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洞窟の秘密

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それからすぐに船に帰った俺たちは、船長に見聞きした事実を報告した。
何でか俺がナンパされた話も含めてだ。


「まあ、そういうわけで、サイがいた方が情報収集は捗りました。」


「護衛が必要ですがね。」


「その労力に見合う分は集まる。」


ヤジスさんが報告を締めくくると、アーマドさんが付け加え、イージスさんが頷く。
何か色々言われてんなあ。


「わかってねえってツラしてんな。使えるってことだ。サイ。」


特に報告することがなくて突っ立ってる俺に、船長が苦笑しながら教えてくれる。
使えるってことは、街で情報収集が出来たってことだよな。


何か嬉しいな。
付いてっただけだが。


「サイがいると、みんな普段よりしゃべってくれるんですよねえ。」


「そりゃ、可愛い子が愛想よく相づち打ってくれるんですから、当たり前ですけどね。」


「買い出しもおまけしてもらえました。」


愛想よく出来てたのか?
ほとんど喋らなかったんだけどな。


「ははっ。タラし込んだか。」


「タラしてません。でも、お土産はもらいました。」


笑う船長にさすがに言い返す。
ふと、勾玉のことを思い出して、ついでに船長に報告した。


「ふうん。アサイー帝の守りね。オルにも見せとけ。」


船長はしげしげと勾玉を見つめると、オルにも見せるように言って、報告はそれで終わりになった。
オルなら、勾玉に関して何か知ってるかもな。


船長室を出ると、買い出しした荷物の仕分けがあるからと、アーマドさんとイージスさんとは別れる。
次もよろしくと、頭を撫でられた。


対応が微妙な感じだが、認められたってことだよな?
自分で勝手に納得して、ヤジスさんとオルに会いに行く。


「あ、アサイー帝のお守りだね。鍵とか身近なものに付けてたんだって。」


さすがオル。
土産の勾玉を見せた途端に、反応が返ってきた。


「うん。綺麗に磨かれているし、良い細工だね。見せてくれてありがとう。良いお土産もらえて、良かったじゃない。」


「これ、勾玉って言うんだ。故郷では古い時代の飾りで知られてる。」


「へえ。アンティークなデザインなんだな。」


ヤジスさんが関心したように頷く。
アンティーク。まあ、間違っちゃいない、か?


「へえ。古いデザインのものを愛用してたんだ。アサイー帝は古きからあるものを大事にする人だって話は本当なのかもね。僕も、もう一度青の洞窟のことを調べていたんだけど、結構古くて、アサイー帝が掘る前から、天然の洞窟だったみたいなんだよね。奥に行くほど広かったみたい。」


「ああ、奥に小さい広場があるんだろ?今日、教えてもらったよ。観光に良いって。」


「それがね。資料によると、もっと広かったみたいなんだ。それをアサイー帝が閉じたんだって。洞窟が荒らされないように。」


洞窟の保護ってことか?
何でまた。


「洞窟を荒らされないように?何でだ?」


ヤジスさんも同じ疑問を持ったようで、オルに質問する。
オルも確証がないらしく、うーんと唸りながら説明してくれた。


「昔は、採掘場として、輝石や硯石を取ってたみたいだし、取り尽くしたから、って言うのが一般的な説なんだけど、サイの教えてくれた歌の歌詞からすると、違うような気もするんだよね。」


確かに。
採掘場なら、モンスターが出てくるような場所にわざわざ作らなくても良いもんな。


あの歌詞、どっちかって言うと、ダンジョンっぽい印象だった。
奥でラスボス倒したら、お宝が出てきたりするのかな。
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