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超魔の目覚め
訪れる安息
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高熱の影響で橙色に輝きながら煮え立つ土壌。
超獣の姿が消し飛んだ位置は、まさに灼熱地獄である。
そして、そこから数百メートル程離れた大地に巨大な船体が着陸していた。
「熱がおさまりしだい、調査を開始する。準備をしておけ」
「機材等を運び出せ」
「ただちにベースキャンプの敷設にかかる」
そして、その金属の船舶の周りでは多くの船員達の会話が飛び交う。
特殊な防護服を着込み、調査班を編成する者達。
巨大な揚陸艇から各機材や装置等を運搬する者達。
テントの設営を開始する者達。
……しかし彼等の容姿は、明らかにこの惑星に存在する人型種族に該当しない。
そして多種多様な姿と性質を有していた。
人型の爬虫類、昆虫のような翅が生えた小人、エラやヒレのような器官が備わる半魚人のような者など。
「……この人達って、まさか」
そんな彼等の様子をナルミは目を見開きながら眺めていた。
(そうだ、みなこの惑星の者達ではない。魔獣や超獣達によって、故郷を失った者達。お前達から見れば、異星人だ)
そして驚愕するくの一に応じるように、ハクラの言葉が頭の中に伝わってきた。
「……異星人!」
ナルミだって、この星の外側には計り知れない程の広大な領域が存在することは知っている。
もしかすると、その中には自分達以外の文明が存在するかもしれないと言う考えもあった。
しかしだからと言って、これ程の多種多様な知的生命体がいようとは、まず思うまい。
驚くのは当然である。
(ほとんどの種族の総数は千にも満たない)
つまりハクラのその言葉は、この場の異星人達は全員が絶滅する危険性を孕んでいることを意味していた。
異星人なのだから、多くの種族は高度なテクノロジーを持っているだろう。
少なくとも恒星系間を移動できる航法を可能とする程には。
……しかしそれは、そんな彼等でも魔獣や超獣は手に余ると言うこと。
「想像していた以上だよ、超獣や魔獣達がそれ程の災いをもたらしていたなんて」
高度知性体の英知も、世界がもたらす神秘的魔術も通用しない。
圧倒的な破壊力と凶暴性を大宇宙に振りまく怪物ども。
……はたして、そんな奴等との闘いが終わる時は来ようか?
(後の処理は彼等に任せておけ、お前達は少し休んだ方がいいだろう)
するとハクラがそう告げる。
戦いが終わり、安息の時が来たのだ。戦闘で疲弊した体を回復すべきであろう。
しかし彼のその言葉を裏切るかのように、ナルミの後ろを巨大な何かが大地を揺らしながら横切った。
「小便!」
それは全裸の巨大熊。異星人達を見るのは初めてではないためか、驚く姿はない。
……本来なら一番の重傷者であるオボロが休養と治療を必要とするはずだが、もう既に体力が回復したのか元気そうに歩き回っていた。
全身からの流血も止まり、損傷部にはもう既に薄い皮膜が形成されている。
負傷の自然治癒が高速で行われているのが、よく分かる。
(……なんて奴だ。このペースだと、あと数時間もすればオボロの肉体は完治するだろう……いや、それだけにはとどまらんか?)
戦慄と感心を含んだ様子のハクラの言葉が響き渡る。
「よいしょっと」
して排尿のために、成人の頭部並みの巨大金玉を揺らしながらオボロは自分の巨根を掴んだ。
(ナルミ、オボロから離れていろ!)
「えっ? うんっ」
やや慌てた口調のハクラの言葉が響き渡りナルミは一瞬戸惑うが、頷いて後退した。
そして、ブシュー! と言う大きな音ともにオボロの目の前が煙で覆いつくされた。
どうやら排出されているのは蒸気のようである。
「熱つ! 熱ちゃあ! 熱つつつつつ!」
よほどに高温なのだろう、蒸気と化した尿を噴射しながらオボロがその熱さで声をあげる。
(戦闘時に発生した熱が、まだ残っているだ)
ハクラの分析によって超人の睾丸は、精子の産生や内分泌だけでなく、戦闘時に発生した熱を体外に逃がす機能が備わってことが分かっている。
……なら下腹部の周囲の器官なども高温化しており、膀胱内の尿が臨界水のようになっていても不思議ではないかもしれない。
あるいは、この排尿事態が放熱の役割があり、ゆえに急な尿意がきた、と言う考えだってできる。
いずれにしてもオボロの肉体は今だに未知数、ということだけである。
(あの蒸気に触れれば、熱傷どころでは済まんぞ)
超人が全身凶器……いな全身兵器であることは分かるが、ただの小便でさえも殺傷力を秘めているとしか言いようがない。
「おお、すまん。我慢できなくてな」
そして排尿を終えたオボロは、ナルミの傍らに腰をおろして作業をする異星人達を眺め始める。
それに倣いナルミも彼の隣に座り込んだ。
「……今回はすごい大変だったねぇ、隊長」
「ああ、一時はどうなるかと思ったぜぇ。……ナルミ、お前ケガはないか?」
「うん、あたしは大丈夫。……でも」
無事であることアピールするように元気に声を張り上げるが、すぐさまもの悲しげな表情になり後方に目を向けた。
遠く離れたそこで眠るように鎮座しているのは黒き装甲に覆われた魔人。
「クサマがぁ」
アイドリング状態のクサマの姿は痛々しいもの。
両腕と片脚を溶断されたのだから。
最高の相棒がそんな状況なのだ、ナルミが悲痛な顔をするのも仕方あるまい。
(クサマの修理は、シキシマ達に任せておけ)
と、二人の頭の中にハクラの言葉が響き渡る。
そしてそのシキシマだが、今は切り落とされたクサマの手脚の回収に向かっている。
(オボロ、傷の治療は?)
「いらん、いらん」
ハクラの提案に対して、オボロは不要を意味するように右手をヒラヒラさせ、頭を横に振った。
「このぐらいの傷、飯食って寝てりゃあすぐに治る」
(そうか、ならいいが)
「ところで、気になったんだが」
ふと、何かを思い出したかのようにオボロは顔をあげた。
(なんだ?)
「お前、どうやってオレ達の行動を見てるんだ?」
オボロは今まで気になっていたのだ。
ハクラがなぜ常に戦闘の状況を理解できていたのかを。
いずれにせよ何かしらの観測手段があるはずだ、と。
(それに関しては観測衛星と、それと……)
するとどこからともなく小さな球体上の飛翔体がやって来た。
それはオボロの目の前で空中停止する。
「なんだ、この空飛ぶハナクソ?」
(ハナクソって言うなぁ!!)
飛翔体を指さすオボロに、ハクラの怒りの言葉が響き渡る。
当然である、人が開発した物をハナクソ呼ばわりするのだから。
「すっごぉい! 小型のドローンだよ、これ」
そんなオボロとは違い、ナルミはそれが何なのか分かったらしく楽しげな声をあげる。
ニオン程ではないにしろ、ナルミも機械関係には詳しい。
(小型無人観測機『式烏』。小型軽量でありながら高性能なカメラやセンサーを搭載している。これであらゆる情報を収集していたんだ)
高性能は言わずものだが、何よりそれを小型化できていることには驚きの技術と言える。
「オボロ様あぁぁぁ!」
と、そんな三人のやり取りを終わらせるがごとく多目的揚陸艇から二つの人影……いや軟体生物が向かってくる姿があった。
「んっ? あいつらはたしか……」
無数の触手をくねらせて芥子色の者達がやってくる。
それは見覚えがある容姿。
と、言うよりもオボロはゴドルザー戦後に彼等の仲間と接触していた。
「たしか、チブラスだったなぁ」
(ああ。グランドドスの一件であいつらは、お前に相当な感心と信用を寄せているからな、もはや心酔している。まあ、チブラスだけではない、今となっては数多の異星人達が、お前に一目している。お前の強さは、この銀河系に存在する者達を魅了しているとも言えるな)
異星人達がオボロに感心を寄せるのは、当然と言えば当然かも知れない。
自分達の英知を持っても対処できない化け物達と、素手と言う原始的な手段でやりあっているのだから。
超獣の姿が消し飛んだ位置は、まさに灼熱地獄である。
そして、そこから数百メートル程離れた大地に巨大な船体が着陸していた。
「熱がおさまりしだい、調査を開始する。準備をしておけ」
「機材等を運び出せ」
「ただちにベースキャンプの敷設にかかる」
そして、その金属の船舶の周りでは多くの船員達の会話が飛び交う。
特殊な防護服を着込み、調査班を編成する者達。
巨大な揚陸艇から各機材や装置等を運搬する者達。
テントの設営を開始する者達。
……しかし彼等の容姿は、明らかにこの惑星に存在する人型種族に該当しない。
そして多種多様な姿と性質を有していた。
人型の爬虫類、昆虫のような翅が生えた小人、エラやヒレのような器官が備わる半魚人のような者など。
「……この人達って、まさか」
そんな彼等の様子をナルミは目を見開きながら眺めていた。
(そうだ、みなこの惑星の者達ではない。魔獣や超獣達によって、故郷を失った者達。お前達から見れば、異星人だ)
そして驚愕するくの一に応じるように、ハクラの言葉が頭の中に伝わってきた。
「……異星人!」
ナルミだって、この星の外側には計り知れない程の広大な領域が存在することは知っている。
もしかすると、その中には自分達以外の文明が存在するかもしれないと言う考えもあった。
しかしだからと言って、これ程の多種多様な知的生命体がいようとは、まず思うまい。
驚くのは当然である。
(ほとんどの種族の総数は千にも満たない)
つまりハクラのその言葉は、この場の異星人達は全員が絶滅する危険性を孕んでいることを意味していた。
異星人なのだから、多くの種族は高度なテクノロジーを持っているだろう。
少なくとも恒星系間を移動できる航法を可能とする程には。
……しかしそれは、そんな彼等でも魔獣や超獣は手に余ると言うこと。
「想像していた以上だよ、超獣や魔獣達がそれ程の災いをもたらしていたなんて」
高度知性体の英知も、世界がもたらす神秘的魔術も通用しない。
圧倒的な破壊力と凶暴性を大宇宙に振りまく怪物ども。
……はたして、そんな奴等との闘いが終わる時は来ようか?
(後の処理は彼等に任せておけ、お前達は少し休んだ方がいいだろう)
するとハクラがそう告げる。
戦いが終わり、安息の時が来たのだ。戦闘で疲弊した体を回復すべきであろう。
しかし彼のその言葉を裏切るかのように、ナルミの後ろを巨大な何かが大地を揺らしながら横切った。
「小便!」
それは全裸の巨大熊。異星人達を見るのは初めてではないためか、驚く姿はない。
……本来なら一番の重傷者であるオボロが休養と治療を必要とするはずだが、もう既に体力が回復したのか元気そうに歩き回っていた。
全身からの流血も止まり、損傷部にはもう既に薄い皮膜が形成されている。
負傷の自然治癒が高速で行われているのが、よく分かる。
(……なんて奴だ。このペースだと、あと数時間もすればオボロの肉体は完治するだろう……いや、それだけにはとどまらんか?)
戦慄と感心を含んだ様子のハクラの言葉が響き渡る。
「よいしょっと」
して排尿のために、成人の頭部並みの巨大金玉を揺らしながらオボロは自分の巨根を掴んだ。
(ナルミ、オボロから離れていろ!)
「えっ? うんっ」
やや慌てた口調のハクラの言葉が響き渡りナルミは一瞬戸惑うが、頷いて後退した。
そして、ブシュー! と言う大きな音ともにオボロの目の前が煙で覆いつくされた。
どうやら排出されているのは蒸気のようである。
「熱つ! 熱ちゃあ! 熱つつつつつ!」
よほどに高温なのだろう、蒸気と化した尿を噴射しながらオボロがその熱さで声をあげる。
(戦闘時に発生した熱が、まだ残っているだ)
ハクラの分析によって超人の睾丸は、精子の産生や内分泌だけでなく、戦闘時に発生した熱を体外に逃がす機能が備わってことが分かっている。
……なら下腹部の周囲の器官なども高温化しており、膀胱内の尿が臨界水のようになっていても不思議ではないかもしれない。
あるいは、この排尿事態が放熱の役割があり、ゆえに急な尿意がきた、と言う考えだってできる。
いずれにしてもオボロの肉体は今だに未知数、ということだけである。
(あの蒸気に触れれば、熱傷どころでは済まんぞ)
超人が全身凶器……いな全身兵器であることは分かるが、ただの小便でさえも殺傷力を秘めているとしか言いようがない。
「おお、すまん。我慢できなくてな」
そして排尿を終えたオボロは、ナルミの傍らに腰をおろして作業をする異星人達を眺め始める。
それに倣いナルミも彼の隣に座り込んだ。
「……今回はすごい大変だったねぇ、隊長」
「ああ、一時はどうなるかと思ったぜぇ。……ナルミ、お前ケガはないか?」
「うん、あたしは大丈夫。……でも」
無事であることアピールするように元気に声を張り上げるが、すぐさまもの悲しげな表情になり後方に目を向けた。
遠く離れたそこで眠るように鎮座しているのは黒き装甲に覆われた魔人。
「クサマがぁ」
アイドリング状態のクサマの姿は痛々しいもの。
両腕と片脚を溶断されたのだから。
最高の相棒がそんな状況なのだ、ナルミが悲痛な顔をするのも仕方あるまい。
(クサマの修理は、シキシマ達に任せておけ)
と、二人の頭の中にハクラの言葉が響き渡る。
そしてそのシキシマだが、今は切り落とされたクサマの手脚の回収に向かっている。
(オボロ、傷の治療は?)
「いらん、いらん」
ハクラの提案に対して、オボロは不要を意味するように右手をヒラヒラさせ、頭を横に振った。
「このぐらいの傷、飯食って寝てりゃあすぐに治る」
(そうか、ならいいが)
「ところで、気になったんだが」
ふと、何かを思い出したかのようにオボロは顔をあげた。
(なんだ?)
「お前、どうやってオレ達の行動を見てるんだ?」
オボロは今まで気になっていたのだ。
ハクラがなぜ常に戦闘の状況を理解できていたのかを。
いずれにせよ何かしらの観測手段があるはずだ、と。
(それに関しては観測衛星と、それと……)
するとどこからともなく小さな球体上の飛翔体がやって来た。
それはオボロの目の前で空中停止する。
「なんだ、この空飛ぶハナクソ?」
(ハナクソって言うなぁ!!)
飛翔体を指さすオボロに、ハクラの怒りの言葉が響き渡る。
当然である、人が開発した物をハナクソ呼ばわりするのだから。
「すっごぉい! 小型のドローンだよ、これ」
そんなオボロとは違い、ナルミはそれが何なのか分かったらしく楽しげな声をあげる。
ニオン程ではないにしろ、ナルミも機械関係には詳しい。
(小型無人観測機『式烏』。小型軽量でありながら高性能なカメラやセンサーを搭載している。これであらゆる情報を収集していたんだ)
高性能は言わずものだが、何よりそれを小型化できていることには驚きの技術と言える。
「オボロ様あぁぁぁ!」
と、そんな三人のやり取りを終わらせるがごとく多目的揚陸艇から二つの人影……いや軟体生物が向かってくる姿があった。
「んっ? あいつらはたしか……」
無数の触手をくねらせて芥子色の者達がやってくる。
それは見覚えがある容姿。
と、言うよりもオボロはゴドルザー戦後に彼等の仲間と接触していた。
「たしか、チブラスだったなぁ」
(ああ。グランドドスの一件であいつらは、お前に相当な感心と信用を寄せているからな、もはや心酔している。まあ、チブラスだけではない、今となっては数多の異星人達が、お前に一目している。お前の強さは、この銀河系に存在する者達を魅了しているとも言えるな)
異星人達がオボロに感心を寄せるのは、当然と言えば当然かも知れない。
自分達の英知を持っても対処できない化け物達と、素手と言う原始的な手段でやりあっているのだから。
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