【R18】聖女の思春期奇行列伝 ~創造主は痛みを快楽に変える変態を創り出す~

ももちく

文字の大きさ
上 下
201 / 202
第20章:巣立ち

第9話:分厚い壁

しおりを挟む
 ベリアルはアンドレイ=ラプソティの言いに対して、まともに相手をしないように注意を払う。警戒されたと思ったアンドレイ=ラプソティは、はぁぁぁと嘆息し、少しだけ話題を変えてみせる。

「天使や悪魔はこの世界において、上位存在であることは、あなたたちも認めることでしょう。しかしながら、さらに上位の存在にのぼる方法があったのです。それが『天魔混合』、そしてそのさらに先にあるのが『神化』なのです」

「言っている意味があまりよくわかりまセン。それを為すと、どうなるのデスカ?」

「アリス殿にわかりやすく言えば、天魔混合でベースの神力ちからが100倍。そして、神化によってベースの神力ちからは100倍となり、合計1万倍となります。今の私は悪魔皇:サタンとほぼ互角に立ち会うことが出来ます」

「こりゃとんでもねえ……。うちの御大将はどれほどに強いんだ!?」

「悪魔皇:サタンは色々と規格外ですからね。私が神化して、やっと肩を並べれるほどなのです」

 七大悪魔のひとりであるベリアルは、自分の上司にあたる悪魔皇:サタンの呪力ちからがどれほどにすごいのかを肌で実感している。ベリアルが本気の本気を出しても、決して、サタンには勝てないと思っている。そんな悪魔皇:サタンと同格の神力ちからを持っていると、今のアンドレイ=ラプソティは言っているのだ。

「わかりまシタ。悪魔皇:サタンはいつか倒さなければならない宿敵なのデス! その手始めに、アンドレイ様をぶっとばしてやるのデス!」

 アリス=アンジェラはそう言うと、一旦、アンドレイ=ラプソティたちから距離を空ける。そうすることで、助走距離を稼ぎ、その神力ちからも、右のこぶしに乗せようとした。だが、アンドレイ=ラプソティの周りには7人の亜人たちが控えている。今のアリス=アンジェラの実力では、とてもではないがその分厚い壁をぶち抜けるのかどうか非常に怪しかった。

 だが、アリス=アンジェラの心には迷いは無かった。分厚い壁が立ちはだかるなら、それをこぶしで粉砕しなければ、あの悪魔皇:サタンと再び戦うことなど出来ないと思ったからだ。アリス=アンジェラは右腕に緋喰い鳥フェニックスを宿らせ、その右腕を振り抜く。だが、その一撃はまたしても、ミサ=ミケーンのクロスアームブロックで防がれてしまう。

「あちきを踏み台にした!?」

「小癪なお嬢さんだっ! これだから油断出来ねえなぁっ!?」

 アリス=アンジェラは右のこぶしをミサ=ミケーンにガードされるや否や、その右のこぶしを支点にして、クルリと猫のように前転する。そうした後、左足でミサ=ミケーンの左肩を蹴飛ばし、そこから上へと跳躍する。さらにアリス=アンジェラは左腕を振りかぶり、その左腕に紅き竜レッド・ドラゴンを纏わせるのであった。

「ゴージャス・ファイアードラゴン・パンチなのデス!」

 アリス=アンジェラの次の壁として現れたのは、仲間からホルスと呼ばれいてた偉丈夫な女性であった。彼女は巨大な斧を振り回し、アリス=アンジェラの左のこぶしを真正面から粉砕してこようとする。ホルスが両手で持つ片刃の巨大な斧には黄金こがね色の神気がうっすらと纏わりついていた。アリス=アンジェラは、この半虎半人ハーフ・ダ・タイガの女性も『神化』した亜人だと認識するが、そのことは一旦置いておいて、左のこぶしを彼女が両手に持つ斧の刃へ叩きつけるのであった。

「あたいの斧にヒビが入った!? あんた、どんだけすげえバカ神力ちからなんだよ!?」

「バカ神力ちからいうなデス!」

 アリス=アンジェラは左のこぶしで、ホルスが持つ巨大な斧全体にヒビを走らせた後、彼女の右わき腹を縫うようにくぐり抜ける。さらには置き土産とばかりに右肘をホルスの右わき腹に叩きこむところがアリス=アンジェラらしいといったところであろう。ホルスは一瞬、息を止められ、身体の動きを止められてしまう。

 ホルスという巨大な壁を超えた先に待ち受けていたのは、妙齢のお姉さんの雰囲気を醸し出す半兎半人ハーフ・ダ・ラビットであった。彼女も当然の如くに『神化』しているのだろうと、アリス=アンジェラは予想し、空中において斜め上から斜め下への地面に向かって、右足に神力ちからを込めながら、蹴り抜こうとする。

「足癖も悪いんでしたわね。でも、この結界を破れるかしら?」

 妙齢のお姉さんの雰囲気を醸し出している女性が、両手に一本ずつ持つ長い鎖を振り上げ、鞭のように振るってみせる。さらにその長い鎖を自由自在に操り、円とその内側に五芒星を描くのであった。その2本の鎖が魔術障壁マジック・バリアを産み出し、アリス=アンジェラの右足による飛び蹴りを受け止めてみせる。

「貴女はアリス=アンジェラを舐めたのデス!」

「なん……ですって!?」

 アリス=アンジェラは一度、右足を彼女の創り出す魔術障壁マジック・バリアによって、完全に止められた。しかし、アリス=アンジェラの右足全体が細かく振動し、その超振動が衝撃波を産み出した。

「ゴージャス・ダブルドラゴン・インパクトなのデス!」

 アリス=アンジェラの右足には碧玉の竜グリーン・ドラゴンが宿っていた。風を纏う碧玉の竜グリーン・ドラゴンは、アリス=アンジェラに助力を与える。アリス=アンジェラは右足から超振動による衝撃波を打ち出し、強固な魔術障壁マジック・バリアを粉砕せしめてみせる。

 アンドレイ=ラプソティの周りにはまだ4人が控えていたが、アンドレイ=ラプソティは彼女たちに下がるように命じる。4人はコクリと頷き合い、アリス=アンジェラが向かってくるための道をわざわざ開けてみせる。アリス=アンジェラは横目でちらりとも、その4人を見ることは無かった。彼女の真っ直ぐ過ぎる性格は、あの日からも変わっていなかった。

 そんな純心ピュアすぎるアリス=アンジェラに微笑ましい笑顔を送るのがアンドレイ=ラプソティであった。右手に紅き竜レッド・ドラゴンが宿る槍を現出させる。それをアリス=アンジェラの顔に向かって真っすぐに突き出すのであった。アリス=アンジェラはその一突きを紙一重で躱してみせる。これは誘いだとわかっていながらも、今のアリス=アンジェラが足を止めることなどなかった。

 アリス=アンジェラはアンドレイ=ラプソティの懐深くに潜り込むと、裂帛の呼吸をし、想いの丈を両手に込めるのであった。

「ウルトラ・ダイナマイト・ダブルハンドアタックなのデス!」

 アリス=アンジェラは両の手のひらをアンドレイ=ラプソティのみぞおちあたりに持っていく。彼女の両の手のひらから、彼女の感情が爆発しかたのように銀色の衝撃波が生まれるのであった。アリス=アンジェラはこの一撃に願いを込めていた。かつてのアンドレイ様は今はどこにもいない。ならば、せめて、この会えなかった2年間に渡る複雑な聖女おとめ心の全てをぶつけてみせたのだ……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...