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4.夢だったみたいです
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ピピピピピピ
枕元で鳴り響くスマホのアラーム音で、俺は泥のような眠りから覚めた。
手探りでアラームを止め、スマホをかしげて画面を見る。現在時刻は午前6時半、いつもと同じ起床時間だ。
「……頭、いてぇ」
枕に顔をうずめ、うめく。身動ぎをするたびに頭の芯がズキズキと痛む。完全に2日酔いだ。
鈍痛としばし戦った後、俺は浴室に向かうべくベッドから下りた。いくら体調が優れなくても所詮は2日酔い、シャワーを浴びれば少しはすっきりするだろう。
「ん……?」
ふと下半身に違和感を覚えた。腰回りが異様にだるい。まるで長時間同じ姿勢で座り続けた後のようだ。加えて肛門に感じる奇妙なむず痒さ。
刹那、俺の脳裏にいくつかの光景がフラッシュバックした。
汗ばんだ裸の胸。ベッドの脇に散らばった衣服。絡まり合う指先。そして――情欲に溺れる律希の顔。
「まままま待て待て待て、これは夢か?」
俺はおぼろな記憶を必死でたどった。
日本酒による5連続乾杯でめでたく酔い潰れた俺は、律希の肩を借り自宅へと帰り着いた。スーツを脱ぎちらかしベッドへとダイブした。
その後は――どうなった?
懸命に記憶を呼び起こしても、その後の出来事は何ひとつ思い出せない。夢か現かもわからないいくつかの映像だけが、空白の記憶の中にぽっかりと浮いている。
「おいおいおい、ちょっと待ってくれ。あれは夢? これは現実? やっぱり夢ぇ⁉」
俺の悲痛な叫び声は、清らかな朝日に吸い込まれて消えた。
*
痛む頭を抱えながらも無事に身支度を済ませた俺は、午前8時ぴったりに自宅を出た。
のどかな住宅街を10分も歩けば、人通りの多い大通りに出る。自転車を漕ぐ高校生、気怠気な表情のサラリーマン、黄色の園帽を被った幼児とそのお母さん。たくさんの人が行き交っている。俺もそのうちの1人だ。
「春臣さん、おはようございます!」
息切れしながら歩く俺に、背後からそう声をかける者があった。昨晩の飲み会に参加していた芳賀壮太、チワワのように愛嬌のある青年である。
「壮太……おはよう。朝から元気だね」
「そりゃ朝なんだから元気ですよ。春臣さんはゲッソリしてますね。大丈夫ですか?」
「全然大丈夫じゃないし、何なら今日1日有給とりたい」
「とれば良いじゃないですか。有給は労働者に認められた権利ですよ」
「2日酔いで有給申請だなんてカッコ悪すぎるだろぉ。正当な体調不良ならまだしも」
「2日酔いでろくに仕事もできない癖に職場にいる方がカッコ悪くないですか?」
「ぐっは」
なぜ俺の周りにはこう辛口な人間が多いのだろう。
辛辣な朝のやり取りが終わったところで、俺と壮太は肩を並べて歩き出す。20mも歩いたところで、壮太が軽い口調で話し出した。
「昨日はあの後、皆で別の飲み屋に行ったんですよ。駅裏のボルボルってお店」
「ん、知ってる。ピザが美味しいお店でしょ。カラオケには行かなかったんだ?」
「カラオケ案も出たんですけどね。たくさんお酒が飲める店にしようという流れになって。ほら、真理愛さんのお相手の話、聞きたいじゃないですか」
確かに、と俺はうなずいた。
飲み会の最中に恋の成就を報告した真理愛であるが、相手についての情報は一切語ろうとしなかった。真理愛を酔わせて情報を引き出したい、という周囲の思惑にも理解が及ぶ。
「で、どうだったの。真理愛は口を割った?」
「全っ然ダメ。真理愛さんお酒強いし、下手に斬り込んでいくと逆にこっちがやられるし。毒舌兵器の名は伊達じゃないっすわ」
「そっかぁ。まぁ無理に聞き出す必要はないんじゃない。例えば結婚するとか、進展があれば真理愛の方から教えてくれるでしょ」
それもそうですねぇ、と壮太はうなずいた。
「春臣さんはあの後、無事おうちに帰れました? 道端で力尽きませんでした?」
「何度も力尽きるかと思ったけど、無事に自宅まで辿り着いたよ」
「そう、律希さんのお陰ですね」
律希。俺の心臓は、ドクリと嫌な音を立てて跳ねた。
今朝フラッシュバックした光景が現実の物であるのか、それとも単なる夢なのか。その疑問を解消することが、今日の最重要課題だ。
俺はそろりと壮太の顔をうかがい見た。
「壮太と律希は同じ社員寮だよね……?」
「そうですよ」
「今朝、寮を出る前に律希と会った?」
「朝ご飯のときにチラッと顔は見ましたけど」
「そ、そう。律希は元気だった? 何かこう……いつもと違う感じはしなかった?」
壮太はいぶかしげに俺を見た。
俺たちの会社には、独身社員を対象とした社員寮がある。
入居者は入社後5年目までの男性社員に限定され、寮費は水道光熱費を含めて月1万5千円と格安。寮部屋には最低限の調理台が備えられてはいる他、希望者は朝晩の食事を食堂でとることもできる。
談話室で突発的な飲み会が開催されることもあれば、食堂でクリスマスパーティーが催されることもある。かなり楽しい場所だ。
かくいう俺も、昨年までは社員寮の一員だった。入社後5年を過ぎてしまったために、泣く泣く社員寮を出て行かなくてはならなかったのである。
気ままな1人暮らしも悪くはないが、俺は皆とワイワイ過ごす時間が好きだった。
「律希さんと……何かあったんですか?」
重々しい壮太の声で、俺ははっと我に返った。
「特別何かがあったわけじゃないんだけどさ。ほら、俺いつも律希に迷惑ばっかりかけてるじゃん。そろそろ律希も俺に愛想を尽かす頃かなー……なんて」
俺はあはは、と曖昧に笑った。
まさか「俺、律希に抱かれちゃったかもしれなくてさぁ」などとは口が裂けても言えるはずがない。人の口に戸は立てられない。壮太に話すこと、それすなわち会社の全員に話すも同然だ。
右へ左へと不自然に視線を泳がせる俺。
壮太の瞳がキラリと光った。
「もしかして春臣さん……律希さんと致しちゃいました?」
「……ほぇ?」
「酒の勢いに任せて一線を超えちゃったのか、って訊いてるんですよ! 責めるつもりはなんです、全くこれっぽっちも! ただそんな展開とっても心ときめくなぁって。面白!」
「お前、本音を隠す気ある?」
やんややんやと話すうちに、社ビルの玄関口は目の前。壮太ははたと歩みを止め、真面目な口調で質問を繰り返した。
「それでどうなんですか。本当に一線を超えちゃったんですか? 律希さんと」
壮太の隣で俺もまた歩みを止めた。不自然に立ち止まった俺たちの傍らを、たくさんの人が通り過ぎていく。
壮太の質問に何と返すべきなのか、俺にはわからなかった。なぜなら俺自身が、昨晩何が起こったのかを把握していないから。
脳裏に焼き付いた映像ははたして夢か現か?
「――俺が、何ですか?」
背中越しに聞き慣れた声がした。俺と壮太が同時に振り返れば、スーツ姿の律希が仁王立ちしていた。
壮太はパッと表情を明るくし、律希に朝の挨拶をした。
「律希さん、おはようございます! 突然ですが、昨晩春臣さんと何かありました?」
突然の質問に、律希は眉をひそめた。
「……は?」
「春臣さんがやたらと律希さんの事を気にしてるんですよ。それで俺、もしかして2人は酒の勢いに任せて一線を超えちゃったのかなぁ、なんて」
ソワソワと落ち着きを隠せない壮太と俺を、律希の冷たい視線が射抜いた。
「馬鹿ですか?」
俺と壮太は同時に「すみません」と謝罪するのであった。
枕元で鳴り響くスマホのアラーム音で、俺は泥のような眠りから覚めた。
手探りでアラームを止め、スマホをかしげて画面を見る。現在時刻は午前6時半、いつもと同じ起床時間だ。
「……頭、いてぇ」
枕に顔をうずめ、うめく。身動ぎをするたびに頭の芯がズキズキと痛む。完全に2日酔いだ。
鈍痛としばし戦った後、俺は浴室に向かうべくベッドから下りた。いくら体調が優れなくても所詮は2日酔い、シャワーを浴びれば少しはすっきりするだろう。
「ん……?」
ふと下半身に違和感を覚えた。腰回りが異様にだるい。まるで長時間同じ姿勢で座り続けた後のようだ。加えて肛門に感じる奇妙なむず痒さ。
刹那、俺の脳裏にいくつかの光景がフラッシュバックした。
汗ばんだ裸の胸。ベッドの脇に散らばった衣服。絡まり合う指先。そして――情欲に溺れる律希の顔。
「まままま待て待て待て、これは夢か?」
俺はおぼろな記憶を必死でたどった。
日本酒による5連続乾杯でめでたく酔い潰れた俺は、律希の肩を借り自宅へと帰り着いた。スーツを脱ぎちらかしベッドへとダイブした。
その後は――どうなった?
懸命に記憶を呼び起こしても、その後の出来事は何ひとつ思い出せない。夢か現かもわからないいくつかの映像だけが、空白の記憶の中にぽっかりと浮いている。
「おいおいおい、ちょっと待ってくれ。あれは夢? これは現実? やっぱり夢ぇ⁉」
俺の悲痛な叫び声は、清らかな朝日に吸い込まれて消えた。
*
痛む頭を抱えながらも無事に身支度を済ませた俺は、午前8時ぴったりに自宅を出た。
のどかな住宅街を10分も歩けば、人通りの多い大通りに出る。自転車を漕ぐ高校生、気怠気な表情のサラリーマン、黄色の園帽を被った幼児とそのお母さん。たくさんの人が行き交っている。俺もそのうちの1人だ。
「春臣さん、おはようございます!」
息切れしながら歩く俺に、背後からそう声をかける者があった。昨晩の飲み会に参加していた芳賀壮太、チワワのように愛嬌のある青年である。
「壮太……おはよう。朝から元気だね」
「そりゃ朝なんだから元気ですよ。春臣さんはゲッソリしてますね。大丈夫ですか?」
「全然大丈夫じゃないし、何なら今日1日有給とりたい」
「とれば良いじゃないですか。有給は労働者に認められた権利ですよ」
「2日酔いで有給申請だなんてカッコ悪すぎるだろぉ。正当な体調不良ならまだしも」
「2日酔いでろくに仕事もできない癖に職場にいる方がカッコ悪くないですか?」
「ぐっは」
なぜ俺の周りにはこう辛口な人間が多いのだろう。
辛辣な朝のやり取りが終わったところで、俺と壮太は肩を並べて歩き出す。20mも歩いたところで、壮太が軽い口調で話し出した。
「昨日はあの後、皆で別の飲み屋に行ったんですよ。駅裏のボルボルってお店」
「ん、知ってる。ピザが美味しいお店でしょ。カラオケには行かなかったんだ?」
「カラオケ案も出たんですけどね。たくさんお酒が飲める店にしようという流れになって。ほら、真理愛さんのお相手の話、聞きたいじゃないですか」
確かに、と俺はうなずいた。
飲み会の最中に恋の成就を報告した真理愛であるが、相手についての情報は一切語ろうとしなかった。真理愛を酔わせて情報を引き出したい、という周囲の思惑にも理解が及ぶ。
「で、どうだったの。真理愛は口を割った?」
「全っ然ダメ。真理愛さんお酒強いし、下手に斬り込んでいくと逆にこっちがやられるし。毒舌兵器の名は伊達じゃないっすわ」
「そっかぁ。まぁ無理に聞き出す必要はないんじゃない。例えば結婚するとか、進展があれば真理愛の方から教えてくれるでしょ」
それもそうですねぇ、と壮太はうなずいた。
「春臣さんはあの後、無事おうちに帰れました? 道端で力尽きませんでした?」
「何度も力尽きるかと思ったけど、無事に自宅まで辿り着いたよ」
「そう、律希さんのお陰ですね」
律希。俺の心臓は、ドクリと嫌な音を立てて跳ねた。
今朝フラッシュバックした光景が現実の物であるのか、それとも単なる夢なのか。その疑問を解消することが、今日の最重要課題だ。
俺はそろりと壮太の顔をうかがい見た。
「壮太と律希は同じ社員寮だよね……?」
「そうですよ」
「今朝、寮を出る前に律希と会った?」
「朝ご飯のときにチラッと顔は見ましたけど」
「そ、そう。律希は元気だった? 何かこう……いつもと違う感じはしなかった?」
壮太はいぶかしげに俺を見た。
俺たちの会社には、独身社員を対象とした社員寮がある。
入居者は入社後5年目までの男性社員に限定され、寮費は水道光熱費を含めて月1万5千円と格安。寮部屋には最低限の調理台が備えられてはいる他、希望者は朝晩の食事を食堂でとることもできる。
談話室で突発的な飲み会が開催されることもあれば、食堂でクリスマスパーティーが催されることもある。かなり楽しい場所だ。
かくいう俺も、昨年までは社員寮の一員だった。入社後5年を過ぎてしまったために、泣く泣く社員寮を出て行かなくてはならなかったのである。
気ままな1人暮らしも悪くはないが、俺は皆とワイワイ過ごす時間が好きだった。
「律希さんと……何かあったんですか?」
重々しい壮太の声で、俺ははっと我に返った。
「特別何かがあったわけじゃないんだけどさ。ほら、俺いつも律希に迷惑ばっかりかけてるじゃん。そろそろ律希も俺に愛想を尽かす頃かなー……なんて」
俺はあはは、と曖昧に笑った。
まさか「俺、律希に抱かれちゃったかもしれなくてさぁ」などとは口が裂けても言えるはずがない。人の口に戸は立てられない。壮太に話すこと、それすなわち会社の全員に話すも同然だ。
右へ左へと不自然に視線を泳がせる俺。
壮太の瞳がキラリと光った。
「もしかして春臣さん……律希さんと致しちゃいました?」
「……ほぇ?」
「酒の勢いに任せて一線を超えちゃったのか、って訊いてるんですよ! 責めるつもりはなんです、全くこれっぽっちも! ただそんな展開とっても心ときめくなぁって。面白!」
「お前、本音を隠す気ある?」
やんややんやと話すうちに、社ビルの玄関口は目の前。壮太ははたと歩みを止め、真面目な口調で質問を繰り返した。
「それでどうなんですか。本当に一線を超えちゃったんですか? 律希さんと」
壮太の隣で俺もまた歩みを止めた。不自然に立ち止まった俺たちの傍らを、たくさんの人が通り過ぎていく。
壮太の質問に何と返すべきなのか、俺にはわからなかった。なぜなら俺自身が、昨晩何が起こったのかを把握していないから。
脳裏に焼き付いた映像ははたして夢か現か?
「――俺が、何ですか?」
背中越しに聞き慣れた声がした。俺と壮太が同時に振り返れば、スーツ姿の律希が仁王立ちしていた。
壮太はパッと表情を明るくし、律希に朝の挨拶をした。
「律希さん、おはようございます! 突然ですが、昨晩春臣さんと何かありました?」
突然の質問に、律希は眉をひそめた。
「……は?」
「春臣さんがやたらと律希さんの事を気にしてるんですよ。それで俺、もしかして2人は酒の勢いに任せて一線を超えちゃったのかなぁ、なんて」
ソワソワと落ち着きを隠せない壮太と俺を、律希の冷たい視線が射抜いた。
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