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始まり
第三話 学校の開始と変化
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次の日、私は遅刻しないように余裕を持って学校に来た。教室に向かうと既に何人かの生徒が来ており、談笑をしている。その中に龍騎·舞花·大翔の姿があった。
舞花「あっ、遅刻魔が遅刻をしないで来た!」
舞花が驚いた様子で私に言った。
優美「遅刻魔だなんて失礼な。私もやる時にはやるんだよ?」
私が自信満々にそう言うと龍騎が、
龍騎「それじゃあいつもそうやってやろうか。」
と言ってきた。
優美「うっ...」
私はこれから毎日遅刻せずに来る自信がなかったので、言葉に詰まる。
大翔「まあ無理しない程度に来れば良いよ。」
大翔がそう言ってフォローしてくれた。少し時間がたち、学校開始のチャイムがなる。私達は席に着いて、担任の先生が来るまで待つ。少しして、教室の扉がガラッと開くと、私達は挨拶をしようと口を開いた。
優美「おはようg...」
突然、驚きのあまりそこまでで言葉が止まった。何故ならそこにいたのは紛れもなく、入学式の日に大翔を助けてくれた人だったのだから。
優美·大翔·舞花·龍騎「あなたこの学校の先生だったのーーー!!!」
その人は私達に気付くと、驚いた様子で口を開く。
???「おーお前ら!このクラスの生徒だったのか!」
男は笑う。
???「は!は!は!いやー偶然てぇーのもあるもんだなぁw」
他の生徒はなんのこっちゃと言う顔できょとんとしている。それに気付いた男は自己紹介を始めた。
???「いやーすまんすまん。ちょいと知ってるもんがいたから興奮してたわ。」
男は自分の名前を黒板に書いた。
平塚幻六「俺は平塚幻六って言う名前や。まあ気軽に幻六って呼んでくれ。」
そう言って幻六は自己紹介もほどほどに、これからの予定を話し始めた。
幻六「事前に通知していたが、今日はいくつかのテストがある。」
幻六は黒板に今日あるテストについてカツカツと書き始めた。
幻六「今日あるテストの数は三つ。魔力操作テスト、能力テスト、体力テストや。」
黒板に書き終えてから幻六はテストについての説明を行っていく。
幻六「まず最初にあるのは体力テスト、このテストではシャトルランなどによって君たちの体力を測定していく。」
教室からは「シャトルランは苦手~」とか、「運動はあんまり得意じゃねー」とか、そんな声が聞こえてくる。
幻六「次にあるのが能力テスト、ここでは能力の君たちそれぞれの能力に合わせて能力の熟練度を調べいく。」
幻六がそう言い終わった後、それまで話を聞いていた生徒視線がある一点へと注がれる。この世界唯一の無能力者である白崎大翔、彼にへと。突然視線を向けられた彼は、酷く困惑していた。当たり前だ。彼に向けられる視線は同情の念があるものも少しはあったが、その殆どは哀れみや軽蔑の念が籠ったものだったのだから。
幻六「しっかりと話を聞け!」
幻六はそう生徒達に渇をいれて、再び話始めた。
幻六「最後に行われる魔力テストではこの粘土を完全な球体にして貰う。」
そう言って幻六は透明な容器の中から粘土を取り出した。皆が困惑するなか、幻六は説明を始める。
幻六「この粘土は魔力粘土と言う物や。この魔力粘土は通常時は魔力を帯びておらず、その固さは鋼鉄にも匹敵する。しかし、これに魔力を流している間は普通の粘土と同じ固さになる。しかし、注意点もある。この魔力粘土は過度の魔力を流すと液状になり、そこから戻ることはなくなる。対して完璧な魔力操作が出来れば、自分の思い通りの形にすることが可能だ。」
ここまで説明して幻六は言葉を切る。
幻六「これが今日行う試験の内容や。それじゃあ10分後に試験を開始するから準備体操開始!」
そう幻六が言うと、生徒達はそれぞれ、精神統一や準備体操などをして準備していく。
龍騎「よーし皆で頑張ろうや。言っとくが俺は負ける気はないぞ?」
舞花「私もよ!」
大翔「皆頑張ろう。」
私も軽く頷いて、精神統一を始めた。
10分後、まず最初に体力テストが始まった。
幻六「まずはシャトルランやるぞー位置につけ~、魔法による身体強化はなしだぞー。」
皆が位置に着く、
幻六「それじゃあよーい...スタート!」
皆が一斉に走りだす。しばらくすると、皆が徐々に離脱し始め、私も体力が限界に達してきた時に終わった。結果は、
赤緑優美:253回30人中19位
平泉舞花:254回30人中18位
大川龍騎:348回30人中2位
白崎大翔:97回30人中30位
龍騎「だー!あいつらやばすぎー!」
舞花「聞いた?一位の人記録700回だってよ。」
優美「やばすぎ...。」
レベルが高い事は知っていたけど、まさかここまでとは思わなかった。
大翔「………」
優美「!だっ大丈夫だよ。運動は元々苦手なんだからさ。ね?」
大翔が洒落にならないレベルで落ち込んでいたので、何とかフォローするが、周りからは小さな笑い声が絶えなかった。
幻六「はーい次はハンドボール投げだよー。人の事笑わないでさあ準備しな!」
と、そんな感じで体力テストは行われていき、結果はこんな感じになった。
ハンドボール投げ
赤緑優美:40m30人中15位
平泉舞花:36m30人中18位
大川龍騎:90m30人中1位
白崎大翔:25m30人中25位
反復横飛び
赤緑優美:77回30人中23位
平泉舞花:80回30人中21位
大川龍騎:181回30人中2位
白崎大翔:60回30人中29位
握力
赤緑優美:40kg30人中22位
平泉舞花:45kg30人中20位
大川龍騎:63kg30人中1位
白崎大翔:38kg30人中24位
立ち幅跳び
赤緑優美:253cm30人中19位
平泉舞花:265cm30人中17位
大川龍騎:386cm30人中2位
白崎大翔:220cm30人中29位
上体起こし
赤緑優美:40回30人中16位
平泉舞花:39回30人中17位
大川龍騎:78回30人中1位
白崎大翔:31回30人中23位
長座体前屈
赤緑優美:59cm30人中10位
平泉舞花:54cm30人中19位
大川龍騎:63cm30人中2位
白崎大翔:50cm30人中25位
50メートル走
赤緑優美:7秒12 30人中20位
平泉舞花:7秒07 30人中19位
大川龍騎:3秒02 30人中2位
白崎大翔:7秒42 30人中25位
龍騎「だー!あんま1位取れなかったー!皆強すぎ!」
舞花「想像以上にレベル高かったね…」
大翔「……………」
優美「相変わらずのフィジカルやねー龍騎は。」
そうは言ってはいるが、やっぱりここ平和の国『ピーサル』で一番ヒーローを輩出している高校だ。今までいろいろなヒーロー高校を見てきたけどレベルが段違いだ。私の地元で一番のフィジカルお化けである龍騎でさえも、運動系統で無双することが出来なかった。大翔に至っては、もう周りの風景が歪んで見えるほど落ち込んでいる。
優美「大丈夫かな?」
???「お前すげぇな!」
その時、私達の背後から突然声がかけられた。振り返って見ればそこには熊に見間違えそうなほどに筋骨隆々の女性が立っていた。
龍騎「あー!お前ー!なんであんな体力あんだよ!」
優美「……知ってるの?」
あまりにインパクトが強すぎて、反応がかなり遅れてしまった。
龍騎「知ってるもなにも!こいつ半分位の種目で俺にかったやつだぞ!」
優美·舞花「!!!」
なんと!このフィジカルお化けを破ったのが自分と同じ女性だとは!夢にも思わなかった。
???「お前龍騎って言うのか?お前すげぇな!私地元で負けたことなかったのに!」
びっくりするぐらい目をキラキラ輝かせながらそう言う彼女は私達に自己紹介をしてくれた。
山上力子「私の名前は山上力子だ!気軽にリッキーとでも呼んでくれ!」
そう言った彼女は、龍騎とトレーニング話し始め、なかなかに盛り上がっていた。どちらともかなりの脳筋なようだ。
しばらくすると、能力テストが開始された。能力テストは個々の能力に応じて内容が変わるとのことなので、私は今はテストが行われる部屋に案内されていた。
教員「こちらになります。頑張ってください。」
私はそう言われて部屋に入った。内装は簡易的な物で、一言で言えばトレーニングルームのようで、とても広い。そして、中央には小さな四角い箱の様なものがポツンと佇んでいた。
アナウンス「これより、赤緑優美の能力テストを開始します。今からその捕獲機からレベルdangerの怪異 ヘイドレットヘーズが出てきますので、合図があり次第制圧を行って下さい。」
そうアナウンスされた瞬間、パカッと箱の蓋が空き、その中から人の形をした靄のようなものが出てきた。
優美「フーッ…」
実戦はこれが初めてだ。私は心を落ち着かせようと深呼吸をする。
アナウンス「開始」
瞬間、私は地面を蹴って相手の間合いに入り込んだ。霊力が体を駆け巡る。
優美「封魔拳」
私の渾身の一撃を叩き込まれた。ヘイドレットヘーズは瞬時に霧散した。
アナウンス「ヘイドレットヘーズの撃破を確認これで赤緑優美の能力テストを終了します。」
優美「フーッ…緊張したー」
実戦は初めてだったので、かなり緊張したが、何とかやりきった。テストが終了した後成績表を貰ったが、最高得点のA+を貰うことが出来た。待合室に戻ると、そこには大翔が一人椅子に座って待っていた。
大翔「終わったの?」
優美「うん。何とかやりきった。」
大翔「どうだった?」
優美「フフーン。最高得点だよ!」
大翔「すげぇ!」
そんな他愛のない会話をしばらく続けていると、他の皆がぞろぞろと戻ってきた。
優美「皆どうだった?」
龍騎「B+。時間がかかりすぎた。」
舞花「私はA結構うまくやったんだけどなー」
力子「私はBだった。もう少し効率良く動かないとだめだ。」
と、そんな会話をしていて私は少し違和感を感じる。
優美「ねえ力子。」
力子「なに?」
優美「テストの内容ってなんだった?」
力子「私は建物の倒壊とうで生き埋めになった人の救助のテストだったけど?」
はて、自分のテストの内容と違う。何でだろう。そう考えているのが分かったのか、龍騎がその事についての説明をしてくれた。
龍騎「この学校の能力テストは、その人がなりたいヒーローに合わせて調整されるんだ。例えばヴィランや魔獣を倒すヒーローになりたいって人に行われるテストはレベルの低い魔獣の制圧などだけど、人命救助をするヒーローになりたいって人に行われるテストはその状況を想定したテストになる。合格通知が来た少し後にそのアンケートと説明が来ただろ?説明を見てなかったのか?」
優美「うっ…説明を見ずにアンケートにだけ答えていました。」
だってややこしかったんだもん。そんなことを小声で呟きながら、最後にある魔力テストに向けて準備をしていった。
10分後、幻六がクラスの皆に魔力粘土を配る。
優美「(魔力の扱い苦手なんだけど大丈夫かな?)」
そんなことを考えながら、少しずつ流す魔力を調整していく。まだまだかなり固い。もどかしくなって一気に流したくても過度に流すと液状になるので、ヒヤヒヤしながら少しずつ流す量を調整していった。
幻六「ここまで!時間切れや!皆作ったものを提出しな!成績は後日出るで!」
そんな声がかけられ、皆が手を止める。私も最後まで粘ったが、少し凸凹が残ってしまった。他の皆も同じように見える。だが、一人だけ完璧に仕上げている者がいた。
優美「凄い綺麗!凄いじゃん舞花!」
舞花「まあ魔力操作は得意だからね!」
こう言う舞花の手には、完璧な球体となった魔力粘土があった。
幻六「これで今日やることは以上や。皆お疲れさんまた明日も頑張るためにしっかり休め!」
学校が終わると、いつもどうりの帰路に着く、そうやって新しい友達も入れて、途中で家の方向が違う大翔と別れ、皆で家に帰っているとき、ふと龍騎が話し出した。
龍騎「そう言えばお前ら、イクセスリィがワーカルに侵攻されているって話聞いたことがあるよな?」
その内容は、戦争の国ことワーカルが、生命の国ことイクセスリィを侵略していると言うニュースだ。事の発端は一年前、ワーカルが突然イクセスリィを攻撃し始めたことから始まった。他の国々はイクセスリィを支援しようとしているが、その度にワーカルの邪魔が入り、イクセスリィは実質的に孤立している状況だ。
優美「知ってるけど、何かあったの?」
龍騎は学校にいた時とは裏腹に、暗い顔をしながら話し始めた。
龍騎「イクセスリィに俺の親戚がいる。その親戚によると、第2防衛ラインが突破されたらしい。」
私達は歩みを止めて龍騎を見た、龍騎が言った情報はまだ世間には出ていない情報で、その言葉が意味することは、イクセスリィは既に突破されるギリギリのラインで耐えていると言うことだ。そして、龍騎が続けた言葉に愕然とした。
龍騎「俺、明日その親戚を助けに行こうと思う。」
優美·舞花·力子「はぁ?!」
自殺行為だ。何としても止めなければならない。そう私達は直感した。
優美「いやいやだめだよ!そんなの自殺行為じゃん!」
舞花「そうだよ!それに、貴方一人で状況が変わると思うの?」
力子「死んじゃったら、もう勝負が出来ないじゃん!」
私達はそう言って龍騎を止めようとする。しかし、龍騎は微笑みながら、
龍騎「ありがとう皆、心配してくれて。」
そう言うと、何故自分が行くのか、その理由を話し始めた。
龍騎「皆は何故イクセスリィに物資が届かないか、考えたことはあるか?」
優美「それはワーカルが妨害しているからで…」
龍騎「違う。」
私の言葉を遮って、龍騎は否定する。
龍騎「各国がわざと届かないように画策しているからだ。」
優美「は?」
意味が分からない。何故そんな事をしなければならないのか。私以外の二人も、驚きの表情を浮かべる。
龍騎「これを見ろ。」
そう言って龍騎は私達にスマホを差し出した。そのスマホには地図と何かの進路の様なものが映っている。
龍騎「これはこれまで各国がイクセスリィに支援物資を届けようと使ったルートをまとめたものだ。何か気づくことはないか?」
私達はそう言われてじっと地図を見た。しばらくして、奇妙な違和感に築いた。
舞花「何で…こんなに難易度の高い道にばかり行っているの?」
舞花がそう切り出した。その通りだ。この地図に記載されているルートはどれも航海が難しいルートだったり、確実にワーカルからの邪魔が入るようなルートばかりだった。
龍騎「気付いたか。」
力子「何でこんな事を…」
龍騎「さっきイクセスリィに親戚がいるって話しただろ?その親戚不動産を経営してて、顔が広いんだ。」
優美·舞花·力子「…」
静かに龍騎の言葉を聞く。
龍騎「この事に最初に気付いたのはその親戚なんだが、その人中央政府の結構偉い人と知り合いでさ、調べて貰ったらしいんだよ。そしたら中央政府で、ワーカルと各国の間に秘密裏に条約が結ばれたらしいんだ。各国はワーカルに対してワーカルが戦争に不利になる事をしない代わりに、戦争が終わったらイクセスリィの資源を格安で販売するって条約をな…」
何て事だ中央政府とは世界10ヶ国が戦争などを起こさないようにお互いを監視し、友好的な関係を築くために設立されたもののはずだ。そんな条約のために利用し、その情報を伏せているなんて、信じられない。
舞花「でも…だからって龍騎が行かなければ行けない理由にはならない!」
龍騎「いや、だからこそだ。」
龍騎は言う。
龍騎「イクセスリィにはそこの状況を伝えるために、世界中の記者とかがいる。それも死を覚悟してだ。そして、俺が死んだとしても、世界中のヒーローやヒーロー連盟、それに世界中のヒーロー高校にも訴えかけることが出来る。そうすれば、イクセスリィの人々を救うことが出来るかもしれない。」
龍騎の目は、覚悟が決まったことを容易に感じ取れる目をしていた。もう何を言っても無駄だろう。
優美「龍騎がどれだけの覚悟を持っているのか良く分かった。」
それなら、
龍騎「そうか分かってくれて良かった。行く前にお前らと話がしたかっt…」
優美「私も一緒に行く。」
龍騎「…はぁ?!」
舞花「私も!」
力子「勿論私も!」
龍騎「ちょっ、待て待てなんで!?」
優美「友達が孤独に戦おうとしているなら、それを助けるのが友達ってもんでしょうが!私達はもう覚悟したからね!」
こんなことで友達を失うのなら、こんなことで悔いを残してしまうなら、悔いを残さないように生きてやる。
龍騎「フーッ。」
顔を手で覆った龍騎だったが、手の隙間から今にも泣きそうな笑みが溢れる。
龍騎「…本当に覚悟は出来たのか?」
優美「うん!」
舞花「勿論!」
力子「出来てる!」
龍騎が顔から手を退ける。その顔は、目にいっぱいの涙を溜めながら嬉しそうな顔でこう言った。
龍騎「ありがとう!」
龍騎「明日の朝5時に俺の家に来い。そこからイクセスリィへ向かう。」
私達は龍騎の家へよって、作戦会議をしていた。
舞花「ところで、どうやってイクセスリィへ行くの?」
龍騎「明日俺の家にワープ屋が来るから、そいつに連れていって貰うんだ。」
ワープ屋というのは、ワープ能力を持っていたりして、ワープが可能な人たちが行っている商売だ。
優美「おけ、明日の朝5時に龍騎の家ね。」
力子「それじゃあ皆。生きて変えるぞ!」
優美·舞花·龍騎「おー!」
次の日、私達は龍騎の家へ集まった。そこにはワープ屋とおぼしき人物と、皆がいた。
優美「皆おはよう。」
と小さな声で言うと、返してくれた。
龍騎「まずい。」
龍騎が何か焦っているようだ。
優美「何かあったの?」
龍騎「ワーカルの軍が最後の侵攻を始めたらしい。早く行かないと…ワープ屋さん、お願いします。」
ワープ屋「つかまれ。」
ワープ屋が手を差しのべる。私達はそれに躊躇なく捕まった。
龍騎「それじゃあ行くぞ。国を救いに。」
そうして私達はワープした。
人と言うのは同族同士で争い続け、きっかけがない限り同じ過ちを繰り返し続ける。しかし何かきっかけがあるのであればあるいは………
こんにちわ皆さん。作者の柳川歩城です。今回はかなり物語に進展があったのではないかと思います。今後も小説『人神』のご愛読よろしくお願いします。
おっかしーなーあの人にはもうばれてんのかな?
舞花「あっ、遅刻魔が遅刻をしないで来た!」
舞花が驚いた様子で私に言った。
優美「遅刻魔だなんて失礼な。私もやる時にはやるんだよ?」
私が自信満々にそう言うと龍騎が、
龍騎「それじゃあいつもそうやってやろうか。」
と言ってきた。
優美「うっ...」
私はこれから毎日遅刻せずに来る自信がなかったので、言葉に詰まる。
大翔「まあ無理しない程度に来れば良いよ。」
大翔がそう言ってフォローしてくれた。少し時間がたち、学校開始のチャイムがなる。私達は席に着いて、担任の先生が来るまで待つ。少しして、教室の扉がガラッと開くと、私達は挨拶をしようと口を開いた。
優美「おはようg...」
突然、驚きのあまりそこまでで言葉が止まった。何故ならそこにいたのは紛れもなく、入学式の日に大翔を助けてくれた人だったのだから。
優美·大翔·舞花·龍騎「あなたこの学校の先生だったのーーー!!!」
その人は私達に気付くと、驚いた様子で口を開く。
???「おーお前ら!このクラスの生徒だったのか!」
男は笑う。
???「は!は!は!いやー偶然てぇーのもあるもんだなぁw」
他の生徒はなんのこっちゃと言う顔できょとんとしている。それに気付いた男は自己紹介を始めた。
???「いやーすまんすまん。ちょいと知ってるもんがいたから興奮してたわ。」
男は自分の名前を黒板に書いた。
平塚幻六「俺は平塚幻六って言う名前や。まあ気軽に幻六って呼んでくれ。」
そう言って幻六は自己紹介もほどほどに、これからの予定を話し始めた。
幻六「事前に通知していたが、今日はいくつかのテストがある。」
幻六は黒板に今日あるテストについてカツカツと書き始めた。
幻六「今日あるテストの数は三つ。魔力操作テスト、能力テスト、体力テストや。」
黒板に書き終えてから幻六はテストについての説明を行っていく。
幻六「まず最初にあるのは体力テスト、このテストではシャトルランなどによって君たちの体力を測定していく。」
教室からは「シャトルランは苦手~」とか、「運動はあんまり得意じゃねー」とか、そんな声が聞こえてくる。
幻六「次にあるのが能力テスト、ここでは能力の君たちそれぞれの能力に合わせて能力の熟練度を調べいく。」
幻六がそう言い終わった後、それまで話を聞いていた生徒視線がある一点へと注がれる。この世界唯一の無能力者である白崎大翔、彼にへと。突然視線を向けられた彼は、酷く困惑していた。当たり前だ。彼に向けられる視線は同情の念があるものも少しはあったが、その殆どは哀れみや軽蔑の念が籠ったものだったのだから。
幻六「しっかりと話を聞け!」
幻六はそう生徒達に渇をいれて、再び話始めた。
幻六「最後に行われる魔力テストではこの粘土を完全な球体にして貰う。」
そう言って幻六は透明な容器の中から粘土を取り出した。皆が困惑するなか、幻六は説明を始める。
幻六「この粘土は魔力粘土と言う物や。この魔力粘土は通常時は魔力を帯びておらず、その固さは鋼鉄にも匹敵する。しかし、これに魔力を流している間は普通の粘土と同じ固さになる。しかし、注意点もある。この魔力粘土は過度の魔力を流すと液状になり、そこから戻ることはなくなる。対して完璧な魔力操作が出来れば、自分の思い通りの形にすることが可能だ。」
ここまで説明して幻六は言葉を切る。
幻六「これが今日行う試験の内容や。それじゃあ10分後に試験を開始するから準備体操開始!」
そう幻六が言うと、生徒達はそれぞれ、精神統一や準備体操などをして準備していく。
龍騎「よーし皆で頑張ろうや。言っとくが俺は負ける気はないぞ?」
舞花「私もよ!」
大翔「皆頑張ろう。」
私も軽く頷いて、精神統一を始めた。
10分後、まず最初に体力テストが始まった。
幻六「まずはシャトルランやるぞー位置につけ~、魔法による身体強化はなしだぞー。」
皆が位置に着く、
幻六「それじゃあよーい...スタート!」
皆が一斉に走りだす。しばらくすると、皆が徐々に離脱し始め、私も体力が限界に達してきた時に終わった。結果は、
赤緑優美:253回30人中19位
平泉舞花:254回30人中18位
大川龍騎:348回30人中2位
白崎大翔:97回30人中30位
龍騎「だー!あいつらやばすぎー!」
舞花「聞いた?一位の人記録700回だってよ。」
優美「やばすぎ...。」
レベルが高い事は知っていたけど、まさかここまでとは思わなかった。
大翔「………」
優美「!だっ大丈夫だよ。運動は元々苦手なんだからさ。ね?」
大翔が洒落にならないレベルで落ち込んでいたので、何とかフォローするが、周りからは小さな笑い声が絶えなかった。
幻六「はーい次はハンドボール投げだよー。人の事笑わないでさあ準備しな!」
と、そんな感じで体力テストは行われていき、結果はこんな感じになった。
ハンドボール投げ
赤緑優美:40m30人中15位
平泉舞花:36m30人中18位
大川龍騎:90m30人中1位
白崎大翔:25m30人中25位
反復横飛び
赤緑優美:77回30人中23位
平泉舞花:80回30人中21位
大川龍騎:181回30人中2位
白崎大翔:60回30人中29位
握力
赤緑優美:40kg30人中22位
平泉舞花:45kg30人中20位
大川龍騎:63kg30人中1位
白崎大翔:38kg30人中24位
立ち幅跳び
赤緑優美:253cm30人中19位
平泉舞花:265cm30人中17位
大川龍騎:386cm30人中2位
白崎大翔:220cm30人中29位
上体起こし
赤緑優美:40回30人中16位
平泉舞花:39回30人中17位
大川龍騎:78回30人中1位
白崎大翔:31回30人中23位
長座体前屈
赤緑優美:59cm30人中10位
平泉舞花:54cm30人中19位
大川龍騎:63cm30人中2位
白崎大翔:50cm30人中25位
50メートル走
赤緑優美:7秒12 30人中20位
平泉舞花:7秒07 30人中19位
大川龍騎:3秒02 30人中2位
白崎大翔:7秒42 30人中25位
龍騎「だー!あんま1位取れなかったー!皆強すぎ!」
舞花「想像以上にレベル高かったね…」
大翔「……………」
優美「相変わらずのフィジカルやねー龍騎は。」
そうは言ってはいるが、やっぱりここ平和の国『ピーサル』で一番ヒーローを輩出している高校だ。今までいろいろなヒーロー高校を見てきたけどレベルが段違いだ。私の地元で一番のフィジカルお化けである龍騎でさえも、運動系統で無双することが出来なかった。大翔に至っては、もう周りの風景が歪んで見えるほど落ち込んでいる。
優美「大丈夫かな?」
???「お前すげぇな!」
その時、私達の背後から突然声がかけられた。振り返って見ればそこには熊に見間違えそうなほどに筋骨隆々の女性が立っていた。
龍騎「あー!お前ー!なんであんな体力あんだよ!」
優美「……知ってるの?」
あまりにインパクトが強すぎて、反応がかなり遅れてしまった。
龍騎「知ってるもなにも!こいつ半分位の種目で俺にかったやつだぞ!」
優美·舞花「!!!」
なんと!このフィジカルお化けを破ったのが自分と同じ女性だとは!夢にも思わなかった。
???「お前龍騎って言うのか?お前すげぇな!私地元で負けたことなかったのに!」
びっくりするぐらい目をキラキラ輝かせながらそう言う彼女は私達に自己紹介をしてくれた。
山上力子「私の名前は山上力子だ!気軽にリッキーとでも呼んでくれ!」
そう言った彼女は、龍騎とトレーニング話し始め、なかなかに盛り上がっていた。どちらともかなりの脳筋なようだ。
しばらくすると、能力テストが開始された。能力テストは個々の能力に応じて内容が変わるとのことなので、私は今はテストが行われる部屋に案内されていた。
教員「こちらになります。頑張ってください。」
私はそう言われて部屋に入った。内装は簡易的な物で、一言で言えばトレーニングルームのようで、とても広い。そして、中央には小さな四角い箱の様なものがポツンと佇んでいた。
アナウンス「これより、赤緑優美の能力テストを開始します。今からその捕獲機からレベルdangerの怪異 ヘイドレットヘーズが出てきますので、合図があり次第制圧を行って下さい。」
そうアナウンスされた瞬間、パカッと箱の蓋が空き、その中から人の形をした靄のようなものが出てきた。
優美「フーッ…」
実戦はこれが初めてだ。私は心を落ち着かせようと深呼吸をする。
アナウンス「開始」
瞬間、私は地面を蹴って相手の間合いに入り込んだ。霊力が体を駆け巡る。
優美「封魔拳」
私の渾身の一撃を叩き込まれた。ヘイドレットヘーズは瞬時に霧散した。
アナウンス「ヘイドレットヘーズの撃破を確認これで赤緑優美の能力テストを終了します。」
優美「フーッ…緊張したー」
実戦は初めてだったので、かなり緊張したが、何とかやりきった。テストが終了した後成績表を貰ったが、最高得点のA+を貰うことが出来た。待合室に戻ると、そこには大翔が一人椅子に座って待っていた。
大翔「終わったの?」
優美「うん。何とかやりきった。」
大翔「どうだった?」
優美「フフーン。最高得点だよ!」
大翔「すげぇ!」
そんな他愛のない会話をしばらく続けていると、他の皆がぞろぞろと戻ってきた。
優美「皆どうだった?」
龍騎「B+。時間がかかりすぎた。」
舞花「私はA結構うまくやったんだけどなー」
力子「私はBだった。もう少し効率良く動かないとだめだ。」
と、そんな会話をしていて私は少し違和感を感じる。
優美「ねえ力子。」
力子「なに?」
優美「テストの内容ってなんだった?」
力子「私は建物の倒壊とうで生き埋めになった人の救助のテストだったけど?」
はて、自分のテストの内容と違う。何でだろう。そう考えているのが分かったのか、龍騎がその事についての説明をしてくれた。
龍騎「この学校の能力テストは、その人がなりたいヒーローに合わせて調整されるんだ。例えばヴィランや魔獣を倒すヒーローになりたいって人に行われるテストはレベルの低い魔獣の制圧などだけど、人命救助をするヒーローになりたいって人に行われるテストはその状況を想定したテストになる。合格通知が来た少し後にそのアンケートと説明が来ただろ?説明を見てなかったのか?」
優美「うっ…説明を見ずにアンケートにだけ答えていました。」
だってややこしかったんだもん。そんなことを小声で呟きながら、最後にある魔力テストに向けて準備をしていった。
10分後、幻六がクラスの皆に魔力粘土を配る。
優美「(魔力の扱い苦手なんだけど大丈夫かな?)」
そんなことを考えながら、少しずつ流す魔力を調整していく。まだまだかなり固い。もどかしくなって一気に流したくても過度に流すと液状になるので、ヒヤヒヤしながら少しずつ流す量を調整していった。
幻六「ここまで!時間切れや!皆作ったものを提出しな!成績は後日出るで!」
そんな声がかけられ、皆が手を止める。私も最後まで粘ったが、少し凸凹が残ってしまった。他の皆も同じように見える。だが、一人だけ完璧に仕上げている者がいた。
優美「凄い綺麗!凄いじゃん舞花!」
舞花「まあ魔力操作は得意だからね!」
こう言う舞花の手には、完璧な球体となった魔力粘土があった。
幻六「これで今日やることは以上や。皆お疲れさんまた明日も頑張るためにしっかり休め!」
学校が終わると、いつもどうりの帰路に着く、そうやって新しい友達も入れて、途中で家の方向が違う大翔と別れ、皆で家に帰っているとき、ふと龍騎が話し出した。
龍騎「そう言えばお前ら、イクセスリィがワーカルに侵攻されているって話聞いたことがあるよな?」
その内容は、戦争の国ことワーカルが、生命の国ことイクセスリィを侵略していると言うニュースだ。事の発端は一年前、ワーカルが突然イクセスリィを攻撃し始めたことから始まった。他の国々はイクセスリィを支援しようとしているが、その度にワーカルの邪魔が入り、イクセスリィは実質的に孤立している状況だ。
優美「知ってるけど、何かあったの?」
龍騎は学校にいた時とは裏腹に、暗い顔をしながら話し始めた。
龍騎「イクセスリィに俺の親戚がいる。その親戚によると、第2防衛ラインが突破されたらしい。」
私達は歩みを止めて龍騎を見た、龍騎が言った情報はまだ世間には出ていない情報で、その言葉が意味することは、イクセスリィは既に突破されるギリギリのラインで耐えていると言うことだ。そして、龍騎が続けた言葉に愕然とした。
龍騎「俺、明日その親戚を助けに行こうと思う。」
優美·舞花·力子「はぁ?!」
自殺行為だ。何としても止めなければならない。そう私達は直感した。
優美「いやいやだめだよ!そんなの自殺行為じゃん!」
舞花「そうだよ!それに、貴方一人で状況が変わると思うの?」
力子「死んじゃったら、もう勝負が出来ないじゃん!」
私達はそう言って龍騎を止めようとする。しかし、龍騎は微笑みながら、
龍騎「ありがとう皆、心配してくれて。」
そう言うと、何故自分が行くのか、その理由を話し始めた。
龍騎「皆は何故イクセスリィに物資が届かないか、考えたことはあるか?」
優美「それはワーカルが妨害しているからで…」
龍騎「違う。」
私の言葉を遮って、龍騎は否定する。
龍騎「各国がわざと届かないように画策しているからだ。」
優美「は?」
意味が分からない。何故そんな事をしなければならないのか。私以外の二人も、驚きの表情を浮かべる。
龍騎「これを見ろ。」
そう言って龍騎は私達にスマホを差し出した。そのスマホには地図と何かの進路の様なものが映っている。
龍騎「これはこれまで各国がイクセスリィに支援物資を届けようと使ったルートをまとめたものだ。何か気づくことはないか?」
私達はそう言われてじっと地図を見た。しばらくして、奇妙な違和感に築いた。
舞花「何で…こんなに難易度の高い道にばかり行っているの?」
舞花がそう切り出した。その通りだ。この地図に記載されているルートはどれも航海が難しいルートだったり、確実にワーカルからの邪魔が入るようなルートばかりだった。
龍騎「気付いたか。」
力子「何でこんな事を…」
龍騎「さっきイクセスリィに親戚がいるって話しただろ?その親戚不動産を経営してて、顔が広いんだ。」
優美·舞花·力子「…」
静かに龍騎の言葉を聞く。
龍騎「この事に最初に気付いたのはその親戚なんだが、その人中央政府の結構偉い人と知り合いでさ、調べて貰ったらしいんだよ。そしたら中央政府で、ワーカルと各国の間に秘密裏に条約が結ばれたらしいんだ。各国はワーカルに対してワーカルが戦争に不利になる事をしない代わりに、戦争が終わったらイクセスリィの資源を格安で販売するって条約をな…」
何て事だ中央政府とは世界10ヶ国が戦争などを起こさないようにお互いを監視し、友好的な関係を築くために設立されたもののはずだ。そんな条約のために利用し、その情報を伏せているなんて、信じられない。
舞花「でも…だからって龍騎が行かなければ行けない理由にはならない!」
龍騎「いや、だからこそだ。」
龍騎は言う。
龍騎「イクセスリィにはそこの状況を伝えるために、世界中の記者とかがいる。それも死を覚悟してだ。そして、俺が死んだとしても、世界中のヒーローやヒーロー連盟、それに世界中のヒーロー高校にも訴えかけることが出来る。そうすれば、イクセスリィの人々を救うことが出来るかもしれない。」
龍騎の目は、覚悟が決まったことを容易に感じ取れる目をしていた。もう何を言っても無駄だろう。
優美「龍騎がどれだけの覚悟を持っているのか良く分かった。」
それなら、
龍騎「そうか分かってくれて良かった。行く前にお前らと話がしたかっt…」
優美「私も一緒に行く。」
龍騎「…はぁ?!」
舞花「私も!」
力子「勿論私も!」
龍騎「ちょっ、待て待てなんで!?」
優美「友達が孤独に戦おうとしているなら、それを助けるのが友達ってもんでしょうが!私達はもう覚悟したからね!」
こんなことで友達を失うのなら、こんなことで悔いを残してしまうなら、悔いを残さないように生きてやる。
龍騎「フーッ。」
顔を手で覆った龍騎だったが、手の隙間から今にも泣きそうな笑みが溢れる。
龍騎「…本当に覚悟は出来たのか?」
優美「うん!」
舞花「勿論!」
力子「出来てる!」
龍騎が顔から手を退ける。その顔は、目にいっぱいの涙を溜めながら嬉しそうな顔でこう言った。
龍騎「ありがとう!」
龍騎「明日の朝5時に俺の家に来い。そこからイクセスリィへ向かう。」
私達は龍騎の家へよって、作戦会議をしていた。
舞花「ところで、どうやってイクセスリィへ行くの?」
龍騎「明日俺の家にワープ屋が来るから、そいつに連れていって貰うんだ。」
ワープ屋というのは、ワープ能力を持っていたりして、ワープが可能な人たちが行っている商売だ。
優美「おけ、明日の朝5時に龍騎の家ね。」
力子「それじゃあ皆。生きて変えるぞ!」
優美·舞花·龍騎「おー!」
次の日、私達は龍騎の家へ集まった。そこにはワープ屋とおぼしき人物と、皆がいた。
優美「皆おはよう。」
と小さな声で言うと、返してくれた。
龍騎「まずい。」
龍騎が何か焦っているようだ。
優美「何かあったの?」
龍騎「ワーカルの軍が最後の侵攻を始めたらしい。早く行かないと…ワープ屋さん、お願いします。」
ワープ屋「つかまれ。」
ワープ屋が手を差しのべる。私達はそれに躊躇なく捕まった。
龍騎「それじゃあ行くぞ。国を救いに。」
そうして私達はワープした。
人と言うのは同族同士で争い続け、きっかけがない限り同じ過ちを繰り返し続ける。しかし何かきっかけがあるのであればあるいは………
こんにちわ皆さん。作者の柳川歩城です。今回はかなり物語に進展があったのではないかと思います。今後も小説『人神』のご愛読よろしくお願いします。
おっかしーなーあの人にはもうばれてんのかな?
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