人神

柳川歩城

文字の大きさ
上 下
13 / 16
高校生戦闘ヒーロー大会編

第9話 一回戦中堅戦 優美VS運変(うんへん )

しおりを挟む
ある一枚のポスターが宙を舞う。 
"2024年7月23日高校生戦闘ヒーロー大会開催!優勝者には多額の賞金や、芸術の国『アートスト』への旅行券など、様々な景品が盛りだくさん!さあ!ヒーロー志望の高校生の皆!高校生戦闘ヒーロー大会に応募しよう!"
注意:大会は一回戦、二回戦、決勝戦の三回を3日に分けて行います。










先方戦を見事勝ち抜き、舞花は嬉しいが爆発しそうな様子で控え室に戻ってきた。
舞花「やっ……たよ!やったよ!勝ったよ!私!」
舞花「凄いよ!舞花!凄い!」
大翔「おめでとう!」
私達はそんな舞花を褒め称える。
大翔「次は優美の番だよね?」
優美「そうだよ。」
次は中堅戦、ここで勝てれば私達は二回戦へと駒を進めることが出来る。そんなことを考えていると、会場の準備が終わったようで私の順番が来る。
舞花「頑張ってきてね!優美!」
優美「勿論!」
私はしっかりとした足取りでバトル会場へと向かった。

キング「さあ!第一回戦中堅戦!Aチームからは古来より悪を退治し、地域を守っていた神社の娘、イクセスリィを救った英雄の一人にして、次世代のヒーローの申し子!赤緑優美ーーーーーー!」
その言葉と大きな歓声と共に会場へと入場する。
キング「対するは!名家高校一年生、本来我々に対して敵意ビンビンの魔獣を手なずけ、共に戦い勝利する。その姿はまさに古来の英雄のよう!山崩運変(さんほううんへん)!」
その声と共に相手もこの場へ来る。運変と言われた相手は、ライオンのような姿をした魔獣をつれていた。
キング「両者!構え!」
その声で、私達は構えを取る。
キング「始めぇ!」
その号令で、私達はほぼ同時に地面を蹴った。
優美「封魔拳!」
私達の拳はかち合い、辺りに衝撃が走る。土煙が舞う。
優美「(魔力による身体強化?かなり力が強い。)」
そう考えを巡らしていると、殴り合っているところに突然横から衝撃が来る。
優美「っ!!」
突然のことに驚いたが、慣性を利用してすぐにそこから離れる。どうやらあのライオンのような魔獣が横から衝撃波を出したようだ。そこにはこちらに敵意を向けた魔獣がいる。
優美「このままじゃ部が悪いな…」
そう呟いて私は低空飛行で距離を取る。相手も追いかけては来るが、私のスピードにはついて来られない。
運変「追え!」
運変は魔獣に私を追うように指示する。すると魔獣は信じられない速度で私を追い上げてくる。すぐにも追い付きそうだか、私は森の中へと逃げる。魔獣も私を追ってくるが、ある程度奥へと入ったところで私は止まる。
優美「此処なら一対一でやれるわね。」
魔獣は私を睨みつける。私も負けじと魔獣を睨み返した。
魔獣「ぐるぁぁぁぁぁぁ!!!」
魔獣は私に向かって攻撃を仕掛けてくる。私はそれを避けると、攻撃が当たった地面にサッカーボールほどのクレーターが出来た。
優美「ちょっ、当たったら死ぬ!」
続く攻撃を私は気合いで避けていく。
優美「(ここだ!)霊刃!」
私の一撃は、魔獣にダメージを与えることが出来たが、まだ倒れない。
優美「くっそ、さすがに一撃じゃ沈まないか。」
魔獣「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
優美「これはヤバそう!結界!」
魔獣の口に光が集まる。私はすぐに嫌な予感がして結界を張る。すると魔獣は口からビームを出した。
優美「ヤバっ!」
ビームによって私は吹っ飛ばされたが、結界のお陰でそこまでダメージはなかった。しかし、魔獣は私の方に近づいてくる。しかし、私はこれを待っていた。魔獣がある程度近づくと、私の仕掛けが作動した。
優美「墓!」
魔獣の足元が強い光を放ち、爆発して土埃が舞った。土埃が晴れると、そこには気絶した魔獣が横たわっていた。

運変「長い。」
俺はついそう呟いてしまった。魔獣に赤緑優美を追いかけさせ、自分は逃げてきた赤緑優美を挟み撃ちにするためにこの場に待機していたのだが、いくらなんでも遅すぎる。
運変「(まさか負けたか?…いや、あいつは俺が捕まえてきた魔獣の中でもかなり強いやつだ。そんな簡単に負けるはずがない……)」
そうやって思考を巡らせていると、森の方から何かが凄いスピードで飛んできた。
運変「まさか……!」
驚きによって反応が遅れ、俺は重い一撃をもろにもらってダウンした。

審判「山崩運変!気絶によって戦闘不能!よって勝者、赤緑優美!」
審判のその言葉が出た瞬間、盛大な歓声が響く。
キング「おーーーーー!赤緑優美の勝利!これにより、チームAは第二回戦に駒を進めたぞーーーー!」
絶対に負けられない状態で、何とか最初は勝つことが出来た。そう実感し待機室に向かった私は、舞花と大翔に迎えられる。
舞花「凄いじゃん!これで第二回戦進めるよ!」
大翔「やった!」
優美「やったよ!」
私は勝利の余韻に浸りながら、一旦ワープ装置でホテルへと向かう。ホテルに着くと、私と舞花は脱力してベッドの上に倒れこんだ。
優美「ふぇぇ~。疲れたよ~。」
舞花「同じく~。」
大翔が私達の荷物を運びながら言う。
大翔「二人ともお疲れ。明日もあるからゆっくり休んでね。」
舞花「ありがとう大翔~。」
大翔「このくらい別に大丈夫だよ。」
そう言いながら大翔は荷物を運ぶ。
優美「そう言えば今第二試合が行われてるけど、どっちが勝つんだろうね?」
大翔「さぁ?まあ時間的に今は中堅戦くらいだろうし、場合によってはもう決着が着いてるんじゃない?」
荷物を運び終わった大翔が、今度は飲み物の準備をする。
大翔「何飲みたい?」
優美「ミルクティー!」
舞花「コーラ!」
大翔は素早い手つきでミルクティーを作り、コーラとミルクティー両方を持ってくる。
優美·舞花「ありがと~。」
大翔「おっハモった。」
私はミルクティーを飲みながら、ふと思った疑問を口にする。
優美「そう言えば、舞花が魔力砲を打った時も、私が墓で魔獣を爆発させた時も大した怪我なく気絶してたけど、あれはどうしてなんだろう?」
すると、その疑問に対して大翔が答える。
大翔「あぁ、それはあのバトル会場に張られてる結界が理由だね。あの結界には内部にいるものが傷付くことがないようになる効果があるから、多少改良が加えられてダメージは受けるようになっているけど、傷がつかないようになっているんだ。」
優美·舞花「へ~。」
そんな雑談をしている間に、すっかり夜になってしまい、就寝時間がやってきた。
大翔「お休み。」
優美·舞花「お休み~。」
男性と女性で寝るところは分けられているので大翔は自分の部屋へと寝に向かう。
私と舞花はベッドに潜り、少し話を始めた。
優美「明日も…また勝てるかな?」
舞花「当たり前、絶対勝つよ。」
明日の事を考えながらそんなことを話していると、睡魔が襲ってきて、私達は眠りについた。









深夜、テレビではあるニュースが流れていた。
ニュースキャスター「今夜未明、ピーサル郊外の廃墟で、謎の変死体が発見されました。遺体は顔や腹部が大きく膨れ上がり、100ヶ所もの刺し傷があって、右腕と左足が引きちぎられた状態で見つかりました。付近には黒く焼け焦げ、辺りに散乱した右腕と左足が発見されており、発見者曰く、この廃墟を管理しており、久しぶりに見回りに来たらこの変死体があった。とても直視することが出来るものじゃない、とのことです。警察は殺人事件の方向で操作を進めています。」








この世のものとは思えないほどの美しい風景、暖かい日差しが降り注ぎ、川のせせらぎが聞こえるなか、ある一柱が原っぱの上で寝転がっていた。そこにある一つの影が近づいていく。その影は一柱の横に立つと、静かに口を開いた。
一つの影「裁定者様、御気分の程はいかがでしょうか?」
裁定者と言われた柱は口を開く。
裁定者「気分はいい。」
一つの影「左様でございますか。」
裁定者「あの人も…もうすぐ本格的に動き出すかな。」
裁定者は宙に大会の様子を写し、それを見て小さな笑いを溢していた。そして彼のすぐに横は、今にもぼろぼろに崩れそうな程古くなったある一枚のポスターが崩れない様にか透明な容器に大切にしまわれていた。そのポスターは色褪せてもうほとんど読めなくなっていたが、かろうじて読み取れる部分にはこう書かれていた。
"2■2■年7■2■日高■生■闘ヒー■ー■会開■!"











こんにちは皆さん!作者の柳川歩城です!いやーなんか凄いことになってきましたねーいったいなにが起こっているのやら…………さあ、優美達は無事に大会を優勝出来るのか、こうご期待!この小説のお気に入り登録をよろしくお願いします!それではまた、次の機会に。
しおりを挟む

処理中です...