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薄氷の上でワルツを
五十六.
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年も押し迫ったこの時期、パーティーの頻度が目に見えて増え、何処の貴族達も忙しそうにしていたが流石に十二月の二十四日も過ぎた頃からは、その頻度が下がって皆家族と暖かな暖炉の前で静かに過ごす様になっていた。
そして静かに年は過ぎ、厳かに年が開けると、年始は王城に国王、王妃達に年の初めの挨拶へと家族で向かい、無事済ませると以降はほぼ変わらぬ日常が始まる。
しかしラウラの婚約がある為、その段取りであったり手続きにジュリオとラウラが忙しそうにしている間、そのサポートにグィードが回っていた。
それから無事、ダリオとラウラの婚約が結ばれたのが二月下旬。
「しかし、ラウラ。 お前が本当に忙しくなるのはこれからだぞ」
ジュリオが真剣な面持ちでそう言った。
「はい、お父様」
そう、これから所謂王子妃として色々と学ばねばならない為、王城に毎日のように通わなければいけなくなる。
そしてこれはラウラ次第ではあるが、彼女がシエナ学園に入学しても暫くは続く事になるだろう。
とは言え、それよりも目下のところ婚約発表のある春花祭に向けて家族で準備せねばならない事は沢山ある。
それに加えてグィードは四月にシエナ学園に入学である。
「うむ、頑張りなさい」
ジュリオの執務室にふたりが呼ばれ、今後の話をしている所へ家令が現れた。
「ダリオ第二王子殿下より、ラウラ様へのお届け物が到着しました」
そう言われて三人は、リビングへと向かった。
沢山の、丁寧にラッピングされたきれいな箱を目の前にしてグィードは溜息を吐いた。婚約披露パーティーに着る用と、春花祭に着る用のドレス達だ。
勿論、これから先の催しだったりパーティー、お茶会に着ていく為のドレス、アクセサリーetcetc・・・・・・。
一体何時着るのかそれとも着れるのか、と言う量が目の前に置かれていた。実際、一度袖を通せばもう二度と着ない事も多い。中には試着すらせずそのまま・・・・・・なんてものもあるだろう。
「いやはや、凄いな」
どんどん確認の為に箱が開けられていく様子に呆れた様な、感心したような声音でグィードは呟いた。
ドレスやアクセサリーは一旦箱を開けて中身を確認し、それぞれ専用のクローゼットへと運ばれて行くのを見ながら前の時間軸ではどうだっただろう?と、ふと思い返してみる。
確か前はこの時期よりも後、夏頃に婚約が結ばれたのだ。しかし初顔合わせの時も、ふたりきりのお茶会であろうとカルロが婚約以降、何か贈り物をしてきた覚えがない。
否、全く無かったと言うと語弊があるが、其処迄気が利いた事をしてくれなかった気がする。
そう言えば、ジュリオがよくカルロ殿下はケチだ、と愚痴を言っていたのを思い出した。
オルランド、ラウルを見ていてもそれ程気の利いたことが出来る様にも見えないから、結局は類は友を呼ぶ、と言うやつなのかもしれない。
箱を開ける度に歓声を上げ、若いメイド達とはしゃぐラウラにグィードは目を細めた。
矢張りカルロではなく、ダリオを選んで良かったと思う。ただ、この先カルロを殺してしまえば第二王子であるダリオがこの国を継ぐことになる。
ラウラにとって王妃になると言う事は、大変な重責になるのは確かではあるが、ダリオとならばきっと大丈夫だろうとグィードは思った。
そして静かに年は過ぎ、厳かに年が開けると、年始は王城に国王、王妃達に年の初めの挨拶へと家族で向かい、無事済ませると以降はほぼ変わらぬ日常が始まる。
しかしラウラの婚約がある為、その段取りであったり手続きにジュリオとラウラが忙しそうにしている間、そのサポートにグィードが回っていた。
それから無事、ダリオとラウラの婚約が結ばれたのが二月下旬。
「しかし、ラウラ。 お前が本当に忙しくなるのはこれからだぞ」
ジュリオが真剣な面持ちでそう言った。
「はい、お父様」
そう、これから所謂王子妃として色々と学ばねばならない為、王城に毎日のように通わなければいけなくなる。
そしてこれはラウラ次第ではあるが、彼女がシエナ学園に入学しても暫くは続く事になるだろう。
とは言え、それよりも目下のところ婚約発表のある春花祭に向けて家族で準備せねばならない事は沢山ある。
それに加えてグィードは四月にシエナ学園に入学である。
「うむ、頑張りなさい」
ジュリオの執務室にふたりが呼ばれ、今後の話をしている所へ家令が現れた。
「ダリオ第二王子殿下より、ラウラ様へのお届け物が到着しました」
そう言われて三人は、リビングへと向かった。
沢山の、丁寧にラッピングされたきれいな箱を目の前にしてグィードは溜息を吐いた。婚約披露パーティーに着る用と、春花祭に着る用のドレス達だ。
勿論、これから先の催しだったりパーティー、お茶会に着ていく為のドレス、アクセサリーetcetc・・・・・・。
一体何時着るのかそれとも着れるのか、と言う量が目の前に置かれていた。実際、一度袖を通せばもう二度と着ない事も多い。中には試着すらせずそのまま・・・・・・なんてものもあるだろう。
「いやはや、凄いな」
どんどん確認の為に箱が開けられていく様子に呆れた様な、感心したような声音でグィードは呟いた。
ドレスやアクセサリーは一旦箱を開けて中身を確認し、それぞれ専用のクローゼットへと運ばれて行くのを見ながら前の時間軸ではどうだっただろう?と、ふと思い返してみる。
確か前はこの時期よりも後、夏頃に婚約が結ばれたのだ。しかし初顔合わせの時も、ふたりきりのお茶会であろうとカルロが婚約以降、何か贈り物をしてきた覚えがない。
否、全く無かったと言うと語弊があるが、其処迄気が利いた事をしてくれなかった気がする。
そう言えば、ジュリオがよくカルロ殿下はケチだ、と愚痴を言っていたのを思い出した。
オルランド、ラウルを見ていてもそれ程気の利いたことが出来る様にも見えないから、結局は類は友を呼ぶ、と言うやつなのかもしれない。
箱を開ける度に歓声を上げ、若いメイド達とはしゃぐラウラにグィードは目を細めた。
矢張りカルロではなく、ダリオを選んで良かったと思う。ただ、この先カルロを殺してしまえば第二王子であるダリオがこの国を継ぐことになる。
ラウラにとって王妃になると言う事は、大変な重責になるのは確かではあるが、ダリオとならばきっと大丈夫だろうとグィードは思った。
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