【完結】華麗なるマチルダの密約

晴 菜葉

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悪役令嬢の誘惑3 ※

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 淑女の嗜みとして、男女の睦みに関する知識は学んでいる。
 しかし実演となると千差万別、教科書通りにいくわけがない。
「あ、ああ! こ、こんなこと学んでいないわ! 」
 マチルダは朦朧としながら、いやいやと首を横に振って抵抗する。
 マチルダの蜜まみれになった場所に、ロイは躊躇うことなく舌を這わせた。媚薬によりひっきりなしに垂れる透明の雫を、わざとジュルジュルと音を立てながら吸い上げていく。
「当たり前だ。誰がここまで教えるか」
 呆れた呟きのために一旦唇が離れたものの、またすぐに空洞に舌先が差し込まれた。
「嫌! ああ! やめて! 」
 マチルダは顎を仰け反らせ、しかし言葉とは裏腹に彼女の手はがっちりとロイの後頭部を掴んで、続きを強いる。
 湯浴みのメイドにすら見せたことのないその場所を、家族でもない男に見せ、そればかりか舐めさせているなんて。今、正気に返ったならば、舌を噛み切ってしまう案件だ。
 誰にも触れられたことのないその裂け目は薄いピンク色をしており、舌が動くたびに刺激されてヒクヒクと痙攣する。大いにロイを楽しませた。
 品行方正で、氷のように冷たい結界を張る悪女が、実は手付かずの初々しい乙女だったとは。
 何者であろうと侵入を許さない領域に、易々と入り込む男の舌先。マチルダは体をくねらせ、嬌声を上げた。
「ちょっと。眠れないわ。声を落としてちょうだい」
 どんどんどんどん、とドアを連打した直後に、苛立った娼婦の声。これでもう三人目。
 マチルダの喘ぎが、安眠を妨害している。
「マチルダ。静かにしろ」
「嫌っ、ああ」
 興奮の渦に呑まれているマチルダには、ロイの咎める声は聞こえていない。
「仕方ないな」
 ロイは舌を引き抜くと、手の甲で口の周りに纏いつく湿り気を拭った。
 マチルダは名残惜しそうに、彼の前髪を指で掬う。
「初めてで、ここまでさせるつもりはなかったんだが」
 ロイは苦渋に顔をしかめ、そっとマチルダの上半身を起こしてやった。
 続けて、彼女の顔を太腿の間へと押し付ける。
 マチルダの鼻先を、ロイの性器がすれすれに掠めた。
「ち、違うわ」
 マチルダは抗議した。
「何が」
「教科書で見たのと、大きさが違う。教科書はもっと小さかったわ」
「そんなもの、人それぞれだろう」
 今まで寝たどの女も、ロイを受け入れるたびに遠回しにそのような台詞を口にしては悦んでいたが、マチルダはストレート過ぎる。薬が効いているから、恥じらいというものが欠落している。
「す、凄いわ。本物を見ることになるなんて」
 マチルダは目を輝かせて、両手で彼の象徴を包み込んだ。
「うっ」
 ロイが何かに耐えるように呻いた。
 マチルダが、親指の腹で浮いた血管をなぞったからだ。
 彼女は睦みの延長ではなく、単純な興味本位で触れている。新しい玩具を与えられた子供のように。あるいは座学の一貫のように。いつものマチルダからは到底考えられない行為だ。
「色も何だか赤黒くて。ごつごつしているわ。まあ、先が濡れて、今にも滴りそう」
「いちいち言葉にするな」
「どうして? 見せびらかすために、私の鼻先に突きつけたのでしょう? 」
 別に見せびらかすために、彼女の顔を股間に押し付けたわけではない。
 うるさい口を塞ぐためだ。
 国令で禁止されるだけあって、媚薬の威力は脅威すらある。石頭のマチルダを、これほどあけっぴろげな淫乱に変えてしまうのだから。
 マチルダはあらゆる角度から観察しては、きゃいきゃいと楽しそうに声を弾ませた。
 そのうち、怒った娼婦がドアを蹴破りかねない。
 ロイは早々に実行に移すことにした。
 マチルダの小さな口に、凶器を押し込んでやる。
 いきなりの出来事に、さすがのマチルダも目を見開き、口内の異物を吐き出そうとロイの腹を押して逃げようとした。
 が、びくともしない。
「ん! んん! 」
「噛むなよ」
「んーっ! 」
 腰を引いて逃げようとしたら、後頭部を掴まれて、さらに喉奥へと押し込まれてしまう。
「舌を使って舐めるんだよ」
「んん! 」
 口いっぱいで、舌など動かせない。
 そもそも、座学ではそのようなこと教えられていない。男女の生殖器の仕組みと、体のどの部分が合わされば子供を成すかという、生物学的なことしか。
「マチルダ。やってみろ」
 後頭部を押さえていたロイの手が緩んだ。
 マチルダは、恐る恐るそれの表面に舌を這わせてみる。
 すると、ピクリとロイが痙攣した。
「あら? 」
 偉ぶって堂々としているくせに。微かに呻いたのは空耳ではない。
 マチルダは今度は意識して舌先を尖らせると、裏側に這わせてみた。
 やはり、ピクリと反応を返す。
「面白いわ」
 与えられた玩具の扱いに楽しさを見出し、マチルダはますます目を煌めかせた。
 口を半開きにして咥え込んでみる。今度は、彼の熱っぽい息が呻きに混じった。
 マチルダはロイが自分にしたように、鼻で息をしながら吸い上げてみる。それから、舌先を大袈裟なくらい上下させて皮膚を舐った。
「おい、離せ」
 不意にロイが落ち着かなくなる。
「まずい。このままでは」
 モゾモゾと尻をずらして、マチルダの食いつきから逃れようと試みた。
「早く離せ。早く」
 マチルダの額を押して、さらに逃げる動作が大きくなる。
 マチルダに天邪鬼な気持ちが芽生え、根元を握り込んでしがみついた。
 口と指からの刺激に、ビクッとロイが雷で打たれたように跳ねる。
「くそっ! 」
 怨嗟の何事かを吐く。
「……! 」
 直後、マチルダの口内に、ブワッと生温かい液体が広がった。
 どんどん口中を満たしていき、いっぱいに溢れ、マチルダの小さな口内では受け止め切れず、口端から滝のようにそれは垂れ落ちた。
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