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第20章:巣立ち
第9話:分厚い壁
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ベリアルはアンドレイ=ラプソティの言いに対して、まともに相手をしないように注意を払う。警戒されたと思ったアンドレイ=ラプソティは、はぁぁぁと嘆息し、少しだけ話題を変えてみせる。
「天使や悪魔はこの世界において、上位存在であることは、あなたたちも認めることでしょう。しかしながら、さらに上位の存在にのぼる方法があったのです。それが『天魔混合』、そしてそのさらに先にあるのが『神化』なのです」
「言っている意味があまりよくわかりまセン。それを為すと、どうなるのデスカ?」
「アリス殿にわかりやすく言えば、天魔混合でベースの神力が100倍。そして、神化によってベースの神力は100倍となり、合計1万倍となります。今の私は悪魔皇:サタンとほぼ互角に立ち会うことが出来ます」
「こりゃとんでもねえ……。うちの御大将はどれほどに強いんだ!?」
「悪魔皇:サタンは色々と規格外ですからね。私が神化して、やっと肩を並べれるほどなのです」
七大悪魔のひとりであるベリアルは、自分の上司にあたる悪魔皇:サタンの呪力がどれほどにすごいのかを肌で実感している。ベリアルが本気の本気を出しても、決して、サタンには勝てないと思っている。そんな悪魔皇:サタンと同格の神力を持っていると、今のアンドレイ=ラプソティは言っているのだ。
「わかりまシタ。悪魔皇:サタンはいつか倒さなければならない宿敵なのデス! その手始めに、アンドレイ様をぶっとばしてやるのデス!」
アリス=アンジェラはそう言うと、一旦、アンドレイ=ラプソティたちから距離を空ける。そうすることで、助走距離を稼ぎ、その神力も、右の拳に乗せようとした。だが、アンドレイ=ラプソティの周りには7人の亜人たちが控えている。今のアリス=アンジェラの実力では、とてもではないがその分厚い壁をぶち抜けるのかどうか非常に怪しかった。
だが、アリス=アンジェラの心には迷いは無かった。分厚い壁が立ちはだかるなら、それを拳で粉砕しなければ、あの悪魔皇:サタンと再び戦うことなど出来ないと思ったからだ。アリス=アンジェラは右腕に緋喰い鳥を宿らせ、その右腕を振り抜く。だが、その一撃はまたしても、ミサ=ミケーンのクロスアームブロックで防がれてしまう。
「あちきを踏み台にした!?」
「小癪なお嬢さんだっ! これだから油断出来ねえなぁっ!?」
アリス=アンジェラは右の拳をミサ=ミケーンにガードされるや否や、その右の拳を支点にして、クルリと猫のように前転する。そうした後、左足でミサ=ミケーンの左肩を蹴飛ばし、そこから上へと跳躍する。さらにアリス=アンジェラは左腕を振りかぶり、その左腕に紅き竜を纏わせるのであった。
「ゴージャス・ファイアードラゴン・パンチなのデス!」
アリス=アンジェラの次の壁として現れたのは、仲間からホルスと呼ばれいてた偉丈夫な女性であった。彼女は巨大な斧を振り回し、アリス=アンジェラの左の拳を真正面から粉砕してこようとする。ホルスが両手で持つ片刃の巨大な斧には黄金色の神気がうっすらと纏わりついていた。アリス=アンジェラは、この半虎半人の女性も『神化』した亜人だと認識するが、そのことは一旦置いておいて、左の拳を彼女が両手に持つ斧の刃へ叩きつけるのであった。
「あたいの斧にヒビが入った!? あんた、どんだけすげえバカ神力なんだよ!?」
「バカ神力いうなデス!」
アリス=アンジェラは左の拳で、ホルスが持つ巨大な斧全体にヒビを走らせた後、彼女の右わき腹を縫うようにくぐり抜ける。さらには置き土産とばかりに右肘をホルスの右わき腹に叩きこむところがアリス=アンジェラらしいといったところであろう。ホルスは一瞬、息を止められ、身体の動きを止められてしまう。
ホルスという巨大な壁を超えた先に待ち受けていたのは、妙齢のお姉さんの雰囲気を醸し出す半兎半人であった。彼女も当然の如くに『神化』しているのだろうと、アリス=アンジェラは予想し、空中において斜め上から斜め下への地面に向かって、右足に神力を込めながら、蹴り抜こうとする。
「足癖も悪いんでしたわね。でも、この結界を破れるかしら?」
妙齢のお姉さんの雰囲気を醸し出している女性が、両手に一本ずつ持つ長い鎖を振り上げ、鞭のように振るってみせる。さらにその長い鎖を自由自在に操り、円とその内側に五芒星を描くのであった。その2本の鎖が魔術障壁を産み出し、アリス=アンジェラの右足による飛び蹴りを受け止めてみせる。
「貴女はアリス=アンジェラを舐めたのデス!」
「なん……ですって!?」
アリス=アンジェラは一度、右足を彼女の創り出す魔術障壁によって、完全に止められた。しかし、アリス=アンジェラの右足全体が細かく振動し、その超振動が衝撃波を産み出した。
「ゴージャス・ダブルドラゴン・インパクトなのデス!」
アリス=アンジェラの右足には碧玉の竜が宿っていた。風を纏う碧玉の竜は、アリス=アンジェラに助力を与える。アリス=アンジェラは右足から超振動による衝撃波を打ち出し、強固な魔術障壁を粉砕せしめてみせる。
アンドレイ=ラプソティの周りにはまだ4人が控えていたが、アンドレイ=ラプソティは彼女たちに下がるように命じる。4人はコクリと頷き合い、アリス=アンジェラが向かってくるための道をわざわざ開けてみせる。アリス=アンジェラは横目でちらりとも、その4人を見ることは無かった。彼女の真っ直ぐ過ぎる性格は、あの日からも変わっていなかった。
そんな純心すぎるアリス=アンジェラに微笑ましい笑顔を送るのがアンドレイ=ラプソティであった。右手に紅き竜が宿る槍を現出させる。それをアリス=アンジェラの顔に向かって真っすぐに突き出すのであった。アリス=アンジェラはその一突きを紙一重で躱してみせる。これは誘いだとわかっていながらも、今のアリス=アンジェラが足を止めることなどなかった。
アリス=アンジェラはアンドレイ=ラプソティの懐深くに潜り込むと、裂帛の呼吸をし、想いの丈を両手に込めるのであった。
「ウルトラ・ダイナマイト・ダブルハンドアタックなのデス!」
アリス=アンジェラは両の手のひらをアンドレイ=ラプソティのみぞおちあたりに持っていく。彼女の両の手のひらから、彼女の感情が爆発しかたのように銀色の衝撃波が生まれるのであった。アリス=アンジェラはこの一撃に願いを込めていた。かつてのアンドレイ様は今はどこにもいない。ならば、せめて、この会えなかった2年間に渡る複雑な聖女心の全てをぶつけてみせたのだ……。
「天使や悪魔はこの世界において、上位存在であることは、あなたたちも認めることでしょう。しかしながら、さらに上位の存在にのぼる方法があったのです。それが『天魔混合』、そしてそのさらに先にあるのが『神化』なのです」
「言っている意味があまりよくわかりまセン。それを為すと、どうなるのデスカ?」
「アリス殿にわかりやすく言えば、天魔混合でベースの神力が100倍。そして、神化によってベースの神力は100倍となり、合計1万倍となります。今の私は悪魔皇:サタンとほぼ互角に立ち会うことが出来ます」
「こりゃとんでもねえ……。うちの御大将はどれほどに強いんだ!?」
「悪魔皇:サタンは色々と規格外ですからね。私が神化して、やっと肩を並べれるほどなのです」
七大悪魔のひとりであるベリアルは、自分の上司にあたる悪魔皇:サタンの呪力がどれほどにすごいのかを肌で実感している。ベリアルが本気の本気を出しても、決して、サタンには勝てないと思っている。そんな悪魔皇:サタンと同格の神力を持っていると、今のアンドレイ=ラプソティは言っているのだ。
「わかりまシタ。悪魔皇:サタンはいつか倒さなければならない宿敵なのデス! その手始めに、アンドレイ様をぶっとばしてやるのデス!」
アリス=アンジェラはそう言うと、一旦、アンドレイ=ラプソティたちから距離を空ける。そうすることで、助走距離を稼ぎ、その神力も、右の拳に乗せようとした。だが、アンドレイ=ラプソティの周りには7人の亜人たちが控えている。今のアリス=アンジェラの実力では、とてもではないがその分厚い壁をぶち抜けるのかどうか非常に怪しかった。
だが、アリス=アンジェラの心には迷いは無かった。分厚い壁が立ちはだかるなら、それを拳で粉砕しなければ、あの悪魔皇:サタンと再び戦うことなど出来ないと思ったからだ。アリス=アンジェラは右腕に緋喰い鳥を宿らせ、その右腕を振り抜く。だが、その一撃はまたしても、ミサ=ミケーンのクロスアームブロックで防がれてしまう。
「あちきを踏み台にした!?」
「小癪なお嬢さんだっ! これだから油断出来ねえなぁっ!?」
アリス=アンジェラは右の拳をミサ=ミケーンにガードされるや否や、その右の拳を支点にして、クルリと猫のように前転する。そうした後、左足でミサ=ミケーンの左肩を蹴飛ばし、そこから上へと跳躍する。さらにアリス=アンジェラは左腕を振りかぶり、その左腕に紅き竜を纏わせるのであった。
「ゴージャス・ファイアードラゴン・パンチなのデス!」
アリス=アンジェラの次の壁として現れたのは、仲間からホルスと呼ばれいてた偉丈夫な女性であった。彼女は巨大な斧を振り回し、アリス=アンジェラの左の拳を真正面から粉砕してこようとする。ホルスが両手で持つ片刃の巨大な斧には黄金色の神気がうっすらと纏わりついていた。アリス=アンジェラは、この半虎半人の女性も『神化』した亜人だと認識するが、そのことは一旦置いておいて、左の拳を彼女が両手に持つ斧の刃へ叩きつけるのであった。
「あたいの斧にヒビが入った!? あんた、どんだけすげえバカ神力なんだよ!?」
「バカ神力いうなデス!」
アリス=アンジェラは左の拳で、ホルスが持つ巨大な斧全体にヒビを走らせた後、彼女の右わき腹を縫うようにくぐり抜ける。さらには置き土産とばかりに右肘をホルスの右わき腹に叩きこむところがアリス=アンジェラらしいといったところであろう。ホルスは一瞬、息を止められ、身体の動きを止められてしまう。
ホルスという巨大な壁を超えた先に待ち受けていたのは、妙齢のお姉さんの雰囲気を醸し出す半兎半人であった。彼女も当然の如くに『神化』しているのだろうと、アリス=アンジェラは予想し、空中において斜め上から斜め下への地面に向かって、右足に神力を込めながら、蹴り抜こうとする。
「足癖も悪いんでしたわね。でも、この結界を破れるかしら?」
妙齢のお姉さんの雰囲気を醸し出している女性が、両手に一本ずつ持つ長い鎖を振り上げ、鞭のように振るってみせる。さらにその長い鎖を自由自在に操り、円とその内側に五芒星を描くのであった。その2本の鎖が魔術障壁を産み出し、アリス=アンジェラの右足による飛び蹴りを受け止めてみせる。
「貴女はアリス=アンジェラを舐めたのデス!」
「なん……ですって!?」
アリス=アンジェラは一度、右足を彼女の創り出す魔術障壁によって、完全に止められた。しかし、アリス=アンジェラの右足全体が細かく振動し、その超振動が衝撃波を産み出した。
「ゴージャス・ダブルドラゴン・インパクトなのデス!」
アリス=アンジェラの右足には碧玉の竜が宿っていた。風を纏う碧玉の竜は、アリス=アンジェラに助力を与える。アリス=アンジェラは右足から超振動による衝撃波を打ち出し、強固な魔術障壁を粉砕せしめてみせる。
アンドレイ=ラプソティの周りにはまだ4人が控えていたが、アンドレイ=ラプソティは彼女たちに下がるように命じる。4人はコクリと頷き合い、アリス=アンジェラが向かってくるための道をわざわざ開けてみせる。アリス=アンジェラは横目でちらりとも、その4人を見ることは無かった。彼女の真っ直ぐ過ぎる性格は、あの日からも変わっていなかった。
そんな純心すぎるアリス=アンジェラに微笑ましい笑顔を送るのがアンドレイ=ラプソティであった。右手に紅き竜が宿る槍を現出させる。それをアリス=アンジェラの顔に向かって真っすぐに突き出すのであった。アリス=アンジェラはその一突きを紙一重で躱してみせる。これは誘いだとわかっていながらも、今のアリス=アンジェラが足を止めることなどなかった。
アリス=アンジェラはアンドレイ=ラプソティの懐深くに潜り込むと、裂帛の呼吸をし、想いの丈を両手に込めるのであった。
「ウルトラ・ダイナマイト・ダブルハンドアタックなのデス!」
アリス=アンジェラは両の手のひらをアンドレイ=ラプソティのみぞおちあたりに持っていく。彼女の両の手のひらから、彼女の感情が爆発しかたのように銀色の衝撃波が生まれるのであった。アリス=アンジェラはこの一撃に願いを込めていた。かつてのアンドレイ様は今はどこにもいない。ならば、せめて、この会えなかった2年間に渡る複雑な聖女心の全てをぶつけてみせたのだ……。
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