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第6章:予選大会
第8話:先祖返りの謎
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予選決勝が終わり、優勝者には試合会場に出向いてもらって、司会進行役がその優勝者に、試合内容はどうだったとか、これからの抱負についてのインタビューが開かれる予定であった。しかし、商業都市:シュマルカルデンの一区画で行われた予選会場では、それは行なわれることはなかった。それもそうだろう。予選決勝で勝利したからといって、ロック=イートは無傷で済むどころか、満身創痍の状態に追い込まれていたからだ。
そのことを予選決勝の試合をつぶさに見続けていた観客たちもわかっている。だからこそ、司会進行役がアドリブで用意した台詞をやや冷めた表情で聞いてはいるが、彼に対して、何故、優勝者をこの場に引っ張り出してこないんだという罵声を浴びせる者はだれひとりとていなかったのだった。そして、司会進行役と試合管理人が二人揃って、次は本戦で会いましょうと言い、四方に向かって計四回頭を下げることとなる。それを合図に観客たちは観客席から立ち上がり、予選会場から外へと出ていくのであった。
コープ=フルールは使用人たちに帰りの馬車の準備をしておくように言う。そして、馬車が準備されている間に自分は金の卵を産むニワトリに会いに行こうと思うのであった。彼は未だ控室から出てこないロック=イートたちの様子を見に行くと、そこはまさに戦場の真っただ中に設置された医療施設かと錯覚してしまうほどの慌てぶりであったのだ。
「セイッ。もっと強くロックの身体を抑えててっ! これじゃ、ロックに治療魔術をかけられないわっ!」
「へいっ! ロックさん、痛いのはわかりやすが、少しは我慢してほしいですぜっ!」
セイ=レ・カンコーのみならず、医務手伝いのメンバー数人がかりでロック=イートが暴れないように押さえつけていたのだが、彼は治療魔術に伴う数倍の痛みに耐えかねて、手足をばたつかせていたのである。そして、大人三人ほどがロック=イートを抑えにかかっているのに、それが出来ていないのはロック=イートが未だに先祖返りのままだったからという理由もあった。彼の膂力は通常の数倍に引き上げられており、そのためセイ=レ・カンコーをもってしてもロック=イートを押さえつけることは難しい状況だったのだ。
(やれやれ。この分だと私もロックくんの身体を抑えてほしいと言われてしまいますね。ここは控室の隅っこで静かにしていますか……)
コープ=フルールは商人なだけはあり、膂力に関してはヒトに自慢できることなどまったくないと言っても過言ではなかった。全身毛むくじゃらになり、さらには身体の筋肉が肥大化してしまっているロック=イートを抑えつけておく自信など、これっぽちも無かったのである。だからこそ、巻き込まれないように遠目で彼らを見守ることとする。しかしながら、そんなコープ=フルールであったが、彼が移動した位置が悪かった。彼はいきなり右腕をグイッ! と引っ張られ、危うくその場で尻餅をつきそうになる。
コープ=フルールの右腕を引っ張った相手はこの医務室に運ばれていたヨーコ=タマモであった。彼女はハアハア……と荒い呼吸のままにコープ=フルールをまるで杖のように扱い、無理やりに自分の身を起こす。
「ちょうど良いところに松葉杖があったのじゃ。ほれっ、わらわをあそこでのたうち回っている男の下に連れていくのじゃ」
この時、コープ=フルールの顔は引きつってしまっていた。自分の身体を杖代わりに立ち上がっている女性はコープ=フルールの手駒を散々に痛めつけた相手である。そんなヨーコ=タマモが自分の大切な手駒に何か悪さをするのではないかという危惧があったのだ。しかし、ヨーコ=タマモはそんなコープ=フルールの不安を吹き飛ばすような台詞を吐く。
「安心せぃ。わらわはこう見えてもいっぱしの戦士なのじゃ。勝負の場以外で相手をどうこうしようという気はまったくもってないのじゃ」
「本当です……か? 私は戦士ではないので、その辺りがどうなっているのか、わからないのですが……」
「何もせぬとは言わぬが、少なくとも小僧の役には立つことをしてやるのじゃ。ほれ、わかったら、さっさとわらわの忠実な松葉杖となるのじゃ」
コープ=フルールは直感で彼女が嘘をついていないだろうと思うのであった。それゆえに、彼女を信用しているわけではないが、この場を丸く収めてくれるという期待をもって、彼女の支え棒としての働きを見せる。そして、コープ=フルールはロック=イートが暴れるベッドの近くまで来ると、リリー=フルールたちに声をかける。もちろん、彼女たちは眼を白黒させたのは当然と言えば当然であった。リリー=フルールは何故、ヨーコ=タマモをロック=イートの近くに連れてきたのかと、自分の父親を責め立てそうになった。だが、コープ=フルールは自分の唇の前で右手の人差し指を縦にし、慌てないようにとの所作を示す。
「ふむっ……。小僧が先祖返りを使えることには驚いてしまったのじゃ。しかし、意識朦朧となってしまったところに無理やりにソレを発動させてしまったようじゃな。ほれ、わらわの血を飲むが良い……」
ヨーコ=タマモはそう言うと、右手の親指の腹を自分の犬歯で傷をつける。そして、ぽたりぽたりと親指から血をしたらせる。そして、苦しむロック=イートの口の中に無理やり、その親指をつっこむのであった。ロック=イートはいきなり指を自分の口の中に入れられたことで、ガリッと彼女の親指を噛んでしまう。ヨーコ=タマモはグッ! と唸り声を上げるが、それでも舐るようにロック=イートの舌の上に親指をねじ込む。
彼女の親指から流れる血を飲み込むと同時に、ロック=イートの荒かった呼吸は段々と穏やかなモノに変わっていく。彼の膨れ上がっていた筋肉は収縮していき、それと共に全身を覆っていた蒼い体毛もハラハラと抜け落ちていく。しかしながら、ロック=イートの身体の変化はそれだけではなかった。全身の7割に及ぶ裂傷が塞がっていき、軽い擦傷程度ならば、それらはみるみる内に消えていくではないか。リリー=フルールはロック=イートの身体の変化を間近で見せつけられて、驚く他無かったのである。
「先祖返りには元々、驚異的な回復力が伴っておるのじゃ。しかし、こやつはバカか何かなのか? その回復力すらも攻撃力に転嫁しておるっぽいのう……。こやつに先祖返りの発動方法を教え込んだ輩は、いったい、小僧に何を求めたのじゃ?」
そのことを予選決勝の試合をつぶさに見続けていた観客たちもわかっている。だからこそ、司会進行役がアドリブで用意した台詞をやや冷めた表情で聞いてはいるが、彼に対して、何故、優勝者をこの場に引っ張り出してこないんだという罵声を浴びせる者はだれひとりとていなかったのだった。そして、司会進行役と試合管理人が二人揃って、次は本戦で会いましょうと言い、四方に向かって計四回頭を下げることとなる。それを合図に観客たちは観客席から立ち上がり、予選会場から外へと出ていくのであった。
コープ=フルールは使用人たちに帰りの馬車の準備をしておくように言う。そして、馬車が準備されている間に自分は金の卵を産むニワトリに会いに行こうと思うのであった。彼は未だ控室から出てこないロック=イートたちの様子を見に行くと、そこはまさに戦場の真っただ中に設置された医療施設かと錯覚してしまうほどの慌てぶりであったのだ。
「セイッ。もっと強くロックの身体を抑えててっ! これじゃ、ロックに治療魔術をかけられないわっ!」
「へいっ! ロックさん、痛いのはわかりやすが、少しは我慢してほしいですぜっ!」
セイ=レ・カンコーのみならず、医務手伝いのメンバー数人がかりでロック=イートが暴れないように押さえつけていたのだが、彼は治療魔術に伴う数倍の痛みに耐えかねて、手足をばたつかせていたのである。そして、大人三人ほどがロック=イートを抑えにかかっているのに、それが出来ていないのはロック=イートが未だに先祖返りのままだったからという理由もあった。彼の膂力は通常の数倍に引き上げられており、そのためセイ=レ・カンコーをもってしてもロック=イートを押さえつけることは難しい状況だったのだ。
(やれやれ。この分だと私もロックくんの身体を抑えてほしいと言われてしまいますね。ここは控室の隅っこで静かにしていますか……)
コープ=フルールは商人なだけはあり、膂力に関してはヒトに自慢できることなどまったくないと言っても過言ではなかった。全身毛むくじゃらになり、さらには身体の筋肉が肥大化してしまっているロック=イートを抑えつけておく自信など、これっぽちも無かったのである。だからこそ、巻き込まれないように遠目で彼らを見守ることとする。しかしながら、そんなコープ=フルールであったが、彼が移動した位置が悪かった。彼はいきなり右腕をグイッ! と引っ張られ、危うくその場で尻餅をつきそうになる。
コープ=フルールの右腕を引っ張った相手はこの医務室に運ばれていたヨーコ=タマモであった。彼女はハアハア……と荒い呼吸のままにコープ=フルールをまるで杖のように扱い、無理やりに自分の身を起こす。
「ちょうど良いところに松葉杖があったのじゃ。ほれっ、わらわをあそこでのたうち回っている男の下に連れていくのじゃ」
この時、コープ=フルールの顔は引きつってしまっていた。自分の身体を杖代わりに立ち上がっている女性はコープ=フルールの手駒を散々に痛めつけた相手である。そんなヨーコ=タマモが自分の大切な手駒に何か悪さをするのではないかという危惧があったのだ。しかし、ヨーコ=タマモはそんなコープ=フルールの不安を吹き飛ばすような台詞を吐く。
「安心せぃ。わらわはこう見えてもいっぱしの戦士なのじゃ。勝負の場以外で相手をどうこうしようという気はまったくもってないのじゃ」
「本当です……か? 私は戦士ではないので、その辺りがどうなっているのか、わからないのですが……」
「何もせぬとは言わぬが、少なくとも小僧の役には立つことをしてやるのじゃ。ほれ、わかったら、さっさとわらわの忠実な松葉杖となるのじゃ」
コープ=フルールは直感で彼女が嘘をついていないだろうと思うのであった。それゆえに、彼女を信用しているわけではないが、この場を丸く収めてくれるという期待をもって、彼女の支え棒としての働きを見せる。そして、コープ=フルールはロック=イートが暴れるベッドの近くまで来ると、リリー=フルールたちに声をかける。もちろん、彼女たちは眼を白黒させたのは当然と言えば当然であった。リリー=フルールは何故、ヨーコ=タマモをロック=イートの近くに連れてきたのかと、自分の父親を責め立てそうになった。だが、コープ=フルールは自分の唇の前で右手の人差し指を縦にし、慌てないようにとの所作を示す。
「ふむっ……。小僧が先祖返りを使えることには驚いてしまったのじゃ。しかし、意識朦朧となってしまったところに無理やりにソレを発動させてしまったようじゃな。ほれ、わらわの血を飲むが良い……」
ヨーコ=タマモはそう言うと、右手の親指の腹を自分の犬歯で傷をつける。そして、ぽたりぽたりと親指から血をしたらせる。そして、苦しむロック=イートの口の中に無理やり、その親指をつっこむのであった。ロック=イートはいきなり指を自分の口の中に入れられたことで、ガリッと彼女の親指を噛んでしまう。ヨーコ=タマモはグッ! と唸り声を上げるが、それでも舐るようにロック=イートの舌の上に親指をねじ込む。
彼女の親指から流れる血を飲み込むと同時に、ロック=イートの荒かった呼吸は段々と穏やかなモノに変わっていく。彼の膨れ上がっていた筋肉は収縮していき、それと共に全身を覆っていた蒼い体毛もハラハラと抜け落ちていく。しかしながら、ロック=イートの身体の変化はそれだけではなかった。全身の7割に及ぶ裂傷が塞がっていき、軽い擦傷程度ならば、それらはみるみる内に消えていくではないか。リリー=フルールはロック=イートの身体の変化を間近で見せつけられて、驚く他無かったのである。
「先祖返りには元々、驚異的な回復力が伴っておるのじゃ。しかし、こやつはバカか何かなのか? その回復力すらも攻撃力に転嫁しておるっぽいのう……。こやつに先祖返りの発動方法を教え込んだ輩は、いったい、小僧に何を求めたのじゃ?」
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