【完結】死に戻り令嬢リリアーナ・ラーナの恋愛騒動記

晴 菜葉

文字の大きさ
上 下
52 / 71

ショコラの味わい方5※

しおりを挟む
「おいで、リリアーナ」
 ザカリスはリリアーナをふわりと抱えると、幅の広いドアを開けた。
「この部屋が何故、特別か。教えてやろう」
 てっきりクローゼットかと思ったが、違った。
 開けた途端、白い湯気が目の前にぶわあっと広がる。
 鼻先に入り込むフローラル系の甘やかさ。 
「ま、まあ! 」
 リリアーナは絶句した。
「外国の風呂に倣って造られている」
 そこは、大理石で作られた浴室だった。
 三十六平米はありそうな広さの、半分程が浴槽となっている。浴槽の脇にはヴィーナスやアフロディーテの石膏像が飾られ、反対側には矢を射る天使の像。
 貴族の屋敷では湯浴みは腰高のバスタブにメイドが湯を張るのが一般的だが、ブライス邸はまるで舞台のセットのような設えだ。
 この国では水は貴重な資源だ。
 このような贅沢な使い方をするとは、さすが財産家だ。
「お湯が温かいわ」
 リリアーナは浴槽にすでに張られていた湯温を指先で確かめた。
「ほどよく冷めた頃合いだな」
 ザカリスも同意する。
 のぼせないくらいの丁度良さ。
 もしやこれでもかと卑猥なことをしていたのは、時間稼ぎのための計算ずくかと、リリアーナは疑う。
 隣室のこの設えこそが、特別室たる所以だ。
 部屋を改装した伯爵が自慢する気もわかる。
 ザカリスは床に座り込むと、リリアーナの背を己の胸板につけ、彼女を脚の間に入れた。
「体を洗ってやろう」
「よ、浴槽の中ではなくて? 」
「広く洗い場が設えられているだろ」
 ザカリスは石鹸を泡立てる。ふんわりと、爽やかな香りが充満した。
「ザカリス様にこのようなことをさせるなんて。勿体無いわ」
 リリアーナは申し訳なさで俯く。
「脚を開け。大事なところが洗えない」
 淡々と述べるものの、先程から尾てい骨を痛いほど突いてくるザカリスの怒張したもの。
 綺麗にして一刻も早く潜りたそうだ。
「あ、ああ」
「随分と汚してしまったからな」
 リリアーナの恥部に泡立った中指が入り込み、かき混ぜる。時折、リリアーナの官能を煽る点を押さえて痙攣させては、またすぐにぐるりと反転して指が去った。もっと触れてほしい。リリアーナは疼いた。
 溶けてほぼ形のなさなくなった固体が、ぽとぽとと這い出してくる。全て出し切り、汚れた部分を丹念に撫で回される。ねっとりした回転から、やがて激しい前後へと指は動きを変えた。
「あ、ああ! 」
 臍の真下を内部から押し上げられ、体が跳ねる。
 弾みでヒュッと透明の液体が吹いて、リリアーナはぐったりと彼の腕に身を沈めた。
「せ、石鹸は高級品なのに。無駄遣いよ」
「お前を磨くためだ。後でロイには弁償しておくから、気にするな」
 ザカリスはリリアーナを甘く鳴かせるためなら、枚挙に暇がない。
 汚れた部分を清潔にする行為のはずが、最初から目的から逸脱している。
 初めこそリリアーナは辛抱していたが、ついに耐えられなくなり、ザカリスに泣きついた。
「ザカリス様。も、もう」
「駄目だ、リリアーナ。もっと綺麗にしないと」
「あ、ああ……ん……」
 ピクピクと収斂する膣壁は、早く彼の陰茎を咥えたくて仕方ないのだと、だらだらと蜜を溢し、泡を湿らせる。
「お前のどこが地味で華がないと? 」
 ザカリスは空いた方の手でリリアーナの濡れた赤い髪を一筋掬うと口付けた。
「この燃えるような赤い髪は、どこにいても目を惹く。灰褐色の瞳は無垢でありながら妖艶が見え隠れし。まさに、我が紋章に相応しい女だ」
「あ……ああ……ジャ、茉莉花ジャスミンの? 」
「茉莉花の花言葉は知っているか? 」
「あ……あん……」
「愛らしさ。官能的。可憐な花からは想像もつかない濃厚な香りは、リリアーナそのものだ」
 いつもは無垢で控えめな令嬢。だが、ザカリスの手にかかれば、たちまち妖艶と化す。リリアーナの流し目は、艶然そのもの。
 ザカリスは彼女から指を引き抜くと抱いて、今度は浴槽の中へ。
 今しがたよりも温めだが、じんわりと肌に浸透していく。
 ザカリスは真正面にリリアーナを向けるなり、いきなら肉棒を彼女の割れ目に押し当てた。
「あ、ああ! 熱いわ! お湯が入ってくるわ! 」
 じゅぶりとお湯と共に亀頭が潜り込んでくる。そのまま一気に膣壁を割り、奥深く貫かれた。
「熱くて堪らない! いやああ! 」
 内壁に直に湯が当たり、火傷しそうに熱い。
 石鹸とお湯と愛液にまみれたリリアーナの膣内は、いつになく滑りが良く、また、締まりが半端なく、ザカリスを唸らせた。
 最奥まで届いた亀頭の先が容赦なくリリアーナの子宮口を叩く。
 執拗に叩かれて、ジュポッジュポッと隙間から漏れてくるリリアーナの液体。
 ザカリスはそれすら取りこぼすのは惜しいと、さらにぐりぐりと陰茎を捻じ込み、子宮口に擦り付けた。
「熱い! いや! ああ! 」
 リリアーナの意識は薄れて、最後の力を振り絞りザカリスに縋り付く。
 ザカリスはすでに雄の本能に支配されていた。
 リリアーナを孕ませたい。
 最早、それしか頭の中にはない。
「リリアーナ。俺もそろそろ限界だ」
「わ、私もよ……ザカリス様……早く……」
 リリアーナは強い雄に惹かれる雌だ。より強い精子を取り込んで、子孫を残そうとする獣のさがだ。
 精巣から流れ出した精液が、精管を押し広げる感覚。これほどまでに生々しい射精をしたことはない。まるでセックスを覚えたての頃のようにコントロール出来ず、ザカリスは大量の精液をリリアーナの膣内に噴射していた。
「ぐっ、ぐあああああ! 」
「あ……ああああああ! 」
 ザカリスの咆哮にリリアーナは悦びの雄叫びを重ね、浴室は獣の交尾する場と化した。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

あなたの妻にはなりません

風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から大好きだった婚約者のレイズ。 彼が伯爵位を継いだと同時に、わたしと彼は結婚した。 幸せな日々が始まるのだと思っていたのに、夫は仕事で戦場近くの街に行くことになった。 彼が旅立った数日後、わたしの元に届いたのは夫の訃報だった。 悲しみに暮れているわたしに近づいてきたのは、夫の親友のディール様。 彼は夫から自分の身に何かあった時にはわたしのことを頼むと言われていたのだと言う。 あっという間に日にちが過ぎ、ディール様から求婚される。 悩みに悩んだ末に、ディール様と婚約したわたしに、友人と街に出た時にすれ違った男が言った。 「あの男と結婚するのはやめなさい。彼は君の夫の殺害を依頼した男だ」

【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす

まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。  彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。  しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。  彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。  他掌編七作品収録。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」  某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。 【収録作品】 ①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」 ②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」 ③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」 ④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」 ⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」 ⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」 ⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」 ⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

処理中です...