【完結】恋愛小説家アリアの大好きな彼

晴 菜葉

文字の大きさ
上 下
20 / 123

アリアの王子様※

しおりを挟む
 まるで、深夜にドキドキしたあの小説そのもの。
 だんだん熱を持ってきて、アリアの白い肌が色づいていく。
「ケイムおじさま。さっきより、硬さが増したわ」
「うん。いちいち報告しなくて良いから」
 照れ臭さそうに言うなり、小うるさい唇を塞がれる。
 ケイムは左手を伸ばして、サイドテーブルの二番目の引き出しを開ける。カットガラスの小瓶が二本出てきた。いかにも高価な小瓶の蓋を器用に指先で開けると、おもむろにアリアの臍めがけて中身を垂らした。
 どろりと粘液性の液体が、上から下へ零れ落ちる。
「冷たいわ」
「すぐに熱くなるよ」
 文句を言えど、ケイムは笑うだけ。
「やっ! 」
 アリアが叫んだ。
 どろりと垂れた液体を、ケイムがアリアの割れ目に指二本を使って押し込んできたからだ。
「痛い! やだ! 」
 跳ね起きたアリアは、ケイムを突き飛ばし、逃げようとベッドから一足飛んだ。
「こら。じっとしろ」
 すぐさまケイムが真後ろから乳房を掴む。
「きゃあ! 」
 突然のことに、アリアは真後ろに倒れた。後頭部にケイムの硬い胸板が当たる。
「すぐによくなるから。だから、おとなしくしてろ」
 まるで子供に言い含めるような言い方。
 アリアは、ぐすんと鼻を啜って頷く。
 乳房を掴んでいた手が体の中央を辿って、臍の真下まで来た。
 ビクッと痙攣する。
 ケイムの指は、再びアリアの内部に潜った。 
「そう。そのままじっとしてろ」
 この際、経験のある相手に任せた方が良い。そう判断して、アリアはおとなしく身を任せようとした。
 が、むず痒くて、体が捩れる。
「あっ……ああ……」
「我慢しなくて良いから」
 アリアの体が弓形に反る。
 彼は真後ろからそれを受け止め、さらに指を増やしてアリアを蹂躙した。
 ケイムは二本目の瓶の蓋を開けると、潜っていた指先全てにそれを垂らし、液体塗れにしてから再度内部を探る。
「あっ! やああん! 」
 全神経がケイムの探る場所に集中する。
 内壁を引っ掻かれるたびに、足の親指がピンと張った。
「うん。そろそろか」
 独白が鼓膜を素通りしていく。
 縦横無尽に掻き回していた指が、勢いをつけて抜けていった。
 代わって、ずっとアリアの尾てい骨辺りを突いていた塊が、ずるりと尻のラインに反り、べたべたに濡れた場所に触れる。
 指よりも遥かに熱くて太い。
 その熱い塊は、空洞をゆるゆると行き来し、か細く息をするアリアを窺っている。
 視線を感じてうっすら目を開けると、苦しそうに奥歯を噛んで堪えるケイムと目が合った。
「オジサマ。苦しそうね」
 素直な感想を述べると、ケイムは辛そうに目を眇めた。
「優しいケイムおじさんに戻れなくなる。それでも良いか? 」
 不思議なことを尋ねる。
 アリアは小首を傾げながら、ケイムの顎先にある無精髭にキスした。
「いいわ」
 何が起ころうと、大好きな王子様に変わりはない。
「アリア! 」
 ケイムが悲壮感で満たされたような声で、名を呼ぶ。
「あっ! 」
 空洞に、熱い塊が埋め込まれた。
 内壁をこれでもかと抉り、ずんずんと奥へ奥へと進んでいく。
 容赦なく中から叩かれて、忘れていた感覚が呼び覚まされる。
 気持ちよさとはまた違った、ゾクゾクした震え。
 我慢すればするほど、知ってか知らずか、ケイムは体を揺すって煽った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

6回目のさようなら

音爽(ネソウ)
恋愛
恋人ごっこのその先は……

思い出してしまったのです

月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。 妹のルルだけが特別なのはどうして? 婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの? でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。 愛されないのは当然です。 だって私は…。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

すれ違ってしまった恋

秋風 爽籟
恋愛
別れてから何年も経って大切だと気が付いた… それでも、いつか戻れると思っていた… でも現実は厳しく、すれ違ってばかり…

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

処理中です...