
まあ、髪の毛を束ねるくらいなら普通の人ならできると思うけど。(私はすごく不器用なので髪の毛をきれいに束ねたことがなく、束ねようとするとなぜだか髪の毛が焦げたりする)
よしっ美容師のとこ行こう。
――――――
「はいはーい!いらっしゃいませー!」
私が、美容室に来ると出てきたのはハーピィだった。
そして、私を見て、硬直した。
一体どうしたのだろうか。
まあとりあえず、ここに来たわけを話すか。
「動きやすい髪形にしてほしいのだが。」
「ハイっカシコマリマシタ。」
「トリアエズ、コチラニオスワリクダサイ。」
機械音のような感じでそのハーピィはそう言った。
「あ、ああ。」
「では、髪の毛を束ねさせていただきます。」
やっとそのハーピィは普通の口調になり、そう言った。
それが魔王についてきたラフィスがにらんだからだということは、魔王は知らない。
びくびくとおびえながらそのハーピィは恐る恐る、といった感じで私の髪に触れる。
「すごくきれいな髪ですね。」
「そうか?」
「ええ、これほどきれいな髪の方はなかなかいませんよ。」
そうなんだ。
あの日記帳の中にいた元、魔王は髪の毛のケアを頑張っていたらしい。
私もこれからも日記帳の中にいた元、魔王の努力を無駄にしないように髪の毛のケアを頑張ろう。
そう心の中に誓った。
そして数分後、その美容師はきれいに私の髪の毛を束ねてくれて、髪飾りに黒と白のリボンまでつけてくれた。紫色の髪の毛に黒と白のリボンがはえて、非常にかわいらしい見た目になった。ちなみにすごく動きやすい。
「ありがとう。」
私は、代金を払い終わると美容師にそう伝えた。
美容師は驚いたような感じでこちらをしばらくの間見ていたが、我に返った様子で、
「あっ、はい。こちらこそ、お越しいただきありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。」
と、丁寧に言ってくれた。
さて、ラフィスによると帰ったら目を通さねばならない書類が山積みになっているそうだし、早く帰って処理しなくては。
私はそう思い、その美容室を去っていった。
ラフィスが魔王とおそろいの髪形になったのがうれしくて、しばらく上機嫌だったのは言うまでもない。
今日朝起きると、ラフィスが私を起こしに来てくれたところだった。
別にそこまでは、いつも通りなのだが、ラフィスはいつもとは違う見た目になっていた。いったいどうしたのだろうか。長い緑色の髪は今までばさりとおろしていて、前髪も目に入るくらい長かったというのに、前髪はきれいさっぱり切りそろえていて、長い髪は後ろで一つに束ねている。
なんというか――すごく、イケメン、という分類にされそうな見た目になっている。
そんな中で、この間私が殴った後の所だけが出っ張っている。
「ああ、この見た目ですね。魔王様のおそばに立つのに少しでもふさわしい格好になるようにしようと思いまして、魔王城の美容師にいめちぇんとやらをしてもらいました。」
いめちぇん?
イメチェンのことか?
この間まで私のことをナメていそうな感じだったけど、今はすっかり改心したみたいで良かった。っていうか、その美容師って何だろう?そういえばそんなのがいるって、日記帳の中の元、魔王が言っていたっけ?私も行ってみようかな。イメチェン。
楽しそうだよね。復讐するときに攻略対象や主人公の首を切りやすいように動きやすくしてもらいたいし。
「私も行ってみようかな。」
「魔王様は今のままでも十分お美しいですが?」
すごい、ほめてくれた。
何こいつ。
この間とは別人みたいだなあ。
「私もイメチェンとやらをやってみようと思ってね。」
「そうですか!では私と同じ髪形などどうでしょうか!?あ、でも、私ごときが魔王様と同じ髪形になろうなどおこがましいとはわかっているのですが___。」
なにやらもじもじしだした。
確かにラフィスの髪形、動きやすそうではあるよね。
まあ、髪の毛を束ねるくらいなら普通の人ならできると思うけど。(私はすごく不器用なので髪の毛をきれいに束ねたことがなく、束ねようとするとなぜだか髪の毛が焦げたりする)
よしっ美容師のとこ行こう。
――――――
「はいはーい!いらっしゃいませー!」
私が、美容室に来ると出てきたのはハーピィだった。
そして、私を見て、硬直した。
一体どうしたのだろうか。
まあとりあえず、ここに来たわけを話すか。
「動きやすい髪形にしてほしいのだが。」
「ハイっカシコマリマシタ。」
「トリアエズ、コチラニオスワリクダサイ。」
機械音のような感じでそのハーピィはそう言った。
「あ、ああ。」
「では、髪の毛を束ねさせていただきます。」
やっとそのハーピィは普通の口調になり、そう言った。
それが魔王についてきたラフィスがにらんだからだということは、魔王は知らない。
びくびくとおびえながらそのハーピィは恐る恐る、といった感じで私の髪に触れる。
「すごくきれいな髪ですね。」
「そうか?」
「ええ、これほどきれいな髪の方はなかなかいませんよ。」
そうなんだ。
あの日記帳の中にいた元、魔王は髪の毛のケアを頑張っていたらしい。
私もこれからも日記帳の中にいた元、魔王の努力を無駄にしないように髪の毛のケアを頑張ろう。
そう心の中に誓った。
そして数分後、その美容師はきれいに私の髪の毛を束ねてくれて、髪飾りに黒と白のリボンまでつけてくれた。紫色の髪の毛に黒と白のリボンがはえて、非常にかわいらしい見た目になった。ちなみにすごく動きやすい。
「ありがとう。」
私は、代金を払い終わると美容師にそう伝えた。
美容師は驚いたような感じでこちらをしばらくの間見ていたが、我に返った様子で、
「あっ、はい。こちらこそ、お越しいただきありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。」
と、丁寧に言ってくれた。
さて、ラフィスによると帰ったら目を通さねばならない書類が山積みになっているそうだし、早く帰って処理しなくては。
私はそう思い、その美容室を去っていった。
ラフィスが魔王とおそろいの髪形になったのがうれしくて、しばらく上機嫌だったのは言うまでもない。
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