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超魔の目覚め
魔獣の倒しかた
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……くそぉ、電気ウナギ野郎めぇどこだ。
周囲に目を向けるが奴は可視光線を遮蔽してるため、やはりその姿を視覚的にとらえることはできない。
そして怪獣の触覚にも電磁波等の反応はなし。
不可視化に加えセンサー類にすら探知されない、厄介極まりない。
「ここで確実にしとめねぇと、危険すぎる」
自ずと焦ってしまう。
攻撃を受けて手負いになった獣は、死にもの狂いゆえに凶暴性が増して危険だから逃してはならないとは言うが、魔獣の場合は次元が違いすぎる。
奴等は戦況を見極め勝算がなかったり不利と判断すると一時的に退散し、そして戦闘経験や情報を基に外敵に対して効率的に成長と強化を遂げる戦略すら用いる正真正銘の化け物なんだ。
星外魔獣を取り逃がした場合、ただの獣のように凶暴になるどころの話ではないのだ。
より巨大に、より強靭に、より狡猾になって再び姿を現して破壊と殺戮を撒き散らして多くの命を奪うと言う意味合いになる。
「……焦るな。慌てれば、常に物事は上手くいかないものだ。他にも奴を捉える手段はあるはずだ」
可視光線や電磁波と言った光エネルギーだけで探るのではなく、もっと他にも感知する方法はあるはずだ。
感情と思考を落ち着かせるためにも、深呼吸とばかりに鼻孔から空気を大きくゆっくりと取り入れる。
「……分かるぞ、奴の位置が。そこか!」
後方を向き、地上五百メートルの上空目掛け殺獣光線を照射する。
頭部触覚から放たれた不可視領域の高出力レーザーが大気中の塵を焼き払い、青白い軌跡を生み出す。
「ピィギャアァァァァ!!」
そして突如として悲鳴のごとき高周波が響き渡った。
とたん光線の通過した何もないはずの透明な空間から、あふれでるように青黒い液体が噴き出す。
「命中だっ!」
大気、つまりは空気が魔獣の位置を教えてくれた。
……まさか深呼吸で、それに気付くとは。
触覚だけでなく、怪獣の五感は並の生物を遥かに凌駕する程に鋭敏。
空気の臭いや味で大気中の成分が理解でき、当たる僅かな風の動きで周囲の気流が手に取るように分かる。
「いくら不可視化しても、実体がなくなった訳じゃない。あの巨体で動けば空気は大きく揺れ動く。そしてこの惑星には本来存在しない生き物だ、放たれる独自の臭いもすこぶるに異質なもの」
それだけ大きな情報が掴めれば、見えない敵とは言え探り出すのはそう困難ではない。
「パァオォォォン!」
エンボルゲイノの漏れ出す体液が視認できるため、もはや遮蔽能力の意味はない。
レーザーが貫通したことを考えると、さすがに遮蔽能力とバリアの同時併用はできなかったのだろう。
ダメージの影響でイオノクラフトと遮蔽能力の維持ができなくなったのか、透明だった魔獣がその巨体を現し、高速で墜落していく。
そして凄まじい音をあげて俺とスチームジャガーの間の大地へと激突した。
推定三千トンもの物体の墜落、地面が大いに揺れ動き大きく砂煙が舞い上がる。
「くたばったか?」
そして俺は死体確認のため墜落現場へと足を進める。油断せずに。
魔獣の生命力や再生能力は並の生命体のそれを超越している。確実に殺したことを確かめるまで安心はできない。
一応、状況を伝えるためマエラさんに精神感応による言葉を送った。
(マエラさん、聞こえますか。エンボルゲイノを撃墜しました、今から死体の確認をします。死亡が確定しだい、遺体はこの場で滅却します)
(……よかったわ、でも気を付けてね)
安堵したかのような返答はきたが、やはり彼女も油断はしてないようだ。
そして魔獣から数十メートルという所で足を止める。
「……くだらんことを」
屍のようにピクリとも動かないエンボルゲイノの左胸部にはレーザーで穿たれた穴があり、周囲の体組織が焦げて煙があがり、損傷部からは体液が滲み出ていた。
心臓がある位置に穴が開き、死んでるようにしか見えないが……やはりな。
「……パァオォォォン!」
エンボルゲイノはいきなり飛び起き、俺に襲いかかってきた。
「だろうと思ったぜ!」
俺は直ぐ様に体を捻り、その運動と筋肉の収縮が合わさった高速の尾の一撃を魔獣の横っ腹に叩きつけた。
破裂するような強烈な音が鳴り響き、魔獣は数百メートルも吹っ飛んで地面を大きく揺るがせながら転がった。
「……パァオォ……ピィギャッ」
エンボルゲイノは全身の骨格が粉砕したらしく、身体が折れ曲がりスライムのように形が崩れた。
しかし、それでも死んでいないらしく痙攣しながらも魔獣は汚い鳴き声をあげる。
「死んだふりとは、小賢しいことをしやがる」
奴はピクリとも動いてはいなかったが、生体反応は感じていた。おおかた死を装って不意討ちをかましてくるなど分かってたぜ。
ましてやオボロ隊長が戦ったゴドルザーとか言う魔獣も同じことをしてきたのだ、同じ手が通用するわけがねぇだろう。
「今度こそ、息の根を止めてやる」
これ以上戦闘を引き伸ばす気はない。魔獣は見つけしだいすぐに殲滅するのが鉄則。
俺は喉元に火炎燃料を充填し、エンボルゲイノに顔を向ける。
原形が崩壊した魔獣の皮膚は裂け、体液でドロドロに汚れた内臓器官等が剥き出しになっている。
内臓と言っても、肝臓とか腸のような物は見受けられない。
こいつらは戦闘と破壊のみに特化した生命体ゆえに、通常の生物とは肉体構造も内臓の造りも全く異なっている。
つまり戦闘や生命維持に関係ないものは一切有していないため、普通の生き物なら備わっているだろう消化器系や呼吸器等がないのである。
恐らくエンボルゲイノから漏れ出している臓器は、生体性の発電機やバッテリーのようなものだろう。
そして俺は魔獣に向けて、六千度にも及ぶ超高熱火炎を吐きかけた。
「ピィギャアァァァァ!!」
高熱すぎるがゆえに真っ白な炎に包まれるエンボルゲイノは断末魔を轟かせた。
しかし肉体構造が砕けたために身動きがとれず苦痛で暴れることはできない、あとおとなしく周囲の草木や土壌とともに焼かれるのみだ。
「てめえらの精強な生命力と強靭な耐久力と驚異的な再生能力のせいで完全に消すには中々に骨が折れるぜ」
個体差はあれど、その凄まじい生命力と回復力があるため魔獣や超獣を死滅させるにはそれなりに手段が求められる。
高エネルギーを持ってして粉微塵に粉砕するか、あるいは……。
「高熱で持続的に焼くかだ。再生を上回る速度で細胞を破壊すれば、焼き尽くせると言うことだ」
エンボルゲイノが消し炭になって一時間程経過した。目の前の黒い塊からは、もう生命反応はない。
やはりその巨体ゆえに焼き尽くすのにはだいぶ時間を要した。日が沈みかけている。
魔獣が倒されたことでスチームジャガーの住民兼職員達は安堵して各々に作業をしている。
俺がレーザーで切断した魔獣の電撃触手の周囲には規制線が張られ、防護服を着込んだ人達が細胞サンプルの採取をしていた。
作業をしているのは、全員が権限を持つ上級職員だ。
星外魔獣は存在事態が超機密なわけだ。なら、それらの件に関われるのは相当な権利と信用を持つ研究員のみ絞られるのは当然と言える。
「ムラトくん、ありがとう助かったわ」
そしてこの街の最高権威の一人であるマエラさんが俺を見上げて来た。
制御室にマイルさんとともに閉じ込められていたそうだが、無事に助け出されたらしい。
「いえ、礼には及びません。これが俺達の仕事ですから」
そう返すと、彼女は振り返りエンボルゲイノの焼き尽くされた死体を見やる。
ここで俺は、あることを聞いてみることにした。無論、外部に漏れないように精神感応で。
(マエラさん、あなたも銀河連合の一員なのですか?)
周囲に目を向けるが奴は可視光線を遮蔽してるため、やはりその姿を視覚的にとらえることはできない。
そして怪獣の触覚にも電磁波等の反応はなし。
不可視化に加えセンサー類にすら探知されない、厄介極まりない。
「ここで確実にしとめねぇと、危険すぎる」
自ずと焦ってしまう。
攻撃を受けて手負いになった獣は、死にもの狂いゆえに凶暴性が増して危険だから逃してはならないとは言うが、魔獣の場合は次元が違いすぎる。
奴等は戦況を見極め勝算がなかったり不利と判断すると一時的に退散し、そして戦闘経験や情報を基に外敵に対して効率的に成長と強化を遂げる戦略すら用いる正真正銘の化け物なんだ。
星外魔獣を取り逃がした場合、ただの獣のように凶暴になるどころの話ではないのだ。
より巨大に、より強靭に、より狡猾になって再び姿を現して破壊と殺戮を撒き散らして多くの命を奪うと言う意味合いになる。
「……焦るな。慌てれば、常に物事は上手くいかないものだ。他にも奴を捉える手段はあるはずだ」
可視光線や電磁波と言った光エネルギーだけで探るのではなく、もっと他にも感知する方法はあるはずだ。
感情と思考を落ち着かせるためにも、深呼吸とばかりに鼻孔から空気を大きくゆっくりと取り入れる。
「……分かるぞ、奴の位置が。そこか!」
後方を向き、地上五百メートルの上空目掛け殺獣光線を照射する。
頭部触覚から放たれた不可視領域の高出力レーザーが大気中の塵を焼き払い、青白い軌跡を生み出す。
「ピィギャアァァァァ!!」
そして突如として悲鳴のごとき高周波が響き渡った。
とたん光線の通過した何もないはずの透明な空間から、あふれでるように青黒い液体が噴き出す。
「命中だっ!」
大気、つまりは空気が魔獣の位置を教えてくれた。
……まさか深呼吸で、それに気付くとは。
触覚だけでなく、怪獣の五感は並の生物を遥かに凌駕する程に鋭敏。
空気の臭いや味で大気中の成分が理解でき、当たる僅かな風の動きで周囲の気流が手に取るように分かる。
「いくら不可視化しても、実体がなくなった訳じゃない。あの巨体で動けば空気は大きく揺れ動く。そしてこの惑星には本来存在しない生き物だ、放たれる独自の臭いもすこぶるに異質なもの」
それだけ大きな情報が掴めれば、見えない敵とは言え探り出すのはそう困難ではない。
「パァオォォォン!」
エンボルゲイノの漏れ出す体液が視認できるため、もはや遮蔽能力の意味はない。
レーザーが貫通したことを考えると、さすがに遮蔽能力とバリアの同時併用はできなかったのだろう。
ダメージの影響でイオノクラフトと遮蔽能力の維持ができなくなったのか、透明だった魔獣がその巨体を現し、高速で墜落していく。
そして凄まじい音をあげて俺とスチームジャガーの間の大地へと激突した。
推定三千トンもの物体の墜落、地面が大いに揺れ動き大きく砂煙が舞い上がる。
「くたばったか?」
そして俺は死体確認のため墜落現場へと足を進める。油断せずに。
魔獣の生命力や再生能力は並の生命体のそれを超越している。確実に殺したことを確かめるまで安心はできない。
一応、状況を伝えるためマエラさんに精神感応による言葉を送った。
(マエラさん、聞こえますか。エンボルゲイノを撃墜しました、今から死体の確認をします。死亡が確定しだい、遺体はこの場で滅却します)
(……よかったわ、でも気を付けてね)
安堵したかのような返答はきたが、やはり彼女も油断はしてないようだ。
そして魔獣から数十メートルという所で足を止める。
「……くだらんことを」
屍のようにピクリとも動かないエンボルゲイノの左胸部にはレーザーで穿たれた穴があり、周囲の体組織が焦げて煙があがり、損傷部からは体液が滲み出ていた。
心臓がある位置に穴が開き、死んでるようにしか見えないが……やはりな。
「……パァオォォォン!」
エンボルゲイノはいきなり飛び起き、俺に襲いかかってきた。
「だろうと思ったぜ!」
俺は直ぐ様に体を捻り、その運動と筋肉の収縮が合わさった高速の尾の一撃を魔獣の横っ腹に叩きつけた。
破裂するような強烈な音が鳴り響き、魔獣は数百メートルも吹っ飛んで地面を大きく揺るがせながら転がった。
「……パァオォ……ピィギャッ」
エンボルゲイノは全身の骨格が粉砕したらしく、身体が折れ曲がりスライムのように形が崩れた。
しかし、それでも死んでいないらしく痙攣しながらも魔獣は汚い鳴き声をあげる。
「死んだふりとは、小賢しいことをしやがる」
奴はピクリとも動いてはいなかったが、生体反応は感じていた。おおかた死を装って不意討ちをかましてくるなど分かってたぜ。
ましてやオボロ隊長が戦ったゴドルザーとか言う魔獣も同じことをしてきたのだ、同じ手が通用するわけがねぇだろう。
「今度こそ、息の根を止めてやる」
これ以上戦闘を引き伸ばす気はない。魔獣は見つけしだいすぐに殲滅するのが鉄則。
俺は喉元に火炎燃料を充填し、エンボルゲイノに顔を向ける。
原形が崩壊した魔獣の皮膚は裂け、体液でドロドロに汚れた内臓器官等が剥き出しになっている。
内臓と言っても、肝臓とか腸のような物は見受けられない。
こいつらは戦闘と破壊のみに特化した生命体ゆえに、通常の生物とは肉体構造も内臓の造りも全く異なっている。
つまり戦闘や生命維持に関係ないものは一切有していないため、普通の生き物なら備わっているだろう消化器系や呼吸器等がないのである。
恐らくエンボルゲイノから漏れ出している臓器は、生体性の発電機やバッテリーのようなものだろう。
そして俺は魔獣に向けて、六千度にも及ぶ超高熱火炎を吐きかけた。
「ピィギャアァァァァ!!」
高熱すぎるがゆえに真っ白な炎に包まれるエンボルゲイノは断末魔を轟かせた。
しかし肉体構造が砕けたために身動きがとれず苦痛で暴れることはできない、あとおとなしく周囲の草木や土壌とともに焼かれるのみだ。
「てめえらの精強な生命力と強靭な耐久力と驚異的な再生能力のせいで完全に消すには中々に骨が折れるぜ」
個体差はあれど、その凄まじい生命力と回復力があるため魔獣や超獣を死滅させるにはそれなりに手段が求められる。
高エネルギーを持ってして粉微塵に粉砕するか、あるいは……。
「高熱で持続的に焼くかだ。再生を上回る速度で細胞を破壊すれば、焼き尽くせると言うことだ」
エンボルゲイノが消し炭になって一時間程経過した。目の前の黒い塊からは、もう生命反応はない。
やはりその巨体ゆえに焼き尽くすのにはだいぶ時間を要した。日が沈みかけている。
魔獣が倒されたことでスチームジャガーの住民兼職員達は安堵して各々に作業をしている。
俺がレーザーで切断した魔獣の電撃触手の周囲には規制線が張られ、防護服を着込んだ人達が細胞サンプルの採取をしていた。
作業をしているのは、全員が権限を持つ上級職員だ。
星外魔獣は存在事態が超機密なわけだ。なら、それらの件に関われるのは相当な権利と信用を持つ研究員のみ絞られるのは当然と言える。
「ムラトくん、ありがとう助かったわ」
そしてこの街の最高権威の一人であるマエラさんが俺を見上げて来た。
制御室にマイルさんとともに閉じ込められていたそうだが、無事に助け出されたらしい。
「いえ、礼には及びません。これが俺達の仕事ですから」
そう返すと、彼女は振り返りエンボルゲイノの焼き尽くされた死体を見やる。
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