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 そう考えようとして、頭を振る。
( ダメだダメだ、また遙人にツッこまれる )

「ん。たまに……する。ハルのこと考えながら……ハルとこういうこと、するのかな……って」

 オレは観念して、本当のことを言った。
 その間も緩急つけて扱くので、声が震えてしまう。

「シウさん、嬉しい」
 ちゅっとこめかみにキスをし、耳朶を甘噛みする。
 オレのも、遙人のも、更に熱を増す。
 オレの方はもうそろそろ限界だ。
 そう思っていた時、パッと遙人が手を離す。
 また逸らされ、オレの昂りが切なく震える。

「ねぇ、シウさん」
 艶を帯びた声で名を呼ばれる。
 遙人はオレのだけを再びその大きな手で握り込んだ。
「俺の、触ってくれる?俺、もう、限界。シウさんに触れられながら、イキたい」
 懇願する眼。
 そういえば、オレは遙人に何もしてあげてない。して貰ってばかりだ。
「うん」
 と答えると、遙人は少し驚いた顔をした。もしかしたら、そうは言ってもオレはと思ったのかも知れない。
 冬馬ともしたことがあるこの行為に、何故かあの時以上の恥ずかしさを覚える。
 俯いて、そろっと触れて。やんわりと握り込む。
 遙人の顔は見ずに。

「オレ……ヘタだよ。きっと」
「いいよ、シウさんならなんでも。ヘタでも可愛いし」

 頭の上に、ちゅっとまたキス。
 きゅんきゅんと胸が鳴る。
 いちいち可愛すぎる。


 空いている手が頤に伸び、オレの顔を上向きにする。そして、あっという間に唇が塞がれる。
 それがスイッチだったかのように、遙人が激しくオレのを扱き始める。拙いながらも、オレもその動きに合わせた。
 激しいキス。
 最初から舌を絡め合い、息もできない。どちらのものかも分からない唾液が、顎を伝って滴り落ちる。
 両方の刺激で全身が粟立つ。

( もう、ムリ……っ )

 オレは手を止め、ぶるっと身体を震わせた。自分の腹にも飛び散るくらいの白濁。遙人の手はぐっしょり濡れているに違いない。
 数秒ののち、「んっ」と小さく呻いて、彼もオレの手の中に吐き出す。
 オレは荒い息を繰り返しながらも、遙人の“その瞬間”をどうしても見たかった。
 色っぽい顔。
 オレでこうなってくれたということに嬉しさを感じていると、
「シウさん」
 名を呼ばれ、オレはいきなり突き飛ばされた。
( なんか、この展開って )


 欲望を一旦吐き出したオレは一旦落ち着いたが、遙人の方はどうやらそうでもないらしい。
 突き飛ばされ、ベッドの上に仰向けに倒れたオレが眼にしたのは、熱く欲を滲ませた瞳。
 手の中に吐き出したオレの白濁を、たらたらとオレの腹に滴し、落ち切れなかったものをその舌でべろっと舐める。
「ハル……何やって……」
 膝立ちでオレを眺めている彼の欲望は、もう勃ち上がる兆しを見せている。
「わっ」
 思わず声を上げてしまった。
 そういえばあの日も、遙人はすぐに回復して一回で終わらなかった。
 もうきゅんとか言っているレベルではない。
勿論、遙人を受け入れたいと思っているし、自分も愛されたいと思っている。

でも。

( やっぱ、ちょっと、こわいっ )
    
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