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最終魔戦
最悪な魔物達
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リマが安らかに息を引き取ると、多くのエルフ達が彼女のもとに駆け寄ってきた。
「必ず仇は取る、だから安らかに眠れ」
「里の土に、かえしてあげるからね」
同胞の死に涙を流すエルフ達。
その様子を少しばかり眺めるとオボロはゆっくりと立ち上がり、地面にめり込んだ鉞のもとに向かいそれを引き抜く。
そしてロランに目を向けた。
「それでだ、ロラン。これから奇襲をかける」
「奇襲? まさか後方で控えてる魔王軍の本隊に仕掛けるつもりですか。いくら何でも無茶ですよ!」
オボロは事も無げに言うが、ロランから見れば無謀な作戦としか言えなかった。
「あの丘の向こうには、魔王軍幹部の三人と魔物の大軍が控えてるんですよ!」
そう言いながらロランは集落の南方にある丘を指差す。その丘の向こうで魔の種族達がひしめいていることを意味している。
「奇襲をかけても多少の混乱が起きるだけで、圧倒的な力と数で制圧されてしまうのがオチです」
しかしそんなロランに応じず、オボロは僧侶の少女のルナに問いかけた。
「お嬢ちゃん、魔王軍の数はどのぐらいだ?」
「えっと、魔王軍幹部三人の他に、魔王から力を与えられた鬼達が五百程、それから初めて見る魔物が……」
と、ルナが言っている最中にいきなり土煙が舞い上がった。
いきなり彼女達がいる付近の地面が盛り上がり、吹き飛んだのだ。
「だわーはっはっ! チュドーン!!」
奇声とともに吹き飛んだ地面から何かが這い出てくる。それは赤い体毛に覆われ股間部に二つの鉄球が備わった、身の丈約四メートル程の狸型の怪物であった。
その怪物はギョロギョロと目を動かし、狼超人の亡骸を確認する。
「おのれ! よくも狼超人達を殺ってくれたな。これは高くつくぞぉ」
その赤い狸は甲高い声を上げならが腰を振って股間の鉄球を激しくぶつかり合わせた。
狸のギョロギョロとした目はオボロだけを捉えており、他の者にはまるで興味がないようだ。
「そこの熊に問うぞ、これの名をいってみろ!」
オボロに問いかける赤い狸は自分の鉄球を指差して興奮したかのように激しく腰を振る。
それにたいしてオボロは、つまらなそうな表情をした。
「初めて見るな、この赤狸は新種の魔物か。けっ! 男根のねぇ野郎が、調子にのるな! そんな無機質な金玉なんざ魅力がねぇぜ」
「なんだと! ワシの金玉を愚弄するか! もう、ムキー!」
オボロの言葉に激怒して頭から湯気をあげる赤い狸。
「おのれ! ワシは怒ったぞ。偉大なる力によって創造されし肉体を、それも大事な金玉を愚弄しよるとは、許せんっ!」
「偉大なる力? 魔王の力か」
「それは教えぬ。みだりに口にすることは許されておらぬからな」
「……そうか、偉大なる力。ニオンが言っていたのは、それのことか」
オボロは赤い狸の言葉を聞いて何かを理解したかのように、ニッと口角をあげて小さく呟いた。
「ワシの名はアカマダ。来やれ! ワシの同胞達よ、その名はペニチュウ三兄弟!」
するとアカマダが呪文のように何かを言い出すと、アカマダの足下の地面が盛り上がり何かが飛び出した。
「「「チューチュー! ペニチュウー!」」」
奇妙な鳴き声をあげるそれは体毛がいっさい生えていない、三匹の体長二メートル程のネズミ型の怪物であった。その額には男の生殖器のような角がそびえ立っている。
「なんだ、このネズミどもは? これも偉大なる力とか言うものが作った魔物か?」
オボロは三匹のペニチュウ達を見て言う。
一見体毛がないだけの巨大ネズミだが、その額にはおぞましき形状の角が生えている。
オボロは、これが攻撃器官なのだろうかと考えた。
「チュー!」
と、いきなり一匹のペニチュウが角の先端からオボロに向けて白い液体を放出した。
しかし、オボロは事も無げにそれを回避する。
外れた白い液体は大地にぶっかかり、モクモクと煙をあげた。どうやら白い液体は強酸のようだった。
「だははは! ペニチュウの酸は骨まで焼くほどに強力じゃ。しかし、それだけではないぞ。ペニチュウよ、見せてやれい!」
「ペニチュウ!!」
アカマダが甲高い声で指示すると、酸を放ったペニチュウとは別の個体が近くにあった岩に頭突きをかました。正確には男根のごとき角を突き出して岩に激突したと言えるが。
その角の一撃は強烈だった。岩が音を立てて割れたのだ。
「ひょーほっほっ! どうじゃ、このペニチュウ達の威力は。恐れるがよい」
ペニチュウ達の破壊力を見せつけたアカマダは笑い声をあげる。
しかしオボロは慌てたようすも見せず鉞を地に置くと、いきなりズボンを脱ぎ捨て自分の男根を魔物達に見せつけた。
「男はこうじゃねぇとならねぇ! お前らのは、へなちょこなんだよ」
「はぶぶぶ! しだるまポンチになりおった。なんと貴様、そのような珍宝を隠していたのか!」
「「「ペニチュウぅぅぅ!!」」」
アカマダはオボロの股間に備わる立派すぎるそれを指差して驚愕の叫びをあげた。彼だけでなくペニチュウ三兄弟も絶叫のごとき鳴き声を響かせる。
しかし彼等の下品なやり取りにロランも住民達も頭を抱えた。ルナなどの女性陣は悲鳴をあげていた。
むろんロランは、オボロがこういう人物であることは理解している。
「師匠! なにやってんですか! 真面目にやってくださいよ!」
強くて頼りになるのに、この性格だけは変わっていないようだ。ロランは心の中で嘆いた。
「オレは大真面目よう。そら! ペニチュウども、来っしゃい! 本物が備わる男の力を見してやる!」
オボロが挑発的に言うと、ペニチュウ達は自慢の角を侮られと思ったのか激怒して一斉に突っ込んできた。
「「「チューチューチュー! ペニチュウ!」」」
ネズミらしくペニチュウ達の動きは速かった。そのまま加速して最高速に達する。
そしてオボロの手前で飛び上がり、三匹まとめて全力の角をオボロの体に叩き込んだ。
胸、腹、脇腹に岩をも割る一撃が襲いかかったのだ。無事でいられるはずがない。
しかしオボロは、微動だにしていない。
「へっ、避けるまでもねぇ」
鼻で笑うオボロ。
分厚い皮膚と強靭な筋肉の複合装甲を壊すには、ペニチュウ達の攻撃では役不足であった。
そしてオボロの反撃が始まる。
「くたばれぇ!」
オボロは左右の手で二匹のペニチュウの頭を鷲掴みにする。そして両者の頭部を胸の前で力任せに叩きつけた。
ペニチュウ達の頭蓋が砕け散り、脳髄と眼球が弾け飛ぶ。
「チュー……」
最後の一匹は兄弟達の頭が砕ける瞬間に恐怖したのか後ずさる。
しかし容赦なく、そのペニチュウにも剛腕が伸びてきた。
オボロは最後の一匹の角を掴みとる、やはり怪力に任せてその角を無理矢理に引き抜いた。
ペニチュウの額周辺の皮膚と骨が剥がれ、そこからドロドロと脳髄と脳液が流れ落ちた。
オボロはペニチュウの遺体を投げ捨て、アカマダに顔を向ける。
雑魚の処理は終わり、これからが本命であることを意味しているようだ。
「次は、お前だぜ」
そしてオボロは再び鉞を持ち構えた。
「なんとなんと、ペニチュウ達がこうもあっさりと」
ペニチュウ達が容易く殺られるとは思っていなかったのか、アカマダはやや驚いたように言う。
しかし、すぐに立ち直りニタリと醜悪な笑みを見せた。
「ふぉふぉふぉ! あのペニチュウ達を倒すとは、やりおるな。ほれ褒美じゃ、食らえ! 放射胃液!」
オボロに賞賛の言葉を送ったのも束の間、不意打ちにアカマダは謎の液体を吐きかけてもきた。
「あぶねっ!!」
反射的にオボロは鉞を盾にして謎の液体を防いだ。しかしオボロ愛用のその武器は無惨にも煙をあげて腐蝕して崩れ去った。
アカマダが吐き出したのは強力な胃液であったのだ。
「お前、人のものに!」
愛用の鉞が使い物にならなくなり、オボロは怒鳴り声をあげる。
しかし、そんな怒りの矛先であるアカマダの様子が変だった。
「オゲー! ちょ……待って! ホエー! この技使うと……メッチャ気分悪くなるんだよ」
両膝をついて胃袋の中身をぶちまけるアカマダ。一度使用すると、胃袋が空になり、しばらく気持ち悪くなる副作用がある技であった。
なんとか落ち着きを取り戻し、バッと立ち上がるアカマダ。
「ふぇーへっへっ! お前は、もう丸腰だ。武器もなしにワシに勝てるか?」
「オレには肉体って言う武器があるぜ! 人の大事な鉞をダメにしやがって、許さねぇぜ」
アカマダは笑いながら股関部にある鉄球に手をやる。そしてオボロは怒りを高ぶらせながら全身に力をこめて筋肉を隆起させた。
巨体同士の闘いが始まろうとしていた。
「必ず仇は取る、だから安らかに眠れ」
「里の土に、かえしてあげるからね」
同胞の死に涙を流すエルフ達。
その様子を少しばかり眺めるとオボロはゆっくりと立ち上がり、地面にめり込んだ鉞のもとに向かいそれを引き抜く。
そしてロランに目を向けた。
「それでだ、ロラン。これから奇襲をかける」
「奇襲? まさか後方で控えてる魔王軍の本隊に仕掛けるつもりですか。いくら何でも無茶ですよ!」
オボロは事も無げに言うが、ロランから見れば無謀な作戦としか言えなかった。
「あの丘の向こうには、魔王軍幹部の三人と魔物の大軍が控えてるんですよ!」
そう言いながらロランは集落の南方にある丘を指差す。その丘の向こうで魔の種族達がひしめいていることを意味している。
「奇襲をかけても多少の混乱が起きるだけで、圧倒的な力と数で制圧されてしまうのがオチです」
しかしそんなロランに応じず、オボロは僧侶の少女のルナに問いかけた。
「お嬢ちゃん、魔王軍の数はどのぐらいだ?」
「えっと、魔王軍幹部三人の他に、魔王から力を与えられた鬼達が五百程、それから初めて見る魔物が……」
と、ルナが言っている最中にいきなり土煙が舞い上がった。
いきなり彼女達がいる付近の地面が盛り上がり、吹き飛んだのだ。
「だわーはっはっ! チュドーン!!」
奇声とともに吹き飛んだ地面から何かが這い出てくる。それは赤い体毛に覆われ股間部に二つの鉄球が備わった、身の丈約四メートル程の狸型の怪物であった。
その怪物はギョロギョロと目を動かし、狼超人の亡骸を確認する。
「おのれ! よくも狼超人達を殺ってくれたな。これは高くつくぞぉ」
その赤い狸は甲高い声を上げならが腰を振って股間の鉄球を激しくぶつかり合わせた。
狸のギョロギョロとした目はオボロだけを捉えており、他の者にはまるで興味がないようだ。
「そこの熊に問うぞ、これの名をいってみろ!」
オボロに問いかける赤い狸は自分の鉄球を指差して興奮したかのように激しく腰を振る。
それにたいしてオボロは、つまらなそうな表情をした。
「初めて見るな、この赤狸は新種の魔物か。けっ! 男根のねぇ野郎が、調子にのるな! そんな無機質な金玉なんざ魅力がねぇぜ」
「なんだと! ワシの金玉を愚弄するか! もう、ムキー!」
オボロの言葉に激怒して頭から湯気をあげる赤い狸。
「おのれ! ワシは怒ったぞ。偉大なる力によって創造されし肉体を、それも大事な金玉を愚弄しよるとは、許せんっ!」
「偉大なる力? 魔王の力か」
「それは教えぬ。みだりに口にすることは許されておらぬからな」
「……そうか、偉大なる力。ニオンが言っていたのは、それのことか」
オボロは赤い狸の言葉を聞いて何かを理解したかのように、ニッと口角をあげて小さく呟いた。
「ワシの名はアカマダ。来やれ! ワシの同胞達よ、その名はペニチュウ三兄弟!」
するとアカマダが呪文のように何かを言い出すと、アカマダの足下の地面が盛り上がり何かが飛び出した。
「「「チューチュー! ペニチュウー!」」」
奇妙な鳴き声をあげるそれは体毛がいっさい生えていない、三匹の体長二メートル程のネズミ型の怪物であった。その額には男の生殖器のような角がそびえ立っている。
「なんだ、このネズミどもは? これも偉大なる力とか言うものが作った魔物か?」
オボロは三匹のペニチュウ達を見て言う。
一見体毛がないだけの巨大ネズミだが、その額にはおぞましき形状の角が生えている。
オボロは、これが攻撃器官なのだろうかと考えた。
「チュー!」
と、いきなり一匹のペニチュウが角の先端からオボロに向けて白い液体を放出した。
しかし、オボロは事も無げにそれを回避する。
外れた白い液体は大地にぶっかかり、モクモクと煙をあげた。どうやら白い液体は強酸のようだった。
「だははは! ペニチュウの酸は骨まで焼くほどに強力じゃ。しかし、それだけではないぞ。ペニチュウよ、見せてやれい!」
「ペニチュウ!!」
アカマダが甲高い声で指示すると、酸を放ったペニチュウとは別の個体が近くにあった岩に頭突きをかました。正確には男根のごとき角を突き出して岩に激突したと言えるが。
その角の一撃は強烈だった。岩が音を立てて割れたのだ。
「ひょーほっほっ! どうじゃ、このペニチュウ達の威力は。恐れるがよい」
ペニチュウ達の破壊力を見せつけたアカマダは笑い声をあげる。
しかしオボロは慌てたようすも見せず鉞を地に置くと、いきなりズボンを脱ぎ捨て自分の男根を魔物達に見せつけた。
「男はこうじゃねぇとならねぇ! お前らのは、へなちょこなんだよ」
「はぶぶぶ! しだるまポンチになりおった。なんと貴様、そのような珍宝を隠していたのか!」
「「「ペニチュウぅぅぅ!!」」」
アカマダはオボロの股間に備わる立派すぎるそれを指差して驚愕の叫びをあげた。彼だけでなくペニチュウ三兄弟も絶叫のごとき鳴き声を響かせる。
しかし彼等の下品なやり取りにロランも住民達も頭を抱えた。ルナなどの女性陣は悲鳴をあげていた。
むろんロランは、オボロがこういう人物であることは理解している。
「師匠! なにやってんですか! 真面目にやってくださいよ!」
強くて頼りになるのに、この性格だけは変わっていないようだ。ロランは心の中で嘆いた。
「オレは大真面目よう。そら! ペニチュウども、来っしゃい! 本物が備わる男の力を見してやる!」
オボロが挑発的に言うと、ペニチュウ達は自慢の角を侮られと思ったのか激怒して一斉に突っ込んできた。
「「「チューチューチュー! ペニチュウ!」」」
ネズミらしくペニチュウ達の動きは速かった。そのまま加速して最高速に達する。
そしてオボロの手前で飛び上がり、三匹まとめて全力の角をオボロの体に叩き込んだ。
胸、腹、脇腹に岩をも割る一撃が襲いかかったのだ。無事でいられるはずがない。
しかしオボロは、微動だにしていない。
「へっ、避けるまでもねぇ」
鼻で笑うオボロ。
分厚い皮膚と強靭な筋肉の複合装甲を壊すには、ペニチュウ達の攻撃では役不足であった。
そしてオボロの反撃が始まる。
「くたばれぇ!」
オボロは左右の手で二匹のペニチュウの頭を鷲掴みにする。そして両者の頭部を胸の前で力任せに叩きつけた。
ペニチュウ達の頭蓋が砕け散り、脳髄と眼球が弾け飛ぶ。
「チュー……」
最後の一匹は兄弟達の頭が砕ける瞬間に恐怖したのか後ずさる。
しかし容赦なく、そのペニチュウにも剛腕が伸びてきた。
オボロは最後の一匹の角を掴みとる、やはり怪力に任せてその角を無理矢理に引き抜いた。
ペニチュウの額周辺の皮膚と骨が剥がれ、そこからドロドロと脳髄と脳液が流れ落ちた。
オボロはペニチュウの遺体を投げ捨て、アカマダに顔を向ける。
雑魚の処理は終わり、これからが本命であることを意味しているようだ。
「次は、お前だぜ」
そしてオボロは再び鉞を持ち構えた。
「なんとなんと、ペニチュウ達がこうもあっさりと」
ペニチュウ達が容易く殺られるとは思っていなかったのか、アカマダはやや驚いたように言う。
しかし、すぐに立ち直りニタリと醜悪な笑みを見せた。
「ふぉふぉふぉ! あのペニチュウ達を倒すとは、やりおるな。ほれ褒美じゃ、食らえ! 放射胃液!」
オボロに賞賛の言葉を送ったのも束の間、不意打ちにアカマダは謎の液体を吐きかけてもきた。
「あぶねっ!!」
反射的にオボロは鉞を盾にして謎の液体を防いだ。しかしオボロ愛用のその武器は無惨にも煙をあげて腐蝕して崩れ去った。
アカマダが吐き出したのは強力な胃液であったのだ。
「お前、人のものに!」
愛用の鉞が使い物にならなくなり、オボロは怒鳴り声をあげる。
しかし、そんな怒りの矛先であるアカマダの様子が変だった。
「オゲー! ちょ……待って! ホエー! この技使うと……メッチャ気分悪くなるんだよ」
両膝をついて胃袋の中身をぶちまけるアカマダ。一度使用すると、胃袋が空になり、しばらく気持ち悪くなる副作用がある技であった。
なんとか落ち着きを取り戻し、バッと立ち上がるアカマダ。
「ふぇーへっへっ! お前は、もう丸腰だ。武器もなしにワシに勝てるか?」
「オレには肉体って言う武器があるぜ! 人の大事な鉞をダメにしやがって、許さねぇぜ」
アカマダは笑いながら股関部にある鉄球に手をやる。そしてオボロは怒りを高ぶらせながら全身に力をこめて筋肉を隆起させた。
巨体同士の闘いが始まろうとしていた。
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