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第17章:ヨン=ウェンリー
第2話:罰ゲームの意味
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太陽が傾き、段々と西に見える山の向こう側へと隠れていく。そうなると、夏と言えどもさすがに空気がひんやりとしてきて、一旦は毛布や御座を身体から剥がしつつあった血濡れの女王の団員たちも、再び二人一組で身体を毛布で包み込み始める。
それゆえに、エーリカとタケルがここまでずっと毛布を被り、その毛布の中で隠れて、ふたりで手を繋いでいたとしても、団員たちからは自然に受け入れられていた。しかしだ……。空気がひんやりとしてきたところで、エーリカは身に危険を感じ始めていた。そして、その危険を少しでも和らげるためにも、皆には陽が暮れてきたので、ここで野宿を行うと告げる。
血濡れの女王の団員たちは、エーリカの命令を受けて、すぐさま野営地の設営に入るのであった。ほとんどの持ち物を捨てていた団員たちであったが、この日までの訓練の成果を発揮し、石器時代よりかはちょっとマシな程度の野営地を造り上げていく。
作業に熱中する団員たちを誇らしげに思うエーリカであったが、身に感じた危険はそれが現実になりかわるために、確実にエーリカの下腹部を刺激したのである。エーリカはそろそろ限界ね……と思いつつも、気丈に振る舞った。
タケルの手を引っ張りながら、エーリカは段々と築かれていく野営地の見回まりを行う。そして、最後に出会ったアイス師匠に、ここまで来るのにかなり疲れたけど、皆に疲れているところを見せたくないから、少し離れた場所で休憩してくるねと告げた。
アイス師匠はエーリカの皆への心配りに感心し、ゆっくり休んでおくんだぞと返すのであった。エーリカは心に罪悪感を抱きつつも、せっかくだから、おしっこを済ませるけでなく、出来る限り、身体を休ませておこうと考えた。
「エーリカ……。何もそこまで律義に罰を受けなくてもいいんじゃねえのか?」
「いーーーや! 何も抗議せずに罰を受け入れたあたしが間抜けだってのはわかってるわっ! でも、これはコタローがあたしの将来のことを思ってのことだって、前向きに捉えるっ!」
タケルは前向きすぎだろ……とぼやきそうになる。エーリカは毛布におしっこの飛沫がかかっては大変だと、そこらへんに生えている木の枝にその毛布をひっかけた。そこまではまあ、いろんな事情があるから仕方が無いと言えた。だが、エーリカはタケルと結んだ手と手を離そうとはしなかったのが問題なのだ。
犬の散歩でもしている最中に、飼い犬がおしっこをしている絵にも似ている状況であった。エーリカが可愛らしい飼い犬であれば、タケルが困ることは無かったであろう。エーリカは立派なニンゲンのメスである。そのメスが素っ裸になり、自分のすぐ近くでしゃがみ込み、さらには気持ち良さそうな顔でおしっこを地面に噴射していた。
「ほんと、タケルお兄ちゃんじゃなかったら、あたし、恥ずかしさで自害しているところだと思う」
「へえへえ。それはようござんした。てか、ちゃんと拭けよ。小便臭さがこっちにまで漂ってきやがる」
「女らしさゼロの妹でごめんね? でも、まだ非常事態だから、いつものようには戻れないねっ」
エーリカとタケルは絶賛、非日常すぎる状況になっていた。お互い、布一枚すら身に纏っていない状況である。剥き出しの尻をカバーするために身体に巻き付けていた毛布を尻に敷いている。しかしながら、今のこの状況があまりにも非日常的過ぎて、タケルはすぐ隣に素っ裸のエーリカが座っていても、何の興奮も覚えないのであった。
「エーリカのことを妹いもうとと呼んでいるのが災いしてんのかな?」
「ん? それってどういう意味なの?」
「そんなに深い意味はないぜ。温泉旅行に行った時とかは、うっかりエーリカ相手におちんこさんをびっきびきにしちまった俺だけど、改めて、肌と肌が触れ合う距離で、お互い裸なのに、今はまったくおちんこさんが起き上がらねえなって」
「ふーーーん。それって、男としてどうこうって意味? それとも、あたしに女としての価値がどうこうって意味なの?」
「なんとも言えんってのが、正直なところだな。エーリカは女の身体をしてるけど、妹の裸ってことで、俺の頭の中で処理されてるんだろう」
エーリカはなかなかに哲学的なことを言うタケルお兄ちゃんだなと思ってしまう。男女の仲という概念を通り越した先にある、仲間や家族という概念にまで入り込んでいしまっているのだと、エーリカはエーリカなりにそう思ってしまう。
今のエーリカは血濡れの女王の団員たちを包む世界が、ひとつの大浴場と思えてしまっていた。仲間どころか、大家族とも言えてしまうような血濡れの女王の団である。そんな自分たちが今更、裸の付き合いの延長線上で、真っ裸で作業してても、特別な何かしらの感情は生まれてこないんだろうなと思ってしまう。
「エーリカ……。さすがに俺のおちんこさんをじっくり見るんじゃねえ。いくらエーリカにそんな気が起きない俺でも意識しちまう……」
「あ、あれ? あたし、そんなにじっくり見てた?? あたし、視界にぼんやり何か映ってるなあってくらいだった」
エーリカにとっては自然を眺めている感覚であった。毛布を草地の地面いっぱいに広げ、その上でタケルお兄ちゃんと手を繋いで、川の字になった。そうこうしているうちに、段々と夏の太陽の光が大空へと届かなくなっていく。そして、代わりに月と星々がエーリカたちに存在感を示してきた。
エーリカは知らない土地で大空を見上げても、大空に浮かぶ月と星々はそれほどには変わらないのだろうと思ってしまう。その後、少しだけ身体を起こし、自分とこれから先も関係性が変わらないであろうタケルお兄ちゃんの身体をぼんやりと眺めていたのである。
だが、タケルは段々とエーリカの視線が自分のとある場所へと集中していくのを感じていた。そこの部分がむずがゆく思ったタケルはエーリカに断りをいれてから、そのポジショニングを整えたのだ。
「ん? 今、何をしたの?」
タケルが女性にはついてないモノを軽くいじったことで、エーリカの視線はますますタケルのおちんこさんに集中してしまう。タケルはどうしたものかと考える。だが、今日1日、とんでもない距離を移動し、さらにはとんでもない運動量をこなしているタケルはこれ以上、考えるのが億劫となった。
エーリカの視線が一点集中しだす。タケルは、ああ、お疲れマラ発動だわ……という台詞が頭の中をよぎった。
「お疲れマラ?」
「うあぁ……。なんかもう疲れきってるのか、頭の中で考えていることが、そのまま言葉に出ちまった……」
「タケルお兄ちゃんのが今、起っきしてるのは、あたしに欲情したわけじゃないのよね??」
「うーーーん、もう、どっちでもいいよー。どうしよもないレベルのアホな思考が口から零れだしたせいで、疲れがどんと一気に襲い掛かってきたわ……。エーリカの好きなように俺をもてあそんでくれ……」
それゆえに、エーリカとタケルがここまでずっと毛布を被り、その毛布の中で隠れて、ふたりで手を繋いでいたとしても、団員たちからは自然に受け入れられていた。しかしだ……。空気がひんやりとしてきたところで、エーリカは身に危険を感じ始めていた。そして、その危険を少しでも和らげるためにも、皆には陽が暮れてきたので、ここで野宿を行うと告げる。
血濡れの女王の団員たちは、エーリカの命令を受けて、すぐさま野営地の設営に入るのであった。ほとんどの持ち物を捨てていた団員たちであったが、この日までの訓練の成果を発揮し、石器時代よりかはちょっとマシな程度の野営地を造り上げていく。
作業に熱中する団員たちを誇らしげに思うエーリカであったが、身に感じた危険はそれが現実になりかわるために、確実にエーリカの下腹部を刺激したのである。エーリカはそろそろ限界ね……と思いつつも、気丈に振る舞った。
タケルの手を引っ張りながら、エーリカは段々と築かれていく野営地の見回まりを行う。そして、最後に出会ったアイス師匠に、ここまで来るのにかなり疲れたけど、皆に疲れているところを見せたくないから、少し離れた場所で休憩してくるねと告げた。
アイス師匠はエーリカの皆への心配りに感心し、ゆっくり休んでおくんだぞと返すのであった。エーリカは心に罪悪感を抱きつつも、せっかくだから、おしっこを済ませるけでなく、出来る限り、身体を休ませておこうと考えた。
「エーリカ……。何もそこまで律義に罰を受けなくてもいいんじゃねえのか?」
「いーーーや! 何も抗議せずに罰を受け入れたあたしが間抜けだってのはわかってるわっ! でも、これはコタローがあたしの将来のことを思ってのことだって、前向きに捉えるっ!」
タケルは前向きすぎだろ……とぼやきそうになる。エーリカは毛布におしっこの飛沫がかかっては大変だと、そこらへんに生えている木の枝にその毛布をひっかけた。そこまではまあ、いろんな事情があるから仕方が無いと言えた。だが、エーリカはタケルと結んだ手と手を離そうとはしなかったのが問題なのだ。
犬の散歩でもしている最中に、飼い犬がおしっこをしている絵にも似ている状況であった。エーリカが可愛らしい飼い犬であれば、タケルが困ることは無かったであろう。エーリカは立派なニンゲンのメスである。そのメスが素っ裸になり、自分のすぐ近くでしゃがみ込み、さらには気持ち良さそうな顔でおしっこを地面に噴射していた。
「ほんと、タケルお兄ちゃんじゃなかったら、あたし、恥ずかしさで自害しているところだと思う」
「へえへえ。それはようござんした。てか、ちゃんと拭けよ。小便臭さがこっちにまで漂ってきやがる」
「女らしさゼロの妹でごめんね? でも、まだ非常事態だから、いつものようには戻れないねっ」
エーリカとタケルは絶賛、非日常すぎる状況になっていた。お互い、布一枚すら身に纏っていない状況である。剥き出しの尻をカバーするために身体に巻き付けていた毛布を尻に敷いている。しかしながら、今のこの状況があまりにも非日常的過ぎて、タケルはすぐ隣に素っ裸のエーリカが座っていても、何の興奮も覚えないのであった。
「エーリカのことを妹いもうとと呼んでいるのが災いしてんのかな?」
「ん? それってどういう意味なの?」
「そんなに深い意味はないぜ。温泉旅行に行った時とかは、うっかりエーリカ相手におちんこさんをびっきびきにしちまった俺だけど、改めて、肌と肌が触れ合う距離で、お互い裸なのに、今はまったくおちんこさんが起き上がらねえなって」
「ふーーーん。それって、男としてどうこうって意味? それとも、あたしに女としての価値がどうこうって意味なの?」
「なんとも言えんってのが、正直なところだな。エーリカは女の身体をしてるけど、妹の裸ってことで、俺の頭の中で処理されてるんだろう」
エーリカはなかなかに哲学的なことを言うタケルお兄ちゃんだなと思ってしまう。男女の仲という概念を通り越した先にある、仲間や家族という概念にまで入り込んでいしまっているのだと、エーリカはエーリカなりにそう思ってしまう。
今のエーリカは血濡れの女王の団員たちを包む世界が、ひとつの大浴場と思えてしまっていた。仲間どころか、大家族とも言えてしまうような血濡れの女王の団である。そんな自分たちが今更、裸の付き合いの延長線上で、真っ裸で作業してても、特別な何かしらの感情は生まれてこないんだろうなと思ってしまう。
「エーリカ……。さすがに俺のおちんこさんをじっくり見るんじゃねえ。いくらエーリカにそんな気が起きない俺でも意識しちまう……」
「あ、あれ? あたし、そんなにじっくり見てた?? あたし、視界にぼんやり何か映ってるなあってくらいだった」
エーリカにとっては自然を眺めている感覚であった。毛布を草地の地面いっぱいに広げ、その上でタケルお兄ちゃんと手を繋いで、川の字になった。そうこうしているうちに、段々と夏の太陽の光が大空へと届かなくなっていく。そして、代わりに月と星々がエーリカたちに存在感を示してきた。
エーリカは知らない土地で大空を見上げても、大空に浮かぶ月と星々はそれほどには変わらないのだろうと思ってしまう。その後、少しだけ身体を起こし、自分とこれから先も関係性が変わらないであろうタケルお兄ちゃんの身体をぼんやりと眺めていたのである。
だが、タケルは段々とエーリカの視線が自分のとある場所へと集中していくのを感じていた。そこの部分がむずがゆく思ったタケルはエーリカに断りをいれてから、そのポジショニングを整えたのだ。
「ん? 今、何をしたの?」
タケルが女性にはついてないモノを軽くいじったことで、エーリカの視線はますますタケルのおちんこさんに集中してしまう。タケルはどうしたものかと考える。だが、今日1日、とんでもない距離を移動し、さらにはとんでもない運動量をこなしているタケルはこれ以上、考えるのが億劫となった。
エーリカの視線が一点集中しだす。タケルは、ああ、お疲れマラ発動だわ……という台詞が頭の中をよぎった。
「お疲れマラ?」
「うあぁ……。なんかもう疲れきってるのか、頭の中で考えていることが、そのまま言葉に出ちまった……」
「タケルお兄ちゃんのが今、起っきしてるのは、あたしに欲情したわけじゃないのよね??」
「うーーーん、もう、どっちでもいいよー。どうしよもないレベルのアホな思考が口から零れだしたせいで、疲れがどんと一気に襲い掛かってきたわ……。エーリカの好きなように俺をもてあそんでくれ……」
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