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第17章:ヨン=ウェンリー

第10話:背面駅弁

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「う、う~~~ん。あったかぁぁぁい。おしっこ出ちゃいそう……」

「おいっ! エーリカ! くっそ、どうしたらいいんだ!?」

「出してもらってかまわへんで。乙女のおしっこ入りで喜ばない男なんて、逆に見てみたいくらいやで! さあ、気兼ねなく、湯舟に放出するんやっ!」

 タケルが慌てふためく姿が大変面白いのか、ヨンはタケルをもっと慌てさせようとした。コッシローはヤレヤレ……と嘆息するしか無かった。少しばかりは回復した魔力で、エーリカの体重を軽くする。軽くなったエーリカをお姫様抱っこして、急いで湯舟から飛び出していくタケルであった。

「あらら……。わいは何も気にしないってのになあ。むしろ、温泉に箔がつくってのに」

「クロウリー以上のド変態っぷりは相変わらずッチュウね。そんなんだから、ヨーコに忌み嫌われているんでッチュウ」

「あれ? わいは未だにヨーコちゃんに嫌われっぱなしなんか? わいはわいで出来る限りの応援を二人にしたはずなんやけどなぁ!?」

「言ってろでッチュウ。んで? タケルも居なくなったでっちゅうから、いよいよ、ぼくとサシでの討論会でッチュウ。根掘り葉掘り、ヨンから聞きだしてやるでッチュウ!」

「お手柔らかに頼むんやで? 一応、言うておくけど、わいにもプロテクトはかかっているんや。禁止ワードに引っかからないように尋問してくれやで」

 コッシローが一方的にヨンに火花を散らしている中、タケルはタケルで奮闘の真っ只中に立たされていた。エーリカがぴったり閉じた太ももの隙間からはすでにチョロチョロと軽く黄金水が漏れ出していたのである。エーリカの太ももを伝って、タケルの右腕にエーリカの黄金水が流れ伝ってくる。タケルは時間が無いのを承知しており、失禁開始しているエーリカが皆に見られない位置へと急ぐのであった。

「出すのって、なんでこんなに気持ちいいんだろぉぉぉ」

 エーリカの意識は未だに半分以上、夢の中であった。自分が腰を低くして便所座りをし、さらには何の束縛感も感じずに、出したい放題、出し続けた。柔らかな土を穿つおしっこの音が辺りに響き渡る。だが、そのことに対して、夢の中を漂うエーリカは何の恥じらいも持ち合わせていなかった。

 エーリカは身体をグラグラと揺らしていた。タケルはエーリカの意識がちゃんとしていたら、絶対にぶん殴られる覚悟は持っていた。だが、エーリカが土の上に放ちまくったおしっこによって出来上がってしまったおしっこの池の中に沈めてしまうわけにはいかない状況であった。そして、今の夢心地のエーリカの身体を支えているタケルの体勢を他の者が見れば、仲の良い兄妹という設定は砂上の砂城のようにあっさり壊れてしまうこともわかっていた。

(俺はエーリカになんって恰好をさせてやがるんだ。赤ん坊相手でも、こんな格好させやしねえぞ……)

 余りにもエーリカが揺れ動くために、タケルはエーリカをもっとしっかりと両腕でホールドしていた。エーリカが便所座りしている恰好はそのままに、タケルがエーリカの太ももの裏側、さらには両膝の裏へと両方の手首をねじ込んだのだ。こうしておけば、誰かがここに近づいたとしても、エーリカをすぐに移動させられると考えた。

 そして、まさに神様という存在は意地が悪すぎるという事態に陥るタケルであった。エーリカのおしっこはまだまだ続いていたのだ。タケルはエーリカの両の膝裏に自分の両の手首を押し込んだままという異常すぎる体勢のまま、エーリカをその場から移動させる。

「あれ? 何か水が流れる音がしたので、確認しようと思ったのですが。何も無かったようなのです!」

「うむ。イノッ・シシでも出たのかと思って、わくわくしたのだが、どうやら感づかれたようだな……。せっかくカエルの肉だけでなく、イノッ・シシの肉にありつけると思ったのだが」

「逃げていったのなら、それでいいんじゃないです? 下手に取っ組み合って、大怪我をしたら、エーリカ様にこれでもかと叱られてしまいますのです!」

 タケルがエーリカを急いで運び去った後に現れたのは、ブルースとレイヨンの真面目カップルであった。ブルースはレイヨンにそう言われた瞬間、エーリカの怒鳴り声が頭の中で再生されてしまう。イノッ・シシを追跡するのはやめにして、レイヨンとの温泉を楽しむ方向にシフトするのであった。

「あっぶねぇ……。よりにもよって、生真面目バカップルかよっ! あいつらに見つかってたら、エーリカよりも激しく責め立てられてたのに違いねえ……」

 エーリカにとんでもないいやらしい恰好でおしっこをさせているというのに、タケルはそれに気を回すどころか、冷や汗をかいている真っ最中であった。エーリカにいやらしい気持ちを抱くどころか、未だにおしっこが止まらないエーリカに怒りすら覚えるタケルであった。

 しかしながら、温泉のある方向に向かって歩いていく生真面目バカップルからさらに物理的な距離を取ることを優先するタケルであった。かなりの距離を稼いだタケルはようやくながら、エーリカのおしっこが止まってくれたことに、これ以上ない安心感を得ることになる。

 タケルは危機は去ったとばかりにエーリカを茂みの中から運び出す。そこでキョロキョロと辺りを見回し、エーリカと柔らかな土の間に敷く物が無いかと探す。タケルの視界の端に夜風に流されてきた御座に意識を向ける。エーリカをカエルがひっくり返ったようなスケベすぎる恰好にさせたまま、タケルは足で御座を踏みつけ、さらにはその足で御座を広げる。

「よっし、この上にエーリカをそぉぉぉっと乗せて……。あかん。俺はマジでエーリカのお兄ちゃん失格過ぎる……」

 タケルは今までエーリカに与えていた辱めの罪の重さに耐えきれなくなっていた。年頃の女の子に取らせては絶対にいけないポーズを取らせていたのだ。タケルはその罪の重さゆえに、エーリカが、へっ? タケルお兄ちゃん、なんで土下座からスタートなの?? と言われようが、明日にはエーリカに平謝りしておこうと思ったのである。

 タケルはどうせエーリカに謝るのだから、もう1段階、自分の罪深さを進めておこうと思った。エーリカは今、四つん這いが崩れたような恰好になっていた。しかもだ、可愛いお尻をこちらに突き出している男を挑発しまくりのポーズで夢の中を漂っていた。そんな前後不覚すぎるエーリカを見ることなど、この先、再びあるとは思えない。

 ならば、タケルがエーリカに対して、出来ることはただ一つ。今のエーリカのいやらしすぎる恰好を眼に焼き付けておいて、オカズのストックとして、しっかり記憶しておこうとしたのだ。まさにド変態極まり、下劣すぎるところまで落ちた畜生とは今のタケルにぴったりと当てはまる。

 そんな畜生のタケルお兄ちゃんに視姦されっぱなしだというのに、エーリカは天使過ぎる妹であった。タケルは自分の愚かすぎる行為に耐えきれななくなりそうだった。だが、それでもだ。エーリカが崩れた四つん這い姿でまたしてもおしっこを垂れ流し始めると、タケルはこの世の男の中でも一番の情けない顔をしながら、エーリカのいやらしすぎるおしっこ姿を目と脳に焼き付けざるにはをえなかったのである。

「いい加減にしろでッチュウ。今回はエーリカちゃんの中のあいつが現れる気配が無かったから、タケルの蛮行をある程度のところまでは見逃してきたでッチュウ。汚らしい顔をエーリカちゃんの股間に押し付けるのはやめろでッチュウ!

 タケルはエーリカの尻の穴に鼻を押し付ける形で頭をエーリカの股間に突っ込んだ。そこでエーリカの黄金水を情けない顔をしながら、舌を伸ばせるだけ伸ばす。これでもかとエーリカの黄金水を味わいまくっているタケルに怒鳴りつけるコッシローであった。タケルはそうされることでますますこの世の終わりとでも言いたげなほどの情けなさ過ぎる顔になっていた、

「お前に罰を与えたい気持ちでいっぱいでッチュウが、その手には乗らないのでッチュウ! お前が必要以上の罪の意識に囚われて、ありもしない過去の感傷でお前の自我が壊れることは既定路線になってしまうのでッチュウ。そんなこと、4人の偉大なる魔法使いたちが許しても、このボクが許さないでッチュウ。麗しの眠り姫スリーピング・ビューティでッチュウ!」
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