33 / 105
冒険の舞台・調査の報告
しおりを挟む
待つこと10分程。
以外と早くヤジスさんは帰ってきた。
「中に門あったぜ。最初壁かと思ったけど、月の形のくぼみがあった。」
「おお~。当たりか。」
「やった。」
吉報に沸き立つ。
これで船長に良い報告が出来る。
蹴られなくて済む。ううっ。
俺が涙ぐんで喜んでると、ヤジスさんが察してくれて「良かったなあ。ホントに。」と肩を叩いて一緒に喜んでくれた。
そっからは周囲に座礁がないか、船をつけるのに問題がないか丁寧に調べ、俺がまたグロッキーになりながら船に戻った。
おやっさんの水は途中で無くなった。次はもっとたくさん用意してもらおう。
「「「ただいま戻りました。船長。」」」
「おう。その面ぁ、上手くいったか。」
「ええ。サイがやりましたよ。洞窟の入り口見つけて、調べたらドンピシャでした。」
「あらぁ。やったわねぇ。サイちゃん。」
「やっぱり縁があるんだね。」
「いえ。あの、たまたまで…。」
あまりに褒められるものだから、思わず否定してしまう。
だって、俺だけだったら白い鳥が洞窟カモメだってわかんなかったし、あの崖も登れなかっただろう。
あれは本当に偶然だったからな。
自慢できねえよ。
「そのたまたまがすげえんだよ。お前が飛び立った洞窟カモメを見つけなきゃ、俺らはまだあそこにへばり付いていたんだぜっ。」
そう言いながらミランさんが首に太い腕を巻きつけてくる。
ちょっ。締まる締まるっ。ギブギブ。
「サイ。お前、そんな目が良かったか?」
「そうですよ。船長。こいつ波間に埋もれた岩も見分けられるみたいで。結構使えますよ。」
「いや。俺、カモメは白い鳥としかわかんなかったっすよ。カモメだって判断したのはミランさんです。」
「飛び立つとこを見つけんのがすげえんだよ。どんな鳥かなんてそのうち覚えるって。」
「ってえことは、そこまではっきりとは見えねえんだな?」
「はい。何となく色と形がわかるくらいです。岩は望遠鏡を借りたのでわかりました。」
ミランさんに頭をぐりぐりされながら船長の質問に答える。
何かあるのに気づいても、それが何なのかわかんねえんじゃ意味がない。
何よりもう小舟に乗るのは御免こうむる。
俺は必死に偵察に使えないことを証明しようとした。
だが、俺の健闘むなしく、非情な命令が下される。
「ふん。望遠鏡使ってわかんなら充分だろ。お前、これからヤジスの下につけ。そろそろ他の仕事も覚えさせねえとな。」
「お。いいんですか?」
「普段は俺のとこにいさせる。外に出るときは連れてけ。ただし、二人はつけろよ。こいつは狙われやすい。」
「お~。やった。新人ゲット~。」
「よし。目のいいやつが増えると楽になる。」
「サイなら怯えられたりしねえだろうしな。聞き込みもイケるだろ。」
船長の命令にヤジスさんとミランさんがガッツリ腕を組む。
何やら俺にやらせることを話しあってるが、俺は正直それどころじゃなかった。
それより心配なことが1つ。
俺、これからも小舟に乗るの決定か!?
船長を見るとニヤリと笑われた。
あんた、俺がグロッキーになってるの見てたな?
「海の男があれしきの波に酔ってんじゃねえ。慣れろ。」
やっぱりか。なんつー荒療治。
…おやっさんにミントとレモン常備してもらうよう頼んどこ。
以外と早くヤジスさんは帰ってきた。
「中に門あったぜ。最初壁かと思ったけど、月の形のくぼみがあった。」
「おお~。当たりか。」
「やった。」
吉報に沸き立つ。
これで船長に良い報告が出来る。
蹴られなくて済む。ううっ。
俺が涙ぐんで喜んでると、ヤジスさんが察してくれて「良かったなあ。ホントに。」と肩を叩いて一緒に喜んでくれた。
そっからは周囲に座礁がないか、船をつけるのに問題がないか丁寧に調べ、俺がまたグロッキーになりながら船に戻った。
おやっさんの水は途中で無くなった。次はもっとたくさん用意してもらおう。
「「「ただいま戻りました。船長。」」」
「おう。その面ぁ、上手くいったか。」
「ええ。サイがやりましたよ。洞窟の入り口見つけて、調べたらドンピシャでした。」
「あらぁ。やったわねぇ。サイちゃん。」
「やっぱり縁があるんだね。」
「いえ。あの、たまたまで…。」
あまりに褒められるものだから、思わず否定してしまう。
だって、俺だけだったら白い鳥が洞窟カモメだってわかんなかったし、あの崖も登れなかっただろう。
あれは本当に偶然だったからな。
自慢できねえよ。
「そのたまたまがすげえんだよ。お前が飛び立った洞窟カモメを見つけなきゃ、俺らはまだあそこにへばり付いていたんだぜっ。」
そう言いながらミランさんが首に太い腕を巻きつけてくる。
ちょっ。締まる締まるっ。ギブギブ。
「サイ。お前、そんな目が良かったか?」
「そうですよ。船長。こいつ波間に埋もれた岩も見分けられるみたいで。結構使えますよ。」
「いや。俺、カモメは白い鳥としかわかんなかったっすよ。カモメだって判断したのはミランさんです。」
「飛び立つとこを見つけんのがすげえんだよ。どんな鳥かなんてそのうち覚えるって。」
「ってえことは、そこまではっきりとは見えねえんだな?」
「はい。何となく色と形がわかるくらいです。岩は望遠鏡を借りたのでわかりました。」
ミランさんに頭をぐりぐりされながら船長の質問に答える。
何かあるのに気づいても、それが何なのかわかんねえんじゃ意味がない。
何よりもう小舟に乗るのは御免こうむる。
俺は必死に偵察に使えないことを証明しようとした。
だが、俺の健闘むなしく、非情な命令が下される。
「ふん。望遠鏡使ってわかんなら充分だろ。お前、これからヤジスの下につけ。そろそろ他の仕事も覚えさせねえとな。」
「お。いいんですか?」
「普段は俺のとこにいさせる。外に出るときは連れてけ。ただし、二人はつけろよ。こいつは狙われやすい。」
「お~。やった。新人ゲット~。」
「よし。目のいいやつが増えると楽になる。」
「サイなら怯えられたりしねえだろうしな。聞き込みもイケるだろ。」
船長の命令にヤジスさんとミランさんがガッツリ腕を組む。
何やら俺にやらせることを話しあってるが、俺は正直それどころじゃなかった。
それより心配なことが1つ。
俺、これからも小舟に乗るの決定か!?
船長を見るとニヤリと笑われた。
あんた、俺がグロッキーになってるの見てたな?
「海の男があれしきの波に酔ってんじゃねえ。慣れろ。」
やっぱりか。なんつー荒療治。
…おやっさんにミントとレモン常備してもらうよう頼んどこ。
10
お気に入りに追加
401
あなたにおすすめの小説
異世界転移したので、のんびり楽しみます。
ゆーふー
ファンタジー
信号無視した車に轢かれ、命を落としたことをきっかけに異世界に転移することに。異世界で長生きするために主人公が望んだのは、「のんびり過ごせる力」
主人公は神様に貰った力でのんびり平和に長生きできるのか。
異世界で魔法使いとなった俺はネットでお買い物して世界を救う
馬宿
ファンタジー
30歳働き盛り、独身、そろそろ身を固めたいものだが相手もいない
そんな俺が電車の中で疲れすぎて死んじゃった!?
そしてらとある世界の守護者になる為に第2の人生を歩まなくてはいけなくなった!?
農家育ちの素人童貞の俺が世界を守る為に選ばれた!?
10個も願いがかなえられるらしい!
だったら異世界でもネットサーフィンして、お買い物して、農業やって、のんびり暮らしたいものだ
異世界なら何でもありでしょ?
ならのんびり生きたいな
小説家になろう!にも掲載しています
何分、書きなれていないので、ご指摘あれば是非ご意見お願いいたします
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
せっかく転生したのに得たスキルは「料理」と「空間厨房」。どちらも外れだそうですが、私は今も生きています。
リーゼロッタ
ファンタジー
享年、30歳。どこにでもいるしがないOLのミライは、学校の成績も平凡、社内成績も平凡。
そんな彼女は、予告なしに突っ込んできた車によって死亡。
そして予告なしに転生。
ついた先は、料理レベルが低すぎるルネイモンド大陸にある「光の森」。
そしてやって来た謎の獣人によってわけの分からん事を言われ、、、
赤い鳥を仲間にし、、、
冒険系ゲームの世界につきもののスキルは外れだった!?
スキルが何でも料理に没頭します!
超・謎の世界観とイタリア語由来の名前・品名が特徴です。
合成語多いかも
話の単位は「食」
3月18日 投稿(一食目、二食目)
3月19日 え?なんかこっちのほうが24h.ポイントが多い、、、まあ嬉しいです!
異世界転移は分解で作成チート
キセル
ファンタジー
黒金 陽太は高校の帰り道の途中で通り魔に刺され死んでしまう。だが、神様に手違いで死んだことを伝えられ、元の世界に帰れない代わりに異世界に転生することになった。
そこで、スキルを使って分解して作成(創造?)チートになってなんやかんやする物語。
※処女作です。作者は初心者です。ガラスよりも、豆腐よりも、濡れたティッシュよりも、凄い弱いメンタルです。下手でも微笑ましく見ていてください。あと、いいねとかコメントとかください(′・ω・`)。
1~2週間に2~3回くらいの投稿ペースで上げていますが、一応、不定期更新としておきます。
よろしければお気に入り登録お願いします。
あ、小説用のTwitter垢作りました。
@W_Cherry_RAITOというやつです。よろしければフォローお願いします。
………それと、表紙を書いてくれる人を募集しています。
ノベルバ、小説家になろうに続き、こちらにも投稿し始めました!
異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜
ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった!
謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。
教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。
勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。
元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。
力を持っていても順応できるかは話が別だった。
クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。
※ご注意※
初投稿、試作、マイペース進行となります。
作品名は今後改題する可能性があります。
世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。
旅に出るまで(序章)がすごく長いです。
他サイトでも同作を投稿しています。
更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。
転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう!〜公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ〜
西園寺若葉
ファンタジー
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。
どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。
- カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました!
- アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました!
- この話はフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる