197 / 197
第19章:譲れない明日
第10話:慰霊の儀式
しおりを挟む
「一か月近く愛しのエーリカ殿をほったからにして、さらには他の女とずっ魂ばっ魂しまくった先生です。それでも、エーリカ殿の許しをもらえるならば、再び、エーリカ殿に先生の命と魂を預けさせてください」
「あっきれたーーー。まるで浮気男が寄りを戻してほしい。出来るなら結婚もお願いしますって言ってるみたいじゃないの。あたしはそんなにチョロい女?」
「いえいえ、滅相も無い。例えるならば、どんなに恋焦がれようが決して手に入らぬ華であるエーリカ殿にやきもちをしてほしいがための見せつけってところですね」
クロウリーのきざったらしい弁明にクスクスと笑みを零してしまうエーリカであった。ひとしきり笑った後、エーリカはきりっとした顔つきでクロウリーの帰参を許すと告げる。クロウリーは臣下の礼として、エーリカの左手の甲にキスするのであった。
その途端、エーリカの左手の甲にあの痣が光と共に強く浮かび上がる。エーリカの左手の甲から飛び出した光は一羽の大きな八咫烏となる。その八咫烏が大空をゆっくりと舞う。するとだ。スミス村には幻想的な風景が見られるようになる。
陽は段々と山の向こうへと消えていこうとしていた。辺りがだんだんと暗くなっていたことで、スミス村に起きていた不思議な現象は、幻想的な風景として、皆の眼に映ったのである。戦で倒れた者たちの身体が発光していた。その身体から光の玉がシャボン玉のように浮き上がる。そのシャボン玉はエーリカの目線近くにまで昇った後、一度、そこで止まる。
「皆、ヴァルハラに向かうのね。あたしはまだまだ皆と一緒には行けないけど、いつか、あたしがそこに行った時は、あたしを快く迎え入れてね?」
エーリカの言はしっかり聞いたとばかりに、地上から90センチュミャートルの高さで浮いていた光のシャボン玉は一斉に大空高く舞い上がる。エーリカたちはそのシャボン玉の行方を眼で追い続けた。
光のシャボン玉は大空をゆったりと舞い続ける八咫烏の周りに集う。八咫烏はエーリカに向かって、コクリと頷く。そうした後、八咫烏は皆の魂をヴァルハラに運ぶために、さらに高い場所へと向かって飛んでいくのであった。
「4人の偉大なる大魔法使いでも、このような慰霊を行えるのは、大神典殿だけです。まあ、大神典殿となれば、本気を出せばテクロ大陸全土の慰霊を行えちゃうんですが」
「そこで大神典様の名前を出さなくてもいいでしょ。そういうところがクロウリーの褒め下手なところよ」
エーリカの手厳しいツッコミに、ごもっともという顔になるしか無かったクロウリーであった。とにもかくにも、エーリカは奇跡を起こし、その奇跡をスミス村の住人だけでなく、敵である西ケアンズ軍にも見せつけることが出来た。実際にはこれはエーリカとセツラが為した御業だと説明する気であった。
血濡れの女王の団の代表は二人居る。物欲界の主:エーリカ=スミス。精神世界の主:セツラ=キュウジョウ。片方にのみ、衆目が集まらないようにしなければならない。そう思っていると、セツラがコッサンを伴い、駆け足でエーリカの下にやってきた。
「もうっ! あんなすごいことをするのであれば、事前に打ち合わせしておいてくださいっ!」
「ごっめーーーん! あたしとしても、あんな現象が起きるなんて、予想もしていなかったの。じゃあ、クロウリー。後のことはお願い。あたしはセツラお姉ちゃんと手を繋いで、一緒に皆の所に向かうね?」
「まったく……。一か月ほど留守にしていただけなのに、エーリカ殿だけでなく、セツラ殿も見違えるほどに立派になられました。戦後処理が終わったら、じっくり聞かせてもらいましょう」
「あら。あたしもクロウリーに聞きたいことがあるわ。大賢者:ヨーコ=タマモ様とはいったい、どんなプレイをしていたのかって。4人の偉大なる魔法使いってだけはあるっていう、超ド級のド変態プレイをしていたんでしょ?」
エーリカの問いかけにゴホンゴホンエッフンエッフンとわざとらしすぎる咳払いをするクロウリーであった。エーリカとセツラはまるで無邪気な子供のように笑いあっている。そんな彼女たちに大賢者:ヨーコ=タマモと行った大運動会の内容を告げていいのかと悩んでしまう。
しかしながら、クロウリーは知らなかった。エーリカがお尻の処女をタケルに捧げていることなど。そして、セツラは歪んだ感情と身体から溢れそうになってしまう暗い熱を処理するために、コッサンを利用していることもだ。
にこやかな笑顔になっているこの集まりを観測していたコッシローはヤレヤレ……とため息を漏らす。もし、クロウリーがエーリカとセツラ、さらにはアホのタケルを交えた秘密の儀式を知ろうものなら、クロウリーは耐えきれるのだろうか? という危惧を抱いてしまう。
(まあ、クロウリーが耐えきれないなら、いつものようにボクの方に負荷を流せばいいだけでッチュウ)
コッシローは存在感と気配を消したまま、クロウリーの肩からエーリカの頭の上へと飛び移る。エーリカはコッシローの存在に気づくことなく、セツラと手を結び、スミス村の皆に先ほどの現象は、自分とセツラの二人で慰霊を行ったことによるものだと説明する。
スミス村の住人たちは最初はエーリカの言っていることが信じられないと言った顔つきになっていた。だが、エーリカたちの前に進み出た大魔導士:クロウリー=ムーンライトはエーリカたちが行ったのは確かに慰霊の儀式であると強調してみせた。それにより、エーリカとセツラを前にして、ひざまずき、手を合わせて、涙を流す者が続出したのである。
(まったく……。概ねクロウリーの計画通りではあるでッチュウけど、いささか、神格化を急ぎ過ぎている気もするでッチュウ。まあ、クロウリーがエーリカちゃんのところに戻ってきた以上、匙加減はクロウリーにお任せするでッチュウ。ボクはボクで、ここ一か月余りのクロウリー側の記憶もチェックしておくでッチュウ)
コッシローはクロウリーがエーリカたちの側にいない間、クロウリーに代わって、エーリカたちを導いてきた。今日くらいは早めに床に入って、朝までゆっくり寝てもいいかもと思いながらも、クロウリーの記憶のチェックとバックアップを優先した。
エーリカが指示した内容をてきぱきと精力的にこなしていくスミス村の住人であった。2千近くの兵士たちの身ぐるみを剥ぎ終わる行為は、エーリカたちの予想を遥かに越えるほどの速さで済むことになる。陽が完全に落ちる前にだ。エーリカたちは本当の意味で無力化した西ケアンズ軍を故郷に帰らせる。
しかしながら、エーリカたちはこの軍を率いてきたグミオン=ゴーダ将軍と彼の周りを固める側近や補佐たちは釈放しなかった。ミサ=キックス将軍を陵辱した罪を彼らに償ってもらうだけでは無い。彼らには彼らなりの有用な使い道があった。グミオン=ゴーダ将軍を始めとする彼らの側近たちは、大精霊使いのヨン=ウェンリーお手製の堅い植物の蔓で出来た夜風に吹き曝しになっている牢に入れられることになる。
「あっきれたーーー。まるで浮気男が寄りを戻してほしい。出来るなら結婚もお願いしますって言ってるみたいじゃないの。あたしはそんなにチョロい女?」
「いえいえ、滅相も無い。例えるならば、どんなに恋焦がれようが決して手に入らぬ華であるエーリカ殿にやきもちをしてほしいがための見せつけってところですね」
クロウリーのきざったらしい弁明にクスクスと笑みを零してしまうエーリカであった。ひとしきり笑った後、エーリカはきりっとした顔つきでクロウリーの帰参を許すと告げる。クロウリーは臣下の礼として、エーリカの左手の甲にキスするのであった。
その途端、エーリカの左手の甲にあの痣が光と共に強く浮かび上がる。エーリカの左手の甲から飛び出した光は一羽の大きな八咫烏となる。その八咫烏が大空をゆっくりと舞う。するとだ。スミス村には幻想的な風景が見られるようになる。
陽は段々と山の向こうへと消えていこうとしていた。辺りがだんだんと暗くなっていたことで、スミス村に起きていた不思議な現象は、幻想的な風景として、皆の眼に映ったのである。戦で倒れた者たちの身体が発光していた。その身体から光の玉がシャボン玉のように浮き上がる。そのシャボン玉はエーリカの目線近くにまで昇った後、一度、そこで止まる。
「皆、ヴァルハラに向かうのね。あたしはまだまだ皆と一緒には行けないけど、いつか、あたしがそこに行った時は、あたしを快く迎え入れてね?」
エーリカの言はしっかり聞いたとばかりに、地上から90センチュミャートルの高さで浮いていた光のシャボン玉は一斉に大空高く舞い上がる。エーリカたちはそのシャボン玉の行方を眼で追い続けた。
光のシャボン玉は大空をゆったりと舞い続ける八咫烏の周りに集う。八咫烏はエーリカに向かって、コクリと頷く。そうした後、八咫烏は皆の魂をヴァルハラに運ぶために、さらに高い場所へと向かって飛んでいくのであった。
「4人の偉大なる大魔法使いでも、このような慰霊を行えるのは、大神典殿だけです。まあ、大神典殿となれば、本気を出せばテクロ大陸全土の慰霊を行えちゃうんですが」
「そこで大神典様の名前を出さなくてもいいでしょ。そういうところがクロウリーの褒め下手なところよ」
エーリカの手厳しいツッコミに、ごもっともという顔になるしか無かったクロウリーであった。とにもかくにも、エーリカは奇跡を起こし、その奇跡をスミス村の住人だけでなく、敵である西ケアンズ軍にも見せつけることが出来た。実際にはこれはエーリカとセツラが為した御業だと説明する気であった。
血濡れの女王の団の代表は二人居る。物欲界の主:エーリカ=スミス。精神世界の主:セツラ=キュウジョウ。片方にのみ、衆目が集まらないようにしなければならない。そう思っていると、セツラがコッサンを伴い、駆け足でエーリカの下にやってきた。
「もうっ! あんなすごいことをするのであれば、事前に打ち合わせしておいてくださいっ!」
「ごっめーーーん! あたしとしても、あんな現象が起きるなんて、予想もしていなかったの。じゃあ、クロウリー。後のことはお願い。あたしはセツラお姉ちゃんと手を繋いで、一緒に皆の所に向かうね?」
「まったく……。一か月ほど留守にしていただけなのに、エーリカ殿だけでなく、セツラ殿も見違えるほどに立派になられました。戦後処理が終わったら、じっくり聞かせてもらいましょう」
「あら。あたしもクロウリーに聞きたいことがあるわ。大賢者:ヨーコ=タマモ様とはいったい、どんなプレイをしていたのかって。4人の偉大なる魔法使いってだけはあるっていう、超ド級のド変態プレイをしていたんでしょ?」
エーリカの問いかけにゴホンゴホンエッフンエッフンとわざとらしすぎる咳払いをするクロウリーであった。エーリカとセツラはまるで無邪気な子供のように笑いあっている。そんな彼女たちに大賢者:ヨーコ=タマモと行った大運動会の内容を告げていいのかと悩んでしまう。
しかしながら、クロウリーは知らなかった。エーリカがお尻の処女をタケルに捧げていることなど。そして、セツラは歪んだ感情と身体から溢れそうになってしまう暗い熱を処理するために、コッサンを利用していることもだ。
にこやかな笑顔になっているこの集まりを観測していたコッシローはヤレヤレ……とため息を漏らす。もし、クロウリーがエーリカとセツラ、さらにはアホのタケルを交えた秘密の儀式を知ろうものなら、クロウリーは耐えきれるのだろうか? という危惧を抱いてしまう。
(まあ、クロウリーが耐えきれないなら、いつものようにボクの方に負荷を流せばいいだけでッチュウ)
コッシローは存在感と気配を消したまま、クロウリーの肩からエーリカの頭の上へと飛び移る。エーリカはコッシローの存在に気づくことなく、セツラと手を結び、スミス村の皆に先ほどの現象は、自分とセツラの二人で慰霊を行ったことによるものだと説明する。
スミス村の住人たちは最初はエーリカの言っていることが信じられないと言った顔つきになっていた。だが、エーリカたちの前に進み出た大魔導士:クロウリー=ムーンライトはエーリカたちが行ったのは確かに慰霊の儀式であると強調してみせた。それにより、エーリカとセツラを前にして、ひざまずき、手を合わせて、涙を流す者が続出したのである。
(まったく……。概ねクロウリーの計画通りではあるでッチュウけど、いささか、神格化を急ぎ過ぎている気もするでッチュウ。まあ、クロウリーがエーリカちゃんのところに戻ってきた以上、匙加減はクロウリーにお任せするでッチュウ。ボクはボクで、ここ一か月余りのクロウリー側の記憶もチェックしておくでッチュウ)
コッシローはクロウリーがエーリカたちの側にいない間、クロウリーに代わって、エーリカたちを導いてきた。今日くらいは早めに床に入って、朝までゆっくり寝てもいいかもと思いながらも、クロウリーの記憶のチェックとバックアップを優先した。
エーリカが指示した内容をてきぱきと精力的にこなしていくスミス村の住人であった。2千近くの兵士たちの身ぐるみを剥ぎ終わる行為は、エーリカたちの予想を遥かに越えるほどの速さで済むことになる。陽が完全に落ちる前にだ。エーリカたちは本当の意味で無力化した西ケアンズ軍を故郷に帰らせる。
しかしながら、エーリカたちはこの軍を率いてきたグミオン=ゴーダ将軍と彼の周りを固める側近や補佐たちは釈放しなかった。ミサ=キックス将軍を陵辱した罪を彼らに償ってもらうだけでは無い。彼らには彼らなりの有用な使い道があった。グミオン=ゴーダ将軍を始めとする彼らの側近たちは、大精霊使いのヨン=ウェンリーお手製の堅い植物の蔓で出来た夜風に吹き曝しになっている牢に入れられることになる。
0
お気に入りに追加
20
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる