壁の花令嬢の最高の結婚

 壁の花とは、舞踏会で誰にも声を掛けてもらえず壁に立っている適齢期の女性を示す。
 社交デビューして五年、一向に声を掛けられないヴィンセント伯爵の実妹であるアメリアは、兄ハリー・レノワーズの悪友であるブランシェット子爵エデュアルト・パウエルの心ない言葉に傷ついていた。
 ある日、アメリアに縁談話がくる。相手は三十歳上の財産家で、妻に暴力を働いてこれまでに三回離縁を繰り返していると噂の男だった。
 アメリアは自棄になって家出を決行する。
 行く当てもなく彷徨いていると、たまたま賭博場に行く途中のエデュアルトに出会した。
 そんなとき、彼が暴漢に襲われてしまう。
 助けたアメリアは、背中に消えない傷を負ってしまった。
 乙女に一生の傷を背負わせてしまったエデュアルトは、心底反省しているようだ。
「俺が出来ることなら何だってする」
 そこでアメリアは考える。
 暴力を振るう亭主より、女にだらしない放蕩者の方がずっとマシ。
「では、私と契約結婚してください」


R18には※をしています。

 
 
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