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潜みし脅威
初めての恐ろしさ
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改めて小屋の中を見渡すと、以外と中はひっそりとした見映えだった。
「見た目は大きいけど、中はけっこう質素な感じなのね」
壁や天井を見ながらミアナは囁く。
超人が住んでいるため広々とはしているが、置いてあるのは巨大な布団と木製や金属製の鍛練器具、それと布団の近くには十数冊の官能小説とナイトキャップを被ったクマの縫いぐるみ、部屋の隅には錘がついた洗濯バサミや鞭などの用途がよく分からない道具が幾つか、と言ったところだった。
仮住まいの材質は、二十トンを越えるオボロの体重でも破損しないように不動樫が使われているらしい。
そのため床も壁も黒い。ゆえに天井に裸電球は吊るされてはいるが、オボロの小屋は暗めの空間であった。
「せっかく、来たんだ。いい酒でも飲んでいくか? ゲン・ドラゴンでしか手に入らない超絶の逸品だ。臭いはキツいが、体が温まるぞ」
そう言ってオボロは、背後にあった未開封の酒瓶を掴んでミアナに見せつけた。
瓶の中の液体は赤黒く、何か棒状の物体が漬け込まれている。
……商品名は『秘伝超絶倫力・頭魂馬根酒』となっていた。
「……い、いらないわ」
見ただけで、まともな飲物ではないと分かりミアナは激しく顔を横に振るのであった。
いったい何を配合したら、あんな色の酒になるのだろうか。
何より、酒の中に漬け込まれている棒状の物体が不気味すぎる。
とてもではないが、酒の材料が何なのかなど聞く気にはなれなかった。
「そうか。オレはいっつも、こいつを愛飲しながら自慰をしてるんだが」
オボロは小さく言うと、赤黒い酒を下げた。
「ぎ……ぎしき? いったい何の儀式なの?」
ミアナは不快な表情で問う。
そんな彼女とは裏腹に、オボロは楽しげに答えた。
「そうだな、ザーメンの召喚とでも言っておくか」
「聞かないほうが、よかったわ」
ミアナは、オボロの様子を怪訝に思うのであった。
自慰中の姿を女に目撃されたにも関わらず羞恥した様子がないのもどうかしていると思うが、異様なまでに和気あいあいに語りかけてくることに違和感を感じるのだ。
昼間は互いに険悪だったにも関わらず、今はまるで慣れ親しんでるかのようにしている。
昼間のことを気にしていないのか、あるいは絶対的な強者ゆえの余裕からか、その真意は分からない。
……いずれにせよ、オボロの機嫌は悪くなさそうだ。ならば、好機である。
一人こんな所で、自慰などをしてるのだ。超人と言えども、やはり欲求が存在する一人の男であることにはかわらないのだろう。
「オボロ、頼みがあるんだけど」
「そうそう、そうだったな。どんな頼みだ? 武力介入以外のことなら多少のことは飲んでやるぞ」
そう言ってオボロは、佇むミアナを見下ろした。
オボロは布団の上で胡座をかいているのだが、超人の身の丈は四メートル半以上。傍らに立つ小さな少女を見下ろしてしまうのも当然である。
「……オボロ」
ミアナは小さく声をあげると、目の前の剛腕に抱きつくように身を寄せた。そして自分の胸や頬をオボロの図太い左腕に接触させて愛撫する。
「昼間のことを……謝りに来たの」
ミアナは少しでも自分を可愛く見せようと上目遣いで、オボロの目を見つめる。
だがしかし少なからずとも恐ろしさを感じたのだろう、彼女の語尾は震えていた。
今ミアナが抱きついているのは、一千五百万馬力にもなるとされる超怪力と通常武装や通常魔術が通用しない強靭な体毛と表皮と骨格筋からなる複合装甲を備えた怪物中の怪物。普通の人なら、誰だって不安になるだろう。
……しかし、その力を得ることができれば国を奪い返すと言う願望はなしとげられる。
「それに、こんなところで一人でいたら寂しいんじゃないかと思って、あなたに会いに来たの」
ミアナは更に自分の体をオボロの剛腕に擦り付ける。
「なんだミアナ、日中の時とは違って随分と可愛いことを言うじゃないか。確かに孤独の自慰なんてやってても寂しいもんだぜ」
ヘラヘラ笑うようにオボロは答えた。
「本当なら娼館とかに行って、全部発散してぇものよ。オレはこう見えて性交未経験なんだぜ、笑っちまうよな」
オボロのその言葉を聞いた瞬間、ミアナは最高の好機と考えてついにそれを口にする。
「そうなんだ。昼間の謝罪になるかは分からないけど、わたしで良かったらあなたのものになってあげてもいいと思って。だから、わたしの体を好きなようにしてもいいのよ」
「おうそうか! そいつはありがてぇ!」
オボロはあっけらかんとした口調で返答すると、いきなりに少女の胴体を右手で掴み軽々と持ち上げて自分の目の前に持ってきた。
端から見ると、大きめの着せ替え人形を手にした大男と言った光景であろう。
「……えっ?」
超人の手に掴まれたミアナは呆気にとられように口を開いた。
こんな唐突かつ易々と受け入れてくれるとは、思っていなかったのだ。
オボロは悩みに悩んだすえに欲求に耐えられず自分に手を出してしまうと言うシナリオをミアナはイメージしていた。
「それじゃあミアナ、頼むぞ。なんとか加減はしてみるぜ」
オボロは楽しそうに、掴んで宙ぶらりんになってるミアナに巨大な顔を近づけた。
しかしそんな彼の楽しげな様子に不気味さを感じたのか、ミアナは背中にざわざわと寒気を走らせた。これから自分は犯される。それを悟ったのだ。
……いや、それが目的だったのだから何を恐れようか。ミアナは自分に言い聞かせるように、何度も心の中で呟いた。
……これでいい、予定通りだと。
しかしオボロの手の中で下を見た瞬間、ミアナは小さな悲鳴を漏らした。
「……ひぃ」
今ミアナはオボロと向かい合っている状態にある。つまり彼女の真下にあるのは、超人の生殖器であった。
昼間の時とは違い、改めて間近で目にすると恐ろしいものである。これを人の体の一部と言っていいものだろうか?
ミアナの真下にあるのは、巨大な凶器と言ってもおかしくないものであった。
……こんなもの、本当に人の体の中に入るのだろうか。強大な力が得られるなら、男と寝ることなど怖くはないと思っていた。
しかし現実は違っていた。
オボロの凶器的な器官が、自分の体内に入り込むことを考えると恐怖が背筋を貫いた。
「ミアナ、礼を言うぜ。オレは永遠に童貞かと思ったが、お前のおかげでそれはなくなりそうだ」
オボロはニヤリと笑った。
「ところで、なぜオレが女を抱けないか分かるか。まあ早い話、挿れようものなら女の胴体が引き裂けるからだ。そして女の体内で達したら、内圧に耐えきれず花火みてぇに破裂するかもしれねぇんだよ」
そして淡々とした様子で語るのであった。
それを聞いた瞬間ミアナは絶句した。
目の前に迫った男女の行為の恐怖に飲まれる。
それは男に無理矢理に押さえつけられて強姦される恐怖ではなく、大きな凶器でメッタ刺しにされて切り刻まれて体を破壊される死の恐怖であった。
「それじゃあ、始めるか」
そう言ってオボロは、ミアナの片足を掴んで股を開かせた。
すると声にもならないような悲鳴が聞こえてきた。
「……い……いやあぁぁぁ……お願い……や……やめてぇ」
ミアナは恐ろしさのあまりか顔を涙で濡らしながら、痙攣したかのように震え上がっていた。
そんな彼女を見てオボロは溜め息を吐き、ミアナを優しく床の上に戻した。
「いい加減にするんだ、ミアナ。お前が何を目論んでいたか、おおかた見当はついている」
そう言ってオボロは厳しい視線をミアナに向けるのであった。
「見た目は大きいけど、中はけっこう質素な感じなのね」
壁や天井を見ながらミアナは囁く。
超人が住んでいるため広々とはしているが、置いてあるのは巨大な布団と木製や金属製の鍛練器具、それと布団の近くには十数冊の官能小説とナイトキャップを被ったクマの縫いぐるみ、部屋の隅には錘がついた洗濯バサミや鞭などの用途がよく分からない道具が幾つか、と言ったところだった。
仮住まいの材質は、二十トンを越えるオボロの体重でも破損しないように不動樫が使われているらしい。
そのため床も壁も黒い。ゆえに天井に裸電球は吊るされてはいるが、オボロの小屋は暗めの空間であった。
「せっかく、来たんだ。いい酒でも飲んでいくか? ゲン・ドラゴンでしか手に入らない超絶の逸品だ。臭いはキツいが、体が温まるぞ」
そう言ってオボロは、背後にあった未開封の酒瓶を掴んでミアナに見せつけた。
瓶の中の液体は赤黒く、何か棒状の物体が漬け込まれている。
……商品名は『秘伝超絶倫力・頭魂馬根酒』となっていた。
「……い、いらないわ」
見ただけで、まともな飲物ではないと分かりミアナは激しく顔を横に振るのであった。
いったい何を配合したら、あんな色の酒になるのだろうか。
何より、酒の中に漬け込まれている棒状の物体が不気味すぎる。
とてもではないが、酒の材料が何なのかなど聞く気にはなれなかった。
「そうか。オレはいっつも、こいつを愛飲しながら自慰をしてるんだが」
オボロは小さく言うと、赤黒い酒を下げた。
「ぎ……ぎしき? いったい何の儀式なの?」
ミアナは不快な表情で問う。
そんな彼女とは裏腹に、オボロは楽しげに答えた。
「そうだな、ザーメンの召喚とでも言っておくか」
「聞かないほうが、よかったわ」
ミアナは、オボロの様子を怪訝に思うのであった。
自慰中の姿を女に目撃されたにも関わらず羞恥した様子がないのもどうかしていると思うが、異様なまでに和気あいあいに語りかけてくることに違和感を感じるのだ。
昼間は互いに険悪だったにも関わらず、今はまるで慣れ親しんでるかのようにしている。
昼間のことを気にしていないのか、あるいは絶対的な強者ゆえの余裕からか、その真意は分からない。
……いずれにせよ、オボロの機嫌は悪くなさそうだ。ならば、好機である。
一人こんな所で、自慰などをしてるのだ。超人と言えども、やはり欲求が存在する一人の男であることにはかわらないのだろう。
「オボロ、頼みがあるんだけど」
「そうそう、そうだったな。どんな頼みだ? 武力介入以外のことなら多少のことは飲んでやるぞ」
そう言ってオボロは、佇むミアナを見下ろした。
オボロは布団の上で胡座をかいているのだが、超人の身の丈は四メートル半以上。傍らに立つ小さな少女を見下ろしてしまうのも当然である。
「……オボロ」
ミアナは小さく声をあげると、目の前の剛腕に抱きつくように身を寄せた。そして自分の胸や頬をオボロの図太い左腕に接触させて愛撫する。
「昼間のことを……謝りに来たの」
ミアナは少しでも自分を可愛く見せようと上目遣いで、オボロの目を見つめる。
だがしかし少なからずとも恐ろしさを感じたのだろう、彼女の語尾は震えていた。
今ミアナが抱きついているのは、一千五百万馬力にもなるとされる超怪力と通常武装や通常魔術が通用しない強靭な体毛と表皮と骨格筋からなる複合装甲を備えた怪物中の怪物。普通の人なら、誰だって不安になるだろう。
……しかし、その力を得ることができれば国を奪い返すと言う願望はなしとげられる。
「それに、こんなところで一人でいたら寂しいんじゃないかと思って、あなたに会いに来たの」
ミアナは更に自分の体をオボロの剛腕に擦り付ける。
「なんだミアナ、日中の時とは違って随分と可愛いことを言うじゃないか。確かに孤独の自慰なんてやってても寂しいもんだぜ」
ヘラヘラ笑うようにオボロは答えた。
「本当なら娼館とかに行って、全部発散してぇものよ。オレはこう見えて性交未経験なんだぜ、笑っちまうよな」
オボロのその言葉を聞いた瞬間、ミアナは最高の好機と考えてついにそれを口にする。
「そうなんだ。昼間の謝罪になるかは分からないけど、わたしで良かったらあなたのものになってあげてもいいと思って。だから、わたしの体を好きなようにしてもいいのよ」
「おうそうか! そいつはありがてぇ!」
オボロはあっけらかんとした口調で返答すると、いきなりに少女の胴体を右手で掴み軽々と持ち上げて自分の目の前に持ってきた。
端から見ると、大きめの着せ替え人形を手にした大男と言った光景であろう。
「……えっ?」
超人の手に掴まれたミアナは呆気にとられように口を開いた。
こんな唐突かつ易々と受け入れてくれるとは、思っていなかったのだ。
オボロは悩みに悩んだすえに欲求に耐えられず自分に手を出してしまうと言うシナリオをミアナはイメージしていた。
「それじゃあミアナ、頼むぞ。なんとか加減はしてみるぜ」
オボロは楽しそうに、掴んで宙ぶらりんになってるミアナに巨大な顔を近づけた。
しかしそんな彼の楽しげな様子に不気味さを感じたのか、ミアナは背中にざわざわと寒気を走らせた。これから自分は犯される。それを悟ったのだ。
……いや、それが目的だったのだから何を恐れようか。ミアナは自分に言い聞かせるように、何度も心の中で呟いた。
……これでいい、予定通りだと。
しかしオボロの手の中で下を見た瞬間、ミアナは小さな悲鳴を漏らした。
「……ひぃ」
今ミアナはオボロと向かい合っている状態にある。つまり彼女の真下にあるのは、超人の生殖器であった。
昼間の時とは違い、改めて間近で目にすると恐ろしいものである。これを人の体の一部と言っていいものだろうか?
ミアナの真下にあるのは、巨大な凶器と言ってもおかしくないものであった。
……こんなもの、本当に人の体の中に入るのだろうか。強大な力が得られるなら、男と寝ることなど怖くはないと思っていた。
しかし現実は違っていた。
オボロの凶器的な器官が、自分の体内に入り込むことを考えると恐怖が背筋を貫いた。
「ミアナ、礼を言うぜ。オレは永遠に童貞かと思ったが、お前のおかげでそれはなくなりそうだ」
オボロはニヤリと笑った。
「ところで、なぜオレが女を抱けないか分かるか。まあ早い話、挿れようものなら女の胴体が引き裂けるからだ。そして女の体内で達したら、内圧に耐えきれず花火みてぇに破裂するかもしれねぇんだよ」
そして淡々とした様子で語るのであった。
それを聞いた瞬間ミアナは絶句した。
目の前に迫った男女の行為の恐怖に飲まれる。
それは男に無理矢理に押さえつけられて強姦される恐怖ではなく、大きな凶器でメッタ刺しにされて切り刻まれて体を破壊される死の恐怖であった。
「それじゃあ、始めるか」
そう言ってオボロは、ミアナの片足を掴んで股を開かせた。
すると声にもならないような悲鳴が聞こえてきた。
「……い……いやあぁぁぁ……お願い……や……やめてぇ」
ミアナは恐ろしさのあまりか顔を涙で濡らしながら、痙攣したかのように震え上がっていた。
そんな彼女を見てオボロは溜め息を吐き、ミアナを優しく床の上に戻した。
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