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第十三章
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しおりを挟む(あ……二人で。そうなんだ。ほんとに仲良しなんだ。
いいな。僕もいっくんと……)
「相変わらず、騒がしいな」
「わ、いっくん」
樹のことを考えてたら本人登場で飛び上がる程吃驚してしまう。
「何、飛び上がってんだ」
くすっと笑われる。
(あー。
飛び上がってたかー)
恥ずかしいのを誤魔化そうとして、
「おはよー。春休みに二人で水族館行ったんだって。仲良しだよね~。僕もいっ……」
余計なことまで口走ってしまいそうになって慌てて止める。
(今のわからないよね?
いっ……しょにって感じに聞こえたらいいんだけど)
「行ってないし! 仲良しじゃない!」
大地がまた騒いでいる。
「ふーん」
樹はまったく興味なさそうな顔で相づちを打った。
「──クラスもう見た?」
「あ、まだ。大くんとメイさんは同じクラスだって」
数人の先生が配っているプリントを二人で貰いに行き、それぞれ確認をする。
「あ」
僕が小さく声を上げると
「同じクラスだな」
そういつものようにつまらなそうな感じで言う。
樹のそんな顔に前は傷ついていたけれど、今はこれが樹の普通なんだとわかる。
つまり、嫌でもないけど、嬉しいってわけでもないということだ。
樹と同じクラスになるのは、小学校二年生以来だ。
それ以降同じクラスにはならず、クラス替えがある度にがっかりしていた。
今になってその願いが叶うとは。
でも、あの頃とは違う。
嬉しいけど、少し気まずい。
(大くんもメイさんもいないのに、普通に話ができるかな?
例えば、グループを組むようなことがあったりして、一緒になってくれる?
あ、そうだ。
修学旅行もあるよね。
うーん。
どうなるんだろう。
想像がつかない)
★ ★
いろいろな妄想を繰り返し、既に一週間が経った。
「──ナ……ナナ、おいっナナ」
「え?」
はっと気がつくと、樹がトントンと机を叩いていた。僕の机の脇に立って見下ろしている。
「また、ぼーっとして。次移動教室だぞ」
そう言われて周りを見るともう教室の中は僕らだけだった。
「わっ。ごめんっ。いっくん、先に行ってて」
慌てて机の中に入ってる教科書ノートを出し、次の授業のものを探す。
「待ってる。鐘鳴るから、急いで」
ぼそっと声が降ってきた。
(うれ……しい……)
顔がにやけそうになるのを必死で抑える。
「なに、にやにやして」
(あ、抑えられてなかった)
いろいろ妄想して心配もしたけれど、思った程居心地は悪くなかった。
すごく話をするかといえばそんなこともない。でも無視されることもなく、普通に朝「おはよう」をして、今みたいに声もかけてもくれる。
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