【完結】冷徹宰相と淫紋Hで死亡フラグを『神』回避!? ~鬱エロゲー溺愛ルート開発~

愛染乃唯

文字の大きさ
上 下
8 / 42

8★☆

しおりを挟む
 押した。押してしまった。
 全部は押さなかったけど、半押しくらいは押してしまった……!

「くっ」

 背中を丸めるヴィンセント。
 私は真っ青になって彼の裾を掴んだ。

「ごめんなさい……!」

「なぜ謝る。今、また、体が……」

 うなるヴィンセントの額には深い皺が刻まれている。
 初めてのときより多少余裕はありそうだけれど、それって半押しだからだろうか。
 私はおそるおそる彼の下腹部をうかがった。たっぷりした衣の下はよく見えないけれど、うっすらと光が透けている。

「発動しちゃってますね……」

「……これくらいなら、どうにかなる。気持ち悪いだろう、すまん」

 小声で言いながら、呼吸を整えようとするヴィンセント。
 私は申し訳なさでいっぱいだ。とにかく首を横に振った。

「全然、まったく、ちっとも気持ち悪くはないです」

「そうか……?」

 怪訝そうな彼の瞳が、私を見る。
 私は控えめに笑って見せて、そっと彼の衣を掴んだ。

「あなたですから。あの。よければ、責任取って、お手伝いを……しても?」

 こういうことのお手伝いなんて初めてだが、本当に、完璧に私のせいなので。
 手伝いくらいさせて欲しいし、多分ヴィンセント相手ならできる――気がする。

 緊張して返事を待っていると、ヴィンセントの眉間の皺がぎゅうっと深くなる。
 悩んでいるのだろうな、と思いつつ、私はそっと彼の下半身に手を伸ばした。幸い淫紋が光っているので、場所を間違うことはない。
 衣の上から、彼自身らしき場所に、そっと触れてみる。

「あ……」

 途端にそれが頭をもたげた気がして、思わず声を出してしまった。
 顔がぽわんと熱くなり、私の指は戸惑う。
 思ったより大分力強い反応で、驚きはしたけれど……嫌じゃない。
 しばらく戸惑ったのち、私は手を彼の衣の間から滑りこませた。
 下履きの上から彼自身の形を確かめて、びくりとした。
 指がきちんと回る気がしない。
 これ、こんなものが、私に……?

「……止せ」

 低い、切羽詰まったつぶやき。
 ヴィンセントは私の腕をつかんで引き寄せ、ひょいと膝の上に引っ張り上げる。
 ベッドがきしみ、ヴィンセントの険しい顔が間近に迫った。
 ヴィンセントは険しい顔で私を見つめると、かすかなため息を吐く。
 そして、私の耳元に、顔を寄せて囁いた。

「お前に甘えるが……最後まではしない。信じてくれ」

 欲にかすれた声で言われたのは、そんなことで。

「はい」

 言葉が耳に落ちるだけで、痺れるような快感が私の全身を撫でさすった。
 あなたのかたくなな言葉が、好きだ。
 すぐそこにある体が温かい。生きているひとの温度だ。
 ハーブの香りに果実の香りが混じりはじめ、鼻先で柔らかく香る。
 どれだけ近づいても、顔も香りもきれいなばかりなんだな、と思っていると、唇が重なった。

「ん……」

 キス。
 優しく重ねられたそれがとんでもなく甘く感じられて、目の前がきらきらした。
 嬉しい。甘い。触れたい――。
 私は彼にしがみつき、自分から彼の唇をちろりと舐めた。
 やっぱり、甘い気がする。私がおかしくなっているんだろうか。きっと、そう。
 ためらう私の舌を、彼の舌がたやすくからめとってしまう。

「……っ!」

 粘膜と粘膜のふれあいは思った以上に刺激的で、優しい快感が口の中に満ちていく。
 彼の舌の感触ばかりが大きくなっていって、私は少しも動けなくなる。
 ちゅ、ちゅ、と濡れた音が頭に響いて、なんだかぼうっとしてくる。
 そうしているうちに、ヴィンセントの舌がていねいに私の歯列をなぞった。

「ひゃふ……!」

 びりっ、と快感が頭に突き抜ける。
 嘘。こんなところが、そんなに気持ちいいの……?
 頭の中は混乱したまま、私の体は勝手に彼の膝から跳び上がり、どこかへ逃げようとする。
 ヴィンセントの腕は、すかさず私の腰を抱き留めた。
 舌がほどけて、ようやく私たちの唇はそれぞれのものになる。

「は、あ……」

 吐いた息がすっかり熱くなっているのを感じた。
 まだ唇が快感で痺れている間に、ヴィンセントの指がガウンの前にすべりこむ。
 下着もつけていない私の胸は、すぐに彼のてのひらに包まれてしまった。

「ヴィンセント、さま……」

「痛くはしない。……嫌か?」

 問いを投げてくれるヴィンセントの息も、熱い。
 苦しいだろうに、そんなふうに言われたら、嫌だなんて言えるわけがない。
 私はぶんぶんと首を横に振った。
 ヴィンセントは少し表情を緩め、やわやわと私の胸をこねる。大きくて温かな手のひら全体を使って、自在に胸の形を変えていく。
 胸なんて、普段はただそこにあるだけだ。
 なのに彼が触れると、あっという間に感覚が集まってくる。
 じぃん、という、痛みに近い快感が降り積もってくる。
 触れられるたびに淡い快感の波が生まれ、さざ波に翻弄されるようになってしまう。

「ぁ……んっ!」

 思わず声を立ててしまう私。
 ヴィンセントは耐えるようなため息を吐き、すぐに手をゆるめてくれた。

「痛かったら、すぐに言え」

「いた、痛くは、ないです……きもちぃ……」

 舌っ足らずに囁くと、ヴィンセントは黙りこむ。
 次に、胸の上にキスが落ちてきた。白い双丘を食むような、念入りな、甘いキス。

「ひゃっ! やっ、いや、うそ、やじゃないです、うー……」

 甘くくすぐったい唇の感触に、私の腰は浮きあがる。
 ヴィンセントは私の白い胸に何度も、何度もキスをした。手の動きも再び始まり、さっきよりさらに派手に胸の形を変えてこね続ける。
 私は悲鳴を上げそうになり、必死に自分の口を塞いだ。

「なんでも、嫌ではない?」

 ヴィンセントがつぶやく。
 ほんの少しだけ、面白そうな声。
 今、彼はどんな顔をしているんだろう。
 私は、快感で閉じていた目を、うっすらと開ける。
 同時に彼は、手でしぼりだした私の胸のてっぺんに、キスをした。

「っっっ……!!」

 彼の唇が赤い蕾に触れて、覆って、かぷり、と、軽く歯が当たる。
 ほんのちょっとした刺激のはずなのに、胸の蕾に、快感の針で貫かれたみたいな電撃が走った。目の前にぱっと白い光が飛び、背中が勝手に突っ張って、のけぞる。

 うそ。なに。
 何……これ。

「おい。息をしろ」

 とんとん、と鎖骨の下を指で叩かれ、うながされた。

「は、あ……」

 それでやっと息ができて、今、自分が息を止めていたと気づいた。
 はあ、はあと苦しい息を繰り返している私を、ヴィンセントが自分にすがりつかせる。
 うながされるまま彼の首にすがっていると、下半身が濡れた音を立て始めた。

「んぅ……?」

 ぼうっとしながら自分を見下ろす。
 私の中心に、ヴィンセントの指が触れる。

「んっ!」

 緊張で腰が揺れた。私の体はまだ、昨日の痛みを覚えている。
 けれど、身構えたような痛みは襲ってこなかった。
 秘裂の浅いところを確かめるように触れるだけで、とろんと蜜のこぼれる感覚がある。
 骨張った指は丁寧に蜜を掻きだし、私を濡らしていく。
 私の秘裂はやわやわとした快感を覚え始めるけれど、彼は肝心のところには触れてくれない。
 感覚が凝った場所も、唇の中も避けて、ただなぞるように、確かめる。
 もどかしい。痺れる。
 早く――。

「これなら、大丈夫だろう」

 ヴィンセントはやっと納得したらしく、私から指を離した。
 そして、指よりよっぽど大きなものが、するりと私の足の間にわりこんでくる。

「あ……」

「待て」

 くすぐったさに逃げかけた私の尻を、ぎゅっとヴィンセントの手が掴んだ。
 いつの間にか私のガウンはすっかり寝台の上に落ちてしまって、私は一糸まとわぬ姿でヴィンセントの膝に乗っている。

「膝を立てて」

「はい……」

 ヴィンセントの誘導に従って、寝台の上に膝立ちになる。
 ヴィンセントが自分の着衣の前を開くと、淡く光る淫紋があらわになった。
 浴室で見たときとは違い、今はうっすらと紫色の光を帯びている。彼の白い肌に紫色がよく映えて、なんというか……ものすごく、いやらしいな、と思う。

 その下で勃ちあがった彼のものは、やっぱり、太い、気がする。
 一瞬どきりとしてしまうほどに、太い。
 長さはよくわからない。というのは、彼のものはほとんどが私の腿と腿の間に隠れていたからだ。彼のもの、妙に濡れているな……と思ってから、ぼんっと顔が熱くなる。

 これ、私だ。
 私の蜜が腿を伝って、彼まで濡らしているんだ。

「……ごめんなさい……!」

 思わず謝ってしまうと、ヴィンセントがかすかに笑った。
 え……? 笑った?
 笑った。確かに、笑った。唇に笑いを含んだレベルだけれど、笑った!
 彼はそのまま、私の背中に手を回して抱き寄せる。

「なぜ、謝る」

 耳元で低い声が囁く。その声は耳から入って私の背骨を痺れさせた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない

ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。 既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。 未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。 後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。 欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。 * 作り話です * そんなに長くしない予定です

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

「君を愛さない」と言った公爵が好きなのは騎士団長らしいのですが、それは男装した私です。何故気づかない。

束原ミヤコ
恋愛
伯爵令嬢エニードは両親から告げられる。 クラウス公爵が結婚相手を探している、すでに申し込み済みだと。 二十歳になるまで結婚など考えていなかったエニードは、両親の希望でクラウス公爵に嫁ぐことになる。 けれど、クラウスは言う。「君を愛することはできない」と。 何故ならば、クラウスは騎士団長セツカに惚れているのだという。 クラウスが男性だと信じ込んでいる騎士団長セツカとは、エニードのことである。 確かに邪魔だから胸は潰して軍服を着ているが、顔も声も同じだというのに、何故気づかない――。 でも、男だと思って道ならぬ恋に身を焦がしているクラウスが、可哀想だからとても言えない。 とりあえず気づくのを待とう。うん。それがいい。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

処理中です...