【R18】聖女の思春期奇行列伝 ~創造主は痛みを快楽に変える変態を創り出す~

ももちく

文字の大きさ
上 下
74 / 202
第8章:トルメキア王国

第2話:安堵の抱擁

しおりを挟む
「お、おい! アリス嬢ちゃん、大丈夫かっ!?」

 ベリアルはこちらに向かって倒れ込んでくるアリス=アンジェラを両腕で受け止める。華奢な身体のアリス=アンジェラの背中に手斧が突き立っていることを視認したベリアルは心の底から怒りの色が沸き起こってくることになる。アリス=アンジェラの背中に向かって手斧を投げた人物はヒッヒィィィ! と半狂乱になっていた。アリス=アンジェラの控えめのシャイニング・グーパンを喰らい、その人物の顔は半分グチャグチャになっていた。

 それゆえか、その人物は自分が為した大罪がどれほどに重いものかをまるで理解していなかった。ただただ、自分を悪魔の形相で睨みつけてくるベリアルに恐怖したのである。

「お、おれは悪くない! 救世主メシア様を殺した天使に罰をあたえぶべええええええ!!」

「うるせえ……。それ以上、ものをしゃべるんじゃねえ……。我輩はお怒りなんだよっ!!」

 ベリアルがアリス=アンジェラの身を支えながら、暴漢に向かって、右腕を真っ直ぐに突き伸ばす。そして、右手を大きく開いたかと思えば、その右手をゆっくりと閉じていく。それと同時にその暴漢の身体がある一点に向かって凝縮されていく。身体のあちこちから噴水のように血をまき散らしながら、ミチミチッボキボキッという聞いているだけで怖気が走る音が広場に鳴り響く。

 ベリアルが完全に右手を握り込んだ時、アリス=アンジェラの背中に手斧をぶん投げた暴漢は直径3センチュミャートルほどのミンチ肉のつみれミート・ボールへと変化していた。仲間がミンチ肉のつみれミート・ボールに変えられたことで、残りの救世主メシア派はその場から蜘蛛の子を散らすように逃げ惑うことになる。

 しかし、ベリアルの怒りはそこで収まることは無く、握り込んだ右手の人差し指と親指を用いて、パチン、パッチン、パッチンチン! と鳴らしてみせる。ベリアルが指で音を奏でる度に、逃げ惑う救世主メシア派たちの頭がゴム風船に多大な空気が吹き込まれたかのように膨らみ始める。

「汚い花火でも打ち上げてろっ!」

 ベリアルはこの街に住む救世主メシア派たちをひとりとて、許す気にはならなかった。街のあちこちで大きく頭が膨らんだ救世主メシア派たちが宙へと浮かび上がっていく。そして、地上から10ミャートル地点で止まったかと思えば、ベリアルがひと際大きく、右手の指をパチンッ! と弾いた瞬間、青空を赤黒く染める花火が破裂することになる。

「ベリアル……。気持ちはわかりますが、少々やりすぎではありませんか?」

「アンドレイ。お前はアリス嬢ちゃんが凶刃に倒れたってのに、なんでそうも冷静でいられる!?」

「ちょっと落ち着くでッチュウ! アリスちゃんも少々驚きまシタ! とでも言って、目を覚ますのでッチュウ!?」

 大空は蒼く晴れ渡っているというのに、その青空から紅い雨が降り注いでいた。その紅い雨に濡れながら、アンドレイ=ラプソティはベリアルのおこなったことに関して、諫めたのだ。しかし、何故、アリス嬢ちゃんが傷物にされたというのに、怒り狂わないのか!? と問うたのがベリアルである。その2人の間で喧嘩が勃発しそうになったところで、仲裁に入ったのがコッシロー=ネヅであった。

 アンドレイ=ラプソティも、コッシロー=ネヅもアリス=アンジェラの背中に手斧が突き立てられたのには大層驚いた。しかし、アリス=アンジェラは腐っても半天半人ハーフ・ダ・エンゼルである。ニンゲンたちが用いる通常の武具で身体を傷つけられるわけがない存在だ。アンドレイ=ラプソティたちとしては、油断しすぎですよ……という感想を抱いていた。

 ベリアルもアンドレイ=ラプソティたちと同じ感想を抱くであろうと思ったのに、その思いとは裏腹にベリアルは烈火の如くに怒り猛ってみせた。この場を収めてくれるのはもはや、凶刃に倒れたアリス=アンジェラのみである。思いの違いはあれども、彼女に一刻も早く目覚めてほしいと願ったのはベリアル、アンドレイ=ラプソティ、コッシロー=ネヅの三者とも同じであった。

「うわっ。びっくりしたのデス! 急に背中に重い衝撃を受けたので、アリスは少しばかり気を失ってしまっていたのデス!」

「アリス嬢ちゃん……」

「ちょっと、ベリアル!? ヒゲが顔に突き刺さっているのデス! 痛いのデス!」

 アリス=アンジェラは紅い雨に打ち付けられたことで、ようやく目を覚ますことになる。だが、目覚めるや否や、ベリアルが泣きそうな顔をしながら、アリス=アンジェラをがっしりと両腕で抱きしめ、さらにはオシャレに整えられているヒゲ顔でアリス=アンジェラへと頬ずりを開始したのである。

 アリス=アンジェラとしてはびっくり仰天であった。天から降り注ぐ紅い雨によって、ベリアルはまるで顔面から流血しているかのように見えた。それだけでも驚きであるのに、その顔面流血男が嬉しそうな顔をしながら、自分に頬ずりしてくるのだ。これでパニックにならない女性がこの世に存在するというのであれば、その女性をシャイニング・グーパンで眼を覚ませ! と言いたくなってしまうほどである。

 アリス=アンジェラは心臓をバックンバックン! と跳ね上がらせることになる。ベリアルが頬ずりしつつ、さらにはアリス=アンジェラのほっぺたに散々に接吻せっぷんしてくるからだ。もしかすると、初めてのキスをベリアルに奪われてしまうのではなかろうかという気がしてしまう。

 しかし、心臓は高鳴りを止めないが、アリス=アンジェラはふと、省エネモードのコッシロー=ネヅを抱き枕にしつつ、彼の唇を自分の唇でしょっちゅう奪っていたことを思い出す。アレはアレで、コッシロー=ネヅに自分の初めてのキスを捧げていることになるのか? それとも、愛玩動物とのスキンシップの一環ゆえにノーカウントなのだろうか? と考えこみ始めることになる。

 そして、いよいよ、ベリアルが自分の唇をアリス=アンジェラの唇に重ねてこようとしたところで、アリス=アンジェラはベリアルの胸を両腕でドンッ! と押し出すことになる。

「いてててっ……。そんなに拒否感を出さなくてもいいだろっ! お前は処女おとめか何かか!?」

「うっ! セクハラなのデス! 天界裁判でベリアルを裁いてもらうのデス! 初めてのチュゥは創造主:Y.O.N.N様がお決めになることなのデス!」

「チュッチュッチュ。アリスちゃんの初めてのチュゥは自分がすでにもらっているのでッチュウ。でも、自分の場合はノーカウントなのでッチュウかね?」

「そこは難しいところですね。ケルビムほどの高位の天使となると、ヒト型にも変化できますし。その時の形状で決めるべきことなのでは?」

「えっ!? コッシローさんって、ヒト型にも変化出来るんデス!?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

処理中です...