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深夜零時まで待てない1※
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吐き出す息はますます熱くなっていき、マチルダは堪え切れずに小さく呻いた。
熱くて熱くて、もうどうにかなってしまいそうだ。
イメルダに嵌められて媚薬を飲んでしまったときの、あのときの熱さに似ている。
どうにかしてもらいたい。
ロイしか嫌。
忘れていたはずの、あのときの気持ちが蘇ってくる。
「……ロイ」
ロイに縋る視線を送れば、どうやら彼へ、バッチリと心理は伝わったようだ。
たちまちロイがうっと呻き、何事か呟くと目元を赤らめ前屈みとなる。
屋敷に到着した馬車から、マチルダはついに自力では降りられなくなってしまった。
ドレスの裾からは、透明の粘液が伝っている。
腰砕けのマチルダをお姫様抱っこしながら、出迎えた家令をロイは一瞥した。
何も聞くな、と。
さすがは上級貴族の屋敷で、高い給金で雇われる使用人だけのことがある。
特に家令は、ロイのほんの僅かな一瞥と、抱えられたマチルダで、状況をいっぺんに判断する。
「夕食の時間を一時間遅らせろ」
ロイは短く命じた。
「一時間でよろしいので? 」
「一時間半だ」
訂正する。
「誰も部屋には入らせるな」
気の回し方が出来過ぎる家令に言い置いて、己の寝室へとロイは足を速めた。
深い海の底にいるような部屋は、いつもならマチルダを穏やかな気持ちにさせるが、今日は違う。
人魚にでもなったかのように、今すぐ邪魔な衣類を取り払い、身軽になってしまいたい。
「私の読みは浅かったな」
すでにコートを脱ぎ、シャツの第三ボタンまで外しに掛かっているロイの、胸元にちらつく筋肉を惚けたように見つめるマチルダ。
ベッド上でぺたんと座り込み、腰まで波打たせた黄金色の髪。潤んだ琥珀の瞳。透き通る肌。まさに、絵から抜け出した人魚そのもの。
「午前零時まで待てないとはな」
「なあに? それ? 」
マチルダは無自覚にロイを誘惑する。
赤々とした唇が、艶めかしく動いた。
「あ、あなたのせいよ」
「私の? 何故だ? 」
「あ、あなたが私に弱い部分を曝け出すから」
普段、偉ぶっている男の弱い部分を垣間見てしまえば、その不一致さに頭が混乱してしまう。
「成程な」
スカートの裾が膝頭まで捲り上がり、チラリと覗く細い脚には、ぬらぬらした湿りが滴っている。
ロイはシャツを脱ぎ、惜しみなく裸体を披露した。
「たまには君に弱い部分をちらつかせるのも良いかもな。媚薬以上の効果がある」
「狡いわ」
マチルダは口を尖らせるが、それすらロイへの誘い文句だ。つまるところ、今の彼女は何をしてもロイの欲情を煽る。
「愚図愚図していると、すぐに食事の時間になるぞ」
「やめて。そんな義務的な言い方」
「早く君を抱きたくて堪らない」
ロイは直情的に言い直す。
マチルダの心臓への血の巡りが逸った。
熱くて熱くて、もうどうにかなってしまいそうだ。
イメルダに嵌められて媚薬を飲んでしまったときの、あのときの熱さに似ている。
どうにかしてもらいたい。
ロイしか嫌。
忘れていたはずの、あのときの気持ちが蘇ってくる。
「……ロイ」
ロイに縋る視線を送れば、どうやら彼へ、バッチリと心理は伝わったようだ。
たちまちロイがうっと呻き、何事か呟くと目元を赤らめ前屈みとなる。
屋敷に到着した馬車から、マチルダはついに自力では降りられなくなってしまった。
ドレスの裾からは、透明の粘液が伝っている。
腰砕けのマチルダをお姫様抱っこしながら、出迎えた家令をロイは一瞥した。
何も聞くな、と。
さすがは上級貴族の屋敷で、高い給金で雇われる使用人だけのことがある。
特に家令は、ロイのほんの僅かな一瞥と、抱えられたマチルダで、状況をいっぺんに判断する。
「夕食の時間を一時間遅らせろ」
ロイは短く命じた。
「一時間でよろしいので? 」
「一時間半だ」
訂正する。
「誰も部屋には入らせるな」
気の回し方が出来過ぎる家令に言い置いて、己の寝室へとロイは足を速めた。
深い海の底にいるような部屋は、いつもならマチルダを穏やかな気持ちにさせるが、今日は違う。
人魚にでもなったかのように、今すぐ邪魔な衣類を取り払い、身軽になってしまいたい。
「私の読みは浅かったな」
すでにコートを脱ぎ、シャツの第三ボタンまで外しに掛かっているロイの、胸元にちらつく筋肉を惚けたように見つめるマチルダ。
ベッド上でぺたんと座り込み、腰まで波打たせた黄金色の髪。潤んだ琥珀の瞳。透き通る肌。まさに、絵から抜け出した人魚そのもの。
「午前零時まで待てないとはな」
「なあに? それ? 」
マチルダは無自覚にロイを誘惑する。
赤々とした唇が、艶めかしく動いた。
「あ、あなたのせいよ」
「私の? 何故だ? 」
「あ、あなたが私に弱い部分を曝け出すから」
普段、偉ぶっている男の弱い部分を垣間見てしまえば、その不一致さに頭が混乱してしまう。
「成程な」
スカートの裾が膝頭まで捲り上がり、チラリと覗く細い脚には、ぬらぬらした湿りが滴っている。
ロイはシャツを脱ぎ、惜しみなく裸体を披露した。
「たまには君に弱い部分をちらつかせるのも良いかもな。媚薬以上の効果がある」
「狡いわ」
マチルダは口を尖らせるが、それすらロイへの誘い文句だ。つまるところ、今の彼女は何をしてもロイの欲情を煽る。
「愚図愚図していると、すぐに食事の時間になるぞ」
「やめて。そんな義務的な言い方」
「早く君を抱きたくて堪らない」
ロイは直情的に言い直す。
マチルダの心臓への血の巡りが逸った。
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