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レイノリア誘惑する※
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鬼のライナードも、色恋には弱かった。
レイノリアはもう一度口づけをしようと体を前のめりに倒した。
ふと、指先が固い物に触れた。
ライナードの太腿の間に割って入ったときに触れたその正体に気付いて、レイノリアは我慢出来なくなった。
「お、お前。何やって……」
騎士としての装備にかかる手つきは不器用なくせに、こういった類は手馴れている。レイノリアは難なくライナードのベルトを引き抜き、ズボンのファスナーを下ろすと、そこに隠されるものを探り充てて証明してみせた。
「助けられた七歳の頃から、ずっと好きでした。今でも好きです」
「えっ」
「あなたのそばにいたい。その目標のみで、剣術、体術に明け暮れました」
女の分際でなどと差別され、たとえ冷たい目を向けられようと、男に混じり道場に通い、剣を振るった。
いつしか細腕には筋肉がつき、女性特有の柔らかさを失った。
だけど、構わない。
夢を掴み取ることが出来たのだから。
予想以上に、ライナードはレイノリアから受けるキスで興奮していた。見た目通り、その部分も屈強だ。生唾を飲み込むと、おもむろに咥えた。
「レ、レイノリア! お前、な、何を! 」
がらがら声が引っ繰り返る。ヤメロ、ヤメロと呪文のように唱えながら前髪を掴まれ、引き剥がされそうになるが、レイノリアはさらに強く吸いつくことで抵抗する。尖らせた舌を、先端の割れ目に差し入れた。瞬間、びくっとライナードの全身に電流が流れ、尻が浮いた。
ふたまわり近い年齢差で、部下で、毎日顔を突き合わせる。はっきりいって、障害だらけだ。
それなのに、ライナードはそんな自分に欲情している。明らかな兆候に、レイノリアの理性は飛んだ。
「ちょっ、まずい。レイノリア。まずいから」
ライナードの声が震える。絶頂寸前だ。
彼にはまだなけなしの理性が残されており、まさか口内に吐き出すわけにはいかないと、レイノリアの髪を引っ張ったり、頬を抓ったりと、必死に引き剥がそうとする。
逃がさない。レイノリアの瞳にある欲望の炎が勢いを増す。
一旦口を離すと、あからさまにライナードはホッと安堵の息を吐いた。が、すぐさま頬肉を引き攣らせる。
ライナードの腿に乗り上げると、己の麻のズボンを下着ごと膝まで引き摺り下ろす。
眼前で息を呑む気配。
レイノリアの下腹部が痛いぐらいに疼いた。
朴念仁のライナードも、次に何が起こるのか察したようだ。こめかみから汗の雫が垂れた。
「お、おい。お前、まさか」
「はい。その、まさかです」
「し、淑女が何てことを」
「騎士の称号を賜って以来、淑女は捨てました」
「し、しかし。お前はまだ若い。何もこんな中年を相手に」
「黙って」
耳元で囁けば、ライナードはヒッと喉を鳴らす。
レイノリアぎゅっと瞼を閉じた。
恐る恐る、浮かせていた腰を下ろす。切っ先が己の割れ目に触れた。固く閉ざされたそこへ潜り込ませようと、指先を使って拡げ、促す。
「うっ……」
ほんの先端を呑み込んだだけで、痛みが走る。
「な、何で……何で挿入らないの……」
公爵夫人からは下世話なくらい、その手の話は繰り返し教え込まれた。
女騎士として生きるレイノリアには無意味だ。
だが、公爵夫人は、知識を蓄えるに越したことはないと言い張った。
今、その知識をひけらかすときだ。
学習はしてある。
だけど、想定外。こんな、引き裂かれるような感覚を味わうなんて、詐欺だ。
それでも、繋がりたい。
レイノリアはピリッと今にも破れて血が吹き出しそうな痛みに歯を食い縛りながら、さらに体をくの字に曲げる。
「あっ……痛っ……くそっ……どうして……」
やっと張り出した部分が内部に潜る。だが、それ以上先には進まない。どうにかしようと腰を上下させた。
「ひいい! 」
一際大きな悲鳴。火傷しそうなくらい患部が燃え上がり、引き攣れる。脳内に、皮膚が破れて鮮血が溢れ出るイメージが広がった。
「いやっ! あああ! 」
怖い。
ラグの上にはレイノリアの想像する血液は少しも見当たらない。
だが、中途半端に咥え込んだままびくともしない存在が大き過ぎて、混乱を来たした。
怖い。どうすることも出来ない。もう抜いてしまいたい。だが、やっと咥え込んだものをあっさり手離すなんて嫌だ。相反する意地が頭の中でぶつかり合う。
レイノリアはもう一度口づけをしようと体を前のめりに倒した。
ふと、指先が固い物に触れた。
ライナードの太腿の間に割って入ったときに触れたその正体に気付いて、レイノリアは我慢出来なくなった。
「お、お前。何やって……」
騎士としての装備にかかる手つきは不器用なくせに、こういった類は手馴れている。レイノリアは難なくライナードのベルトを引き抜き、ズボンのファスナーを下ろすと、そこに隠されるものを探り充てて証明してみせた。
「助けられた七歳の頃から、ずっと好きでした。今でも好きです」
「えっ」
「あなたのそばにいたい。その目標のみで、剣術、体術に明け暮れました」
女の分際でなどと差別され、たとえ冷たい目を向けられようと、男に混じり道場に通い、剣を振るった。
いつしか細腕には筋肉がつき、女性特有の柔らかさを失った。
だけど、構わない。
夢を掴み取ることが出来たのだから。
予想以上に、ライナードはレイノリアから受けるキスで興奮していた。見た目通り、その部分も屈強だ。生唾を飲み込むと、おもむろに咥えた。
「レ、レイノリア! お前、な、何を! 」
がらがら声が引っ繰り返る。ヤメロ、ヤメロと呪文のように唱えながら前髪を掴まれ、引き剥がされそうになるが、レイノリアはさらに強く吸いつくことで抵抗する。尖らせた舌を、先端の割れ目に差し入れた。瞬間、びくっとライナードの全身に電流が流れ、尻が浮いた。
ふたまわり近い年齢差で、部下で、毎日顔を突き合わせる。はっきりいって、障害だらけだ。
それなのに、ライナードはそんな自分に欲情している。明らかな兆候に、レイノリアの理性は飛んだ。
「ちょっ、まずい。レイノリア。まずいから」
ライナードの声が震える。絶頂寸前だ。
彼にはまだなけなしの理性が残されており、まさか口内に吐き出すわけにはいかないと、レイノリアの髪を引っ張ったり、頬を抓ったりと、必死に引き剥がそうとする。
逃がさない。レイノリアの瞳にある欲望の炎が勢いを増す。
一旦口を離すと、あからさまにライナードはホッと安堵の息を吐いた。が、すぐさま頬肉を引き攣らせる。
ライナードの腿に乗り上げると、己の麻のズボンを下着ごと膝まで引き摺り下ろす。
眼前で息を呑む気配。
レイノリアの下腹部が痛いぐらいに疼いた。
朴念仁のライナードも、次に何が起こるのか察したようだ。こめかみから汗の雫が垂れた。
「お、おい。お前、まさか」
「はい。その、まさかです」
「し、淑女が何てことを」
「騎士の称号を賜って以来、淑女は捨てました」
「し、しかし。お前はまだ若い。何もこんな中年を相手に」
「黙って」
耳元で囁けば、ライナードはヒッと喉を鳴らす。
レイノリアぎゅっと瞼を閉じた。
恐る恐る、浮かせていた腰を下ろす。切っ先が己の割れ目に触れた。固く閉ざされたそこへ潜り込ませようと、指先を使って拡げ、促す。
「うっ……」
ほんの先端を呑み込んだだけで、痛みが走る。
「な、何で……何で挿入らないの……」
公爵夫人からは下世話なくらい、その手の話は繰り返し教え込まれた。
女騎士として生きるレイノリアには無意味だ。
だが、公爵夫人は、知識を蓄えるに越したことはないと言い張った。
今、その知識をひけらかすときだ。
学習はしてある。
だけど、想定外。こんな、引き裂かれるような感覚を味わうなんて、詐欺だ。
それでも、繋がりたい。
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「あっ……痛っ……くそっ……どうして……」
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「いやっ! あああ! 」
怖い。
ラグの上にはレイノリアの想像する血液は少しも見当たらない。
だが、中途半端に咥え込んだままびくともしない存在が大き過ぎて、混乱を来たした。
怖い。どうすることも出来ない。もう抜いてしまいたい。だが、やっと咥え込んだものをあっさり手離すなんて嫌だ。相反する意地が頭の中でぶつかり合う。
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