22 / 83
地獄への道は美しく舗装されている
二十.
しおりを挟む
今日は図書館で閉館時間近くまでガブリエーレと話し込んでいたら、この図書館の職員の一人がグィード達が座る席の側迄やって来た。
ああ、もう閉めるから帰れと言われるかな、と思いグィードは立ち上がろうとしたら、職員がもじもじしながらガブリエーレに話しかけた。
「アルボルゲッティ様、実は今日、恋人との記念日なんですよ・・・それであの~、早く帰りたいので後をお願いしてもよろしいですかね・・・?」
「ああ、そんな事。お安い御用さ、此方こそ何時も済まない」
そんな気やすい会話を繰り広げて、ガブリエーレは男から鍵を受け取った。お互いに軽く挨拶を交わしていそいそと職員が去っていくのを見送るガブリエーレを、グィードは少し呆気に取られて見ていた。
「ああ、申し訳ありませんバルディーニ様。実は先程の彼とは友人でしてね」
少しでも長く本を読みたい時は、彼が閉館業務の当番をしている時にこっそり長居させてもらっているのだと言う。
友人ねえ・・・・・・。
どんな友人関係何だか、と思ったが深くは聞かないでおく事にした。
「ふふ、誰も居ない図書館なんて初めてです」
グィードは目を細め、悪戯っぽく笑った。
もう既に誰も居ない、薄暗い図書館。此処にはふたりきりだ。グィードはもう声を潜める必要は無いと言うのに、ガブリエーレに顔を寄せ、吐息が掛かる程の距離で甘い声で囁きかけた。
ガブリエーレの頬を擽る吐息が甘く、熱い。
横に少し顔を動かすだけでキスが出来そうな距離だ。
「アルボルゲッティ殿?」
少し幼げな表情で、小首を傾げる無邪気なグィードが憎いと思った。此方の思いなぞ気付きもしない癖に、とガブリエーレは懊悩した。
グィードが寧ろ態と誘惑していると、思いもしないガブリエーレはふたりきりになった事を半ば後悔していた。
「バルディーニ様・・・いえ、グィード様っ!」
我慢できなくなったガブリエーレはグィードの両肩を掴み、顔を近づけた。
「あ・・・・・・っ」
驚いたグィードが抵抗し、少し揉み合う様に暴れると、どさりとふたりは床に崩れ落ちた。
「グィード様、グィード様・・・お願いです、私を・・・私を受け入れて下さい・・・・・・」
切なげな表情でガブリエーレが覆い被さってくる。
グィードの柔らかな唇に己のを押し付け、吐息を奪う。まるで初めて口付ける様な目茶苦茶で、自分勝手なキスだったが、今のガブリエーレに相手を気遣う余裕は無い。
「んッ、ンン────ッ!」
暴れるグィードの抵抗なぞ何ともないかのように押さえ付け、ガブリエーレはグィードの口腔を蹂躙し、犯していく。
嫌だッ!気持ち悪い────ッ!!
それ自体がまるで別の生き物の如く、うねうねと蠢く軟体動物かのように口腔内を這い回る感覚はグィードの肌を粟立たせた。
嚙み切ってやろうにも、半ば恐怖で動かず上手くいかない。その内舌が漸くグィードの中から離れて頬から顎、首筋へと滑り落ちて行った。
何時の間にかシャツのボタンを外され、露にされていた胸元。月明かりにうっすらと照らされて、青白くも肌理の細かい肌がガブリエーレの目の前に晒されていた。
「ああ、なんて美しい・・・・・・グィード様・・・・・・」
譫言の様に呟き、ガブリエーレは夢中になって胸元に顔を埋めた。
「や、助け・・・・・・ッ」
あまりにも悍ましい感覚に、思わず助けを呼んでいた。次に、どの様な悍ましい目に合わされるのかと身を固くしていたが、這い回る感覚が止まった事に少しして気付いた。
「・・・・・・?」
そ、っと目を開け、ガブリエーレを見る。腹の辺りで顔を埋めたまま、ガブリエーレは止まっていた。
どうしたのかと思うより早く、ガブリエーレの襟首が掴まれ引き剝がされた。
「あ・・・・・・」
ガブリエーレの襟首を掴んで放り投げたのはダエーワであった。グィードは驚いてダエーワをただ唖然と見上げていた。
するとダエーワはグィードの前に屈み、彼を抱き上げた。
「大丈夫ですかな?」
「・・・・・・はい」
グィードはそう答えて男の首筋に腕を回し、縋り付いていた。俯きながら、少し震えている。
「腹立たしい、今すぐにでもこの場で引き裂いてやりましょうか」
ダエーワが有言実行しそうなのを察知したグィードは慌てて止めた。
「だ、駄目です!俺があの男を殺します・・・・・・っ!」
ガブリエーレを誘惑して抱かれるぐらい何とも無い、などと思っていたが甘かった。しかしまあ、今なら彼等、悪魔の力で無かった事にするなぞ雑作も無い事だった。
ああ、もう閉めるから帰れと言われるかな、と思いグィードは立ち上がろうとしたら、職員がもじもじしながらガブリエーレに話しかけた。
「アルボルゲッティ様、実は今日、恋人との記念日なんですよ・・・それであの~、早く帰りたいので後をお願いしてもよろしいですかね・・・?」
「ああ、そんな事。お安い御用さ、此方こそ何時も済まない」
そんな気やすい会話を繰り広げて、ガブリエーレは男から鍵を受け取った。お互いに軽く挨拶を交わしていそいそと職員が去っていくのを見送るガブリエーレを、グィードは少し呆気に取られて見ていた。
「ああ、申し訳ありませんバルディーニ様。実は先程の彼とは友人でしてね」
少しでも長く本を読みたい時は、彼が閉館業務の当番をしている時にこっそり長居させてもらっているのだと言う。
友人ねえ・・・・・・。
どんな友人関係何だか、と思ったが深くは聞かないでおく事にした。
「ふふ、誰も居ない図書館なんて初めてです」
グィードは目を細め、悪戯っぽく笑った。
もう既に誰も居ない、薄暗い図書館。此処にはふたりきりだ。グィードはもう声を潜める必要は無いと言うのに、ガブリエーレに顔を寄せ、吐息が掛かる程の距離で甘い声で囁きかけた。
ガブリエーレの頬を擽る吐息が甘く、熱い。
横に少し顔を動かすだけでキスが出来そうな距離だ。
「アルボルゲッティ殿?」
少し幼げな表情で、小首を傾げる無邪気なグィードが憎いと思った。此方の思いなぞ気付きもしない癖に、とガブリエーレは懊悩した。
グィードが寧ろ態と誘惑していると、思いもしないガブリエーレはふたりきりになった事を半ば後悔していた。
「バルディーニ様・・・いえ、グィード様っ!」
我慢できなくなったガブリエーレはグィードの両肩を掴み、顔を近づけた。
「あ・・・・・・っ」
驚いたグィードが抵抗し、少し揉み合う様に暴れると、どさりとふたりは床に崩れ落ちた。
「グィード様、グィード様・・・お願いです、私を・・・私を受け入れて下さい・・・・・・」
切なげな表情でガブリエーレが覆い被さってくる。
グィードの柔らかな唇に己のを押し付け、吐息を奪う。まるで初めて口付ける様な目茶苦茶で、自分勝手なキスだったが、今のガブリエーレに相手を気遣う余裕は無い。
「んッ、ンン────ッ!」
暴れるグィードの抵抗なぞ何ともないかのように押さえ付け、ガブリエーレはグィードの口腔を蹂躙し、犯していく。
嫌だッ!気持ち悪い────ッ!!
それ自体がまるで別の生き物の如く、うねうねと蠢く軟体動物かのように口腔内を這い回る感覚はグィードの肌を粟立たせた。
嚙み切ってやろうにも、半ば恐怖で動かず上手くいかない。その内舌が漸くグィードの中から離れて頬から顎、首筋へと滑り落ちて行った。
何時の間にかシャツのボタンを外され、露にされていた胸元。月明かりにうっすらと照らされて、青白くも肌理の細かい肌がガブリエーレの目の前に晒されていた。
「ああ、なんて美しい・・・・・・グィード様・・・・・・」
譫言の様に呟き、ガブリエーレは夢中になって胸元に顔を埋めた。
「や、助け・・・・・・ッ」
あまりにも悍ましい感覚に、思わず助けを呼んでいた。次に、どの様な悍ましい目に合わされるのかと身を固くしていたが、這い回る感覚が止まった事に少しして気付いた。
「・・・・・・?」
そ、っと目を開け、ガブリエーレを見る。腹の辺りで顔を埋めたまま、ガブリエーレは止まっていた。
どうしたのかと思うより早く、ガブリエーレの襟首が掴まれ引き剝がされた。
「あ・・・・・・」
ガブリエーレの襟首を掴んで放り投げたのはダエーワであった。グィードは驚いてダエーワをただ唖然と見上げていた。
するとダエーワはグィードの前に屈み、彼を抱き上げた。
「大丈夫ですかな?」
「・・・・・・はい」
グィードはそう答えて男の首筋に腕を回し、縋り付いていた。俯きながら、少し震えている。
「腹立たしい、今すぐにでもこの場で引き裂いてやりましょうか」
ダエーワが有言実行しそうなのを察知したグィードは慌てて止めた。
「だ、駄目です!俺があの男を殺します・・・・・・っ!」
ガブリエーレを誘惑して抱かれるぐらい何とも無い、などと思っていたが甘かった。しかしまあ、今なら彼等、悪魔の力で無かった事にするなぞ雑作も無い事だった。
12
お気に入りに追加
150
あなたにおすすめの小説
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
出戻り聖女はもう泣かない
たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。
男だけど元聖女。
一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。
「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」
出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。
ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。
表紙絵:CK2さま
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

どこにでもある話と思ったら、まさか?
きりか
BL
ストロベリームーンとニュースで言われた月夜の晩に、リストラ対象になった俺は、アルコールによって現実逃避をし、異世界転生らしきこととなったが、あまりにありきたりな展開に笑いがこみ上げてきたところ、イケメンが2人現れて…。
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる