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第13章:ロリョウの町・攻防戦
第1話:戦の匂い
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――竜皇バハムート3世歴462年 6月25日――
「カキンが掴んだ情報とクロウリー所属の諜報活動隊の報告から推測していた通りのことが起きたわね」
「はい。こちらの準備が整え終わる前にロリョウの町に駐屯軍を起きにきましたね、南ケイ州の領主は。州境を越えることにあちらは一切の躊躇を見せる気がありません」
血濡れの女王の団は砦内にある作戦室へと集合していた。エーリカたちがこの砦に入ってから、1週間しか経っていない。南ケイ州の動向に特に注目しながら、砦の拡充・整備を急いでいた。
その行動をあざ笑うかのように南ケイ州の領主:チョウハン=ケイヨウが配下のチンオウ=ヒシャ将軍に兵1万を与え、隣のヨク州に兵を進めさせた。州境近くのロリョウの町にアデレート王家の駐屯兵はほとんどおらず、さらにはそこから5キュロミャートル離れた砦にはたった2000しか、兵が詰められていないことも、チョウハン側は把握していた。
南ケイ州との関係が険悪化していく中、アデレート王家は有効な手立てを打つことができないままであった。現アデレート王家は3代も続いた失地王たちの尻ぬぐいをさせられている。失地王たちがアデレート王家にもたらしたダメージは深刻なものであり、カイケイの都から100キュロミャートル離れた土地では、それぞれの町の町長たちが自治権を主張し始めた。
アデレート王家はやむなく彼らが主張する自治権を認めざるをえなくなってしまう。それゆえに、アデレート王家直属の兵を派遣し、さらには駐屯させることが難しくなってしまう。地方の町長たちはさらに頭に乗り、やがて豪族化していくことになる。
そんな状況下において、エーリカ率いる血濡れの女王の団はカイケイの町から200キュロミャートルも離れているロリョウの町近くにある砦とその周辺近くの土地をアデレート王国から譲り受けた。その土地はすでにアデレート王家の直轄領とは言い難くなっていた。
あくまでも形式上、ヨク州の統治者がアデレート王家である、実態は豪族化した町長たちがそれぞれの主権を唱え始める時代へと移行しつつあった。こういう点から言えば、エーリカたちもまた、豪族のひとつとして数えても良いかもしれない。エーリカたち血濡れの女王の団は、アデレート王家に何ら断りも入れずに、ロリョウの町長と独自に交渉をしていた。
「あたしたちにとって好都合なことはただひとつ。ロリョウの町がダブルスタンダードを取ってくれていることね。南ケイ州の領主、アデレート王家のどちらにも良い顔をしようとしてくれているわ」
「州境近くの町長だからこそ、取れる態度だとも言えます。どちからからの勢力からも睨まれざるをえない土地です。ロリョウの町長はなかなかにやり手だと思いますよ。しかしながら、ダブルスタンダードを取っていられる時間は終わりのようですね」
ロリョウの町は南ケイ州の領主と交渉しつつ、同時にこの地にやってきた血濡れの女王の団を用心棒として雇い入れた。経済的には南ケイ州に依存しつつ、軍事力はアデレート王家頼みである。これをダブルスタンダードと言わずに何をそう言うべきなのかと言われてしまうだろう。
作戦室のど真ん中にある大きな机の上に、この砦を中心とした地域がすっぽり収まっている地図を広げ、エーリカたち血濡れの女王の幹部たちはその周りに集まっていた。軍師:クロウリー=ムーンライトはチェスの駒を置き、さらには説明を入れながら、駒の位置を配置したり、移動させていく。
「南ケイ州からやってくる1万の兵と相対することは、もはや避けようがありません。軍議に集まっている皆さんは覚悟のほどをお願いします」
クロウリーはまず、自分たちはロリョウの町の用心棒である以上、これは退くことが出来ない戦だということを幹部たちにはっきりと告げる。しかしながら、そう言われて及び腰になる者は一切居なかった。クロウリーたちは幹部たちが発している覇気を感じ取り、このすぐ後に発表する各隊の配置において、彼らがいかんなく力を発揮してくれるだろうという確信めいたものがあった。
「血濡れの女王の双璧であるブルース殿とアベル殿にはそれぞれ500の兵を与えます。次にエーリカ殿は本隊の500。そして、コタロー殿に300。残りの100ずつをそれぞれ、先生とコッサンが担当します」
血濡れの女王の団は2千の兵を有していた。戦において、ブルースとアベルはエーリカと同等の兵数を保持するにふさわしい将である。それを皆に示すためにも、戦力を均等に配置した。
ブルースとアベルは当然だなという顔つきになっていた。攻めのエーリカ、臨機応変のブルース。護りのアベル。まさにバランスの取れた3隊長であった。そんな彼女らに対して、今戦におけるコタロー=モンキーはどちらかというと血濡れの女王の団における接着剤的な役割である。
各隊のサポート役と言っても良いだろう。連絡役に始まり、武器や食料の補充を行う輜重役等々、様々な役割で活躍してもらうことになる。裏方ポジションではあるがコタローはその配置に対して、一切の不満は無かった。
「身共に与えられた任務は、ロリョウの町で憲兵隊になれということだな?」
「さすがは聡明なコッサン殿です。あなたの補佐として、あなたの叔父をつけます。嫌われ役にはもってこいでしょ?」
「ふっ。護ってほしいと言われている相手に裏切られてはかなわないからな。血濡れの女王の団に危機を招かないように、しっかりとロリョウの町民たちの首に首輪と鎖をつけておこう」
「あら? 意外と殊勝な心構えね。コッサンのことだから、最前線で戦わせてほしいと言い出すのかと思っちゃった」
エーリカはわざわざと不思議そうな表情を顔に浮かべて、コッサンにそう言うのであった。コッサンは安い挑発をしてくれると思いながらも、淡々と自分の役割の大切さを言ってのける。
この戦において、血濡れの女王の団が一番に危惧しておかなければならないのは、ロリョウの町が自分たちをいきなり後ろから襲ってくることだ。いくら駐屯兵が存在しないからといって、ロリョウの町の住民の数は血濡れの女王の兵数よりも多いのである。
そんな彼らが血濡れの女王の団に本気で反抗する意志と行動を見せれば、血濡れの女王の団はたちまち、この地で孤立無援の状態になってしまう。
その危惧を少しでも抑える役目として、コッサンは有能な自分があてがわれたのだと、血濡れの女王の幹部たちに言ってみせる。
「カキンが掴んだ情報とクロウリー所属の諜報活動隊の報告から推測していた通りのことが起きたわね」
「はい。こちらの準備が整え終わる前にロリョウの町に駐屯軍を起きにきましたね、南ケイ州の領主は。州境を越えることにあちらは一切の躊躇を見せる気がありません」
血濡れの女王の団は砦内にある作戦室へと集合していた。エーリカたちがこの砦に入ってから、1週間しか経っていない。南ケイ州の動向に特に注目しながら、砦の拡充・整備を急いでいた。
その行動をあざ笑うかのように南ケイ州の領主:チョウハン=ケイヨウが配下のチンオウ=ヒシャ将軍に兵1万を与え、隣のヨク州に兵を進めさせた。州境近くのロリョウの町にアデレート王家の駐屯兵はほとんどおらず、さらにはそこから5キュロミャートル離れた砦にはたった2000しか、兵が詰められていないことも、チョウハン側は把握していた。
南ケイ州との関係が険悪化していく中、アデレート王家は有効な手立てを打つことができないままであった。現アデレート王家は3代も続いた失地王たちの尻ぬぐいをさせられている。失地王たちがアデレート王家にもたらしたダメージは深刻なものであり、カイケイの都から100キュロミャートル離れた土地では、それぞれの町の町長たちが自治権を主張し始めた。
アデレート王家はやむなく彼らが主張する自治権を認めざるをえなくなってしまう。それゆえに、アデレート王家直属の兵を派遣し、さらには駐屯させることが難しくなってしまう。地方の町長たちはさらに頭に乗り、やがて豪族化していくことになる。
そんな状況下において、エーリカ率いる血濡れの女王の団はカイケイの町から200キュロミャートルも離れているロリョウの町近くにある砦とその周辺近くの土地をアデレート王国から譲り受けた。その土地はすでにアデレート王家の直轄領とは言い難くなっていた。
あくまでも形式上、ヨク州の統治者がアデレート王家である、実態は豪族化した町長たちがそれぞれの主権を唱え始める時代へと移行しつつあった。こういう点から言えば、エーリカたちもまた、豪族のひとつとして数えても良いかもしれない。エーリカたち血濡れの女王の団は、アデレート王家に何ら断りも入れずに、ロリョウの町長と独自に交渉をしていた。
「あたしたちにとって好都合なことはただひとつ。ロリョウの町がダブルスタンダードを取ってくれていることね。南ケイ州の領主、アデレート王家のどちらにも良い顔をしようとしてくれているわ」
「州境近くの町長だからこそ、取れる態度だとも言えます。どちからからの勢力からも睨まれざるをえない土地です。ロリョウの町長はなかなかにやり手だと思いますよ。しかしながら、ダブルスタンダードを取っていられる時間は終わりのようですね」
ロリョウの町は南ケイ州の領主と交渉しつつ、同時にこの地にやってきた血濡れの女王の団を用心棒として雇い入れた。経済的には南ケイ州に依存しつつ、軍事力はアデレート王家頼みである。これをダブルスタンダードと言わずに何をそう言うべきなのかと言われてしまうだろう。
作戦室のど真ん中にある大きな机の上に、この砦を中心とした地域がすっぽり収まっている地図を広げ、エーリカたち血濡れの女王の幹部たちはその周りに集まっていた。軍師:クロウリー=ムーンライトはチェスの駒を置き、さらには説明を入れながら、駒の位置を配置したり、移動させていく。
「南ケイ州からやってくる1万の兵と相対することは、もはや避けようがありません。軍議に集まっている皆さんは覚悟のほどをお願いします」
クロウリーはまず、自分たちはロリョウの町の用心棒である以上、これは退くことが出来ない戦だということを幹部たちにはっきりと告げる。しかしながら、そう言われて及び腰になる者は一切居なかった。クロウリーたちは幹部たちが発している覇気を感じ取り、このすぐ後に発表する各隊の配置において、彼らがいかんなく力を発揮してくれるだろうという確信めいたものがあった。
「血濡れの女王の双璧であるブルース殿とアベル殿にはそれぞれ500の兵を与えます。次にエーリカ殿は本隊の500。そして、コタロー殿に300。残りの100ずつをそれぞれ、先生とコッサンが担当します」
血濡れの女王の団は2千の兵を有していた。戦において、ブルースとアベルはエーリカと同等の兵数を保持するにふさわしい将である。それを皆に示すためにも、戦力を均等に配置した。
ブルースとアベルは当然だなという顔つきになっていた。攻めのエーリカ、臨機応変のブルース。護りのアベル。まさにバランスの取れた3隊長であった。そんな彼女らに対して、今戦におけるコタロー=モンキーはどちらかというと血濡れの女王の団における接着剤的な役割である。
各隊のサポート役と言っても良いだろう。連絡役に始まり、武器や食料の補充を行う輜重役等々、様々な役割で活躍してもらうことになる。裏方ポジションではあるがコタローはその配置に対して、一切の不満は無かった。
「身共に与えられた任務は、ロリョウの町で憲兵隊になれということだな?」
「さすがは聡明なコッサン殿です。あなたの補佐として、あなたの叔父をつけます。嫌われ役にはもってこいでしょ?」
「ふっ。護ってほしいと言われている相手に裏切られてはかなわないからな。血濡れの女王の団に危機を招かないように、しっかりとロリョウの町民たちの首に首輪と鎖をつけておこう」
「あら? 意外と殊勝な心構えね。コッサンのことだから、最前線で戦わせてほしいと言い出すのかと思っちゃった」
エーリカはわざわざと不思議そうな表情を顔に浮かべて、コッサンにそう言うのであった。コッサンは安い挑発をしてくれると思いながらも、淡々と自分の役割の大切さを言ってのける。
この戦において、血濡れの女王の団が一番に危惧しておかなければならないのは、ロリョウの町が自分たちをいきなり後ろから襲ってくることだ。いくら駐屯兵が存在しないからといって、ロリョウの町の住民の数は血濡れの女王の兵数よりも多いのである。
そんな彼らが血濡れの女王の団に本気で反抗する意志と行動を見せれば、血濡れの女王の団はたちまち、この地で孤立無援の状態になってしまう。
その危惧を少しでも抑える役目として、コッサンは有能な自分があてがわれたのだと、血濡れの女王の幹部たちに言ってみせる。
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