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風、清かに
七十九.
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急遽引き継ぎの為に生徒会長なんてものを引き受けたが、実際は副会長をやっていた頃と然程変わらない仕事をグィードはこなしていた。
カルロは自身が生徒会長に任命された頃は頑張ってくれていたが、ルイスが現れてからは仕事が完全に疎かになっていた為にグィードがやる様になっていた。そして他の役員達からは、グィードが会長の代わりをしてくれた方がカルロより仕事が早いと言われるくらいで。
それは本来なら良くない傾向だったが、復讐の為に大いに活用させてもらった。
お陰で、学園ではカルロ、オルランドとラウルの評判は最悪なモノだった。当然、ルイスの評判もあまり良くなかったが、癒し手としての才能を持っていたらしい、と言う話で皆は大層驚いた。
性格と聖なる力って関係ないのだな、と皆が妙な方に感心していた程である。
王族貴族の評判を落としかねない三人の存在であったが、第二王子のダリオとその婚約者となったラウラの、ふたりが立派に隣国への外交を果たした事でその分の信用は回復させた。
そしてそのダリオとラウラに次期生徒会役員として勤めて欲しいとの声があったがダリオは、学生の本分として引き受けたいのはやまやまだが、これから先王族として外交や兄の今迄の仕事を引き受ける為忙しくなるので今は学園に通う事で精一杯だと言って辞退した。
ラウラもその助けの為と王妃教育で忙しいと矢張り同じく辞退している。
皆残念がっていたが、無理強いは出来ないと引き下がった。そんな訳で、現在は別の優秀な者に引き継いでグィードも役員を引退した。
その際は、役員達から大きな花束を貰い皆から労われてグィードは少し気恥ずかしかったが、素直に嬉しかった。
アルバーノが馬鹿な事を考え、実行しなければ────逆行前の事は分からないが────カルロ達もそれなりに楽しい学園生活を送って今頃こうして花束を受け取っていたかもしれないのに、とグィードは思った。
そうして、アーモンドの花が咲き誇る頃、グィードは学園の卒業式を迎えた。
「うう、バルディーニ令息が卒業してしまう・・・・・・」
「もうあのご尊顔を拝めなくなるのは残念だわあ」
と、令嬢だけでなく平民の女子生徒達からも惜しまれながらアーモンドの花がまるで吹雪の如く舞う中、卒業して行った。
トレンティノ王国に来る前に切った髪は、もう既に肩よりも長いくらい迄に伸びていた。
もうそんなに年月が経っているんだな。
肩を流れる髪にそっと触れながらそんな事を考えた。何だかあっと言う間に時間が過ぎ去ったような気がするが、前の時間軸よりもずっと有意義に過ごせたのだから文句は無い。
これで漸く故郷に帰れるのだ。前の時間軸では、卒業後も体調がすぐれずトリーノに帰れなくてとても辛かったのを思い出していた。
その後もラウラは辛い目に合い続け、泣きながら城と学園に通っていたのだ。
その頃ジュリオは自領で公務に追われていて子供達が悲惨な事になっているのに、気付くのに遅れたりと色々と悪い事が重なっていた。
今は運命が変わったせいか、ジュリオが自領に帰った回数は数えられる程度だ。
しかも前回は来なかったのに、グィードの卒業式に父兄の一人として参加していた。
勿論ラウラの卒業式にも出る為、まだ暫くは自領との行き来が続くだろう。
バルディーニ邸へ帰ると、邸の中は随分と慌ただしい雰囲気であった。それはもう直ぐグィードが先にトリーノに帰る準備を使用人達がしている為であった。
これから暫くは、このバルディーニ邸でラウラとジュリオがふたりで過ごす事になる。
そして、ラウラが結婚したらまた管理人だけを残して皆引き上げて此処は無人同然の邸に戻るのだ。
カルロは自身が生徒会長に任命された頃は頑張ってくれていたが、ルイスが現れてからは仕事が完全に疎かになっていた為にグィードがやる様になっていた。そして他の役員達からは、グィードが会長の代わりをしてくれた方がカルロより仕事が早いと言われるくらいで。
それは本来なら良くない傾向だったが、復讐の為に大いに活用させてもらった。
お陰で、学園ではカルロ、オルランドとラウルの評判は最悪なモノだった。当然、ルイスの評判もあまり良くなかったが、癒し手としての才能を持っていたらしい、と言う話で皆は大層驚いた。
性格と聖なる力って関係ないのだな、と皆が妙な方に感心していた程である。
王族貴族の評判を落としかねない三人の存在であったが、第二王子のダリオとその婚約者となったラウラの、ふたりが立派に隣国への外交を果たした事でその分の信用は回復させた。
そしてそのダリオとラウラに次期生徒会役員として勤めて欲しいとの声があったがダリオは、学生の本分として引き受けたいのはやまやまだが、これから先王族として外交や兄の今迄の仕事を引き受ける為忙しくなるので今は学園に通う事で精一杯だと言って辞退した。
ラウラもその助けの為と王妃教育で忙しいと矢張り同じく辞退している。
皆残念がっていたが、無理強いは出来ないと引き下がった。そんな訳で、現在は別の優秀な者に引き継いでグィードも役員を引退した。
その際は、役員達から大きな花束を貰い皆から労われてグィードは少し気恥ずかしかったが、素直に嬉しかった。
アルバーノが馬鹿な事を考え、実行しなければ────逆行前の事は分からないが────カルロ達もそれなりに楽しい学園生活を送って今頃こうして花束を受け取っていたかもしれないのに、とグィードは思った。
そうして、アーモンドの花が咲き誇る頃、グィードは学園の卒業式を迎えた。
「うう、バルディーニ令息が卒業してしまう・・・・・・」
「もうあのご尊顔を拝めなくなるのは残念だわあ」
と、令嬢だけでなく平民の女子生徒達からも惜しまれながらアーモンドの花がまるで吹雪の如く舞う中、卒業して行った。
トレンティノ王国に来る前に切った髪は、もう既に肩よりも長いくらい迄に伸びていた。
もうそんなに年月が経っているんだな。
肩を流れる髪にそっと触れながらそんな事を考えた。何だかあっと言う間に時間が過ぎ去ったような気がするが、前の時間軸よりもずっと有意義に過ごせたのだから文句は無い。
これで漸く故郷に帰れるのだ。前の時間軸では、卒業後も体調がすぐれずトリーノに帰れなくてとても辛かったのを思い出していた。
その後もラウラは辛い目に合い続け、泣きながら城と学園に通っていたのだ。
その頃ジュリオは自領で公務に追われていて子供達が悲惨な事になっているのに、気付くのに遅れたりと色々と悪い事が重なっていた。
今は運命が変わったせいか、ジュリオが自領に帰った回数は数えられる程度だ。
しかも前回は来なかったのに、グィードの卒業式に父兄の一人として参加していた。
勿論ラウラの卒業式にも出る為、まだ暫くは自領との行き来が続くだろう。
バルディーニ邸へ帰ると、邸の中は随分と慌ただしい雰囲気であった。それはもう直ぐグィードが先にトリーノに帰る準備を使用人達がしている為であった。
これから暫くは、このバルディーニ邸でラウラとジュリオがふたりで過ごす事になる。
そして、ラウラが結婚したらまた管理人だけを残して皆引き上げて此処は無人同然の邸に戻るのだ。
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