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第18章:黄金郷

第9話:ゴーヤ

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「あんたの忠義、実に見事だ。だが、俺はエーリカのお兄ちゃんをやってるんだ。俺はエーリカの絶対的信奉者だ。残念だったな……」

「そちらこそ、見事。我が王と相対するにふさわしい。この結果を我が王に示そう。では、次は戦場でまみえようぞ」

 タケルは西ケアンズの使者の前に進む。西ケアンズの使者は証文を盾にした。その盾を右手で奪いとったタケルは両手を用いて、ビリっと勢いよく半分に引き裂いてしまう。二つに分かれた証文をタケルから受け取った西ケアンズの使者はタケルとエーリカに深々とお辞儀をする。

 そして、きびすを返して、血濡れの女王ブラッディ・エーリカの幹部たちの前から退場していく。タケルはふぅぅぅ~~~と長い息を吐きだす。そんなタケルに対して、おごそかに拍手を送ったのは、意外なことに、タケルをことあるごとに目の仇にしていたコッサン=シギョウであった。

「なんだよ、気持ち悪いなっ」

「タケル殿でも役に立つことがあるんだなと感心したまで。見事な仲裁でしたな」

「感心するなら、素直に感心しとけってんだ。よっし、エーリカ。ゴーヤは無しだぞ?」

 タケルはエーリカに白い歯を見せて、ドヤ顔しながら笑う。エーリカは何言ってんだこいつという顔になっており、タケルはあれ?? という顔になってしまった。

「タケルお兄ちゃん。きざったらしい顔をしたからゴーヤはそのまま。でも、温情は与えるわ。ゴーヤは根元まで入れることは無い。コッサン、しっかり記録しておいて」

「ハッ。しっかりと記録しておきましょうぞ。タケル殿のお尻はゴーヤが入りきる前で破壊されてしまったと……」

「待てや! 俺だってたまには役に立ったんだぞ!? エーリカはそんな俺を苦しませるだけなのか!?」

 タケルの抗議を受けて、エーリカは幹部たちの方に顔を向ける。ブルースとアベルは胸の前で腕を組み、どこがより良い決着となるのかと考える。しかしながら、2人では知恵が足らぬと、自分たちの補佐に意見を募り出す。

「うーーーん。さっきのタケル殿は確かに素晴らしいんだよな。でも、エーリカ様が言うように、イラっとするようなきざったらしい顔は本当に余計だったんだぜ……」

「ケージさん、わかりますぅ。せっかく、タケルさんを見直したっていうのに、あのドヤ顔は無いんですぅ」

「端的に言えば、有罪ギルティなのです! タケルさんに隙を見せたら、アベル隊長好き好き愛してる! の私でもコロッとベッドの上に転がされそうなのです!」

「レイがどうしてこんなに怒っているのかわからんが、レイがそういうのであれば、それがしもタケル殿を有罪ギルティとしておこう」

「おいらもたまにタケルさんのような顔になっていないだか? おいら、ケンキにそんなことしていないか、心配になったんだべさ」

「ミンミンは大丈夫ですわよ。ミンミンはいつでも紳士で、わたくしの騎士ナイトですわ。タケルさんは何ていうか……。女性の敵ですわね。セツラ様もそう思いませんこと?」

 タケルの処遇に関して、皆が最終決定を次々と手渡していく。最後にそれを託されたセツラは大きく動揺してしまう。皆の顔に視線を送りると、さあ、どうぞどうぞ、日頃のうっ憤を晴らすのは今この時ぞという表情を返されてしまう。

「わ、わたくしが決めていいのです?? ここはエーリカが決めるところではありませんの??」

「あたしの中では、ゴーヤを突っ込むことはすでに決まっているわよ。でも、それだとさすがに理不尽すぎるし、タケルお兄ちゃんが可哀想じゃない。だから、血濡れの女王ブラッディ・エーリカの代表のひとりであるセツラお姉ちゃんにタケルお兄ちゃんの処遇について、最終判断をしてもらおうってこと」

「エーリカの言っていることは筋が通っているように聞こえて、無理筋なんですが……。どうしても、わたくしが決めなくてはなりませんの?」

 セツラはもう一度、エーリカを含めて、皆の顔に視線を送る。皆はどうぞどうぞと表情で告げる。セツラは困り果てて、コッサンに助けてほしいという表情で訴えかける。コッサンはセツラの視線を受けて、この場所にある物に視線を落とす。そして、それを右手で持ち、セツラに手渡す。セツラはこれならゴーヤよりかはマシだと考えてしまった。

「で、では、これをタケルお兄さんのお尻の穴に突っこむのはどうで……しょうか……」

 セツラの声は尻すぼみとなっていく。セツラが皆に向けて見せつけたのは、ゴーヤよりかは遥かにマシな太さと形状であった。だが、それはそれでタケルは苦しみもがくことになるのでは? という顔つきになる。

「う、うむ……、ゴーヤよりかは痛くなさそうでござる。だが、長さが……」

「てか、こんなもん、何でここにあるんだ?? 誰だよ、タケル殿は神に愛されているとしか思えねえんだが!?」

「神に愛されてるっていうより、悪魔に魅入られている気がするのですぅ。お尻に入れ慣れているボクでも、結構、きっつい長さですよぉ、これって」

 アベルとケージ、さらにはランがセツラが未だに手に持っているソレをじっくりと眺めていた。ぶっちゃけ、まだゴーヤの方がマシだったのでは? という表情になっているアベルたちである。太さと形状については、文句なく、セツラが手にしている物のほうがマシであった。

 だが、ここまでよくもまあ途中で折らずに掘り起こしたものだと感心してしまう。これをこんな見事に掘り起こしたものが誰なのかを聞きたくなってしまう。

「おや? 皆でその山芋をおろして食べるのですか? その山芋は、朝に近くの山で掘ってきたのです。エーリカ様にはもっと元気になってもらおうと思い、大精霊使いのヨン=ウェンリー様にも手伝ってもらったのですよ、いやあ、どこに置いたかと探していたのですよ」

 この場に集まる全員が一斉にボンス=カレーにツッコミを入れた。ボンス=カレーはこの村の行政担当とそのまとめ役である。エーリカの下に西ケアンズからの使者がやってきていたが、エーリカが血濡れの女王ブラッディ・エーリカの幹部たちをほぼ全員集めてしまった以上、ボンス=カレーがエーリカたちに代わって、皆に指示を出す役目をしていたのだ。

 ボンス=カレーはこの場所に足を踏み入れるなり、回答を示してみせた。だが、皆からの総ツッコミを受けて、ボンス=カレーはあれれ??? という表情になってしまうのであった。

「なるほど……。そういう流れになっていたのですか。エーリカ殿。セツラ殿。食べ物を粗末に扱ってはいけません」

「はい……。悪ノリしすぎたことはおおいに反省します」

「わたくしもとっさのこととはいえ、ボンスさんがそんな想いで掘ってきてくれた山芋を邪悪すぎることに使おうとしてしまいました。本当に申し訳ございません」

「わかればよろしい。では、タケル殿のお尻にその山芋を突っ込んだ後は、エーリカ様とセツラ様が責任を取って、全部食べてくだされ」

「ちょっと待ってよ!? タケルお兄ちゃんのお尻の穴に突っこんだ後の山芋を食べなきゃならないの!?」

「わたくし、そんなすごぎる超ド変態プレイは出来ませんわ……」

「だまらっしゃい! タケル殿のお尻に入った山芋が嫌なら、エーリカ様、セツラ様。あなたたちのお尻に突っこみますぞ? タケル殿のほうがマシか、エーリカ様、セツラ様。そなたたちの尻の穴にぶっこまれた方が良いのか。さあ、この場ですぐに決断なされい!」
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