28 / 42
王立騎士団陸戦隊隊長
しおりを挟む
渡り廊下から中庭に差し掛かったとき、ちょうど騎士団が素振りをしているところだった。
「王太子様」
アルフレッドに気づくと、皆一様に動きを止めて、礼儀正しくお辞儀する。
「続けて構わないよ」
にこやかなアルフレッドに、剣を握り直した彼らは、またもやピタリと動きを止めた。
「た、隊長!」
たちまち、その場だけ気温が摂氏三度ほど低くなる。
「俺は今日は休日だ」
ぶっきらぼうにルパートが一言。
今日の彼は騎士服ではなく、黒のジャケットに、リネンのシャツ、スラックスといった、砕けた服装だ。
あからさまに、部下全員が安堵の息をつく。
王立騎士団陸戦隊隊長は、やはり鬼か、悪魔か。
思わずくすくすと、笑い声を漏らしてしまうヒルダ。
「隊長、もしやそちらは、奥方ですか?」
茶髪にそばかすの、まだ十代らしき若い騎士が、目元をほんのり赤らめながら尋ねてきた。
「ああ」
またもや、ぶっきらぼうな一言。
たちまち、騎士団の中がわあっと色めきたつ。つい今しがたまで張っていた緊張が、どこかに吹き飛んでしまった。
「お綺麗な方だなあ」
「随分、お若いし」
「まるで女神様だあ」
年頃から中年に差し掛かるまでの隊員全員、顔を赤らめ惚けたようにヒルダを直視する。
清く正しく美しくを地でいく彼らは、どうやら女性に対する免疫がないらしい。
男性から賞賛など浴びたことが一度もないヒルダは、困惑しつつ、自身を納得させた。
「お前達。俺が休みだからと、腑抜けているようだな」
額に青筋を立て、憮然とするルパートに、再び気温が下降する。
「ヒルダ」
真後ろに控える妻を、抑揚のない声で呼んだ。
「カイルと一戦交えてみろ」
一番若そうな、先程の茶髪にそばかすの青年が、おろおろと両手を広げて、眉を八の字に下げる。
「た、隊長。しかし」
「何だ」
「この方は女性で」
「だから何だ」
「女性相手に剣を振るうのは、幾ら何でも」
ルパートは反論を無視する。
「ヒルダ。その格好では動きにくいだろうから、着替えて来い」
有無を言わせぬ物言いに、ヒルダは渋々と頷く。
ルパートの無茶振りは、今に始まったことではない。
今日はエラに会いに来たのであって、騎士団の稽古に付き合いに来たのではないのに。
「へえ、面白い余興が始まるね」
ヒルダの剣さばきを見たことのないアルフレッドは、碧の瞳をいつもの倍以上、きらきらさせた。
「デラクール公爵がお見えよ」
「まあ、今日は休みじゃなかったの?」
「ふふ。あなたも早くお姿を拝見してきなさいよ」
年頃のメイドらが、きゃいきゃいとはしゃいでいる。
隣室でアルフレッドが用意したシャツの袖を捲りながら、ヒルダはふうっと溜め息を吐いた。
ルパートが熱い視線を受けるのは、貴族からだけではない。
彼女らに対する苛立ち。そして、それを上回る優越感。
ヒルダは今まで持ち合わせていなかった感情に心地よさを抱き、うっとりと薬指の指輪を撫でた。
「手加減するな、ヒルダ」
言って、渡された剣は模造刀だった。
相手のカイルも同様だ。
万が一を考慮のこと。
だが、技をまともに体に受ければ、打撲は免れない。
頭を切り替える。
ルパートの妻は、一旦、頭の隅に押しやった。
一人の戦士。戦場の虎、最期の弟子としての立場。
ギラリ、と切れ長の瞳に不穏な色が混ざる。
たちまち目つきの変わったヒルダに、剣を構えたカイルは怯んだ。
ルパートの背後で守られるようにかしずく可憐さは、すっかり消失してしまっている。
じりり、と無意識下で後ずさるカイル。
隙が生まれたのを、ヒルダは見逃さなかった。
防御態勢が崩れている。
ヒルダは容赦なく、がら空きの左脇腹に打ち込む。
「うわっ」
小気味良い音が響き、手応えはあった。
だが、さすがは国王直属の騎士、倒れるのを堪えて構えの姿勢に入る。
男と比べて、やはり体格と力は劣る。努力で埋めるにも、限界がある。
それを補うには、俊敏な動きしかない。
息つく暇も与えず、ヒルダはどんどん技を繰り出した。
右脇腹、左脛、鳩尾、右脛、喉元と、確実にダメージを与える部分に打ち込んでいく。
初めこそ直に喰らわされたものの、カイルは以後はヒルダの動きを目で追い、寸でのところで攻撃を受け止めている。
刀と刀がぶつかり合う、激しい音。
しかし、カイルは前進出来ず、後ずさってばかり。ぐっしょりと汗まみれだ。
「す、凄い」
隊員他、アルフレッド、騒ぎを聞きつけ見学に来た侍従やら、その場にいる全員が息を呑んだ。
一見すると幼さの残る少女だが、その形相は戦うことに飢えた鬼。目を剥き、牙のように犬歯を覗かせ、ひたすら敵を追い詰めていく。
彼女の背後で、一匹の大きな虎の幻が吼えた。
決着は、あっという間だった。
カイルの模造刀が上空を舞い、真っ逆さまに落下した。
そばかすだらけの鼻先に突きつけた剣先を、ヒルダはすっと戻す。そのまま優雅な仕草で鞘に収めた。
誰もが陶然とその姿から目が離れない。
ルパートのみ、腕を組んで満足そうに頷いた。
静寂が漂う。
その空気感を破ったのは、アルフレッドだ。
「お見事」
敬意の拍手。
つられるように、その場にいた全員が惜しみない拍手を送り、それは中庭を揺るがすほどの大きさで広がっていった。
「さすが、虎の娘だな」
ガーデンチェアに腰掛けたところで、ルパートに感心された。
メイドが運んできた葡萄ジュースを一気に飲み干したヒルダは、唇を尖らせる。
「その言い方は、好きではありません」
「さすが、俺の妻だ」
言い直したルパートに、たちまちヒルダは顔から湯気を吹いた。
ルパート本人の口から、まさか妻と呼ばれるなんて。
「ああ。確かに。ルパートが惚れた女性だけあるよ」
アルフレッドが追随し、ついにヒルダの顔から火が轟轟と燃え、耳まで真っ赤になり、テーブルに突っ伏して悶える羽目となった。
ルパートは、部下らを一斉に見やる。
全員、背筋を正した。
「お前らは、まだ休憩はなしだ!」
ルパートの目つきが鋭い。
「素振り二百回!今すぐ始めろ!」
虎の娘が相手だとしても、全く歯が立たないとは。
王家直属の名が廃るというものだ。
妻を誇らしく思う反面、騎士団の不甲斐なさに、ルパートの怒りは沸点に達した。
「王太子様」
アルフレッドに気づくと、皆一様に動きを止めて、礼儀正しくお辞儀する。
「続けて構わないよ」
にこやかなアルフレッドに、剣を握り直した彼らは、またもやピタリと動きを止めた。
「た、隊長!」
たちまち、その場だけ気温が摂氏三度ほど低くなる。
「俺は今日は休日だ」
ぶっきらぼうにルパートが一言。
今日の彼は騎士服ではなく、黒のジャケットに、リネンのシャツ、スラックスといった、砕けた服装だ。
あからさまに、部下全員が安堵の息をつく。
王立騎士団陸戦隊隊長は、やはり鬼か、悪魔か。
思わずくすくすと、笑い声を漏らしてしまうヒルダ。
「隊長、もしやそちらは、奥方ですか?」
茶髪にそばかすの、まだ十代らしき若い騎士が、目元をほんのり赤らめながら尋ねてきた。
「ああ」
またもや、ぶっきらぼうな一言。
たちまち、騎士団の中がわあっと色めきたつ。つい今しがたまで張っていた緊張が、どこかに吹き飛んでしまった。
「お綺麗な方だなあ」
「随分、お若いし」
「まるで女神様だあ」
年頃から中年に差し掛かるまでの隊員全員、顔を赤らめ惚けたようにヒルダを直視する。
清く正しく美しくを地でいく彼らは、どうやら女性に対する免疫がないらしい。
男性から賞賛など浴びたことが一度もないヒルダは、困惑しつつ、自身を納得させた。
「お前達。俺が休みだからと、腑抜けているようだな」
額に青筋を立て、憮然とするルパートに、再び気温が下降する。
「ヒルダ」
真後ろに控える妻を、抑揚のない声で呼んだ。
「カイルと一戦交えてみろ」
一番若そうな、先程の茶髪にそばかすの青年が、おろおろと両手を広げて、眉を八の字に下げる。
「た、隊長。しかし」
「何だ」
「この方は女性で」
「だから何だ」
「女性相手に剣を振るうのは、幾ら何でも」
ルパートは反論を無視する。
「ヒルダ。その格好では動きにくいだろうから、着替えて来い」
有無を言わせぬ物言いに、ヒルダは渋々と頷く。
ルパートの無茶振りは、今に始まったことではない。
今日はエラに会いに来たのであって、騎士団の稽古に付き合いに来たのではないのに。
「へえ、面白い余興が始まるね」
ヒルダの剣さばきを見たことのないアルフレッドは、碧の瞳をいつもの倍以上、きらきらさせた。
「デラクール公爵がお見えよ」
「まあ、今日は休みじゃなかったの?」
「ふふ。あなたも早くお姿を拝見してきなさいよ」
年頃のメイドらが、きゃいきゃいとはしゃいでいる。
隣室でアルフレッドが用意したシャツの袖を捲りながら、ヒルダはふうっと溜め息を吐いた。
ルパートが熱い視線を受けるのは、貴族からだけではない。
彼女らに対する苛立ち。そして、それを上回る優越感。
ヒルダは今まで持ち合わせていなかった感情に心地よさを抱き、うっとりと薬指の指輪を撫でた。
「手加減するな、ヒルダ」
言って、渡された剣は模造刀だった。
相手のカイルも同様だ。
万が一を考慮のこと。
だが、技をまともに体に受ければ、打撲は免れない。
頭を切り替える。
ルパートの妻は、一旦、頭の隅に押しやった。
一人の戦士。戦場の虎、最期の弟子としての立場。
ギラリ、と切れ長の瞳に不穏な色が混ざる。
たちまち目つきの変わったヒルダに、剣を構えたカイルは怯んだ。
ルパートの背後で守られるようにかしずく可憐さは、すっかり消失してしまっている。
じりり、と無意識下で後ずさるカイル。
隙が生まれたのを、ヒルダは見逃さなかった。
防御態勢が崩れている。
ヒルダは容赦なく、がら空きの左脇腹に打ち込む。
「うわっ」
小気味良い音が響き、手応えはあった。
だが、さすがは国王直属の騎士、倒れるのを堪えて構えの姿勢に入る。
男と比べて、やはり体格と力は劣る。努力で埋めるにも、限界がある。
それを補うには、俊敏な動きしかない。
息つく暇も与えず、ヒルダはどんどん技を繰り出した。
右脇腹、左脛、鳩尾、右脛、喉元と、確実にダメージを与える部分に打ち込んでいく。
初めこそ直に喰らわされたものの、カイルは以後はヒルダの動きを目で追い、寸でのところで攻撃を受け止めている。
刀と刀がぶつかり合う、激しい音。
しかし、カイルは前進出来ず、後ずさってばかり。ぐっしょりと汗まみれだ。
「す、凄い」
隊員他、アルフレッド、騒ぎを聞きつけ見学に来た侍従やら、その場にいる全員が息を呑んだ。
一見すると幼さの残る少女だが、その形相は戦うことに飢えた鬼。目を剥き、牙のように犬歯を覗かせ、ひたすら敵を追い詰めていく。
彼女の背後で、一匹の大きな虎の幻が吼えた。
決着は、あっという間だった。
カイルの模造刀が上空を舞い、真っ逆さまに落下した。
そばかすだらけの鼻先に突きつけた剣先を、ヒルダはすっと戻す。そのまま優雅な仕草で鞘に収めた。
誰もが陶然とその姿から目が離れない。
ルパートのみ、腕を組んで満足そうに頷いた。
静寂が漂う。
その空気感を破ったのは、アルフレッドだ。
「お見事」
敬意の拍手。
つられるように、その場にいた全員が惜しみない拍手を送り、それは中庭を揺るがすほどの大きさで広がっていった。
「さすが、虎の娘だな」
ガーデンチェアに腰掛けたところで、ルパートに感心された。
メイドが運んできた葡萄ジュースを一気に飲み干したヒルダは、唇を尖らせる。
「その言い方は、好きではありません」
「さすが、俺の妻だ」
言い直したルパートに、たちまちヒルダは顔から湯気を吹いた。
ルパート本人の口から、まさか妻と呼ばれるなんて。
「ああ。確かに。ルパートが惚れた女性だけあるよ」
アルフレッドが追随し、ついにヒルダの顔から火が轟轟と燃え、耳まで真っ赤になり、テーブルに突っ伏して悶える羽目となった。
ルパートは、部下らを一斉に見やる。
全員、背筋を正した。
「お前らは、まだ休憩はなしだ!」
ルパートの目つきが鋭い。
「素振り二百回!今すぐ始めろ!」
虎の娘が相手だとしても、全く歯が立たないとは。
王家直属の名が廃るというものだ。
妻を誇らしく思う反面、騎士団の不甲斐なさに、ルパートの怒りは沸点に達した。
10
お気に入りに追加
379
あなたにおすすめの小説
愛しき冷血宰相へ別れの挨拶を
川上桃園
恋愛
「どうかもう私のことはお忘れください。閣下の幸せを、遠くから見守っております」
とある国で、宰相閣下が結婚するという新聞記事が出た。
これを見た地方官吏のコーデリアは突如、王都へ旅立った。亡き兄の友人であり、年上の想い人でもある「彼」に別れを告げるために。
だが目当ての宰相邸では使用人に追い返されて途方に暮れる。そこに出くわしたのは、彼と結婚するという噂の美しき令嬢の姿だった――。
これは、冷血宰相と呼ばれた彼の結婚を巡る、恋のから騒ぎ。最後はハッピーエンドで終わるめでたしめでたしのお話です。
完結まで執筆済み、毎日更新
もう少しだけお付き合いください
第22回書き出し祭り参加作品
2025.1.26 女性向けホトラン1位ありがとうございます
離縁してくださいと言ったら、大騒ぎになったのですが?
ネコ
恋愛
子爵令嬢レイラは北の領主グレアムと政略結婚をするも、彼が愛しているのは幼い頃から世話してきた従姉妹らしい。夫婦生活らしい交流すらなく、仕事と家事を押し付けられるばかり。ある日、従姉妹とグレアムの微妙な関係を目撃し、全てを諦める。
魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
兄にいらないと言われたので勝手に幸せになります
毒島醜女
恋愛
モラハラ兄に追い出された先で待っていたのは、甘く幸せな生活でした。
侯爵令嬢ライラ・コーデルは、実家が平民出の聖女ミミを養子に迎えてから実の兄デイヴィッドから冷遇されていた。
家でも学園でも、デビュタントでも、兄はいつもミミを最優先する。
友人である王太子たちと一緒にミミを持ち上げてはライラを貶めている始末だ。
「ミミみたいな可愛い妹が欲しかった」
挙句の果てには兄が婚約を破棄した辺境伯家の元へ代わりに嫁がされることになった。
ベミリオン辺境伯の一家はそんなライラを温かく迎えてくれた。
「あなたの笑顔は、どんな宝石や星よりも綺麗に輝いています!」
兄の元婚約者の弟、ヒューゴは不器用ながらも優しい愛情をライラに与え、甘いお菓子で癒してくれた。
ライラは次第に笑顔を取り戻し、ベミリオン家で幸せになっていく。
王都で聖女が起こした騒動も知らずに……
【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのにいつのまにか溺愛ルートに入りそうです⁉︎
sutera
恋愛
仕事に疲れたボロボロアラサーOLの悠里。
遠くへ行きたい…ふと、現実逃避を口にしてみたら
自分の世界を建て直す人間を探していたという女神に
スカウトされて異世界召喚に応じる。
その結果、なぜか10歳の少女姿にされた上に
第二王子や護衛騎士、魔導士団長など周囲の人達に
かまい倒されながら癒し子任務をする話。
時々ほんのり色っぽい要素が入るのを目指してます。
初投稿、ゆるふわファンタジー設定で気のむくまま更新。
2023年8月、本編完結しました!以降はゆるゆると番外編を更新していきますのでよろしくお願いします。
5分前契約した没落令嬢は、辺境伯の花嫁暮らしを楽しむうちに大国の皇帝の妻になる
西野歌夏
恋愛
ロザーラ・アリーシャ・エヴルーは、美しい顔と妖艶な体を誇る没落令嬢であった。お家の窮状は深刻だ。そこに半年前に陛下から連絡があってー
私の本当の人生は大陸を横断して、辺境の伯爵家に嫁ぐところから始まる。ただ、その前に最初の契約について語らなければならない。没落令嬢のロザーラには、秘密があった。陛下との契約の背景には、秘密の契約が存在した。やがて、ロザーラは花嫁となりながらも、大国ジークベインリードハルトの皇帝選抜に巻き込まれ、陰謀と暗号にまみれた旅路を駆け抜けることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる