13 / 22
第四章
3
しおりを挟む
意味ありげに微笑む。
オレと遙人は顔を見合わせた。遙人の顔にやや朱みが指す。そういうオレは耳まで真っ赤だろう。
あの日ーーサクラ・メディア・ホールディングス主宰のパーティーのあった日。
遙人はずっとオレを好きだったと告白し、半ば強引に肉体を開いた。
その事実だけを語れば全く酷い男なんだろうけど。そのお陰でオレの心の中で凝り固まった何かか、ぶち壊わされたんだ。
それからオレは遙人を意識するようになり……そして、今がある。
「ほんとに。いったい何があったんだか……ま、そのお陰で『ハル』の魅力は倍増、詩雨は仕事に復帰。いいことだらけだ」
夏生まで便乗する。いろいろと解っているようなことをいうので、オレの顔に益々熱が溜まる。
「ほんとっ、ハルくんムカつく。ちゃっかり詩雨さんといい仲になっちゃって」
「言えてる~。まさかこんな展開になるとは。いや、ちょっとあの時予感あったかもだけど」
リナの言葉に同意しつつ、今まで一度も口にしていないことまで、話し始める陽向。アルコールでだいぶ口が軽くなってしまっているようだ。
ちょっと肩身の狭い思いをしながら、眼の前の皿のサンドウィッを摘まむ。食べてりゃ何も答えずに済むだろうか。
「ーー天音。今日は飲み過ぎなんじゃないか」
「いーの、いーの。お祝いなんだから。っていうか、これが飲まずにいられる? 大事な詩雨くん完全に取られちゃったんだよ」
「おいおい」
脇からそんな会話。
ちらっと見ると、何やら桂川が甲斐甲斐しく天音の世話をしている。しかも、天音がそれを受け入れている。誰にでも人当たりがいいようで、何処か他人から一線を引いている天音にしては珍しい。
その顔にはいつもの胡散臭い笑顔もない。
「天音くん、車じゃないの? そんなに飲んじゃって」
白い顔を珍しく赤くしている天音にオレは声をかけた。
「大丈夫。運転手いるから、ほら、ここ~~」
天音くんは完全に酔っぱらったような感じで、隣の桂川の両肩をぐっと掴んだ。
「あ……そ……なんだ?」
にこっと桂川がオレに笑いかけた。
「…………」
なんだろう。この関係は。オレはふたりの間に妙な親密さを感じた。
(まさか……このふたりって……)
他の人からはただの仲の良い友人同士に見えるかも知れない。いや、実際はそれだけの可能性の方が高い。
でもーー。
オレと遙人。そういった関係があるからこそ感じることなのだろうか。オレは思い浮かべてはならないことをぼんやり頭に浮かべてしまった。
(この場合……天音くんの方が……。んー。まったく想像つかない。えー? かと言って桂川さんの方が……ありえねぇー)
考えたくないことをいろいろ想像してしまいそうで、頭をぶんぶん振って叩きだした。
「詩雨さん、どうしました?」
「いや、何でもない。よし、飲むぞー」
「え?!」
オレと遙人は顔を見合わせた。遙人の顔にやや朱みが指す。そういうオレは耳まで真っ赤だろう。
あの日ーーサクラ・メディア・ホールディングス主宰のパーティーのあった日。
遙人はずっとオレを好きだったと告白し、半ば強引に肉体を開いた。
その事実だけを語れば全く酷い男なんだろうけど。そのお陰でオレの心の中で凝り固まった何かか、ぶち壊わされたんだ。
それからオレは遙人を意識するようになり……そして、今がある。
「ほんとに。いったい何があったんだか……ま、そのお陰で『ハル』の魅力は倍増、詩雨は仕事に復帰。いいことだらけだ」
夏生まで便乗する。いろいろと解っているようなことをいうので、オレの顔に益々熱が溜まる。
「ほんとっ、ハルくんムカつく。ちゃっかり詩雨さんといい仲になっちゃって」
「言えてる~。まさかこんな展開になるとは。いや、ちょっとあの時予感あったかもだけど」
リナの言葉に同意しつつ、今まで一度も口にしていないことまで、話し始める陽向。アルコールでだいぶ口が軽くなってしまっているようだ。
ちょっと肩身の狭い思いをしながら、眼の前の皿のサンドウィッを摘まむ。食べてりゃ何も答えずに済むだろうか。
「ーー天音。今日は飲み過ぎなんじゃないか」
「いーの、いーの。お祝いなんだから。っていうか、これが飲まずにいられる? 大事な詩雨くん完全に取られちゃったんだよ」
「おいおい」
脇からそんな会話。
ちらっと見ると、何やら桂川が甲斐甲斐しく天音の世話をしている。しかも、天音がそれを受け入れている。誰にでも人当たりがいいようで、何処か他人から一線を引いている天音にしては珍しい。
その顔にはいつもの胡散臭い笑顔もない。
「天音くん、車じゃないの? そんなに飲んじゃって」
白い顔を珍しく赤くしている天音にオレは声をかけた。
「大丈夫。運転手いるから、ほら、ここ~~」
天音くんは完全に酔っぱらったような感じで、隣の桂川の両肩をぐっと掴んだ。
「あ……そ……なんだ?」
にこっと桂川がオレに笑いかけた。
「…………」
なんだろう。この関係は。オレはふたりの間に妙な親密さを感じた。
(まさか……このふたりって……)
他の人からはただの仲の良い友人同士に見えるかも知れない。いや、実際はそれだけの可能性の方が高い。
でもーー。
オレと遙人。そういった関係があるからこそ感じることなのだろうか。オレは思い浮かべてはならないことをぼんやり頭に浮かべてしまった。
(この場合……天音くんの方が……。んー。まったく想像つかない。えー? かと言って桂川さんの方が……ありえねぇー)
考えたくないことをいろいろ想像してしまいそうで、頭をぶんぶん振って叩きだした。
「詩雨さん、どうしました?」
「いや、何でもない。よし、飲むぞー」
「え?!」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
クソザコ乳首アクメの一日
掌
BL
チクニー好きでむっつりなヤンキー系ツン男子くんが、家電を買いに訪れた駅ビルでマッサージ店員や子供や家電相手にとことんクソザコ乳首をクソザコアクメさせられる話。最後のページのみ挿入・ちんぽハメあり。無様エロ枠ですが周りの皆さんは至って和やかで特に尊厳破壊などはありません。フィクションとしてお楽しみください。
pixiv/ムーンライトノベルズにも同作品を投稿しています。
なにかありましたら(web拍手)
http://bit.ly/38kXFb0
Twitter垢・拍手返信はこちらから
https://twitter.com/show1write
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
山本さんのお兄さん〜同級生女子の兄にレ×プされ気に入られてしまうDCの話〜
ルシーアンナ
BL
同級生女子の兄にレイプされ、気に入られてしまう男子中学生の話。
高校生×中学生。
1年ほど前に別名義で書いたのを手直ししたものです。
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
ゆるふわメスお兄さんを寝ている間に俺のチンポに完全屈服させる話
さくた
BL
攻め:浩介(こうすけ)
奏音とは大学の先輩後輩関係
受け:奏音(かなと)
同性と付き合うのは浩介が初めて
いつも以上に孕むだのなんだの言いまくってるし攻めのセリフにも♡がつく
ショタ18禁読み切り詰め合わせ
ichiko
BL
今まで書きためたショタ物の小説です。フェチ全開で欲望のままに書いているので閲覧注意です。スポーツユニフォーム姿の少年にあんな事やこんな事をみたいな内容が多いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる