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冒険の仕掛け

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ヤジスさんとオルが確認して異常なしとわかると、今度はイージスさんとクレックさんが交代で奥の隠し部屋に向かった。
残りは手前の部屋で待機だ。


手前は罠のないスペースだけでも6畳くらいはある部屋なのに、でっかい男が何人もいるとすげえ狭く感じる。
特にデカい船長が傍にいるもんだから圧迫感が半端ない。どいて欲しい。


細かい輝石の欠片を集め終わるとイージスさん達はすぐに戻ってきた。
他に見るもんもねえしな。後は戻ってさらに奥に行くだけか。


また罠のチェックかあ。
気合入れないとな。


この紋章って奥にもあんのかな?
ん?模様に沿って石の色が違う?へえ凝ってんな。


「この紋章すごいですね。模様に沿って石の色が違うなんて、凝った作りだ。」
「あ?…ヤジス。いや、オル。」
「う~ん。確かに違うね。でも、サイの言う通り、模様に合わせたものかもだしなあ…あ、ここ、外せるね。」


外せる?
じゃあ、これも仕掛けかよ?


「罠か?」
「罠ならもっとわかり易くすると思うんだけど…。」
「じゃあ、帝国のひとが使うものが直してあるとか。」


輝石をすくい取るためのスコップとか。
いや、貴重なもんなら袋に詰めてるだろうから、それをさらに詰める鍵付きの箱とか?そこまで入んねえか。


俺が思い付きを口にすると、オルがこっちを見て目を真ん丸に見開く。
あれ?俺、何か変なこと言ったか?


「それだ。移送用の魔石入れだよ。」
「紋章の裏は魔法陣か。」
「お~!サイ。やったな!」


オルが紋章をいじり始めると、船長が頷き、周りが沸き立つ。
いや。俺はスコップとかを…って言えねえっ。


この喜びの空気の中、「いや~。俺、石をすくうスコップとか入ってのかなって思ったんすよ~。」なんてアホなセリフ言えるわけねえよ。
黙って首を傾げとこう。何のことやらって感じでな。


俺は空気の読める日本人なんだ。
船長は何かいいたそう顔で笑ってるけど、そこはスルーでお願いします。


「ん。外れた。…魔石だねえ。ヤジス、見てもらえる?」
「はいよ。船長失礼します。お~立派な石。…罠つきですねえ。ここに鍵を差し込まないと取れないんじゃないかな?」


オルがひまわりの花びらの一部を外すと、中には青いこぶし大の大きさの石がはまっていた。その下に穴が開いているのが見える。
ヤジスさんが交代で見ると、どうやら罠があるらしい。


結構デカい石なんだけどな。
持っていけないのか。


「鍵か…。奥にあるかもしれねえな。」
「可能性は低そうだけどね。」
「だめだったら諦めるのかあ。でっかいのにもったいねえ。」


「いけるかもしんねえぞ。こいつがいるしな。」
「あ~。そうかも。」
「よし。サイ。奥行ったら虱潰しに鍵を探すんだ。お前なら出来る。」


うえ!?
何かよけいなプレッシャーが来たんですけど。


船長、あんた何言ってくれてんだ。
こちとら冒険初心者だっつーの。
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