【R18】聖女の思春期奇行列伝 ~創造主は痛みを快楽に変える変態を創り出す~

ももちく

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第7章:頑固者

第10話:馬鹿正直

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 豚ニンゲンオークたちは自分のおちんこさんよりも立派な棍棒を右手で天へと突き立てる。まさに処女の腹を膣道側から食い破れとでも言わんばかりの雄叫びをあげ始めるのであった。ベリアルはその雄叫びを浴びせられるほど、クックックッ、ハーハッハッ! と高笑いせずにはいられなかった。

「しょせん、薄汚れた豚ニンゲンオークが虚勢を張ったにすぎんわっ! さあ、我輩の死神の大鎌デスサイズの錆となれぇっ!」

 ベリアルの威勢に感化されたのか、彼を運んでいるバイコーンもまた、雄叫びをあげる。ブルンブルンと10代のおちんこさんのように首級くびを振り回し、上に乗っているベリアルを振り落としそうになってしまう。だが、ベリアルは暴れ馬と化したバイコーンの背中から振り落とされることはなかった。それどころか、バイコーンの背の上で立ち上がり、猛り狂う豚ニンゲンオークたちをさらに扇動せんと、舞い踊ってみせる。

「さすがは怠惰の権現様ですね。まじめに戦えば、あんなことは出来ないはずです。ベリアルにとって、戦いは遊びの一種なのかもしれませんね」

「チュッチュッチュ。相手をしているのが100を超える豚ニンゲンオークと言えども、可哀想になってきたでッチュウ」

「なら、豚ニンゲンオークの側に参戦します?」

「それは御免こうむるのでッチュウ」

 コッシロー=ネヅは天界の騎乗獣であるケルビムだ。しかしながら、戦闘スタイルとしては、口から吐く様々なブレスにより、相手を寄せ付けない方法を好んだ。しかし、今のベリアルはそんな戦い方のコッシロー=ネヅをちょこざいなっ! という一喝の下、一気に距離を詰められてしまうイメージしかわかなかった。

 接近戦タイプを寄せ付けない戦闘スタイルを取るコッシロー=ネヅではあるが、猪突猛進タイプの七大悪魔を足止め出来るほどとは思ってはいない。ベリアル相手では、コッシロー=ネヅは相性が悪すぎる。それこそ、アリス=アンジェラをそのままベリアルにぶつけた方がまだマシな結果を生み出せると思っている。

「さてと。ベリアルの方は良いとして、アリス殿はどうする気なのでしょうか? 右手を痛めてしまっているようですし」

「そこはなんとかするんじゃないでッチュウ? ベリアルに豚ニンゲンオーク・キングを譲れと言った手前、アリスちゃんの性格的に逃げ帰ることは無いのでッチュウ」

 さすがはアリス殿の守役であるコッシロー殿なだけはあると思ってしまうアンドレイ=ラプソティであった。自分も同じ想いを抱いていながらも、コッシロー殿に確認してみたのだが、やはり、彼もアリス殿が自分の手で何とかするだろうと返答してくれた。ならば、自分たちはアリス殿を見守るだけで良いと考える。

 2人の期待? の視線を背中に受けるアリス=アンジェラは攻撃の機を伺っている最中であった。なんといっても体重差は50倍以上。豚ニンゲンオーク・キングがなりふり構わずに両腕を振り回し、それにまともにぶち当たった瞬間、アリス=アンジェラの負けは決まってしまう。ならば、アリス=アンジェラが取れる手はただひとつ。

「攻めは最大の防御なのデス! シャイニング・ビンタなのデス!」

 アリス=アンジェラはありったけの神力ちからを左手に込める。そうすることで、アリス=アンジェラの左手を包む光のサイズは10倍と化す。それによって、豚ニンゲンオーク・キングの横っ面を叩く。豚ニンゲンオーク・キングの首級くびは嫌な方向へとグキッ! という音と共に曲がる。しかしながら、豚ニンゲンオーク・キングは首級くびの位置を元に戻し、右手で顎をさすりながら、首をゴキゴキと鳴らし始める。

「ふ~~~む。おぬし、実はそれほど攻撃力が高くないな?」

「そ、そんなことはありませんっ! 貴方が打たれ強すぎるだけなのデス!」

 アリス=アンジェラの言うことはもっともであった。生物の首級くびがあんな嫌な方向に曲がっておきながら、それでも首の骨がねじ折れないほうがよっぽどおかしいのであった。アリス=アンジェラのほうが、こいつ、いったい、どんな生命力を持っているの!? と驚いてしまうほどであった。

 豚ニンゲンオーク・キングは、この程度の攻撃力であれば、攻撃を受けつつ、自分の体重を乗せた一撃を放ってしまえば良いと考え始める。そして、そう思ったとおりの行動に出始める。これはアリス=アンジェラが最も危険視していた行動でもあった。太すぎる両腕で顔をカバーしつつ、そのままの体勢でアリス=アンジェラに突進してきたのだ。アリス=アンジェラは巨大な岩に押しつぶされる嫌なイメージを頭の中に浮かべてしまう。

 しかし、逃げるという言葉が辞書に無いのがアリス=アンジェラであった。アリス=アンジェラは無事な左手を真っ直ぐ前へと突き伸ばし、そこに神力ちからを集中させる。

「おいおいおい……。どんだけ馬鹿正直なんだ……。こりゃあ、遠くまですっ飛ばされたなあ?」

 アリス=アンジェラが突進してくる豚ニンゲンオーク・キングを止めれたのはわずか数秒ほどであった。アリス=アンジェラはその時、勝ち誇った顔をしていたが、その勝ち誇った顔のまま、豚ニンゲンオーク・キングにぶっ飛ばされることになる。しかしながら、アリス=アンジェラは満足であった。体重差50倍の相手にでも、一歩も引くことなく戦えているという誇りが彼女にはあった。

 だからこそ、もう一度、豚ニンゲンオーク・キングに肉薄したアリス=アンジェラの眼はギラギラと輝いていたのである。大空を駆けるように舞い戻ってきた片翼の天使を相手に、豚ニンゲンオーク・キングは右のこぶしをお見舞いしようとする。アリス=アンジェラはその大岩のような右のこぶしにそっと自分の左手を添えてみせる。

 豚ニンゲンオーク・キングはさすがにこいつは馬鹿か何かなのか!? と本日3度目の驚愕の表情となる。しかしながら、アリス=アンジェラには確信があった。

「引いてダメなら押してみろデス!」

 片翼の天使のそのか細い腕のどこから、豚ニンゲンオーク・キングである自分の右ストレートを止めるだけの神力ちからが出てくるのだろうか? と不思議に思わざるをえない豚ニンゲンオーク・キングであった。自分が手を抜いているわけではない。この片翼の天使が異常すぎる存在であっただけなのだ。

 しかしながら、豚ニンゲンオーク・キングがそれに気づいた時、すでに決着が決まっていたといっても良いだろう。豚ニンゲンオーク・キングは片翼の天使のことを気味悪く思い、右腕を引こうとした。しかし、その引くスピードに合わせて、片翼の天使もまた、移動をしていた。

 豚ニンゲンオーク・キングは自分の身体に纏わりついてくる片翼の天使を叩き潰そうと、左手を用いる。
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