73 / 122
第8章:目覚めの兆し
第2話:覆面の戦士
しおりを挟む
控室にいる戦士たちは一様に口をポカーンと開けて、間抜け面を晒してしまう。第1回戦・第1試合で劇的な勝利を収めたロック=イートをいともたやすく投げてしまった存在が居たからだ。そいつは覆面の戦士であり、なおかつ、女性の声である。体格こそ男性と変わらぬほどにがっちりとしていたために、その覆面の戦士が女性だとは思っていなかったのである。
そして、女性がかのロック=イートを軽々と投げ飛ばしてしまったことで、控室にはどよめきが起きることとなる。ロック=イートを投げ飛ばした本人はスクっと立ち上がり、パンパンと薄い布地に付着した埃を両手で払いだす。そうすることで、他の戦士たちも、覆面の戦士が女性であることを認識するに至る。彼女は覆面を被り、紅玉色の外套を羽織っていたために、胸部分にはあまり注目していなかった。それゆえに、彼女の性別を判別することを失念していたといっても良いだろう。
明らかに分厚い胸板というよりかは、その部分が不必要に盛り上がっていたのだ。身体に密着するタイトなレスリングウェアのために、オッパイが潰れていただけである。それがさも勇壮な分厚い胸板のように錯覚させられていただけなのであった。そして、彼女は両手を覆面の後ろに持っていき、紐を外す。彼女が覆面を外すと、両頬に幾筋かの傷跡が斜め横に走っているのが視認できたのであった。そんな彼女に対して、ロック=イートがハハ……と喜びを含んだ笑みを零すことになる。
「サラ姐。ひどいじゃないか。会うなり、いきなり投げ飛ばすことなんかないだろう?」
「何を言っているのよ。ひどいのはあんたも変わりないでしょ? あたしが誰かなんて、投げ飛ばされるまで気が付かなかったでしょ?」
サラ=ローランはそう言うと、覆面をレスリングウェアの空いた部分であるわき腹から捻じ込むように尻の部分にまで突っ込み、空いた両手でロック=イートの右腕を引っ張る。ロック=イートは自分の背中を左手でさすりながら、彼女に身を起こしてもらうこととなる。投げた投げられた間柄だというのに、友好的な雰囲気を醸し出す二人であった。しかしながらリリー=フルールとヨーコ=タマモは憤慨していた。サラ=ローランを囲むように二人が立ち、喧々ごうごうとサラ=ローランを責め立てるのであった。
「わたくしのロックが怪我をしたらどうするのよっ! ロックはこの後、第2回戦に出場するのですわっ!」
「そうじゃそうじゃ! わらわのロックを試合前に痛めつけようという算段かえ!?」
わめき散らす彼女たちに対して、サラ=ローランは両手の人差し指で両方の犬耳の穴を塞ぎ、あーあー聞こえなーいと言い出すモノだから、余計に彼女たちは憤慨してしまう。そんなリリー=フルールとヨーコ=タマモを落ち着かせる役目を担ったのはロック=イートであった。彼は右の義手で頭をボリボリと掻きつつ
「あー。リリー様、タマモさん。あれでもサラ姐は手加減していたから……。あれが本気の投げだったら、俺は受け身も満足に取れずに失神してたから……」
ロック=イートのこの発言は悪手極まりないモノであった。彼女たちの怒りの矛先はサラ=ローランではなく、ロック=イートに向けられてしまうことになる。ロック=イートは思わず、はああ……とため息をつくしか他無かった。そんな困り果てているロック=イートに対して助け船を出したのは彼を投げ飛ばした張本人であった。
「ごめんね? あたしの元・婚約者が絶世の美女二人に囲まれていると思ったら、つい嫉妬しちゃったのよ。悪気はないわよ。ちょっと妬いちゃっただけよ?」
サラ=ローランが二人のことを絶世の美女と表現したために、リリー=フルールとヨーコ=タマモは勝ち誇った表情を顔に浮かべることとなる。さも、よくわかっているじゃないのと言いたげでもある。そんな彼女たちは怒りの矛を収め、ロック=イートの腕を1本づつ、自分の両腕で抱えこむこととなる。
「話が早くて助かりますわ。元・婚約者さん。わたくしは現・婚約者のリリー=フルールですわ」
「ふむっ。わらわの美貌を認めることが出来るのは良い女性であることは確かなのじゃ。先ほどのロックへの仕打ちを許してやろうなのじゃ」
ロック=イートはもし両腕が塞がってなければ、ボリボリと頭を掻いていたに違いない。だが、今、自分の両腕にはおしとやかなオッパイと豊満なオッパイを擦り付けれている。彼女たちがロック=イートは自分のモノだと主張するためにわざとやっているのはわかるのだが、それでもリリー=フルールが火が顔から噴き出さんとばかりに赤面しているので、恥ずかしいなら止めれば良いのにとも思ってしまう。
それでもリリー=フルールはおしとやかなオッパイをロック=イートの左腕に当てることをやめないでいた。これは女同士の戦いでもあったからだ。今、彼女の眼の前に居るのは、ロック=イートがタイガー・ホールに在籍していたころに、将来を約束しあったサラ=ローランであったからだ。だからこそ、これは退くに退けない戦いでもあったのだ。リリー=フルールは軽く上下に身体を動かすことで、無理やりながらおしとやかなオッパイをロック=イートの生身のほうの左腕に擦り付ける。
彼女のその精いっぱいの頑張りを見ていたサラ=ローランはついプッ! と噴き出してしまう。そして、またしてもリリー=フルールの金色に染まる頭を右手でワシャワシャと掻きまわす。
「ロックは良いお嬢様を婚約者にもらったのね。お姉さんとしても微笑ましい限りよ。お嬢様? 安心してほしいわ。既にあたしはロック以外の男に嫁いでいるから。だから、ロックをどうこうしようなんて思ってないわよ?」
サラ=ローランの突然の告白に激しく動揺したのはロック=イートであった。その動揺は彼の言葉にも大きく現れることとなる。
「お、おめでとう? と言っていいのかな? え、ええと相手はいったい誰なんだ?」
歯切れ悪くしゃべるロック=イートに対して、サラ=ローランはふう……と大きくため息をつく。そして、腰の両側に手を当てつつ、頭を左右に振りながら、衝撃の事実をロック=イートに告げる。
「あたしはタイガー・ホールが閉鎖されてから、行くとこを失くしてね? それでコタローがあたしの身受け人になるって言ってくれたのよ……」
「そうか……。コタロー兄がサラ姐の面倒を見てくれるって流れになっていたのか……。コタロー兄はサラ姐によくしてくれているのか?」
ロック=イートの質問に対して、サラ=ローランは眼を閉じて黙ってしまう。二人の間には数秒間、沈黙が訪れる。だが、サラ=ローランはまぶたを開き、破顔して
「ええ。コタローはあたしに優しくしてくれるわ。どこかの夢追い人とは違って、現実に生きているもの。あんたと一緒にならなくて良かったとすら、今は思えるわ」
そして、女性がかのロック=イートを軽々と投げ飛ばしてしまったことで、控室にはどよめきが起きることとなる。ロック=イートを投げ飛ばした本人はスクっと立ち上がり、パンパンと薄い布地に付着した埃を両手で払いだす。そうすることで、他の戦士たちも、覆面の戦士が女性であることを認識するに至る。彼女は覆面を被り、紅玉色の外套を羽織っていたために、胸部分にはあまり注目していなかった。それゆえに、彼女の性別を判別することを失念していたといっても良いだろう。
明らかに分厚い胸板というよりかは、その部分が不必要に盛り上がっていたのだ。身体に密着するタイトなレスリングウェアのために、オッパイが潰れていただけである。それがさも勇壮な分厚い胸板のように錯覚させられていただけなのであった。そして、彼女は両手を覆面の後ろに持っていき、紐を外す。彼女が覆面を外すと、両頬に幾筋かの傷跡が斜め横に走っているのが視認できたのであった。そんな彼女に対して、ロック=イートがハハ……と喜びを含んだ笑みを零すことになる。
「サラ姐。ひどいじゃないか。会うなり、いきなり投げ飛ばすことなんかないだろう?」
「何を言っているのよ。ひどいのはあんたも変わりないでしょ? あたしが誰かなんて、投げ飛ばされるまで気が付かなかったでしょ?」
サラ=ローランはそう言うと、覆面をレスリングウェアの空いた部分であるわき腹から捻じ込むように尻の部分にまで突っ込み、空いた両手でロック=イートの右腕を引っ張る。ロック=イートは自分の背中を左手でさすりながら、彼女に身を起こしてもらうこととなる。投げた投げられた間柄だというのに、友好的な雰囲気を醸し出す二人であった。しかしながらリリー=フルールとヨーコ=タマモは憤慨していた。サラ=ローランを囲むように二人が立ち、喧々ごうごうとサラ=ローランを責め立てるのであった。
「わたくしのロックが怪我をしたらどうするのよっ! ロックはこの後、第2回戦に出場するのですわっ!」
「そうじゃそうじゃ! わらわのロックを試合前に痛めつけようという算段かえ!?」
わめき散らす彼女たちに対して、サラ=ローランは両手の人差し指で両方の犬耳の穴を塞ぎ、あーあー聞こえなーいと言い出すモノだから、余計に彼女たちは憤慨してしまう。そんなリリー=フルールとヨーコ=タマモを落ち着かせる役目を担ったのはロック=イートであった。彼は右の義手で頭をボリボリと掻きつつ
「あー。リリー様、タマモさん。あれでもサラ姐は手加減していたから……。あれが本気の投げだったら、俺は受け身も満足に取れずに失神してたから……」
ロック=イートのこの発言は悪手極まりないモノであった。彼女たちの怒りの矛先はサラ=ローランではなく、ロック=イートに向けられてしまうことになる。ロック=イートは思わず、はああ……とため息をつくしか他無かった。そんな困り果てているロック=イートに対して助け船を出したのは彼を投げ飛ばした張本人であった。
「ごめんね? あたしの元・婚約者が絶世の美女二人に囲まれていると思ったら、つい嫉妬しちゃったのよ。悪気はないわよ。ちょっと妬いちゃっただけよ?」
サラ=ローランが二人のことを絶世の美女と表現したために、リリー=フルールとヨーコ=タマモは勝ち誇った表情を顔に浮かべることとなる。さも、よくわかっているじゃないのと言いたげでもある。そんな彼女たちは怒りの矛を収め、ロック=イートの腕を1本づつ、自分の両腕で抱えこむこととなる。
「話が早くて助かりますわ。元・婚約者さん。わたくしは現・婚約者のリリー=フルールですわ」
「ふむっ。わらわの美貌を認めることが出来るのは良い女性であることは確かなのじゃ。先ほどのロックへの仕打ちを許してやろうなのじゃ」
ロック=イートはもし両腕が塞がってなければ、ボリボリと頭を掻いていたに違いない。だが、今、自分の両腕にはおしとやかなオッパイと豊満なオッパイを擦り付けれている。彼女たちがロック=イートは自分のモノだと主張するためにわざとやっているのはわかるのだが、それでもリリー=フルールが火が顔から噴き出さんとばかりに赤面しているので、恥ずかしいなら止めれば良いのにとも思ってしまう。
それでもリリー=フルールはおしとやかなオッパイをロック=イートの左腕に当てることをやめないでいた。これは女同士の戦いでもあったからだ。今、彼女の眼の前に居るのは、ロック=イートがタイガー・ホールに在籍していたころに、将来を約束しあったサラ=ローランであったからだ。だからこそ、これは退くに退けない戦いでもあったのだ。リリー=フルールは軽く上下に身体を動かすことで、無理やりながらおしとやかなオッパイをロック=イートの生身のほうの左腕に擦り付ける。
彼女のその精いっぱいの頑張りを見ていたサラ=ローランはついプッ! と噴き出してしまう。そして、またしてもリリー=フルールの金色に染まる頭を右手でワシャワシャと掻きまわす。
「ロックは良いお嬢様を婚約者にもらったのね。お姉さんとしても微笑ましい限りよ。お嬢様? 安心してほしいわ。既にあたしはロック以外の男に嫁いでいるから。だから、ロックをどうこうしようなんて思ってないわよ?」
サラ=ローランの突然の告白に激しく動揺したのはロック=イートであった。その動揺は彼の言葉にも大きく現れることとなる。
「お、おめでとう? と言っていいのかな? え、ええと相手はいったい誰なんだ?」
歯切れ悪くしゃべるロック=イートに対して、サラ=ローランはふう……と大きくため息をつく。そして、腰の両側に手を当てつつ、頭を左右に振りながら、衝撃の事実をロック=イートに告げる。
「あたしはタイガー・ホールが閉鎖されてから、行くとこを失くしてね? それでコタローがあたしの身受け人になるって言ってくれたのよ……」
「そうか……。コタロー兄がサラ姐の面倒を見てくれるって流れになっていたのか……。コタロー兄はサラ姐によくしてくれているのか?」
ロック=イートの質問に対して、サラ=ローランは眼を閉じて黙ってしまう。二人の間には数秒間、沈黙が訪れる。だが、サラ=ローランはまぶたを開き、破顔して
「ええ。コタローはあたしに優しくしてくれるわ。どこかの夢追い人とは違って、現実に生きているもの。あんたと一緒にならなくて良かったとすら、今は思えるわ」
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる