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ショコラの味わい方4※
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「せっかくだから今夜、後ろも開発しようか」
凶悪な仕置きはまだ終わらない。
リリアーナは彼の言葉の意味は理解出来なかったが、自分にとって良くないことだけはわかった。
「な、何? 」
「明日には、ここに俺を咥え込めるくらいにさせるんだよ」
ここに、とザカリスはリリアーナの後肛を指で突いた。
「だ、駄目よ! 」
「何故? 」
「こ、ここは嫌よ! 」
ザカリスの剥き出された陰茎は、臍につくほど赤黒く膨れ上がり、硬さが半端ない。以前に握って口淫したから、大きさは充分知っている。握れば指が回らない。それほどのものを、些細な場所に捩じ込まれれば、間違いなく内臓が破裂してしまう。
「やめて! 」
「本気で嫌がっているんだな」
「あ、当たり前よ! 」
「それなら、最高の仕置きになりそうだ」
ニヤリとザカリスは口元を歪めた。
その台詞、顔つき。リリアーナはふと、記憶にあるシーンと被った。
「『或る愛の軌跡』を真似ているの? 」
主人公リシュエルが、逃げるために外国船の船長を誘惑したと知った恋人のジャックから、怒り任せに仕置きをされるシーンだ。
子を成す目的以外の性交は、神を冒涜する行為。
だが、物語ではリシュエルは新たな門を開いて、恍惚の海に翻弄される。
実体験でなければわからないような詳細さ。
通常なら発禁となってもおかしくないのに、何故か本は版を重ねて、未だに多くの老若男女に読み継がれている。
「おい。何故、内容を知っているんだ? 」
ザカリスの顔色が変わった。
「まさか」
「え、ええ。天板の上の本を読んだわ」
リリアーナは認めた。
「お前が踏み台を使っても取れないはず。そうか、取ったのは家令だな? 」
「ど、どうして? 」
リリアーナは家令の名は出すまいと決めていたのに、ザカリスはあっさりと言い当ててしまった。
「うちの家令は昔からお前を甘やかせているからな。家令だけではない。うちの使用人は、皆んな、お前の味方だ」
「い、言い過ぎだわ」
「いや。お前と婚約したと知った使用人らの浮かれようときたら」
苦々しくザカリスは顔を歪める。
母親同士が親友であり、屋敷も近所、リリアーナは昔からロナルド邸に出入りしているともなれば、使用人らと顔馴染みとなる。ひたむきなリリアーナは、可愛がられて当然ともいえる。
このところのリリアーナに対する冷遇でザカリスへの風当たりは悪かったが、婚約を機に徐々にそれも解消してきたところだ。
「お前の目をこれ以上腫らせて、うちの家令の恨みを買うのも不本意だしな。後ろは、今夜はやめておくか」
ザカリスの呟きに、リリアーナは安堵して、真後ろにある彼の唇に自分の唇を重ねた。
リリアーナにとっては感謝の意を示したものだが、その仕草はまるで甘えてねだるようで、ザカリスの体の燻りに火をつけた。
凶悪な仕置きはまだ終わらない。
リリアーナは彼の言葉の意味は理解出来なかったが、自分にとって良くないことだけはわかった。
「な、何? 」
「明日には、ここに俺を咥え込めるくらいにさせるんだよ」
ここに、とザカリスはリリアーナの後肛を指で突いた。
「だ、駄目よ! 」
「何故? 」
「こ、ここは嫌よ! 」
ザカリスの剥き出された陰茎は、臍につくほど赤黒く膨れ上がり、硬さが半端ない。以前に握って口淫したから、大きさは充分知っている。握れば指が回らない。それほどのものを、些細な場所に捩じ込まれれば、間違いなく内臓が破裂してしまう。
「やめて! 」
「本気で嫌がっているんだな」
「あ、当たり前よ! 」
「それなら、最高の仕置きになりそうだ」
ニヤリとザカリスは口元を歪めた。
その台詞、顔つき。リリアーナはふと、記憶にあるシーンと被った。
「『或る愛の軌跡』を真似ているの? 」
主人公リシュエルが、逃げるために外国船の船長を誘惑したと知った恋人のジャックから、怒り任せに仕置きをされるシーンだ。
子を成す目的以外の性交は、神を冒涜する行為。
だが、物語ではリシュエルは新たな門を開いて、恍惚の海に翻弄される。
実体験でなければわからないような詳細さ。
通常なら発禁となってもおかしくないのに、何故か本は版を重ねて、未だに多くの老若男女に読み継がれている。
「おい。何故、内容を知っているんだ? 」
ザカリスの顔色が変わった。
「まさか」
「え、ええ。天板の上の本を読んだわ」
リリアーナは認めた。
「お前が踏み台を使っても取れないはず。そうか、取ったのは家令だな? 」
「ど、どうして? 」
リリアーナは家令の名は出すまいと決めていたのに、ザカリスはあっさりと言い当ててしまった。
「うちの家令は昔からお前を甘やかせているからな。家令だけではない。うちの使用人は、皆んな、お前の味方だ」
「い、言い過ぎだわ」
「いや。お前と婚約したと知った使用人らの浮かれようときたら」
苦々しくザカリスは顔を歪める。
母親同士が親友であり、屋敷も近所、リリアーナは昔からロナルド邸に出入りしているともなれば、使用人らと顔馴染みとなる。ひたむきなリリアーナは、可愛がられて当然ともいえる。
このところのリリアーナに対する冷遇でザカリスへの風当たりは悪かったが、婚約を機に徐々にそれも解消してきたところだ。
「お前の目をこれ以上腫らせて、うちの家令の恨みを買うのも不本意だしな。後ろは、今夜はやめておくか」
ザカリスの呟きに、リリアーナは安堵して、真後ろにある彼の唇に自分の唇を重ねた。
リリアーナにとっては感謝の意を示したものだが、その仕草はまるで甘えてねだるようで、ザカリスの体の燻りに火をつけた。
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