見放された家出令嬢は清くたくましく生存中! ※ただし酒場で出会ったドS男子に処女を狙われている

三崎こはく

文字の大きさ
上 下
39 / 70
4章 心惑わす魔女の妙薬

39話 大貴族モーガン家

しおりを挟む
 アンがモーガン家へと赴いたのは、アメリアとの茶会から3日が経った日のことであった。

「アン、久しぶり。よく来てくれたわね」

 豪勢な外門の内側で、そうアンに微笑みかける者は実姉であるアリス。多少げっそりした様子ではあるが、思ったよりもずっと元気そうだ。

「アリス姉さん、元気そうで良かったよ。動いて大丈夫なの?」
「動くのはいいのよ。駄目なのは食べることと匂いよ。あとお腹が空いているのも駄目」
「食べると気持ち悪くなるのに、お腹が空くのも駄目なの? もうめちゃめちゃだね」
「めちゃめちゃよ。人間を創るというのはそういうことよ。アンも覚えておきなさい」

 アリスの言葉は、人生の格言としてアンの心に刻み込まれるのであった。

 モーガン家の敷地は、ドレスフィード家のそれよりも遥かに広大だ。外門の内側には見渡す限りの園庭が広がり、色とりどりの花々が咲き誇っている。敷地内には繊細優美はガゼボに加え、大理石造りの噴水まであるのだから驚きだ。

 アンが案内された先は、客間ではなく園庭のガゼボ。繊細優美なガゼボを見回しながらアンは尋ねた。

「今日はお庭なんだね。ひょっとして、他にお客様がいらしてる?」

 アリスは微笑みながら答えた。
 
「応接室は空いているわよ。だけど私が、応接室の匂いが駄目なのよ。たばこの臭いとか、コーヒーの匂いとか、いろんな匂いが混じり合っていてすぐに気持ち悪くなっちゃうの」
「あ、そうなの。そりゃ仕方ないわ」

 人間を創るのは大変である。
 ガーデンテーブルの上には本や飲みかけのジンジャーエールが置かれているから、アリスはもう大分前からそのガゼボに滞在しているようだ。

 華奢なガーデンチェアに腰かけ、アリスは本題を口にした。

「それで、アン。今日は何か急ぎの用事だった? アンの方から訪ねてくるなんて珍しいじゃない」

 アンは素知らぬ顔で答えた。

「特に用事はないよ。アリス姉さんがつわりで苦しんでいると聞いて、会いに来たんだ」
「あら、そうなの。情報元はアメリアかしら?」
「そうそう。3日前にアメリア姉さんとお茶したんだよ。アリス姉さんが3人目妊娠中だと聞いてびっくりしちゃった。最近顔を見ないな、とは思っていたんだけどさ」
「直接伝えられなくて申し訳ないわ。妊娠がわかってすぐに手紙を送ろうとはしたんだけど……ちょっとそれどころじゃなくてね」

 アリスは「うふふ」と力のない微笑みを零した。
 以前会ったときよりも痩せたアリスの顔を見て、アンはあることを思い出した。

「そうそう、あたしアリス姉さんにお土産を買ってきたんだよ。唐揚げは食べられるって聞いたから、味が濃いめの下町グルメをさ。食べられそうなの、あるかな?」

 アンは土産の紙袋を膝にのせ、下町で買い求めたグルメの品々をガーデンテーブルの上に並べた。カットピザにハンバーガー、ポテトフライにコロッケバーガー。
 
 アリスはふんふんと鼻を動かしたかと思うと、そのうちの1つを手に取った。コロッケバーガーだ。包み紙を剥がし、かじりつく。

「……いけるわね」
「いける? コロッケバーガーは合格?」

 どうやらソースたっぷりのコロッケバーガーは、無事胎児に受け入れられたようだ。
 唐揚げとジンジャーエールのみであったアリスの食卓に、ひとまずコロッケバーガーが追加されて良かったと、アンは胸を撫でおろすのであった。

 そのとき、2人の人物がガゼボへと歩み寄ってくるのが見えた。1人はお盆をかかえたモーガン家の使用人、そしてもう1人は大貴族ダニエル・モーガンその人だ。つまりはアリスの夫、言い換えればアンの義兄でもある人物だ。

 恐れ多い顔を目前にして、アンははっと席を立つ。
 ガゼボにたどり着くや否や、ダニエルはアンに向けて挨拶をした。

「アン様、ようこそモーガン家へ。あなたの来訪をお待ち申し上げておりました」

 次いで披露されるものは、社交界を離れたアンは滅多に目にする機会のない見事なボウ・アンド・カーテシーだ。
 アンは心臓を縮み上がらせながら、たどたどしいカーテシーを返した。

「こ、こんにちは。今日は突然お邪魔してすみません……」
「いえいえ。こちらこそ応接室にご案内できず申し訳ありません。何分、アリスの体調がすぐれないものですから」
「つわりが酷いんですよね、聞いています。今日はそれでうかがったんです。あたしは繁華街で暮らしていますから、珍しい食べ物をお届けできるかなって」

 アンがそう説明すると、ダニエルは下町グルメでいっぱいのガーデンテーブルを見下ろした。それからコロッケバーガーを握りしめたアリスをへと視線を移し、優しく笑った。

「アリスの口に合う物があったのなら良かった。ここまで酷いつわりは初めてですから、私どもも戸惑っているのですよ」
「そうなんですね。あ、そうだ。これ――」

 アンはカバンの中から小さな紙包みを取り出し、ダニエルに差し出した。

「これ、つわりを軽くするハーブティーです。妊婦以外が飲んでも問題はないらしいので、皆様で飲んでみてください」
「それはありがたい。夕食時にでも皆でいただきましょう」

 ダニエルが紙包みを上着のポケットへとしまい込んだとき、不安げな表情のアリスが会話に口を挟んだ。

「ダニエル、今日は経営者会議の日ではなかった? そろそろ出発しないと遅れてしまうわよ」

 ダニエルはちらりとアリスを見て、答えた。

「15分ほど遅れると、昨日のうちに断りを入れてある。アン様が屋敷にいらっしゃるというのに、挨拶をしないわけにもいかないだろう」
「……そうなの? あまり大事にしなくてもいいのに」

 アリスとダニエルの会話を聞き、アンは違和感を覚えた。
 アンがモーガン家を訪れるのは、実は今日が初めてのことではない。過去に2度、アリスの誘いで邸宅を訪れたことがあるが、ダニエルが挨拶に見えたのは初めてのことだ。

 一体どうした状況の変化だろうと、考え込むアンに向けて、ダニエルはまた優雅な挨拶をした。
 
「ではアン様、私はこれで失礼します。どうぞゆっくりなさっていってください」
「あ、はい。ありがとうございます」

 そうして小さな謎を残して、大貴族ダニエル・モーガンはガゼボを後にした。

 ***
 
 ダニエルが立ち去った後、一緒にやってきた使用人が茶会の準備を始めた。ガーデンテーブルにのせられるティーポット、ティーカップ、山盛りの菓子皿。
 数々の下町グルメに加え、さらに賑やかとなっていくテーブルを眺めながら、アンはようやく一息を吐いた。

「びっくりしたぁ……。まさかモーガン候にご挨拶をされるとは」

 アリスは申し訳なさそうに眉尻を下げた。

「ごめんなさいね。アリスとアメリアが私を訪ねてくるときは、気をつかわないでと言ってあるのだけれど」

 そうであるというのに、経営者会議への参加を遅らせてまで挨拶に訪れたダニエル。ダニエルの思惑について、あれこれと考えを巡らせていたアンは、ようやくとある可能性に思い至った。

「アリス姉さん……もしかしてだけどさぁ。モーガン候があたしに挨拶したかったのって、アーサー王子の件があるから?」

 アンが遠慮がちにそう尋ねれば、アリスは言葉を詰まらせた。

「アン……気を悪くしないで欲しいの。私もダニエルも、可愛い妹には幸せな結婚をしてほしいと思っているわ。でも万が一……万が一ね。アンが王族の一員となる可能性を考えれば、このたびの来訪はモーガン家にとって無視できないものなの」
「んん……やっぱりそういう事かぁ」

 ――挨拶をされる分には構わないが、あまり大事にはしないで欲しいなぁ
 というのがアンの本音であった。

 なぜならグレンと相棒契約を結んでいる以上、アンはどう間違ってもアーサーとは結婚しないからだ。アーサーと結婚するのは、アンが推しているドリー・メイソンか、調査進行中のシャルロット・ハート――

 おっと、とアンは心の中で両手を打った。今日モーガン家を訪れたもう1つの目的を思い出したからだ。
 椅子に腰かけなおし、澄ました顔で質問した。

「アーサー王子と言えばさぁ。アリス姉さん、シャルロット・ハート嬢とのお付き合いはある?」
「シャルロット・ハート嬢? そのご令嬢は、アーサー王子の結婚候補者の1人かしら?」

 アンはさり気なく肯定した。

「そうそう。そのシャルロット嬢という人が、結婚相手の有力候補者の1人らしいんだよ。一体どんな子なのかなってちょっとだけ気になってさ。アリス姉さん、シャルロット嬢のこと何か知ってる?」

 アンの質問に、アリスは唇に指先をあてて考え込んだ。

「個人的な付き合いはないわね。シャルロット嬢はハート家の末娘よね。父はロジャー、母はトレシア。きょうだいは、兄と姉が1人ずついたはずだわ。名前はカノンと……何だったかしら。あとハート家ではドーベルマンを2匹飼っていたはず。トレシア夫人と犬の話題で盛り上がったことがあるもの」
「おお……さすがアリス姉さん。ペットのことまで覚えているとは」

 ジンジャーエールでのどを潤し、アリスの語りは続く。

「私がシャルロット嬢と初めて顔を合わせたのは、1年前に開催された商家同士の集まりよ。そのときシャルロット嬢は婚姻可能年齢を目前にしていたから、将来の結婚を見据えて集まりに参加したのでしょうね。人形のように可愛い子で、たくさんの独身男性からアプローチを受けていたわ。そう……あの子がアーサー王子の結婚相手に立候補しているのね。少し、意外だわ」
「意外なの? それはどうして?」

 アンの質問に、アリスは声を潜めて答えた。
 
「だってアーサー王子との結婚は、お世辞にも好条件とは言い難いじゃない。子どもは望めないだろうし、社交界に出る頻度も今よりずっと少なくなる。一度の夜会であれだけのアプローチを受けていたのだから、王家ほどではなくとも、良縁などいくらでも望めるはずなのに」
「そう言われてみればそうだねぇ」

 アーサーに結婚候補者となる令嬢は、ドリーを除き何らかの問題を抱えた者ばかりだ。「多少素性に問題のある娘でも、『捨てられた王子様』相手ならば結婚が叶うかもしれない」と、両親がこぞって考えたためだろう。
 
 もしもシャルロットがごくごく普通の令嬢ならば、確かにアーサーの結婚相手として立候補していることは不自然だった。

 沈黙がいくらか続いた。
 口を開いた者はアリスだった。

「あまり大声では言えない話なのだけれど……私はハート家の人たちがあまり好きではないのよ」
「……ハート家の人たちと何かあったの?」
「仕事上のトラブルがあっただとか、そういう話ではないのよ。感性が合わない、とでも言うのかしら。ハート家の当主は代々非常に野心的でね。一族そろって成果のためには手段を選ばない気質なのよ。ハート家の領地はお世辞にも豊かとは言えない土地柄だけど、野心的に動くことで着実に事業を拡大してきた。味方にすれば心強いのだけれど、正直あまり敵には回したくないわ」

 アンはふーん、と相槌を打った。しかしすぐに「ん?」と首をかしげた。

「野心的って別に悪いことじゃないよね。一族を未来を背負っているんだから、一族の当主は野心的であるべきじゃないの?」
「悪いことだとは言わないけれど、程度の問題かしらね。ハート家はあまり大きな貴族の家ではないから、大貴族であるモーガン家にはできないような、少しずるいことが簡単にできてしまう。例えばライバル貴族の悪い噂を流したり、商品の販路を拡大するために多少強引な手を使ったり……ね」
「へぇ……そうなの。確かにそれは、あまり印象はよくないね」

 ならばハート家の当主であるロジャーが、愛娘であるシャルロットをアーサーと結婚させようとするのも、何かしらの野心を抱いてのことなのだろうか。
 それ自体が悪いことだとは思わないが、アンは心の中にモヤモヤとした感情が生まれるのを感じた。

 たった2度顔を合わせただけの関係ではあるけれど、アンはアーサーが嫌いではない。グレンもレオナルドも、リナもバーバラもジェフも好きだ。
 ハート家の飛躍のために、彼らが良いように利用されるところは見たくないと思った。

「シャルロット嬢が結婚候補者の1人であることは、ダニエルに伝えておいた方がいいかしら……ハート候がまたよからぬことを企んでいる可能性も捨てきれないし……」

 アリスの悩ましげな独り言を聞きながら、アンもまた考えた。今聞いた情報は、即刻グレンに伝えなければなるまい、と。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

気がついたら婚約者アリの後輩魔導師(王子)と結婚していたんですが。

三谷朱花
恋愛
「おめでとう!」 朝、職場である王城に着くと、リサ・ムースは、魔導士仲間になぜか祝われた。 「何が?」 リサは祝われた理由に心当たりがなかった。 どうやら、リサは結婚したらしい。 ……婚約者がいたはずの、ディランと。 ※毎日11時に更新します。

織田信長の妹姫お市は、異世界でも姫になる

猫パンダ
恋愛
戦国一の美女と言われた、織田信長の妹姫、お市。歴史通りであれば、浅井長政の元へ嫁ぎ、乱世の渦に巻き込まれていく運命であるはずだったーー。しかし、ある日突然、異世界に召喚されてしまう。同じく召喚されてしまった、女子高生と若返ったらしいオバサン。三人揃って、王子達の花嫁候補だなんて、冗談じゃない! 「君は、まるで白百合のように美しい」 「気色の悪い世辞などいりませぬ!」 お市は、元の世界へ帰ることが出来るのだろうか!?

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。

さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。 忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。 「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」 気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、 「信じられない!離縁よ!離縁!」 深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。 結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

皇帝とおばちゃん姫の恋物語

ひとみん
恋愛
二階堂有里は52歳の主婦。ある日事故に巻き込まれ死んじゃったけど、女神様に拾われある人のお世話係を頼まれ第二の人生を送る事に。 そこは異世界で、年若いアルフォンス皇帝陛下が治めるユリアナ帝国へと降り立つ。 てっきり子供のお世話だと思っていたら、なんとその皇帝陛下のお世話をすることに。 まぁ、異世界での息子と思えば・・・と生活し始めるけれど、周りはただのお世話係とは見てくれない。 女神様に若返らせてもらったけれど、これといって何の能力もない中身はただのおばちゃんの、ほんわか恋愛物語です。

私の初恋の男性が、婚約者に今にも捨てられてしまいそうです

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【私の好きな人が婚約者に捨てられそうなので全力で阻止させて頂きます】 入学式で困っている私を助けてくれた学生に恋をしてしまった私。けれど彼には子供の頃から決められていた婚約者がいる人だった。彼は婚約者の事を一途に思っているのに、相手の女性は別の男性に恋している。好きな人が婚約者に捨てられそうなので、全力で阻止する事を心に決めたー。 ※ 他サイトでも投稿中

【完結】伯爵の愛は狂い咲く

白雨 音
恋愛
十八歳になったアリシアは、兄の友人男爵子息のエリックに告白され、婚約した。 実家の商家を手伝い、友人にも恵まれ、アリシアの人生は充実し、順風満帆だった。 だが、町のカーニバルの夜、それを脅かす出来事が起こった。 仮面の男が「見つけた、エリーズ!」と、アリシアに熱く口付けたのだ! そこから、アリシアの運命の歯車は狂い始めていく。 両親からエリックとの婚約を解消し、年の離れた伯爵に嫁ぐ様に勧められてしまう。 「結婚は愛した人とします!」と抗うアリシアだが、運命は彼女を嘲笑い、 その渦に巻き込んでいくのだった… アリシアを恋人の生まれ変わりと信じる伯爵の執愛。 異世界恋愛、短編:本編(アリシア視点)前日譚(ユーグ視点) 《完結しました》

処理中です...