93 / 122
第10章:神槍
第2話:目覚めの一発
しおりを挟む
ロック=イートは石突部分で殴られながら、舐められたものだと憤慨しそうになる。神槍:ブリトニー=ノーガゥは聖槍:ロンギヌスの穂先を木製のカバーで覆い尽くしているし、そうしているからこそ、殺傷力は落としているはずなのに、その部分で攻撃してこない。あくまでも打撃用部分である石突で攻撃を繰り返してくることにイラつきを覚えてしまうロック=イートであった。
(せめて、あの木製のカバーを外すくらいには追い込んでやりたいぜ……)
ロック=イートは身を無理やり起こされた後は身体をひねり、神槍:ブリトニー=ノーガゥの石突部分による連続攻撃を回避する。鼻に向かってくる突きを身体を大きく後ろに逸らすことで回避し、次に来る攻撃を後方バク転で距離を置く。彼との距離を空けることは悪手であることはわかっていたが、一度、退くことで突進力を得ようとしたのである。
ロック=イートはバク転して、両足を地面に着地させると同時にまたしてもロケット・パンチを放つ。しかし、その動きは神槍:ブリトニー=ノーガゥも読んでおり、金属製の槍を横に振りまわして、ロック=イートを迎撃してしまう。横っ腹にドスンッと重い衝撃を受けたロック=イートはロケット・パンチの軌道を変えられてしまうのであった。
ロック=イートはロケット・パンチをのべ4度回避されてしまうが、それでも果敢にブリトニー=ノーガゥに接近していく。そんな彼に対して、ブリトニー=ノーガゥはやや呆れたという表情になり、ロック=イートにあてがうように槍を斜めに持ち、柄の部分で彼を押し出すのであった。
「まったく……。主導権をこちらに握らせたくないのはわかりますが、それではただの猪突猛進です。もう少し、頭を使ってみてはどうでしょう?」
「うるせぇっ! これが俺のやり方だっ!」
神槍:ブリトニー=ノーガゥがやや説教交じりに、ロック=イートの戦法について注文をつける。ロック=イートは余計なお世話だとばかりに彼の言いを否定する。ロック=イートは左足を大きく前に踏み出し、左腕を斜め下から斜め上へと振り上げる。神槍:ブリトニー=ノーガゥはそのアッパーを軽々と回避し、上から下へと叩きつけるように聖槍:ロンギヌスを振りぬく。
しかしながら、それはロック=イートの誘いであった。距離を詰めているため、上から下への槍の振り下ろしには勢いがない。ロック=イートは右腕の腕先部分で聖槍:ロンギヌスを受け止めて、さらには右方向へと払いのける。そうすることで、申し訳ない程度に神槍:ブリトニー=ノーガゥの体幹が右から左へ崩れることとなる。彼がおっとっと! と言っているところへ、ロック=イートは左腕を真っ直ぐと伸ばし、渾身のストレートをブリトニー=ノーガゥの右胸へと発射する。
だが、ブリトニー=ノーガゥも黙ってそれを喰らうことは無い。穂先の方をロック=イートの右腕で弾かれたわけだが、その勢いを利用し、石突部分を時計回りの方向へと回し、ロック=イートの左腕を跳ね上げてしまう。次に体幹を崩されたのはロック=イートであった。左腕が宙を泳ぎ、左の脇腹ががら空きとなる。そこに回り込んできた槍の穂先を真っ直ぐに突きこまれる形となる。
ロック=イートは左腕を上方へと跳ね上げられたままの姿勢で身体を申し訳ない程度に右にひねる。槍の穂先がロック=イートの背中側を削るように突っ込まれるのだが、その軌道はロック=イートの思い描く通りであった。ロック=イートは背中を用いて聖槍:ロンギヌスを受け流したのだ。そして、ロック=イートはさらに身体を右へとひねり、完全に背中を神槍:ブリトニー=ノーガゥに向ける形となる。
この時、神槍:ブリトニー=ノーガゥは油断していた。ロック=イートが自分の身体の正面にぴったりと背中をつけてしまったために、攻撃など出来ぬと踏んでいたのだ。しかし、ロック=イートは徒手空拳による『打撃のスペシャリスト』であった。両手のみで闘うわけではないのである。
「ロケット・テツザンコウ!」
ロック=イートは背中を神槍:ブリトニー=ノーガゥの正面に押し付けた後、さらに右足をブリトニー=ノーガゥの両足の間に突っ込ませる。その右足に全体重を移動させることにより、背中側に突進エネルギーが生じる。ドンッ! という音と共に、神槍:ブリトニー=ノーガゥは尻餅をつく形で吹き飛ばされてしまうことになる。
「ざまあみやがれっ!」
ロック=イートはロケット・テツザンコウがキレイに決まり、気分爽快となってしまう。これでダウンが取れるわけではないが、神槍:ブリトニー=ノーガゥにインパクトを与えるには十分な技であった。実際に彼は眼を白黒とさせている。あの状態から打撃技を出せることに驚いているのは一目瞭然だった。
「いやあ……。ロックくんを舐めていましたよ。まさかあの体勢から技を繰り出せることに戦々恐々となってしまいます」
神槍:ブリトニー=ノーガゥは聖槍:ロンギヌスを杖代わりにして、その場で起き上がる。今までのロック=イートの動きは十分に計算されているものであったことに気づくのであった。わざわざ自分に恥をかかせるために背中を密着させる動きを見せたのだと。神槍:ブリトニー=ノーガゥが今大会で尻餅をつくようなことは、これが初めての経験であった。さすがは準決勝まで駒を進めてきただけはあると、ロック=イートへの評価を爆上げさせるのであった。
「ロックくん。キミが立派な戦士であることを今ここで認めましょう。ですので、ここらで降参してくれますかね?」
神槍:ブリトニー=ノーガゥはあくまでも上から目線でそうロック=イートに告げる。まるでその言い様からはブリトニー=ノーガゥがロック=イートの技を確認するための審査員であるかのようであった。ロック=イートは右手の親指で鼻の穴を片方、外側から押して、フンッ! と空気を吐き出す。すると、空いているもう片方の鼻の穴から、血が噴き出すこととなる。
石突部分の攻撃を喰らっていた時に、ロック=イートは鼻にも良いのを喰らっていたのである。それにより、鼻の奥で軽く出血が起こり、そこに段々と血が溜まっていたのだ。それを無理やり鼻の外へと追いやる。血で詰まりかけていた鼻の気道を確保したその姿勢から、ロック=イートは降参する気などないと示したのである。
「やれやれ……。この上覧武闘会はあくまでもキミのような戦士たちの実力を推し量るためだというのに……。自分は必要以上に相手を痛めつける性癖は持ち合わせていませんよ?」
(せめて、あの木製のカバーを外すくらいには追い込んでやりたいぜ……)
ロック=イートは身を無理やり起こされた後は身体をひねり、神槍:ブリトニー=ノーガゥの石突部分による連続攻撃を回避する。鼻に向かってくる突きを身体を大きく後ろに逸らすことで回避し、次に来る攻撃を後方バク転で距離を置く。彼との距離を空けることは悪手であることはわかっていたが、一度、退くことで突進力を得ようとしたのである。
ロック=イートはバク転して、両足を地面に着地させると同時にまたしてもロケット・パンチを放つ。しかし、その動きは神槍:ブリトニー=ノーガゥも読んでおり、金属製の槍を横に振りまわして、ロック=イートを迎撃してしまう。横っ腹にドスンッと重い衝撃を受けたロック=イートはロケット・パンチの軌道を変えられてしまうのであった。
ロック=イートはロケット・パンチをのべ4度回避されてしまうが、それでも果敢にブリトニー=ノーガゥに接近していく。そんな彼に対して、ブリトニー=ノーガゥはやや呆れたという表情になり、ロック=イートにあてがうように槍を斜めに持ち、柄の部分で彼を押し出すのであった。
「まったく……。主導権をこちらに握らせたくないのはわかりますが、それではただの猪突猛進です。もう少し、頭を使ってみてはどうでしょう?」
「うるせぇっ! これが俺のやり方だっ!」
神槍:ブリトニー=ノーガゥがやや説教交じりに、ロック=イートの戦法について注文をつける。ロック=イートは余計なお世話だとばかりに彼の言いを否定する。ロック=イートは左足を大きく前に踏み出し、左腕を斜め下から斜め上へと振り上げる。神槍:ブリトニー=ノーガゥはそのアッパーを軽々と回避し、上から下へと叩きつけるように聖槍:ロンギヌスを振りぬく。
しかしながら、それはロック=イートの誘いであった。距離を詰めているため、上から下への槍の振り下ろしには勢いがない。ロック=イートは右腕の腕先部分で聖槍:ロンギヌスを受け止めて、さらには右方向へと払いのける。そうすることで、申し訳ない程度に神槍:ブリトニー=ノーガゥの体幹が右から左へ崩れることとなる。彼がおっとっと! と言っているところへ、ロック=イートは左腕を真っ直ぐと伸ばし、渾身のストレートをブリトニー=ノーガゥの右胸へと発射する。
だが、ブリトニー=ノーガゥも黙ってそれを喰らうことは無い。穂先の方をロック=イートの右腕で弾かれたわけだが、その勢いを利用し、石突部分を時計回りの方向へと回し、ロック=イートの左腕を跳ね上げてしまう。次に体幹を崩されたのはロック=イートであった。左腕が宙を泳ぎ、左の脇腹ががら空きとなる。そこに回り込んできた槍の穂先を真っ直ぐに突きこまれる形となる。
ロック=イートは左腕を上方へと跳ね上げられたままの姿勢で身体を申し訳ない程度に右にひねる。槍の穂先がロック=イートの背中側を削るように突っ込まれるのだが、その軌道はロック=イートの思い描く通りであった。ロック=イートは背中を用いて聖槍:ロンギヌスを受け流したのだ。そして、ロック=イートはさらに身体を右へとひねり、完全に背中を神槍:ブリトニー=ノーガゥに向ける形となる。
この時、神槍:ブリトニー=ノーガゥは油断していた。ロック=イートが自分の身体の正面にぴったりと背中をつけてしまったために、攻撃など出来ぬと踏んでいたのだ。しかし、ロック=イートは徒手空拳による『打撃のスペシャリスト』であった。両手のみで闘うわけではないのである。
「ロケット・テツザンコウ!」
ロック=イートは背中を神槍:ブリトニー=ノーガゥの正面に押し付けた後、さらに右足をブリトニー=ノーガゥの両足の間に突っ込ませる。その右足に全体重を移動させることにより、背中側に突進エネルギーが生じる。ドンッ! という音と共に、神槍:ブリトニー=ノーガゥは尻餅をつく形で吹き飛ばされてしまうことになる。
「ざまあみやがれっ!」
ロック=イートはロケット・テツザンコウがキレイに決まり、気分爽快となってしまう。これでダウンが取れるわけではないが、神槍:ブリトニー=ノーガゥにインパクトを与えるには十分な技であった。実際に彼は眼を白黒とさせている。あの状態から打撃技を出せることに驚いているのは一目瞭然だった。
「いやあ……。ロックくんを舐めていましたよ。まさかあの体勢から技を繰り出せることに戦々恐々となってしまいます」
神槍:ブリトニー=ノーガゥは聖槍:ロンギヌスを杖代わりにして、その場で起き上がる。今までのロック=イートの動きは十分に計算されているものであったことに気づくのであった。わざわざ自分に恥をかかせるために背中を密着させる動きを見せたのだと。神槍:ブリトニー=ノーガゥが今大会で尻餅をつくようなことは、これが初めての経験であった。さすがは準決勝まで駒を進めてきただけはあると、ロック=イートへの評価を爆上げさせるのであった。
「ロックくん。キミが立派な戦士であることを今ここで認めましょう。ですので、ここらで降参してくれますかね?」
神槍:ブリトニー=ノーガゥはあくまでも上から目線でそうロック=イートに告げる。まるでその言い様からはブリトニー=ノーガゥがロック=イートの技を確認するための審査員であるかのようであった。ロック=イートは右手の親指で鼻の穴を片方、外側から押して、フンッ! と空気を吐き出す。すると、空いているもう片方の鼻の穴から、血が噴き出すこととなる。
石突部分の攻撃を喰らっていた時に、ロック=イートは鼻にも良いのを喰らっていたのである。それにより、鼻の奥で軽く出血が起こり、そこに段々と血が溜まっていたのだ。それを無理やり鼻の外へと追いやる。血で詰まりかけていた鼻の気道を確保したその姿勢から、ロック=イートは降参する気などないと示したのである。
「やれやれ……。この上覧武闘会はあくまでもキミのような戦士たちの実力を推し量るためだというのに……。自分は必要以上に相手を痛めつける性癖は持ち合わせていませんよ?」
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!
猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」
無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。
色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。
注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします!
2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。
2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました!
☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。
☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!)
☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。
★小説家になろう様でも公開しています。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる