上 下
153 / 202
第16章:マーラ様

第1話:巨大化するマーラ様

しおりを挟む
「サタン。なかなかにお遊びが過ぎます。いくら創造主:Y.O.N.Nの企みを根本から覆そうにも、全てを壊してしまっては……」

「ルシフェル。そう心配するな。われのちょっとした介入如きで、どうにかなってしまう小娘ならば、われも遊び甲斐が無いものだ。さあ、マーラ相手にどう抗ってくれる? アリス=アンジェラ……」

 神聖マケドナルド帝国の首都:ヴァルハラントの上空に七大悪魔の内、2人が存在していた。片方は悪魔皇:サタンのやり過ぎに対して、忠告をおこなう。しかしながら、もう片方は腰に手を当て、ガーハハハッ! と豪快に笑ってみせる。その『傲慢』すぎる態度に『憤怒』を抱いてしまいかねないルシフェルであった。

 そんな彼ら2人の直下では、歴史ある建造物である首都の宮殿の屋根が内側から爆ぜるように爆発する。その空いた空間から、まるで処女膜を破ったばかりの勇壮なおちんこさんが飛び出してくる。

「これはまた、巨大化させましたね……。本気で収集がつかなくなりますよ?」

 ルシフェルはコメカミに青筋が浮き立ちそうになるが、それをどうに抑えてみせる。しかし、隣で宙に浮かんでいるサタンがさも可笑しそうに豪快に笑ってみせる。

「ガーハハハッ! さすがはわれの魔因子を与えただけはあって、ご立派様だっ! しかしながら……」

「しかしながら、何です?」

われのおちんこさんのほうがやはり、勇壮でカチンコチンで、さらには良い反りをしているであろう。ルシフェルもそう思わないか? あれを見たところで、やはりサタン様の方がご立派ですね……と嘆息してしまうであろう?」

 サタンが右手で顎をさすりながら、そうのたまうものだから、冷静さを何とか保っていたルシフェルは、ついにその顔に『憤怒』を浮かび上がらせることになる。サタンもさすがに悪びれた態度が過ぎたことを後悔するが、それは後の祭りであった。下界の様子をつぶさに観察しようとする前に、憤怒に染まったルシフェルが右手で持っている巨大なハリセンで幾度も折檻されることになる。

 そんな夫婦漫才に似た何かをしている七大悪魔の2人を置いて、地上界はますます混乱の渦へと巻き込まれていく。元はダン=クゥガーであったマーラ様は、宮殿の天井をそのご立派な亀頭で突き破った後、さらに巨大化していく。首都:ヴァルハラントの住民たちは、そのヴァルハラントを襲撃してきた魔物モンスターとの争いが収束していったというのに、創造主:Y.O.N.N様は再び私たちに試練をお与えになったのか!? と嘆かずにはいられなかった。

「あれは何だ!? 巨大なヒルがレオン=アレクサンダー帝の宮殿を破壊したぞぉぉぉ!」

「いやあっ! あれはヒルではありませんわっ! ご立派なご神体に見えますのぉぉぉ!」

「あれのどこがご神体ぞっ!? どっからどう見ても、勃起したおちんこさんであろうっ!!」

「ありがたや、ありがたや……。こんな婆さんになってからは、ご無沙汰となってしまったが、死ぬ前にあれほど、ご立派なおちんこさんを崇める日がやってくるとは思わなんだぁぁぁ」

 ある者は、宮殿の屋根を突き破って出てきたマーラに対して、腰を抜かす。しかし、またある者は、マーラそのものをご神体だと崇め始める。それでもまだマシだと言える者たちだった。特にひどい症状を訴えたのは旦那をとうの昔に亡くした未亡人たちである。彼女たちはあのご立派なマーラを見ているだけで、卑肉からヨダレがダラダラと溢れ出してしまう。それは老若関係なくであった。

 ただ、これだけは言えよう。混乱に陥るヴァルハラントの住民たちは、ご立派すぎるマーラ様を見ているだけで、恐れ崇めるようになる。その恐れ崇める心が、ますますマーラのご立派さを育てることも知らずにだ。

 元はダン=クゥガーであったマーラ様は、その太さ、固さ、反りの角度をどんどん勇壮なモノに変化させていく。ついには、宮殿全体が跡形もなく、巨大化したマーラ様により、破壊されてしまうのであった。だが、その歴史ある宮殿が完全に破壊されたというのに、ヴァルハラントの住民たちは、逃げ惑うどころか、両膝を地面につけ、さらには両手を握り合わせ、祈りを捧げるポーズを取り出すことになる。

 そんなヴァルハラントの住民に対して、マーラ様はまぐわいを開始しようとする、マーラ様の根本から、大量の肉の触手が溢れ出し、跪き祈りを捧げる老若女たちの身体に纏わりつき始めたのである。女性たちはその触手に身体を覆われていくのだが、一切の抵抗を見せようとはしなかった。ただ、身体の穴という穴に肉の触手の先端が侵入してくるのを喜んで受け入れようとしていく。

「ベリアル! このままでは首都全体がマーラに犯されてしまいますっ!」

「言われんでも、そんなことはわかってる! しかし、触手の数が多すぎるっ! アンドレイ! まとめて塩の柱にしちまえよっ!」

「私の神力ちからは、そこまで便利ではありませんよっ! 触手に飲み込まれた女性たちごと、塩の柱にしてしまいますっ!」

「じゃあ、力づくでひとりひとりから、触手を剥がす他、ねえなぁ!? 『怠惰』な我輩に仕事させてんじゃねえよっ!」

 崩壊する宮殿から、外へと飛び出したアンドレイ=ラプソティたちは、首都:ヴァルハラントがマーラ様の根本から発した触手に飲み込まれないようにと抗いを見せた。それぞれの手に持つ紅き竜の槍レッド・ドラゴン・ランス死神の大鎌デスサイズを振り回し、ひとりでも多くの女性をマーラ様の触手から逃さんとばかりに、懸命に働くのであった。

 しかし、そんな状況下において、アリス=アンジェラは地上から大空のある一点へと視線を飛ばしていた。

「チュッチュッチュ。どうしたのでッチュウ? 何か大空に居るのでッチュウ?」

「コッシローさん。この騒ぎを起こした張本人が、もうひとりの悪魔と戯れているのデス。マーラをどうにかするまえに、あの存在をどうにかしたほうが良いと思うのデス」

 アリス=アンジェラはそうコッシロー=ネヅに告げるが、コッシロー=ネヅはアリス=アンジェラが視線を飛ばしている方向へと眼を向けた後、フルフルと首級くびを左右に振るのであった。

「あの2人を自分とアリスちゃんでどうにか出来るのであれば、天魔大戦を3度もおこない、さらに決着がつかなかったという事態に天界側が陥っていることは無いのでッチュウ」

 コッシロー=ネヅの言うことはもっともであった。首都:ヴァルハラントの上空で、いちゃつき合っているのは『傲慢』と『憤怒』の権現様2人なのである。その2人を相手に、今のアリス=アンジェラがどうこう出来るなど、コッシロー=ネヅには想像も出来なかった。だが、想像外のことをするのがアリス=アンジェラである。彼女は赤より紅い戦乙女ヴァルキリー・天使装束に身を包んだまま、天上へと向かって、勢いよく飛び立つのであった……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

【R18】異世界なら彼女の母親とラブラブでもいいよね!

SoftCareer
ファンタジー
幼なじみの彼女の母親と二人っきりで、期せずして異世界に飛ばされてしまった主人公が、 帰還の方法を模索しながら、その母親や異世界の人達との絆を深めていくというストーリーです。 性的描写のガイドラインに抵触してカクヨムから、R-18のミッドナイトノベルズに引っ越して、 お陰様で好評をいただきましたので、こちらにもお世話になれればとやって参りました。 (こちらとミッドナイトノベルズでの同時掲載です)

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...